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2話 この中に一人オナニーしてる人がいる

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 一応言っておくが俺は当然男だ。もちろん女装癖はない。顔立ちが中性的という事もなければ顔が隠れるほどのロン毛というわけでもない。『この中に一人男がいる?』そうだ。何も悩むことなどない。しかし



 「え? 嘘⁉ 女装? だとしたらレベル高⁉」



 「ひぃっ」



 「どうせ嘘でしょ」



 「え~男の子? なんだか照れるわねぇ~、あっ、どうしよ~わたしまだお化粧してないのに~」



 等と言っている。何だろう。新手のいじめだろうか。「え? 奇麗な女性!? どこだ、俺には見えないぞ!」の逆バージョンだろうか。なんか1名ほど若干ずれている気がしないでもないが、皆反応は似たようなもの。つまり俺が男だとは気が付いていないようだ。皆互いのことを探り、観察するように見回していると、新たな文字がモニターに映し出された。



 『30日間経過するとここから脱出できる』



 ふむ。なるほど。……殺す気ですか?こんな狭いところで1か月は正直かなりつらい。そもそもこの部屋に食料はあるのだろうか。もし何もなければ3日ですら生きられないだろう。



 あと最初の文とのつながりが見えない。最初の文に男(俺)の話をしたのだから二文目にもその話をするのが筋というものだろう。4人の女性達も1人を除いて不満を垂らしている。するとその続きの文が表示された。やはりまだ続きがあるようだ。他の人も約一名を除き、モニターを静観することに決めたようだ。



 『男を見つけ、“報告”すると即時脱出できる』



 さらに立て続けに文字が映し出される。



 『“お題”をクリアすることによって食料を手に入れることができる』



 『30日間経過し脱出した場合女は罰を受ける』



 『男を見つけることで脱出した場合男は罰を受ける』



 『1日に1回“質問”を受け付ける』



 『“お題”に挑戦しますか? “報告”しますか? “質問”しますか?』



 7つの文が表示された。これ以上はいくら待っても次の文は表示されなかった。最初に口を開いたのは菫だった。



 「“お題”ってゲームかしら。わたし苦手なのよね~♪」



 「お願いだからあなたは少し黙ってて!夏美さん、手を貸して!菫さんを抑えててもらっていいかしら。」



 「うん! まかせて!」



 「あんっ、ちょっと夏美ちゃんくすぐったいわよ~」



 ノリノリで袖をまくりモニターに近づく菫。いや正確には“袖をまくるふり”なのだが。必死で止める涼音と夏美。唖然と傍観する俺と由紀。まさに阿鼻叫喚。いや、まあほとんど一人のせいなのだが。というか俺が起きて初めて目にした彼女の名前は夏美というのか。いまだに俺は自己紹介に参加できていないのだが、ここにいる全員の名前が分かってしまった。いや、そんなことより今の状況だ。



可能性としては3つ考えられる。



 1つ目、何かのドッキリの可能性。だがこれは限りなく0%に近いだろう。先ず俺たちの関係性がないことだ。しかもこの中に有名な芸能人や女優などいない。これではだれが何の目的で仕掛けたドッキリか謎でしかない。また、カメラやそれが仕掛けられそうな場所もない。このことからドッキリの可能性はないだろう。



 2つ目、夢の可能性。これもあり得ない。なぜなら頬をつねってみたのだが。



 「い、いはいれふ」



 「あ、ごめんなさい」



 由紀ちゃんの頬をつねってみたのだが痛がっていた。これは今の現実が夢ではないことの証明になるだろう。



 3つ目、目的はわからないが、誰かに監禁された。まあ消去法でこれしかないだろう。さらに彼女たちがふざけているわけではない場合、今の俺を男として認識できない、つまり俺は女に見えているという事だ。



 ここで俺は改めて自分の体を見てみることにした。先ず手を見てみる。……気のせいではない。全体的に小さくまとまっており、指の一本一本が少し細長く、それこそまるで“女性のような”手だ。目線を下にずらし自分の胸元を見てみる。

 

 「おぉ」



 決して大きいというわけではないが確かに“有る”。流石に菫や夏美ほどはない。が、しかしそれでも少なくとも涼音よりかは大きいだろう。おそらく由紀と同じ大きさくらいだろう。ちなみに今気づいたのだが俺は学校指定のジャージを着ていた。部活の朝練で着替えるのが面倒なためこの格好で昨日は寝たのだ。視界の端で揉み合う3人を尻目に確かな存在感を放つ“それ”に手をのばした。



 「ふあ……んっ、…あ」



 ジャージの上から右乳首の先端に軽く左手の指先を当てゆっくりと押していく。ふにっと柔らかく指が沈む。すると全身にピリピリと快感の波が駆け巡る。さらにそこからゆっくりと揉み上げるようにしれて触れる。



 「ん、はぁ……はあ、んっ」



 快感がとめどなくあふれてきて声が少し漏れてしまう。いや、ここまでくればもう間違いないだろう。空いている右手を恐る恐る股ぐらへと伸ばし、かがみこむような姿勢になる。しかしそこにはやはりというべきか”有る“はずのものが”無い“。



 「ふっ、はっ…あぁん」



 本来は自分の体が大きく変化すれば恐怖する人も多いだろう。しかし恐怖よりも快感が勝っており、胸と股間に這わせる手が止められない。しかし



 「あ、あの…苦しそうだけど大丈夫ですか?」



 おっと、つい夢中になってしまった。由紀が不安そうな顔で俺を覗き込んでいた。不幸中の幸いというべきか、どうやら見られたのは彼女だけのようだ。いまだに菫と夏美が揉み合っており、涼音は疲れたのか机に手をついて肩で息をしていた。ほんと、かわいそうに。
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