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21 ガイの懺悔(サイラス)
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あけましておめでとう御座います。
本年もよろしくお願い致します。
新年一発目がコレとは、、、という内容ですか、この後からはやっと色々動きだしますので、お付き合い頂けると嬉しいです。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
ガイの実家であるメジャー子爵家は、代々エストロジアの騎士団を支えてきた古参の家柄だ。
現在は父親が引退して3歳上の兄が家督を継いでいる。
兄弟は兄とガイの2人。
武門の家柄であったが、兄のロイはまるっきり武人の才能が無かった。
それに対して、ガイは幼い頃から武人としての才能を開花させていた。
本来なら嫡子のロイが家督を継いでエストロジアの騎士団を率い、次男のガイが領地で子爵家の補佐をする役割だったが、父親は無理だと考え、ガイに家督を譲ると言い出した。
元々ガイにコンプレックスを持っていたロイは自殺しようとしたらしい。
兄の悩みを長年見ていたガイは罪悪感に苛まれ、家督はロイに、騎士団は自分が支えるからと、父を説得したそうだ。
は!僕に言わせれば、どんだけ甘いんだ。
弟へのコンプレックスに負けた兄も、そんな兄を甘やかすしかしなかったガイも父親も!
もっとしっかりしろって尻を叩けよ。
碌な奴にならないぞ。
「そうして、私が騎士団を預かるようになった3年前のことです。」
ああ、やっと本題か?
全くもって、イライラする。
「いきなり本家を継いだはずの兄が尋ねて来たのです。酷く青い顔をして、落ち着きなくそわそわしている。これは何か相当不味いことが起こっているな、と思いました。」
そう言ってまた目を閉じてため息をつく。
どう話すか整理しているのか。
いいからとっとと吐け。
お前達の極刑はとっくに決まってるんだよ。
と、思ってはいるが顔には出さない。
「兄は罠に嵌められたと言いました。馴染みの商人と酒を飲み、誘われて娼館に行ったのだと。何かとても気分が良くなり、気付けば一週間入り浸っていた。膨大な金額の請求書を見せられ、払えなければ公にすると言われたそうです。」
「よくあるぼったくりか?公にして困るのはそっちじゃないのか?違法だろう。失礼だが、お前の兄にそんなのに引っかかったからと言って困るほどの誇りも地位もなかろう?」
父が問う。
だよね~?
高位貴族なら詐欺に遭たってだけでもプライドが傷つけられるから、他人に知られたく無いってのは分かるけど。
「普通なら。ですがそこは違法薬物を扱っていました。兄はそれを摂取していた。一週間入り浸っていたと言うのは薬漬けになっていたと言うことです。」
「それでも、おかしいじゃ無いか?本人の自覚がなかったならいくら何でも情状酌量されるだろう?」
「そうですね、自覚がなかったなら。ですが兄はうっすら気付いてたそうで。家督を継いだものの、相変わらず父は自分を軽視して、ガイだったらなどと言う。むしゃくしゃして、自暴自棄になっていたと。それで、気分が良くなると言われて手を出したと言いました。」
「それは罠でも何でも無い。自業自得だろう。そんな奴をお前は庇ったのか⁈」
父が激昂する。
当たり前だ。
そもそもそんな奴が原因で、僕たちは殺されるのか⁈
ミリアンナをあんな怖い目に合わせたのか⁈
ふざけるなよ⁈
「結果的にそうなりますね。、、、兄が罠だったと言ったのは、奴らの目的が私だったからです。私を嵌めるために兄が利用されたのだと言われました。お前のせいで俺がこんな目にあったんだと。」
ほらみろ!
お前らが甘やかすから、そんな阿呆が出来上がったんだよ!
いやもうこれメジャー家全部消し去って良くね?
「お前はそれでどうしたんだ?お前のせいだと言われて罪悪感でも持ったか?随分と慈悲深いことだな。天使かよ。」
流石に我慢できなくて、嫌味を言ってしまった。
父に呆れた目を向けられた。
けど、図星だろ?ガイの頬が赤くなってる。
自分にコンプレックスを抱いてる故の兄の愚行を、慈悲深く許す自分に酔ってるんだよこの阿呆は。
あー、ほんとムカつく。
もういい、とっとと終わらせよう。
父に任せてたら延々鬱陶しい話を聞かされそうだ。
「で、お前の兄を嵌めてまでお前を操りたかった奴の正体と目的をとっとと教えてくれないかな?」
「正体は、、、、わかりません。」
「は⁈馬鹿なの?お前。この期に及んでまだシラ切るの?」
「違います!本当に分からないのです!兄の頼みで引き合わされた男はよくいる普通の商人のようでした。私に要求されたのは、公爵邸の騎士団に入れたい者がいるから優遇してくれと言う事だけでしたので、それくらいならと。」
「ほんっと馬鹿だろ?お前‼︎そんなあからさまに怪しい奴をこの屋敷に引き入れるなんて⁈」
「紹介状はきちんとしたものでした!下位貴族の三男や四男で、騎士爵を欲しがってるから融通して欲しいと!」
「それで終わらなかったんだろ。」
「、、、。そうして10人くらい入団した頃、そいつらと飲みに行く機会が定期的にあって、つい邸の様子とか話題になるようになって、、、。」
「情報漏洩な。」
「そのうち、その飲み会で知らないうちに自分も、、、薬を摂取してました。」
あーほんと、目も当てられん。
典型的なミイラ取り。
「で?そこまできたら他にも何か要求されたんだろう?」
「公爵家の方々の護衛には、必ず、その、、、その者たちを付けるように、、、と。」
「「!」」
「で、そうしてたわけだ。」
「、、、。」
ガイが再び下を向く。
ああ、こいつもそれがどう言う意味か分かってたんだな。
「お前は!それがどう言う意味か分かっているんだな⁈」
流石に父が激昂した。
「どう考えても敵だろう者たちに私達を護衛させる事の意味が⁈お前は‼︎私達が殺されても構わないと思っていたと言う事だ‼︎」
「そんな!違います!私は!」
「何が違う⁈ふざけるな!お前は自分の身可愛さに主人であるはずの我々を売ったんだろう!」
「違います!自分の身なんて、私はどうなってもいいんです!でも、実家の両親や姪が、姪はまだ3歳なんです!だから!」
ああ本当に自分勝手で嫌気がさす。
一周回って、冷静になれたよ。
「だから、何?姪は3歳だから可哀想?じゃぁ、僕の妹は?12歳だから死んでもいいって?」
「そっ、そんな!そんな事!」
頭を振り乱して被りを振る。けどね、
「お前が言ってるのはそう言う事だ。お前だって分かってただろう?そいつらが本物の護衛がいちゃまずい状況を作ろうとしてるんだって。つまり僕たち一家を殺そうとしてるって。そしてお前は黙認したんだよ。」
実際、そのままだったなら僕たちは殺されていたんだろう。
襲撃者か、それともその護衛にか。
「気付かないフリは止めなよ。お前がやったのは立派な殺人幇助だよ。自分がやってしまった事、しようとした事、その結果をこれからじっくり後悔しろ。」
ガイががっくりと膝をついた。
周りを囲んでいた騎士たちに視線を投げて合図する。
「連れて行って。厳重に縛って地下牢に入れておいて。後でまた尋問するから。」
「「「はい!」」」
ガイ以外の奴らも下っ端だよね。
さて、どこまで辿れるかな。
何しろあいつらミリアンナを殺した奴らなんだから、相応の目には合わせたいし。
、、、殺さなきゃいいよね?
「、、、サイラス。顔が悪いぞ。」
「!失礼な!端正と言われる僕に向かって!大体父上とそっくりでしょうが!」
「いや、悪い顔になってるぞ。報復も程々にな。」
父がため息をついて言う。
「父上は甘すぎますよ。」
ミリアンナを殺した奴らだぞ!
慈悲などいらんわ‼︎
「ああ、私もそう思う。」
「は?」
「今回の件で思い知った。これ程に内部に裏切り者が出ると言うことは、私は相当舐められていると言うことだろう。」
「!」
ふいにいつかのアレク殿下の言葉が蘇った。
『父上も悪い人じゃないんだ。真っ直ぐすぎて優しすぎるんだ。平安な治世なら賢君とも呼ばれたかもな。けど、あんな害虫を蔓延らせた時点でアウトだろ。』
父上は陛下のように隙があるわけでも思考力がないわけでも無い。
ただ、甘いと言われれば甘いのだろう。
人を信じ切ってしまうところはある。
今回も、メジャー家に、ガイに絶大な信頼を置いていたんだろう。
なにしろメジャー家は、エストロジア家設立以来の忠臣のはずだったから。
それは長所でもあるが、今回は裏目に出た。
「この件が全て片付いたら、私は引退しようと思う。」
「はい⁈」
本年もよろしくお願い致します。
新年一発目がコレとは、、、という内容ですか、この後からはやっと色々動きだしますので、お付き合い頂けると嬉しいです。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
ガイの実家であるメジャー子爵家は、代々エストロジアの騎士団を支えてきた古参の家柄だ。
現在は父親が引退して3歳上の兄が家督を継いでいる。
兄弟は兄とガイの2人。
武門の家柄であったが、兄のロイはまるっきり武人の才能が無かった。
それに対して、ガイは幼い頃から武人としての才能を開花させていた。
本来なら嫡子のロイが家督を継いでエストロジアの騎士団を率い、次男のガイが領地で子爵家の補佐をする役割だったが、父親は無理だと考え、ガイに家督を譲ると言い出した。
元々ガイにコンプレックスを持っていたロイは自殺しようとしたらしい。
兄の悩みを長年見ていたガイは罪悪感に苛まれ、家督はロイに、騎士団は自分が支えるからと、父を説得したそうだ。
は!僕に言わせれば、どんだけ甘いんだ。
弟へのコンプレックスに負けた兄も、そんな兄を甘やかすしかしなかったガイも父親も!
もっとしっかりしろって尻を叩けよ。
碌な奴にならないぞ。
「そうして、私が騎士団を預かるようになった3年前のことです。」
ああ、やっと本題か?
全くもって、イライラする。
「いきなり本家を継いだはずの兄が尋ねて来たのです。酷く青い顔をして、落ち着きなくそわそわしている。これは何か相当不味いことが起こっているな、と思いました。」
そう言ってまた目を閉じてため息をつく。
どう話すか整理しているのか。
いいからとっとと吐け。
お前達の極刑はとっくに決まってるんだよ。
と、思ってはいるが顔には出さない。
「兄は罠に嵌められたと言いました。馴染みの商人と酒を飲み、誘われて娼館に行ったのだと。何かとても気分が良くなり、気付けば一週間入り浸っていた。膨大な金額の請求書を見せられ、払えなければ公にすると言われたそうです。」
「よくあるぼったくりか?公にして困るのはそっちじゃないのか?違法だろう。失礼だが、お前の兄にそんなのに引っかかったからと言って困るほどの誇りも地位もなかろう?」
父が問う。
だよね~?
高位貴族なら詐欺に遭たってだけでもプライドが傷つけられるから、他人に知られたく無いってのは分かるけど。
「普通なら。ですがそこは違法薬物を扱っていました。兄はそれを摂取していた。一週間入り浸っていたと言うのは薬漬けになっていたと言うことです。」
「それでも、おかしいじゃ無いか?本人の自覚がなかったならいくら何でも情状酌量されるだろう?」
「そうですね、自覚がなかったなら。ですが兄はうっすら気付いてたそうで。家督を継いだものの、相変わらず父は自分を軽視して、ガイだったらなどと言う。むしゃくしゃして、自暴自棄になっていたと。それで、気分が良くなると言われて手を出したと言いました。」
「それは罠でも何でも無い。自業自得だろう。そんな奴をお前は庇ったのか⁈」
父が激昂する。
当たり前だ。
そもそもそんな奴が原因で、僕たちは殺されるのか⁈
ミリアンナをあんな怖い目に合わせたのか⁈
ふざけるなよ⁈
「結果的にそうなりますね。、、、兄が罠だったと言ったのは、奴らの目的が私だったからです。私を嵌めるために兄が利用されたのだと言われました。お前のせいで俺がこんな目にあったんだと。」
ほらみろ!
お前らが甘やかすから、そんな阿呆が出来上がったんだよ!
いやもうこれメジャー家全部消し去って良くね?
「お前はそれでどうしたんだ?お前のせいだと言われて罪悪感でも持ったか?随分と慈悲深いことだな。天使かよ。」
流石に我慢できなくて、嫌味を言ってしまった。
父に呆れた目を向けられた。
けど、図星だろ?ガイの頬が赤くなってる。
自分にコンプレックスを抱いてる故の兄の愚行を、慈悲深く許す自分に酔ってるんだよこの阿呆は。
あー、ほんとムカつく。
もういい、とっとと終わらせよう。
父に任せてたら延々鬱陶しい話を聞かされそうだ。
「で、お前の兄を嵌めてまでお前を操りたかった奴の正体と目的をとっとと教えてくれないかな?」
「正体は、、、、わかりません。」
「は⁈馬鹿なの?お前。この期に及んでまだシラ切るの?」
「違います!本当に分からないのです!兄の頼みで引き合わされた男はよくいる普通の商人のようでした。私に要求されたのは、公爵邸の騎士団に入れたい者がいるから優遇してくれと言う事だけでしたので、それくらいならと。」
「ほんっと馬鹿だろ?お前‼︎そんなあからさまに怪しい奴をこの屋敷に引き入れるなんて⁈」
「紹介状はきちんとしたものでした!下位貴族の三男や四男で、騎士爵を欲しがってるから融通して欲しいと!」
「それで終わらなかったんだろ。」
「、、、。そうして10人くらい入団した頃、そいつらと飲みに行く機会が定期的にあって、つい邸の様子とか話題になるようになって、、、。」
「情報漏洩な。」
「そのうち、その飲み会で知らないうちに自分も、、、薬を摂取してました。」
あーほんと、目も当てられん。
典型的なミイラ取り。
「で?そこまできたら他にも何か要求されたんだろう?」
「公爵家の方々の護衛には、必ず、その、、、その者たちを付けるように、、、と。」
「「!」」
「で、そうしてたわけだ。」
「、、、。」
ガイが再び下を向く。
ああ、こいつもそれがどう言う意味か分かってたんだな。
「お前は!それがどう言う意味か分かっているんだな⁈」
流石に父が激昂した。
「どう考えても敵だろう者たちに私達を護衛させる事の意味が⁈お前は‼︎私達が殺されても構わないと思っていたと言う事だ‼︎」
「そんな!違います!私は!」
「何が違う⁈ふざけるな!お前は自分の身可愛さに主人であるはずの我々を売ったんだろう!」
「違います!自分の身なんて、私はどうなってもいいんです!でも、実家の両親や姪が、姪はまだ3歳なんです!だから!」
ああ本当に自分勝手で嫌気がさす。
一周回って、冷静になれたよ。
「だから、何?姪は3歳だから可哀想?じゃぁ、僕の妹は?12歳だから死んでもいいって?」
「そっ、そんな!そんな事!」
頭を振り乱して被りを振る。けどね、
「お前が言ってるのはそう言う事だ。お前だって分かってただろう?そいつらが本物の護衛がいちゃまずい状況を作ろうとしてるんだって。つまり僕たち一家を殺そうとしてるって。そしてお前は黙認したんだよ。」
実際、そのままだったなら僕たちは殺されていたんだろう。
襲撃者か、それともその護衛にか。
「気付かないフリは止めなよ。お前がやったのは立派な殺人幇助だよ。自分がやってしまった事、しようとした事、その結果をこれからじっくり後悔しろ。」
ガイががっくりと膝をついた。
周りを囲んでいた騎士たちに視線を投げて合図する。
「連れて行って。厳重に縛って地下牢に入れておいて。後でまた尋問するから。」
「「「はい!」」」
ガイ以外の奴らも下っ端だよね。
さて、どこまで辿れるかな。
何しろあいつらミリアンナを殺した奴らなんだから、相応の目には合わせたいし。
、、、殺さなきゃいいよね?
「、、、サイラス。顔が悪いぞ。」
「!失礼な!端正と言われる僕に向かって!大体父上とそっくりでしょうが!」
「いや、悪い顔になってるぞ。報復も程々にな。」
父がため息をついて言う。
「父上は甘すぎますよ。」
ミリアンナを殺した奴らだぞ!
慈悲などいらんわ‼︎
「ああ、私もそう思う。」
「は?」
「今回の件で思い知った。これ程に内部に裏切り者が出ると言うことは、私は相当舐められていると言うことだろう。」
「!」
ふいにいつかのアレク殿下の言葉が蘇った。
『父上も悪い人じゃないんだ。真っ直ぐすぎて優しすぎるんだ。平安な治世なら賢君とも呼ばれたかもな。けど、あんな害虫を蔓延らせた時点でアウトだろ。』
父上は陛下のように隙があるわけでも思考力がないわけでも無い。
ただ、甘いと言われれば甘いのだろう。
人を信じ切ってしまうところはある。
今回も、メジャー家に、ガイに絶大な信頼を置いていたんだろう。
なにしろメジャー家は、エストロジア家設立以来の忠臣のはずだったから。
それは長所でもあるが、今回は裏目に出た。
「この件が全て片付いたら、私は引退しようと思う。」
「はい⁈」
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