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23 卒業式
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式は滞りなく行われた。
学園長の挨拶に、来賓の方々のご挨拶。
そして、
在校生代表の送辞に卒業生代表の答辞。
実はコレが少し問題になったのだ。
本来なら共に学年首席が行うのだが、卒業生の首席はリディアム様だった。
留学生に答辞を任せるなんてと、先生方で難色を示す方々がおられたのだとか。
リディアム様は、早々にご辞退されたので、それほど問題にはならなかったけれど。
でもそれって私達が不甲斐無いだけなのに、と、自分達の見栄を通そうとする姿に嫌気がさした。
父と同じ考えを持っているみたいに感じて。
そして最後に成績優秀者の表彰が行われた。
筆記試験での優秀者5名と、
剣術や馬術等の実技試験での優秀者5名。
更に総合での優秀者5名。
私は筆記試験での優秀者に選ばれた。
誇らしく表彰状を戴いた。
リディアム様は、全てで表彰されていた。以前、私をライバルだと思って下さっていると仰っていたけれど、そんなの烏滸がまし過ぎて申し訳ないわ。
それにしても、ルックス良し家柄良しで、文武両道で性格良しなんて、神様から愛され過ぎじゃない?
彼の横に並ぶご令嬢は大変でしょうね、、、。
私だったら耐えられるかしら?
ううん、耐えるのじゃなくて、精一杯努力するの。
自信を持って隣に立てるように。
って、イヤイヤ、ナイナイ。
何言ってるの、私ったら。
「アリーチェ?どうかしたの?顔が赤いわよ?」
「なっ、何でもありません!」
「そう?体調がおかしいなら言うのよ?」
「大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません。」
「そう?何でもないなら良いのよ。今後のことで緊張しちゃったのね。」
隣にいたレティシア様にご心配かけちゃった。
にっこりと微笑んで下さる。
レティシア様もとてもお美しくてお優しくて素敵なお方。
私は本当に幸せね。
家族に恵まれなかった分、神様が帳尻合わせて下さったのかしらね?
式の後は、ささやかな宴が開催される。
貴族の子女だ。遠い領地に帰るものもいれば、お嫁に行く令嬢もいる。
皆別れを惜しんでいる。
レティシア様とリディアム様が、来賓の方々からの挨拶を受ける為に学長達に連れて行かれてしまったので、私も同級生の令嬢達と別れの挨拶をしていた。
レティシア様のおかげで、一応の仲直りが出来たので、皆話しかけてくれるのだ。
皆んな、私が優秀者の表彰を受けたことを喜んでくれた。
こんな風に接する事が出来るなんて、数ヶ月前には考えられなかった。
穏やかに旅立てる事が、とても嬉しい。
そんな風に笑顔で話している所に、父母と妹がやって来た。
卒業式の祝いの場だというのに、揃って険しい顔をしている。
「アリーチェ、ちょっと来なさい。」
有無を言わせず父に連れ出される。
私の卒業を祝うという雰囲気ではなさそうね?
そうして人気のないバルコニーに出される。
怪訝に思っていると、
「どういう事だ!アリーチェ‼︎ 何故優秀者の表彰を受けた!」
「は?成績が良かったからですが?」
「そうじゃない、何故辞退しなかったかと聞いてるんだ!」
「どうして辞退しなくちゃいけないんですか⁈だいたい、表彰を辞退するなんて聞いた事ないわ!」
「全く、気の利かん奴だな!デヴィッド君に悪いと思わないのか!」
「はぁ⁈」
「デヴィッド君が表彰されてないのに、女のお前が表彰を受けるなど気不味いだろうが!婚約者ならそのくらいの気遣いせんか!」
「デヴィッド様が表彰されなかったのは、ご本人の努力が足りないからでしょう?私には関係ありませんわ。非難されるべきは努力しなかったデヴィッド様でしょう。」
「生意気を言うな!」
「そうよ?アリーチェ、生意気な女は嫌われてよ?デヴィッド様をちゃんと立ててあげなくてはね?」
娘の努力なんてどうでも良いのね。
そんなものよりも格上の婿殿のご機嫌が大事ですか。
見事に最後まで未練を断ち切ってくれる人達ね。
何で私こんな人達のためにあんなに努力してたのかしらね。
ああ、むしろ良かったのかしら?
この家と縁が切れて。
反論するのも馬鹿らしく冷めた目で両親を見ていたら、
「まぁ、アリーチェ、どこに行ったのかしらと探したわ。こんな所にいたのね?」
「アリーチェ、大丈夫?」
「レティシア様。リディアム様。申し訳ございません、父に呼ばれましたの。」
「そう、女性で表彰されるなんて素晴らしいものね。ご家族もさぞかし誇らしいでしょう?」
「婚約者のロマロフ侯爵子息よりも娘の方が優秀だって証明されたようなものだものね?そりゃぁ嬉しよねぇ?」
「なっ⁈」
リディアム様が悪そうな笑顔で仰るのを、レティシア様が言い過ぎよ、と広げた扇の陰で注意なさる。
クスクス、聞いてらしたのね。
そして、怒って下さっている。
それだけで十分だわ。
「挨拶が遅れましたわね。ラジアンの第二王女レティシアですわ。アリーチェととても仲良しなの。もう連れて行って良いかしら?」
「は、はい。」
「ありがとう。アリーチェは後で私が送り届けるわ。あなた方は気になさらずお帰りくださいね。」
「「は⁈」」
「参りましょう、アリーチェ。」
「はい。ではお父様方、失礼します。」
「アリーチェ!」
引き止める声を無視して立ち去る。
流石に隣国の王女には反論できないでしょう?
学園長の挨拶に、来賓の方々のご挨拶。
そして、
在校生代表の送辞に卒業生代表の答辞。
実はコレが少し問題になったのだ。
本来なら共に学年首席が行うのだが、卒業生の首席はリディアム様だった。
留学生に答辞を任せるなんてと、先生方で難色を示す方々がおられたのだとか。
リディアム様は、早々にご辞退されたので、それほど問題にはならなかったけれど。
でもそれって私達が不甲斐無いだけなのに、と、自分達の見栄を通そうとする姿に嫌気がさした。
父と同じ考えを持っているみたいに感じて。
そして最後に成績優秀者の表彰が行われた。
筆記試験での優秀者5名と、
剣術や馬術等の実技試験での優秀者5名。
更に総合での優秀者5名。
私は筆記試験での優秀者に選ばれた。
誇らしく表彰状を戴いた。
リディアム様は、全てで表彰されていた。以前、私をライバルだと思って下さっていると仰っていたけれど、そんなの烏滸がまし過ぎて申し訳ないわ。
それにしても、ルックス良し家柄良しで、文武両道で性格良しなんて、神様から愛され過ぎじゃない?
彼の横に並ぶご令嬢は大変でしょうね、、、。
私だったら耐えられるかしら?
ううん、耐えるのじゃなくて、精一杯努力するの。
自信を持って隣に立てるように。
って、イヤイヤ、ナイナイ。
何言ってるの、私ったら。
「アリーチェ?どうかしたの?顔が赤いわよ?」
「なっ、何でもありません!」
「そう?体調がおかしいなら言うのよ?」
「大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません。」
「そう?何でもないなら良いのよ。今後のことで緊張しちゃったのね。」
隣にいたレティシア様にご心配かけちゃった。
にっこりと微笑んで下さる。
レティシア様もとてもお美しくてお優しくて素敵なお方。
私は本当に幸せね。
家族に恵まれなかった分、神様が帳尻合わせて下さったのかしらね?
式の後は、ささやかな宴が開催される。
貴族の子女だ。遠い領地に帰るものもいれば、お嫁に行く令嬢もいる。
皆別れを惜しんでいる。
レティシア様とリディアム様が、来賓の方々からの挨拶を受ける為に学長達に連れて行かれてしまったので、私も同級生の令嬢達と別れの挨拶をしていた。
レティシア様のおかげで、一応の仲直りが出来たので、皆話しかけてくれるのだ。
皆んな、私が優秀者の表彰を受けたことを喜んでくれた。
こんな風に接する事が出来るなんて、数ヶ月前には考えられなかった。
穏やかに旅立てる事が、とても嬉しい。
そんな風に笑顔で話している所に、父母と妹がやって来た。
卒業式の祝いの場だというのに、揃って険しい顔をしている。
「アリーチェ、ちょっと来なさい。」
有無を言わせず父に連れ出される。
私の卒業を祝うという雰囲気ではなさそうね?
そうして人気のないバルコニーに出される。
怪訝に思っていると、
「どういう事だ!アリーチェ‼︎ 何故優秀者の表彰を受けた!」
「は?成績が良かったからですが?」
「そうじゃない、何故辞退しなかったかと聞いてるんだ!」
「どうして辞退しなくちゃいけないんですか⁈だいたい、表彰を辞退するなんて聞いた事ないわ!」
「全く、気の利かん奴だな!デヴィッド君に悪いと思わないのか!」
「はぁ⁈」
「デヴィッド君が表彰されてないのに、女のお前が表彰を受けるなど気不味いだろうが!婚約者ならそのくらいの気遣いせんか!」
「デヴィッド様が表彰されなかったのは、ご本人の努力が足りないからでしょう?私には関係ありませんわ。非難されるべきは努力しなかったデヴィッド様でしょう。」
「生意気を言うな!」
「そうよ?アリーチェ、生意気な女は嫌われてよ?デヴィッド様をちゃんと立ててあげなくてはね?」
娘の努力なんてどうでも良いのね。
そんなものよりも格上の婿殿のご機嫌が大事ですか。
見事に最後まで未練を断ち切ってくれる人達ね。
何で私こんな人達のためにあんなに努力してたのかしらね。
ああ、むしろ良かったのかしら?
この家と縁が切れて。
反論するのも馬鹿らしく冷めた目で両親を見ていたら、
「まぁ、アリーチェ、どこに行ったのかしらと探したわ。こんな所にいたのね?」
「アリーチェ、大丈夫?」
「レティシア様。リディアム様。申し訳ございません、父に呼ばれましたの。」
「そう、女性で表彰されるなんて素晴らしいものね。ご家族もさぞかし誇らしいでしょう?」
「婚約者のロマロフ侯爵子息よりも娘の方が優秀だって証明されたようなものだものね?そりゃぁ嬉しよねぇ?」
「なっ⁈」
リディアム様が悪そうな笑顔で仰るのを、レティシア様が言い過ぎよ、と広げた扇の陰で注意なさる。
クスクス、聞いてらしたのね。
そして、怒って下さっている。
それだけで十分だわ。
「挨拶が遅れましたわね。ラジアンの第二王女レティシアですわ。アリーチェととても仲良しなの。もう連れて行って良いかしら?」
「は、はい。」
「ありがとう。アリーチェは後で私が送り届けるわ。あなた方は気になさらずお帰りくださいね。」
「「は⁈」」
「参りましょう、アリーチェ。」
「はい。ではお父様方、失礼します。」
「アリーチェ!」
引き止める声を無視して立ち去る。
流石に隣国の王女には反論できないでしょう?
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