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20大掃除(サイラス)
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また今年もミリアンナの誕生日がやって来る。
あの不思議な予知夢から2年が経った。
ミリアンナは今年13歳になる。
デビュタントの歳だ。
つまり、いよいよ舞台の幕が上がると言う事。
この2年間、僕たちはせっせとお掃除に励んだ。鼠取りね。
まず父上が全ての使用人を細かく調べた。
出身、学歴、職歴等の経歴詐称をしているものを炙り出す為だ。
これがびっくりするほどいたね!
おい、公爵家の人事はザルかよ⁈
まぁ、全部がアズロからのネズミとは限らないけど、疑わしきは罰すのがうちの流儀という事で。
詐称してた奴は問答無用で叩き出した。
勿論退職金や給料なんかやらない。
寧ろ公爵家を謀ったとして悪質な奴は宰相に突き出して重犯罪者用の牢屋行き。
軽微な奴でもがっつり慰謝料を請求した。
別にそんな金なんかいらないけど、奴らには人生棒に振るほどの罰金だろう。
主家を欺くなんて馬鹿な事をするからだ。
司法局に任せて、カルヴァンに有耶無耶にされても腹立つし。
数日勾留して終わり、なんてな。
当然カルヴァンから越権だと抗議が来たらしいが、
「筆頭公爵家相手の詐称は重罪だ。今後の見せしめのためにも厳重な処罰が必要だ。」
と宰相が突っぱねたらしい。
まぁ、アズロまでたどり着くかは微妙だけど。
今後の抑止力位にはなればいいかな。
エストロジアに楯突くなんて恐ろしい、と思わせられたらいい。
問題は、以前からうちで働いていて寝返った奴。
そして、身元がしっかりしている奴。
これをどう炙り出すかで悩んだ。
結論から言うと、ケインの
「スパイを暴くならスパイでしょう。」
と言う助言の元、大量のスパイを投下した。
と言っても、彼らにスパイの自覚はない。
首にした使用人達の補充に、エストロジアの領地の住民の子達を見習いに雇い入れたのだ。
いくら何でもアズロもそんなところまで手を回せないだろう?
10~15歳くらいの文字の書ける身元のしっかりした子と言うだけの選考基準。
とりあえず、見習いと社会見学に3ヶ月ほどおいでと30人くらい連れて来た。
見込みがあればそのまま雇い入れてもいいし、ダメでも充分な小遣い稼ぎになるだけの給金を払って領地に返してやる。
うーん、一種の出稼ぎかな?
まぁ、親も子も大喜びだよ。
公爵邸で生活するなんてそうそう経験出来ないし、普通なら一生行けないだろう王都にも来れるしね。
そうして、3つのグループに分けて、それぞれ1ヶ月づつ色々な部署に放り込んで見学と言う名の監視をさせた訳だ。
仕事内容は、それぞれ担当の使用人を決めて、その人がどんな風に仕事をしているかをよーく観察する事。そして、疑問に思ったことや何故そんな行動をするのかを毎日細かくレポートを書かせたのだ。
子供達には、
「どんな仕事があって、どんなふうに対応するか、もし無駄があったらどう改善すべきか?それを考えながら見学しなさい。勿論出来そうなら手伝ってもいいよ。でも、一人でするのは禁止。必ず誰か使用人と行動する事。」
と言ってあった。
子供達は真面目に見学して、さらに問題点も指摘する。
例えば、洗濯場担当の少女からは、
「お洗濯係のレーナさんは、毎朝お洗濯物を干した後、わざわざ遠回りをして食堂を通って洗濯場に帰ります。何故だろうと思ったら、給仕係のローリーさんにお手紙を渡す為でした。恋人かもしれないけど、あれはサボリじゃ無いですか?いけない事だと思います。」
そして、食堂担当の少女からは、
「給仕係のローリーさんはよくレーナさんからお手紙をもらっています。恋人なのかなと思ったら、その手紙を読まないで、ご飯を食べに来たグレンさんに渡してました。恋のキューピットって奴ですか?お仕事中でもこれはしてもいい事ですか?」
ああ、繋がった。
グレンにはケインが付いてるからそうそうボロは出さないけれど、子供の目なら警戒が緩むよね。
そんなふうに、少しづつ少しづつ繋がりを追っていく。
点を線に繋げていく。
相手には気づかれる事なく。
そうして2か月が経つ頃、大物に辿り着く。
ミリアンナの馬車が襲撃された時、護衛が消えていたと言っていた。
つまり、護衛の中にも裏切り者がいたと言う事。
覚悟はしていたけど、辿り着いたそいつは。
「残念だよ、騎士団長。まさかお前がエストロジアを裏切ってたなんてね、、、。」
あろう事か、エストロジアを守るはずの騎士団の団長だったのだ。
エストロジア騎士団団長のガイ・メジャーは、エストロジア傘下のメジャー子爵家の次男だ。
メジャー子爵家は代々エストロジア騎士団の重鎮を担い、騎士団長も何人も輩出して来た名門の家柄だった。
まさか、と言う思いが強い。
けれど、確実な物証が出てしまった。
エド叔父さんが嵌められた、違法薬物の売買。
それはそもそもこいつの仕業だった。
こいつの罪をそっくりそのまま擦り付けられたのだ。
訓練用の広い闘技場の中。
中央にはガイとその仲間達十人ほど。
そして剣を向け、それを取り囲むその他大勢の騎士達と、父と僕。
「非常に残念だよガイ。お前達メジャー家は今までエストロジアを支えてくれていたのにこんな事になるとはな。それ程に私の領政が気に入らなかったか?」
「、、、、。」
父の問いにもガイは何も答えない。
口を引き結んで視線を下げている。
「黙秘しても無駄だよ。証拠は上がっている。お前が違法薬物に手を出して、あまつさえ部下にまで広めるなんて。分かっていると思うが違法薬物の売買は厳罰だ。お前のみならず、メジャー家も責任を免れん。覚悟の上か?」
実家にも迷惑がかかるぞと言われても反応を見せない奴を不審に思った。
自分のせいで実家が没落しても構わないのかな?
、、、いや、そもそも、もしかして逆か?
「ガイ、元々やらかしたのはメジャー家だったんだね?父親か?それとも兄かい?」
僕の問いかけに、ガイは瞬時に反応して顔を上げた。驚愕の表情を貼り付けて。
ビンゴ。
「サイラス?どう言う事だ?」
父が振り向いて僕に問いかける。
「最初に違法薬物に手を出したのはメジャー家の方だったんですよ。多分それを誰かに掴まれて、ガイ、お前はそれをネタに脅されているんだろう?公にされたく無ければ、言うことを聞けとか?」
「何だと⁈」
父は驚いて叫び、ガイは泣きそうな顔で僕を見た。
脅して来たのは十中八九アズロかカルヴァンか。
もしかすると、最初から罠だったのかもしれないな。
「もうどうしようもないよ、ガイ。お前がどんなに庇っても、メジャー家は終わりだ。ならせめて全てをきちんと白日に晒せ。情状酌量の余地があるなら罪のない女子供位は助けてやれるかもよ?」
まぁ、お前のせいでミリアンナが殺されたんだから(夢でだけど)、お前はきっちりばっちり地獄に落としてやるけどね?
ガイは一度ギュッと目を瞑り大きく息を吐き出した。
「全て、お話致します。」
そこから語られたのは本当に胸糞悪い話だった。
こんな自分勝手な奴らのために、僕らもミリアンナも殺されたってか⁈
本当にどうしてくれようか?
あの不思議な予知夢から2年が経った。
ミリアンナは今年13歳になる。
デビュタントの歳だ。
つまり、いよいよ舞台の幕が上がると言う事。
この2年間、僕たちはせっせとお掃除に励んだ。鼠取りね。
まず父上が全ての使用人を細かく調べた。
出身、学歴、職歴等の経歴詐称をしているものを炙り出す為だ。
これがびっくりするほどいたね!
おい、公爵家の人事はザルかよ⁈
まぁ、全部がアズロからのネズミとは限らないけど、疑わしきは罰すのがうちの流儀という事で。
詐称してた奴は問答無用で叩き出した。
勿論退職金や給料なんかやらない。
寧ろ公爵家を謀ったとして悪質な奴は宰相に突き出して重犯罪者用の牢屋行き。
軽微な奴でもがっつり慰謝料を請求した。
別にそんな金なんかいらないけど、奴らには人生棒に振るほどの罰金だろう。
主家を欺くなんて馬鹿な事をするからだ。
司法局に任せて、カルヴァンに有耶無耶にされても腹立つし。
数日勾留して終わり、なんてな。
当然カルヴァンから越権だと抗議が来たらしいが、
「筆頭公爵家相手の詐称は重罪だ。今後の見せしめのためにも厳重な処罰が必要だ。」
と宰相が突っぱねたらしい。
まぁ、アズロまでたどり着くかは微妙だけど。
今後の抑止力位にはなればいいかな。
エストロジアに楯突くなんて恐ろしい、と思わせられたらいい。
問題は、以前からうちで働いていて寝返った奴。
そして、身元がしっかりしている奴。
これをどう炙り出すかで悩んだ。
結論から言うと、ケインの
「スパイを暴くならスパイでしょう。」
と言う助言の元、大量のスパイを投下した。
と言っても、彼らにスパイの自覚はない。
首にした使用人達の補充に、エストロジアの領地の住民の子達を見習いに雇い入れたのだ。
いくら何でもアズロもそんなところまで手を回せないだろう?
10~15歳くらいの文字の書ける身元のしっかりした子と言うだけの選考基準。
とりあえず、見習いと社会見学に3ヶ月ほどおいでと30人くらい連れて来た。
見込みがあればそのまま雇い入れてもいいし、ダメでも充分な小遣い稼ぎになるだけの給金を払って領地に返してやる。
うーん、一種の出稼ぎかな?
まぁ、親も子も大喜びだよ。
公爵邸で生活するなんてそうそう経験出来ないし、普通なら一生行けないだろう王都にも来れるしね。
そうして、3つのグループに分けて、それぞれ1ヶ月づつ色々な部署に放り込んで見学と言う名の監視をさせた訳だ。
仕事内容は、それぞれ担当の使用人を決めて、その人がどんな風に仕事をしているかをよーく観察する事。そして、疑問に思ったことや何故そんな行動をするのかを毎日細かくレポートを書かせたのだ。
子供達には、
「どんな仕事があって、どんなふうに対応するか、もし無駄があったらどう改善すべきか?それを考えながら見学しなさい。勿論出来そうなら手伝ってもいいよ。でも、一人でするのは禁止。必ず誰か使用人と行動する事。」
と言ってあった。
子供達は真面目に見学して、さらに問題点も指摘する。
例えば、洗濯場担当の少女からは、
「お洗濯係のレーナさんは、毎朝お洗濯物を干した後、わざわざ遠回りをして食堂を通って洗濯場に帰ります。何故だろうと思ったら、給仕係のローリーさんにお手紙を渡す為でした。恋人かもしれないけど、あれはサボリじゃ無いですか?いけない事だと思います。」
そして、食堂担当の少女からは、
「給仕係のローリーさんはよくレーナさんからお手紙をもらっています。恋人なのかなと思ったら、その手紙を読まないで、ご飯を食べに来たグレンさんに渡してました。恋のキューピットって奴ですか?お仕事中でもこれはしてもいい事ですか?」
ああ、繋がった。
グレンにはケインが付いてるからそうそうボロは出さないけれど、子供の目なら警戒が緩むよね。
そんなふうに、少しづつ少しづつ繋がりを追っていく。
点を線に繋げていく。
相手には気づかれる事なく。
そうして2か月が経つ頃、大物に辿り着く。
ミリアンナの馬車が襲撃された時、護衛が消えていたと言っていた。
つまり、護衛の中にも裏切り者がいたと言う事。
覚悟はしていたけど、辿り着いたそいつは。
「残念だよ、騎士団長。まさかお前がエストロジアを裏切ってたなんてね、、、。」
あろう事か、エストロジアを守るはずの騎士団の団長だったのだ。
エストロジア騎士団団長のガイ・メジャーは、エストロジア傘下のメジャー子爵家の次男だ。
メジャー子爵家は代々エストロジア騎士団の重鎮を担い、騎士団長も何人も輩出して来た名門の家柄だった。
まさか、と言う思いが強い。
けれど、確実な物証が出てしまった。
エド叔父さんが嵌められた、違法薬物の売買。
それはそもそもこいつの仕業だった。
こいつの罪をそっくりそのまま擦り付けられたのだ。
訓練用の広い闘技場の中。
中央にはガイとその仲間達十人ほど。
そして剣を向け、それを取り囲むその他大勢の騎士達と、父と僕。
「非常に残念だよガイ。お前達メジャー家は今までエストロジアを支えてくれていたのにこんな事になるとはな。それ程に私の領政が気に入らなかったか?」
「、、、、。」
父の問いにもガイは何も答えない。
口を引き結んで視線を下げている。
「黙秘しても無駄だよ。証拠は上がっている。お前が違法薬物に手を出して、あまつさえ部下にまで広めるなんて。分かっていると思うが違法薬物の売買は厳罰だ。お前のみならず、メジャー家も責任を免れん。覚悟の上か?」
実家にも迷惑がかかるぞと言われても反応を見せない奴を不審に思った。
自分のせいで実家が没落しても構わないのかな?
、、、いや、そもそも、もしかして逆か?
「ガイ、元々やらかしたのはメジャー家だったんだね?父親か?それとも兄かい?」
僕の問いかけに、ガイは瞬時に反応して顔を上げた。驚愕の表情を貼り付けて。
ビンゴ。
「サイラス?どう言う事だ?」
父が振り向いて僕に問いかける。
「最初に違法薬物に手を出したのはメジャー家の方だったんですよ。多分それを誰かに掴まれて、ガイ、お前はそれをネタに脅されているんだろう?公にされたく無ければ、言うことを聞けとか?」
「何だと⁈」
父は驚いて叫び、ガイは泣きそうな顔で僕を見た。
脅して来たのは十中八九アズロかカルヴァンか。
もしかすると、最初から罠だったのかもしれないな。
「もうどうしようもないよ、ガイ。お前がどんなに庇っても、メジャー家は終わりだ。ならせめて全てをきちんと白日に晒せ。情状酌量の余地があるなら罪のない女子供位は助けてやれるかもよ?」
まぁ、お前のせいでミリアンナが殺されたんだから(夢でだけど)、お前はきっちりばっちり地獄に落としてやるけどね?
ガイは一度ギュッと目を瞑り大きく息を吐き出した。
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