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18 束の間の平穏
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死に戻り、前世の記憶を取り戻してから2年の月日が経った。
もうすぐ私の13歳の誕生日がやってくる。
11歳の誕生日も12歳の誕生日も、ただただ幸せで平穏なものだった。
お父様もお母様もお兄様もお元気で、予知夢のせいか、以前よりも家を空ける事が格段に少なくなって、常に誰かが私の側にいてくれるようだった。
申し訳ないと言う気持ちもあるけれど、嬉しさの方か勝つ。
前の人生では皆忙しくて家を空ける事が多く、放置されていたという訳ではないけれど、やはり淋しかった。
そんな気持ちをフランクリンにつけ込まれたのかもしれない。
そして、私の生活で前の人生と変わった最大の事柄は、私に専属の執事がついた事。
執事見習いだったグレンとケインが正式に執事に昇格したのは半年前。
そして、グレンはお兄様の、ケインは私の専属執事になったのだ。
私に専属の執事なんて前の人生にはいなかったわよ⁈
焦った私に、お父様が仰った。
ケインは腕も立つので、護衛も兼ねているのだと。
「でも、ケインは凄く優秀だって聞いてるわ。私の執事になんて勿体無いです。」
「そうだね、表向きと言っておこうか。実際には今まで通りアレンの補佐もしてもらうよ。行く行くはアレンの後継になって欲しいんだよ。」
「え、じゃぁ次の執事長をケインに?」
「出来ればそう願っているんだがね。」
お父様が少し難しいお顔をなさった。
「何か問題があるんですか?」
ケインは本当に優秀だし、とても優しい人だ。
問題があるようには思えないのだけど?
今度は一緒にいたお兄様が答えてくれた。
「実はね、ミリアンナには言ってなかったのだけれど、ケインはラジアン王国のリンドバーグ公爵家の執事でね、お借りしている状態なんだ。」
「ええっ⁈」
「ほら、前に言ったことがあるだろう?リンドバーグの姫君が予知夢をご覧になるって。彼の方もね、ミリアンナと同じ夢をご覧になったそうなんだよ。」
「えええっ⁈」
「それでね、僕たちが殺されるなんて許せないと仰って、ケインをお貸し下さったんだよ。ミリアンナ、お前を守るようにって。」
「ほ、本当にそんな事を、、、?」
「うん、ケインはいつもお前を助けてくれるだろう?」
「!はい‼︎」
そうなのだ。
接触禁止令が解除されて、グレンが私に接触しようとする度に、ケインはとても自然にふわりと躱わしてくれるので、私は今だにグレンと話をするどころかまともに顔を合わせた事もないのだ。
何なら、あなた誰?のレベルで!
常々なんてタイミングの良いとか思っていたのよね。
あれワザとブロックしてくれてたんだー‼︎
それにしても、私と同じ夢を見て、助けてくれるだなんて、なんて優しい方なの?
お名前は、確かユリアーナ様だったかしら?
でも、エスト五家物語には出てこなかったわよね?
そんなファンタジー設定のキャラなんていなかったわよ?
「だからね、ミリアンナ。」
はっ!
ぼーっとしてた‼︎
「いずれケインはリンドバーグ家に返さなくちゃいけないんだよ。」
「そんな、、、。」
「でもさ、ケインがここに残りたいって言ったなら話は別だよね?」
「え?」
「僕が見るに、ケインのやつメイミに気があるんじゃないかと思うんだよね。」
お兄様がニヤリとちょっと意地悪く笑う。
「二人がくっつけばケインはウチに残るよね?まぁ、逆にメイミを持っていかれるリスクもあるけど。だからミリアンナ、お前の最大の任務は、二人をくっつけて尚且つウチに止まらせる事だぞ!」
なんて、本当か冗談かわからない事を宣った。
あれから二人を監視?しているけれど、実際のところよく分からない。
私の専属侍女と専属執事だから、一緒にいる事は多いけれど。
二人をくっつけるのが最大の任務だなんてお兄様が言ったから、私も頑張ってはいるのだ。
例えば、午後のティータイムには二人にも同席してもらう事にしたとか、ね。
この国の貴族は、13歳の誕生日を迎えると一応の成人と見做される。
子息は父に付いて社交を始め、子女は年2回王宮で行われるデビュタントの舞踏会に参加し、お披露目をされる。
私ももう直ぐ13歳。
その1ヶ月後には王宮のデビュタント舞踏会が待っている。
そしていよいよフランクリンと出会うのだ。
彼がお父様に婚約の打診をしてきたのはデビュタントの翌日だった。
デビュタントで見そめたから、と言うのが理由だったっけ。
見え透いた理由だコト。
暗黙の了解だけれど、女性がデビュタントを迎えるまでは容易に婚姻を申し込んではならないとされている。
以前、幼い少女を食い物にしようとした不届物が結構いたからだとか。
ほんとサイテーよねこの国の男ども。
、、、あ、お兄様は別よ?シスコンだけど、かなりのハイスペック男子だわ。
あ、アレン殿下もね、お兄様といる時だけちょっと口悪いけどね(笑)。
もちろん家同士の契約なら話は別だれけど。
つまりは政略結婚。
確か私達の親世代は政略結婚が多かったのだとか。
でも、エストリア伯爵家のアリーチェ様が不実な婚約者との政略結婚を蹴って伯爵家を自ら除籍し、単身ラジアンに渡ったって言う大スキャンダルのせいで、女性が無理矢理な結婚を強いられる事が少なくなったんだって。
そしてラジアンで王女殿下の侍女を務めて大貴族リンドバーグ公爵家に嫁入りされた、って言うアリーチェ様のシンデレラストーリーに憧れる少女が増えて、無理な結婚を強いると家出されるなんてリスクが出来上がったの。
実際に家出した子ってそういないと思うけど、世間の風潮を変えちゃうってすごい方よね。
、、、って、あら?リンドバーグ公爵家⁈アリーチェ様ってもしかしてユリアーナ様のお母様なの?
「ミリアンナお嬢様、どうされました?ご気分でも悪くなられました?」
心配そうなメイミの声に、ハッとして思考を閉じる。
あぁ、今は午後のお茶の時間だったわ。
「今日はお天気が良かったのでお茶の席を庭のガゼボにご用意しましたが、風がありましたね、お部屋に戻りましょうか?」
ケインも心配そうに提案してくれる。
あぁ、いけない。心配かけちゃった。
せっかくケインとメイミを仲良くさせる為のお茶タイムなのに。
最初は一緒に座ってお茶しましょう、と言ったら、使用人が主人とともに座ってお茶なんてとんでもないって断られたけど、内緒で教えて欲しいことがあるし悩みを聞いて欲しいと言ったら、渋々座ってくれる様になった。
そしてゆっくりじっくり二人を観察すると、あぁなるほど。
ケインがメイミを見つめる瞳が最上級に優しくなる時がある。
“可愛いなぁ。”
なんて思ってるのかしらって考えると、なんっかムズムズしちゃうんだけど!
でもイマイチ、メイミに通じてない様な?
頑張れケイン!
そして是非ともウチに永久就職を!
「ミリアンナ様?」
はっ!またぼーっとしてた!
「ううん、御免なさい、考え事してただけなの。」
「心配事ですか?」
「うん、デビュタントの事でね?」
「準備は万端ですよ!当日はどこの姫君よりも美しくお飾りしますとも!」
「うふふ、ありがとう。」
メイミが拳を握って力説してくれてる。
あまり淑女らしくはないけれど、こんな姿がとても可愛い、、、と、ケインも思ってるんでしょうね?
ほら、メイミを見つめる瞳が優しくなってる。
「もちろん、それは心配してないわよ。メイミが私を一番可愛くしてくれるって信じてるもの。」
にっこり笑うと、メイミが頬を染めて照れてる。本当に可愛い。
私よりも5歳も年上なんだけど、中身年齢は私の方が上だもの。
「ただね、夢の中ではデビュタントの翌日にフランクリン王子から婚約の打診があったんだなって思うと、何だか複雑で。お父様達がきっと守って下さるって信じてるけど、夢の通りになったらって思うと。」
やっぱり怖いのだ。
いよいよ物語が始まる時がきた。
強制力は本当に働かないで済むんだろうか、とか。
「ミリアンナ様、、、。」
心配そうにメイミが見つめてくる。
この二人にも予知夢の話含め、事情は話してある。
ケインもメイミも絶対に信用できる人だから。
「お嬢様、フランクリン王子がどんな風に婚約の打診をしてきたかはご存知でしょうか?出来るだけ細かく教えて下さいますか?最善の対策を考えましょう。」
ケインが提案してくれる。
そうよね、少しでも弱みを見せない様に私も頑張らなくちゃ!
「そうよね、ありがとう。じゃあ一緒に考えてくれる?」
「「もちろんです。」」
頼もしい味方が、にこりと微笑んで言ってくれた。
もうすぐ私の13歳の誕生日がやってくる。
11歳の誕生日も12歳の誕生日も、ただただ幸せで平穏なものだった。
お父様もお母様もお兄様もお元気で、予知夢のせいか、以前よりも家を空ける事が格段に少なくなって、常に誰かが私の側にいてくれるようだった。
申し訳ないと言う気持ちもあるけれど、嬉しさの方か勝つ。
前の人生では皆忙しくて家を空ける事が多く、放置されていたという訳ではないけれど、やはり淋しかった。
そんな気持ちをフランクリンにつけ込まれたのかもしれない。
そして、私の生活で前の人生と変わった最大の事柄は、私に専属の執事がついた事。
執事見習いだったグレンとケインが正式に執事に昇格したのは半年前。
そして、グレンはお兄様の、ケインは私の専属執事になったのだ。
私に専属の執事なんて前の人生にはいなかったわよ⁈
焦った私に、お父様が仰った。
ケインは腕も立つので、護衛も兼ねているのだと。
「でも、ケインは凄く優秀だって聞いてるわ。私の執事になんて勿体無いです。」
「そうだね、表向きと言っておこうか。実際には今まで通りアレンの補佐もしてもらうよ。行く行くはアレンの後継になって欲しいんだよ。」
「え、じゃぁ次の執事長をケインに?」
「出来ればそう願っているんだがね。」
お父様が少し難しいお顔をなさった。
「何か問題があるんですか?」
ケインは本当に優秀だし、とても優しい人だ。
問題があるようには思えないのだけど?
今度は一緒にいたお兄様が答えてくれた。
「実はね、ミリアンナには言ってなかったのだけれど、ケインはラジアン王国のリンドバーグ公爵家の執事でね、お借りしている状態なんだ。」
「ええっ⁈」
「ほら、前に言ったことがあるだろう?リンドバーグの姫君が予知夢をご覧になるって。彼の方もね、ミリアンナと同じ夢をご覧になったそうなんだよ。」
「えええっ⁈」
「それでね、僕たちが殺されるなんて許せないと仰って、ケインをお貸し下さったんだよ。ミリアンナ、お前を守るようにって。」
「ほ、本当にそんな事を、、、?」
「うん、ケインはいつもお前を助けてくれるだろう?」
「!はい‼︎」
そうなのだ。
接触禁止令が解除されて、グレンが私に接触しようとする度に、ケインはとても自然にふわりと躱わしてくれるので、私は今だにグレンと話をするどころかまともに顔を合わせた事もないのだ。
何なら、あなた誰?のレベルで!
常々なんてタイミングの良いとか思っていたのよね。
あれワザとブロックしてくれてたんだー‼︎
それにしても、私と同じ夢を見て、助けてくれるだなんて、なんて優しい方なの?
お名前は、確かユリアーナ様だったかしら?
でも、エスト五家物語には出てこなかったわよね?
そんなファンタジー設定のキャラなんていなかったわよ?
「だからね、ミリアンナ。」
はっ!
ぼーっとしてた‼︎
「いずれケインはリンドバーグ家に返さなくちゃいけないんだよ。」
「そんな、、、。」
「でもさ、ケインがここに残りたいって言ったなら話は別だよね?」
「え?」
「僕が見るに、ケインのやつメイミに気があるんじゃないかと思うんだよね。」
お兄様がニヤリとちょっと意地悪く笑う。
「二人がくっつけばケインはウチに残るよね?まぁ、逆にメイミを持っていかれるリスクもあるけど。だからミリアンナ、お前の最大の任務は、二人をくっつけて尚且つウチに止まらせる事だぞ!」
なんて、本当か冗談かわからない事を宣った。
あれから二人を監視?しているけれど、実際のところよく分からない。
私の専属侍女と専属執事だから、一緒にいる事は多いけれど。
二人をくっつけるのが最大の任務だなんてお兄様が言ったから、私も頑張ってはいるのだ。
例えば、午後のティータイムには二人にも同席してもらう事にしたとか、ね。
この国の貴族は、13歳の誕生日を迎えると一応の成人と見做される。
子息は父に付いて社交を始め、子女は年2回王宮で行われるデビュタントの舞踏会に参加し、お披露目をされる。
私ももう直ぐ13歳。
その1ヶ月後には王宮のデビュタント舞踏会が待っている。
そしていよいよフランクリンと出会うのだ。
彼がお父様に婚約の打診をしてきたのはデビュタントの翌日だった。
デビュタントで見そめたから、と言うのが理由だったっけ。
見え透いた理由だコト。
暗黙の了解だけれど、女性がデビュタントを迎えるまでは容易に婚姻を申し込んではならないとされている。
以前、幼い少女を食い物にしようとした不届物が結構いたからだとか。
ほんとサイテーよねこの国の男ども。
、、、あ、お兄様は別よ?シスコンだけど、かなりのハイスペック男子だわ。
あ、アレン殿下もね、お兄様といる時だけちょっと口悪いけどね(笑)。
もちろん家同士の契約なら話は別だれけど。
つまりは政略結婚。
確か私達の親世代は政略結婚が多かったのだとか。
でも、エストリア伯爵家のアリーチェ様が不実な婚約者との政略結婚を蹴って伯爵家を自ら除籍し、単身ラジアンに渡ったって言う大スキャンダルのせいで、女性が無理矢理な結婚を強いられる事が少なくなったんだって。
そしてラジアンで王女殿下の侍女を務めて大貴族リンドバーグ公爵家に嫁入りされた、って言うアリーチェ様のシンデレラストーリーに憧れる少女が増えて、無理な結婚を強いると家出されるなんてリスクが出来上がったの。
実際に家出した子ってそういないと思うけど、世間の風潮を変えちゃうってすごい方よね。
、、、って、あら?リンドバーグ公爵家⁈アリーチェ様ってもしかしてユリアーナ様のお母様なの?
「ミリアンナお嬢様、どうされました?ご気分でも悪くなられました?」
心配そうなメイミの声に、ハッとして思考を閉じる。
あぁ、今は午後のお茶の時間だったわ。
「今日はお天気が良かったのでお茶の席を庭のガゼボにご用意しましたが、風がありましたね、お部屋に戻りましょうか?」
ケインも心配そうに提案してくれる。
あぁ、いけない。心配かけちゃった。
せっかくケインとメイミを仲良くさせる為のお茶タイムなのに。
最初は一緒に座ってお茶しましょう、と言ったら、使用人が主人とともに座ってお茶なんてとんでもないって断られたけど、内緒で教えて欲しいことがあるし悩みを聞いて欲しいと言ったら、渋々座ってくれる様になった。
そしてゆっくりじっくり二人を観察すると、あぁなるほど。
ケインがメイミを見つめる瞳が最上級に優しくなる時がある。
“可愛いなぁ。”
なんて思ってるのかしらって考えると、なんっかムズムズしちゃうんだけど!
でもイマイチ、メイミに通じてない様な?
頑張れケイン!
そして是非ともウチに永久就職を!
「ミリアンナ様?」
はっ!またぼーっとしてた!
「ううん、御免なさい、考え事してただけなの。」
「心配事ですか?」
「うん、デビュタントの事でね?」
「準備は万端ですよ!当日はどこの姫君よりも美しくお飾りしますとも!」
「うふふ、ありがとう。」
メイミが拳を握って力説してくれてる。
あまり淑女らしくはないけれど、こんな姿がとても可愛い、、、と、ケインも思ってるんでしょうね?
ほら、メイミを見つめる瞳が優しくなってる。
「もちろん、それは心配してないわよ。メイミが私を一番可愛くしてくれるって信じてるもの。」
にっこり笑うと、メイミが頬を染めて照れてる。本当に可愛い。
私よりも5歳も年上なんだけど、中身年齢は私の方が上だもの。
「ただね、夢の中ではデビュタントの翌日にフランクリン王子から婚約の打診があったんだなって思うと、何だか複雑で。お父様達がきっと守って下さるって信じてるけど、夢の通りになったらって思うと。」
やっぱり怖いのだ。
いよいよ物語が始まる時がきた。
強制力は本当に働かないで済むんだろうか、とか。
「ミリアンナ様、、、。」
心配そうにメイミが見つめてくる。
この二人にも予知夢の話含め、事情は話してある。
ケインもメイミも絶対に信用できる人だから。
「お嬢様、フランクリン王子がどんな風に婚約の打診をしてきたかはご存知でしょうか?出来るだけ細かく教えて下さいますか?最善の対策を考えましょう。」
ケインが提案してくれる。
そうよね、少しでも弱みを見せない様に私も頑張らなくちゃ!
「そうよね、ありがとう。じゃあ一緒に考えてくれる?」
「「もちろんです。」」
頼もしい味方が、にこりと微笑んで言ってくれた。
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