[完結]不実な婚約者に「あんたなんか大っ嫌いだわ」と叫んだら隣国の公爵令息に溺愛されました

masato

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12アリーチェとの出会い(デヴィッド)

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アリーチェと別れていつもの裏庭に向かう。
キャサリンが待っているから。


アリーチェに出会ったのは学園の入学式だった。
たまたま隣の席に座っていた彼女。
姿勢の良い子だなと言うのが第一印象だった。
ストレートの黒髪は思わず触れたくなる程艶々で、意志の強そうな少し吊り気味の翠の瞳は凛々しくて、けれど笑うと途端に雰囲気が柔らかくなりとてつもなく可愛くなる。
思えばすでに一目惚れだったのだろう。

僕には兄、姉、妹が1人づついる。
兄は次期侯爵として申し分ない優秀な男だ。婚約者も決まっていて仲も良い。
姉は既に嫁に行った。
同じ侯爵位の嫡男だ。
妹は3歳下なので、まだ学園には通っていない。
この姉と妹を含め、僕の周りの女性は皆、興味はオシャレと流行と良い男の事ばかり。
髪はいつも綺麗にくるくるにセットされ、がっつりメイク。
やれどこの令息はどうやらこうやら、
お前も見習えと鬱陶しい事この上なかった。
ちょっとした女性不審に陥っていた。
まぁ、今だに女性は苦手で、何を話せば良いかと悩むけどな。

だから、アリーチェの飾り気のない凛々しいとさえ言える美しさに惹かれたのかもしれない。

気になって見つめる事が多くなると、色々な物が見えてくる。
立ち居振る舞いは完璧でまた頭も良かった。
この学園ではしょっちゅうテストがあるのだが、上位10名の優秀者の名が張り出される。
その中には必ず彼女の名があった。
文学や歴史などならちらほら女性の優秀者もいるが、政治や経済にも彼女は強かった。
女性では珍しい。
だが、その理由もすぐに分かった。
彼女は伯爵家の跡取りなんだそうだ。
幼い頃からその為の勉強を叩き込まれたと。
今では立派な女伯爵になるのが夢なんだと、奢るでもなく自慢するでもなく、嬉しそうに誇らしく友達に語る姿に胸を打たれた。
そんな彼女を側で見ていたい。
夢に向かう彼女を支えてあげたい。
そう思うまでに時間は掛からなくて、彼女を狙う子息達に焦って父に相談したのだ。
エストリア家に養子に行かせてくれと。

エストリア家は堅実でそれなりに裕福な家だ。何の問題もなく縁は結ばれた。
嬉しくて嬉しくて天に昇る気持ちとはこういうことかと喜んでいたら、とんでも無い事になってしまった。
僕は女伯爵配として婿養子になるつもりだったのに、エストリア伯爵が僕に爵位を譲ると言い出したのだ。
勿論断固固辞したけれど、僕の父もそのつもりだったようで決定は覆らなかった。

僕は、彼女を助けるどころか、女伯爵になるという夢を奪ってしまったのだ。



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