[完結]不実な婚約者に「あんたなんか大っ嫌いだわ」と叫んだら隣国の公爵令息に溺愛されました

masato

文字の大きさ
9 / 35

9リディアムの事情2(リディ)

しおりを挟む
「災難だったわよねぇ。まぁ、外野で見てる分には面白かったけど。」
「あの、僕何が起こったのかわからないんですが。」
「もう、楽にしてってば。私達いとこ同士じゃないの。そうね、要するに貴方と仲良くなりたいご令嬢達が起こした大乱闘に巻き込まれただけよ。」
「僕と?」
「筆頭公爵家の跡取りで王妹を母に持つ美少年、とんでも優良物件だもの。狙われるわよねぇ。」
「そんなの嬉しくない。」
「くすくす、そうねぇ、みんなハイエナみたいだったから怖かったわね。ほんとにこの国の淑女教育心配だわ。」

ふうとため息をついて紅茶を啜る。
え、この子確か同い年だよね?
なんか凄い年上みたいに感じるんだけど。

「あの、殿下は僕と同い年ですよね、、、?」
「そうよ?え、どういう意味?」
「いえ、すごくしっかりされてると思って!」
 
美しい顔の眉間に皺がよる。そんな表情でさえ十分綺麗だけれど。

「褒め言葉と受け取っておくわ。」

今度は少し意地悪そうな笑顔を見せて言う。気分を悪くさせてはないみたいでホッとする。

「王女だからねぇ、そりゃぁ色々有るのよ。基本自分の身は自分で守らなきゃだし。」
「自分の身は自分で、、、。」
「そうよ、貴方も今回で分かったでしょう?色々な意味で狙われる立場にいるって事。強くなりなさいな。」
「、、、殿下はまるで僕の先生か保護者みたいな事を仰るのですね。」

子供と言われたみたいでちょっと不貞腐れて言うと、殿下は吹き出した。

「ふふふ、そうね、私ずっと勝手に貴方のこと弟みたいに思っていたの。だから今日会えるのを凄く楽しみにしていたのよ?」
「弟ですか?」
「ええ、メアリー叔母様からよく貴方のお話を聞いていたし、貴方と私はいとこで血が濃いし同じ公爵家に二代続けて王女が降嫁するなんて有りえないから、絶対に政略結婚の相手にはならないでしょう?つまり、そういう意味では私にとって貴方は純粋な身内だわ。」

そう言って、笑った顔は本当に母上に似ていて。
この人は本当に姉としての好意を持ってくださっているのだなと、ストンと腑に落ちた。

「だからね、リディ、覚えていてね。私は絶対に貴方の味方よ。今日出会ったあの子達は怖かったかもしれないけど、きっと貴方にピッタリの女の子がどこかにいるわ。だから可愛いお嫁さんの夢を諦めちゃダメよ?ずっと応援しているわ。」
「⁈母様から~⁈」
「あははは!可愛い夢よね‼︎それを聞いた時に、なんって可愛いのかしらって~!」
「殿下‼︎」

真っ赤になって叫ぶ僕と、涙を滲ませて大笑いするレティシア王女の、それが最初の出会いの思い出。

王女のおかげで、僕は女性不審にならずに済んだのだろう。
苦手では有るけれど。

王女に抱いた温かい感情は、姉への思慕か淡い初恋か、今となってもわからないけれど。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

愛を知らないアレと呼ばれる私ですが……

ミィタソ
恋愛
伯爵家の次女——エミリア・ミーティアは、優秀な姉のマリーザと比較され、アレと呼ばれて馬鹿にされていた。 ある日のパーティで、両親に連れられて行った先で出会ったのは、アグナバル侯爵家の一人息子レオン。 そこで両親に告げられたのは、婚約という衝撃の二文字だった。

それは私の仕事ではありません

mios
恋愛
手伝ってほしい?嫌ですけど。自分の仕事ぐらい自分でしてください。

夫婦という名の協力者、敵は令嬢

にゃみ3
恋愛
齢十二歳にして公爵夫人となった、セレスティア。 常に命を狙われる危険と、露骨な敵意に晒される立場。 同年代の令嬢たちからは妬みと侮蔑を向けられ、年長の貴婦人たちからは距離を置かれる。 そんな生活を送り始めて、早くも六年が経った頃。 「私、公爵様とお近づきになりたいんです!」 夫に好意を寄せる、自らが公爵夫人の座に就きたいと言い出した令嬢が現れて……。 黒く爛れた世界でたった二人の幼い夫婦が、どれほど苦しい思いをして生きてきたか。それは、当人である二人にしか分からないことだ。

とある侯爵令息の婚約と結婚

ふじよし
恋愛
 ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。  今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……

妹なんだから助けて? お断りします

たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様

さくたろう
恋愛
 役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。  ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。  恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。 ※小説家になろう様にも掲載しています いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。

夏の眼差し

通木遼平
恋愛
 伯爵令嬢であるティナの婚約者とティナの妹が恋仲になり、ティナは婚約を解消することになる。婚約者に対して特に思い入れはなかったが、姉妹の婚約のすげ替えについての噂と勝手なことばかり言う妹に気疲れしたティナは、昔から彼女を気にかけてくれていたイライザ夫人の紹介で夫人の孫娘リネットの話し相手として雇われることになった。  家から離れ、リネット共に穏やかな日々を過ごすティナは、リネットの従兄であるセオドアと出会う。 ※他サイトにも掲載しています

籠の鳥

夜宮
恋愛
 エリーは子爵家の跡取り娘だ。  まだ幼い頃に母を亡くしたものの、愛してくれる父と可愛い妹がいる。  何不自由なく暮らしていたが、年頃になり、婚約者候補の青年ができることになるとエリーの胸にある思いが浮かび上がるようになる。  もう一人の青年に出会うことで生まれた思いを胸にエリーは一つの選択をした。

処理中です...