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25 縮まらない距離(デヴィッド)
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空はもう日が傾きかけている。
卒業式と祝宴が終わり、皆それぞれの家の馬車で帰路についた。
そんな中、僕は両親と共にエストリア伯爵邸に向かっている。
アリーチェから、大事な話があるから来て欲しいと言われたからだ。
結局、宴の間もアリーチェとは全く接触できなかった。
常にレティシア王女とリンドバーグ公爵令息と一緒にいて近づけなかったのだ。
2人は相当俺が気に入らないらしい。
近付こうとすると、氷のような視線で睨まれた。
アリーチェには全く気付かれてなさそうだったが。
今日は迎えに行かせて欲しいと、勇気を振り絞ってアリーチェに提案したけれど、
「今更無理をしなくても結構ですわ。」
と、即答で断られた。
後から伯爵が家族で行く事にしていたので、と言い訳してきたけれど、嘘に決まっている。
アリーチェは僕と馬車に乗るのも嫌なんだろうか。
婚約者が送り迎えをするのはよくある事だ。
なのに、僕は一度もした事がないので、今更と言われても当然だ。
、、、キャサリンは何度も送って行ったけど。
確かに、常識が無いと言われても仕方ないな。
学園生活が終わった。
入学式でアリーチェに一目惚れしてから、もう2年が経ったのだ。
婚約したにも関わらず、全く距離が縮まっていない。
なんなら、遠ざかってる位だ。
きっと俺は嫌われている。
全ては自分のせいなのだけど。
「それにしても、結婚の事でどうしても今日話したい事があると言われたが、なんだろうな。」
同じ馬車で向かいに座る父が言う。
「結婚式のことでしょう。一応3ヶ月後くらいにと言ってましたもの。そろそろ細かい打ち合わせが必要ですわ。それに婚約者同士ですもの、改めて一緒に卒業を祝いたいのではないかしら?」
父の隣に座る母が頬に手を添えて少し困惑気味に言う。
「ふむ。デヴィッド心当たりは?」
「いえ、ありません。」
気不味さしかない。
結婚すればアリーチェとの関係は良くなるんだろうか。
「それにしてもアリーチェ嬢は優秀なのだな。まさか表彰を受けるとは。それに比べてお前は自分が情けないと思わんのか?」
「、、、申し訳ありません。」
「跡取りとされていたアリーチェ嬢を差し置いてお前が爵位を継ぐのだ。しっかりせねばならんぞ。」
「そうですよ。まぁ、どうせ世間知らずの令嬢です、上手に使えば良いのですよ。」
「その事ですが、やはり爵位はアリーチェが継いだ方が良いのでは?」
「バカを言うな。そんな事をすればお前が侮られ、強いては我がロマロフ家が侮られる。せっかくエストをくれると言うのだ。貰えば良い。その為の援助もしてやっている。遠慮は要らん。」
「はい、、、。」
やがて、馬車はエストリア家へと到着した。
卒業式と祝宴が終わり、皆それぞれの家の馬車で帰路についた。
そんな中、僕は両親と共にエストリア伯爵邸に向かっている。
アリーチェから、大事な話があるから来て欲しいと言われたからだ。
結局、宴の間もアリーチェとは全く接触できなかった。
常にレティシア王女とリンドバーグ公爵令息と一緒にいて近づけなかったのだ。
2人は相当俺が気に入らないらしい。
近付こうとすると、氷のような視線で睨まれた。
アリーチェには全く気付かれてなさそうだったが。
今日は迎えに行かせて欲しいと、勇気を振り絞ってアリーチェに提案したけれど、
「今更無理をしなくても結構ですわ。」
と、即答で断られた。
後から伯爵が家族で行く事にしていたので、と言い訳してきたけれど、嘘に決まっている。
アリーチェは僕と馬車に乗るのも嫌なんだろうか。
婚約者が送り迎えをするのはよくある事だ。
なのに、僕は一度もした事がないので、今更と言われても当然だ。
、、、キャサリンは何度も送って行ったけど。
確かに、常識が無いと言われても仕方ないな。
学園生活が終わった。
入学式でアリーチェに一目惚れしてから、もう2年が経ったのだ。
婚約したにも関わらず、全く距離が縮まっていない。
なんなら、遠ざかってる位だ。
きっと俺は嫌われている。
全ては自分のせいなのだけど。
「それにしても、結婚の事でどうしても今日話したい事があると言われたが、なんだろうな。」
同じ馬車で向かいに座る父が言う。
「結婚式のことでしょう。一応3ヶ月後くらいにと言ってましたもの。そろそろ細かい打ち合わせが必要ですわ。それに婚約者同士ですもの、改めて一緒に卒業を祝いたいのではないかしら?」
父の隣に座る母が頬に手を添えて少し困惑気味に言う。
「ふむ。デヴィッド心当たりは?」
「いえ、ありません。」
気不味さしかない。
結婚すればアリーチェとの関係は良くなるんだろうか。
「それにしてもアリーチェ嬢は優秀なのだな。まさか表彰を受けるとは。それに比べてお前は自分が情けないと思わんのか?」
「、、、申し訳ありません。」
「跡取りとされていたアリーチェ嬢を差し置いてお前が爵位を継ぐのだ。しっかりせねばならんぞ。」
「そうですよ。まぁ、どうせ世間知らずの令嬢です、上手に使えば良いのですよ。」
「その事ですが、やはり爵位はアリーチェが継いだ方が良いのでは?」
「バカを言うな。そんな事をすればお前が侮られ、強いては我がロマロフ家が侮られる。せっかくエストをくれると言うのだ。貰えば良い。その為の援助もしてやっている。遠慮は要らん。」
「はい、、、。」
やがて、馬車はエストリア家へと到着した。
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