マジックアイテム「すま~ほ」異世界だって稼ぎます!

八木小町

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第三章 エスケープ・エスケープ

32 エイエイオー

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 昨日はひどい目にあった…デリバリーぼうずの天誅に巻き込まれ…雷をくらってしまい。まじで生きててラッキーだった(デリバリー品を焦がす程度なので、そこまでの電撃ではない。ただとても痛い) 
 あのあと、宴会の準備ができたマリンが呼びにきて。黒こげた私をみて
『なにして遊んでたの~?髪の毛くるくる~』と笑われた…

 遊んでたんじゃないから!デリバリーぼうず、もう使わない!

 そんなわけで、皆には目新しい料理を差し入れはできなかったが美味しい野菜料理や長老のダンスなど送別会自体は楽しかった。

そして…私は今日!この島から旅立つ!


一一一一一一



 色んな事があった神島。

 学校帰り、気づいたらいた浜辺。

 探検した、草むら・森・滝・洞窟

 友だちになった、マリン・長老・えっさほいさ
 (ビビーは引き続き挑戦中)

 戦ったり・逃げたり・逃げたり・隠れたり…

 お金大好きナンシー
 
 ドライな代理神ナビ助

 本当に…色々大変だった。

 数ヶ月過ごしただけだけど、今まで生きてきた人生の中で一番濃い日々だった!
 
 やっと脱出できる!

 海に向かって、こぶしを握りしめ…しんみりしていると後ろからマリンに声をかけられた

「なにちてるの~早くいこ~」

「ちょっとはひたらせて……」

 締まらないな~と思いつつ、すま~ほからHTBを呼び出す。

 一一一一一一

 (HTB)…ハイパートラベル

 高速お届け便「エイエイオー」→「イルオーレ」
 基本片道料金16万GO+ペット3万GO

 神島までのお迎え特別プラン。

 集合場所、島南側テント前

 時間、ランチ前


 備考
 声かけによって、スピードアップ!
 是非楽しく声かけをして、ご旅行を楽しんで下さい!
 一一一一一一

 昨日の夜に申込みしておいた内容を確認する、ランチ前ってどのくらいの時間か曖昧すぎてよくわからなかったけど…まぁテント前だし、いつも通り朝ごはん食べて、準備してマリンと遊びつつ待つことにした。
 ひとつ声をかけるとスピードアップってのがちょっと謎なんだけど…まぁ、ありがとうございます。とかよろしくお願いします。とか?そんな感じ?

 疑問は残るものの、気持ちはイルオーレ!楽しみで仕方ない!



「……ェィ……ォ…」

「……ェィェィ……」

 なにか遠くから聞こえてくる気がする。

 辺りを見回すが、特に何もなく今日の海は静かに波打っている。


「……?」


 変だな~と思いつつ、マリンと砂のお城作成の続きに戻る。


「ェィェィォー」


「ェィェィォー」


「エイエイオー」

「エイエイオォー!」

「エイエイウオオォー!!!!」


 ざっぱーん!!という効果音がした気がするくらいの波を巻き上げて、先程の音の元が目の前に現れた!!

 

 波打ち際にキラメク日焼けしたマッチョが8人!突然現れた!!全員が赤いフンドシを着け、なんと神輿を担いでいる。通常お社《やしろ》がある部分にリゾート風のアミアミイス(2人用)が付いていて、日よけ代わりか大きな緑の葉っぱがイスの両脇からイスに影を作るように伸びている。


「え??………え?まじで?もしかして…?コレなの?嘘でしょ…」


「わー、長老とおなじー」


 マリンは喜んで手をたたいているが、驚きすぎて言葉もない。


『この度は、ハイパートラベル、エイエイオープランにお申し込みありがとうございます!キラン』

 ムキムキ!

 スマイルして出てきた歯がキランと輝かせ、ポージングを決めながら話しかけてくる。

『私は、エイエイオープラン1番アーサーです。キラン』ムキムキ!

『どうぞ。キラン』ムキムキ!

『よろしく。キラン』ムキムキ!

『お願いします。キラン』ムキムキ!

 全部のセリフ毎に、ポージングを決めこちらをガン見してくる…

 な、なに!?なにかを求められている気がする

『ご乗車前に。キラン』ムキムキ!

『いくつか注意事項を。キラン』ムキムキ!

『説明します。キラン』ムキムキ!

 ちなみにアーサーが話している間、残りの7人もポージングしていたり、腕立て伏せをしたりしている


『シートベルトは必ず。キラン』ムキムキ!

『お締めください。キラン』ムキムキ!

『走行中は。キラン』ムキムキ!

『立ち上がったり。キラン』ムキムキ!

『乗り物の外に。キラン』ムキムキ!

『手や顔を。キラン』ムキムキ!

『出さないで下さい。キラン』ムキムキ!

『今回。キラン』ムキムキ!

『ペットもご一緒に。キラン』ムキムキ!

『ご乗車のため。キラン』ムキムキ!

『お手を離さないよう。キラン』ムキムキ!

『ご注意下さい。キラン』ムキムキ!

 キメ顔!からのガン見!

 ジーーーーー…………

『ご注意下さい。キラン』ムキムキ!

 キメ顔!からのガン見!

 ジーーーーー

 これって…まさか…


「き……キレてるよ?」


 ガン見してきていた。目がぐわ!と開き、更にポーズを決めてくる。

「し…仕上がってるよ!」

 後のマッチョ達もポーズを決めだした!

 ムキ!ムキ!ムキ!ムキ!ムキ!ムキ!ムキ!


 もはや逃げ場はなく、力の限り叫んだ!


「マッチョの満員電車ー!!」

「ナイスバルク!!」

「腹筋ちぎりパン!!」

「腹筋板チョコーー!!」


 一一一一一一

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 叫びすぎと力の入りすぎで息切れを起こしていると、マッチョさん達はほのかに輝き出した。

『お客様。キラン』ムキムキ!

『このような。キラン』ムキムキ!

『独特で。キラン』ムキムキ!

『激しく。キラン』ムキムキ!

『ユーモラスな。キラン』ムキムキ!

『かけ声を。キラン』ムキムキ!

『かけてもらったのは。キラン』ムキムキ!

『初めてです。キラン』ムキムキ!

『ありがとうございます。キラン』ムキムキ!

『力の限り。キラン』ムキムキ!

『全力で。キラン』ムキムキ!

『『『お送りします!!!!!!!』』』

 最後は全員からのポージングと言葉があった。

 
 異世界版のかけ声が、次元を超えてマッチョさん達に刺さったらしい。


 ───────一

『どうぞ足元に気をつけて、乗り込んでください』

 アーサーが手を出して、エスコートしてくれる…マッチョさん達はそれぞれ、3人が神輿を担ぎ、残りの4人がなんと段々に並びに階段になった!

 人間階段、怖い…と思ったが筋肉の安定感は抜群で、太もも→背中→腕→腕と難なくイスまでたどり着いた。


「アイリ~長老のともだちが、つれてってくれるの?」


「う、うん…そうなの、彼らが連れてってくれるんだよ」


 出発前から動揺が激しく、心臓がドキドキしている。
 イスに座るとマリンと横並びに座り、シートベルトをつけられた。

『それでは。キラン』ムキムキ!

『準備完了。キラン』ムキムキ!

『出発しても。キラン』ムキムキ!

『よろしいですか?キラン』ムキムキ!



 色々あった神島だけど、これで本当に旅立ちだ!長老とえっさほいさにも挨拶したし、片付けもした。
 ナンシーとナビ助にも伝えて、ナビ助にはやっとなの?と言われ…ナンシーには良かったら本社に来て欲しいとも言われた。

 イルオーレでどんな事があるかわからないけど、もっともっと稼いで異世界の自宅に帰る為の資金を稼がなくちゃ!!

 密かにこぶしを握りしめ、決意を固め、アーサーに返事をした。

「大丈夫です!出発よろしくお願いします!!」


『はい!それでは出発!キラン』ムキムキ!


 ───────

『エイ・エイ・オー!!』

 全員が位置につき、神輿を担ぎ、海に向かい始める。

 え…待って

 海に入る場合、どうなるの…??

『エイ・エイ・オー』

 そして、ちょっと縦に揺れるんですけど…

『エイエイオォ・エイエイオォ・エイエイオォ』

 どんどん早くなるスピードにマリンの手を握る手に力が入る。

「アイリ~手いたい~、ぎゅーちないで~」

 なんて、言葉に返事する余裕なんてない!…だって、だって!!

「海の上を走ってるーーーー!!」

「いやーーー!!」



 猛スピードで、海上を駆け抜ける「エイエイオー便」波しぶきと風圧にぶっ飛ばされそうだ。


「ぎゃーーー!!」

「きゃー」

 マリンが叫び声を楽しそうに真似してくる。

「無理無理無理ー!!」

「むり、むり~」

 日よけの葉っぱが片方どこかに飛んでいった…


 バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ……………………


「助けてー!!」

「たすけて~」

『エイエイオォーーーーー!!!!』

『ウォォォーー!!』


 その日のお届け「エイエイオー」便は、創設以来の早さで疾走したと後に語られ、そのスピードは伝説となった。




「ああああぁぁぁぁ…………」












 
 

 




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