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59 サヨナラじゃなくてまたね
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あの断罪劇から3日がたった。
アズロ、カルヴァン両家に加担していた貴族や商会、役所の人達が次々に捕らえられ、後に大粛正と呼ばれる大事件となった。
お父様やお兄様も連日忙しそうにされて、全く邸に帰って来れなかったけれどやっと収まりがついたらしい。
今日は久しぶりにみんな揃っての晩餐となった。
「やぁ、やっと帰れたよ。」
「お疲れ様でした。もう片付いたの?」
「大体はな。司法局長官が主犯だから指示を出す者がいなくてな。まだしばらくは通わねばならんが、とりあえずは落ち着いたよ。」
「かなりの人が捕まったのよね?」
「全く、恐ろしい事だよ。取り潰される家も数家じゃ済みそうに無い。本当に白日に晒せて良かった。しばらくは大変だろうがな。」
皆んなで乾杯をして労う。
今まででは考えられない位ゆったりとした空気が流れる。
ああ終わったんだなぁと、何度も実感する。
「そうだ、ユリアーナ様、お父上からお手紙が来ていましたよ。」
「父から?」
父に合図されたセバスが差し出した、お盆の上の手紙をユリア様が受け取った。
「何なの?姉上?」
「前期末の試験が始まるから、とりあえず帰って来なさい、って。旅程を考えると、2、3日中には立たないとダメね。」
「あー、もうそんな時期かぁ。試験は受けないと不味いよね。」
「ユリアーナ様、そんなに急にお帰りになるのですか⁈」
お兄様が慌てたように訊ねる。
そうよね、私だってすごく凄く寂しいもの。
「うふふ、試験受けないと落第しちゃうわ。でもすぐに夏季休暇だから、絶対また来るわね。あ、ラジアンに来てくれてもいいわよ?歓迎するわ!」
「そうだね。ぜひ来て下さいね。」
そうお二人が笑顔で仰る。
本当にすぐに会える?
それでも、凄く寂しいのに、お二方は平気なのか、、、な?
その後は何だか気分がしょんぼりしてしまって、何を話したか上の空になってしまった。
しょんぼりしたまま迎えた翌日の朝、朝食の席でディアンジェロ様が提案して下さった。
「ミリアンナ、今日これから街に行かないかい?」
「街に?」
「うん、エストに来てから全く観光とかしてなかったから、街中を見てみたいんだ。お土産も買いたいしね。付き合ってくれる?」
「!喜んで!」
あ、また居酒屋だわ。
でもだって、これってデートよね⁈
嬉しい!
「ふふ、じゃぁ、後で部屋まで迎えにいくね。」
「はい!」
身支度が整った頃にディアンジェロ様がいらした。
街に出るから軽装だ。
白いシャツに薄碧のベストに濃碧のスラックス。
にも関わらず、相変わらず麗しい。
そしてあのニッコリ笑顔。
「ああ、そういう格好もとても可愛いね、ミリアンナにはラベンダー色も似合うね。」
私も軽装で、薄いラベンダー色のエンパイアラインのワンピース。
ディアンジェロ様のアメジストの瞳の色をちょっとだけ意識したのバレちゃったかな?
でも、ディアンジェロ様のベストのお色も私の瞳の色よ、、、ね?
嬉しくて恥ずかしくて、、、頬が赤くなってないかな?
「じゃぁ、行こうか?」
そう言って、するりと手を取り馬車に向かう。
むぅ、手慣れてない?
ちょっとだけモヤっとしてたら、ディアンジェロ様がクスクス笑ってた。
護衛兼案内役にはケインとメイミがついて来てくれる。
街中までは馬車で30分ほど。
先ずは中央の噴水広場に向かう。
屋台もたくさん出ているし、休日には市も立つし、大道芸人もいる。
いつも賑やかな楽しい場所。
ここから放射状に商店が並ぶ。
「綺麗な街だね。」
「ラジアンと違いますか?」
「そんなには変わらないかな?建物の色とか雰囲気はやっぱり違うけどね。」
「何から見ますか?」
「そうだね、先ずは母上のお土産かな?母はこの国出身だから、何か懐かしい物がないかな?」
「そうですね~?」
そんな風に始まった街歩き。
雑貨屋さんや文具屋さん、服飾品店などいろいろ覗いて回る。
昼食にメイミのオススメのピザを食べたのだけど、座布団くらい大きなピザにはビックリした。
ディアンジェロ様も初めて食べたみたいで、伸びるチーズに四苦八苦していたのが可笑しかった。
だっていつも何をやってもスマートにこなしちゃうから。
そんな風に楽しい時間はあっという間に過ぎて行き、気がつくとすでに日が傾いていた。
ああ、帰る時間が来ちゃった。
「ミリアンナ、最後にここに寄っていいかな?」
そう聞かれたのは、一目で高級品を扱っていると思われる宝飾店。
軽装の私達って場違いでは?と思ったのだけど、ドアマンが開けてくれたドアを私の手を取ったディアンジェロ様は堂々と入って行った。
宝飾品はいつもお母様が用意して下さるから、こういうお店に入るのは初めてで、好奇心からキョロキョロとしてしまう。
お母様がいたら怒られてるわね。
「ミリアンナ、こっちにおいで。」
「はい。」
ディアンジェロ様に呼ばれて、商談用のソファー、ディアンジェロ様の隣りに座る。
「どっちがいい?」
「、、、え?」
そう示された先、テーブルに置かれていたのは、ターコイズとアメジストをそれぞれ使った指輪。
デザインはほぼ同じ。
最高級と分かるそれぞれの石の周りにはダイヤモンドが飾られ、流れるようなフォルムのそれは綺麗な指輪だった。
私の瞳の色と同じターコイズ
ディアンジェロ様の瞳の色と同じアメジスト。
「ふふふ、僕がデザインしたんだ。」
「ディアンジェロ様が⁈」
「ミリアンナに似合うように、ずっとつけて貰えるようにスッキリしたデザインにしたつもりなんだけど、気に入らないかな?」
「すごく、、、素敵です、、、。」
「ありがとう。ね?貰ってくれるかな?」
「いただいていいんですか?」
貴方の瞳の色。
「普通はネックレスを贈るのが一般的だけどね、僕達まだ成人してないし?姉上に“あちら”では“約束”には指輪を贈るんだって聞いたんだ。」
「!」
「ねぇ、ミリアンナ、受け取ってくれる?いつか時が来たら迎えにいくから待ってて欲しいんだ。その証として。」
「いつ?」
「君が学園を卒業したら。本当は今すぐラジアンに連れて帰りたいところだけどね?絶対サイラス様が許してくれないから。」
「うふふ、約束ですよ?きっと迎えに来て下さいね?」
「誓って。」
明日お別れするけれど、さよならじゃないんだ。
「ひとつだけお願いしていいですか?」
「もちろん。」
「私、貴方の色の指輪がいいです。でも私の色の指輪はディアンジェロ様がつけてくれませんか?」
「僕も指輪をするの?」
「“あちら”ではペアの指輪を贈り合って一生を誓うんです。」
「ふふ、いいよ。ちょっと照れるけど、嬉しいよ。でもサイズがあわないから直してから付けるね?」
そう言って、ディアンジェロ様はアメジストの指輪を左手の薬指にはめてくれた。
でもせっかくだから私もターコイズの指輪をディアンジェロ様の指にはめる。
残念ながらディアンジェロ様の方は左手の小指になっちゃったけれど。
「「あはは!」」
明日お別れだけど、きっとまた会えるから。
ずっと一緒にいてくれる未来があるから。
だから、さよならじゃなくてまたねって、明日は言うわ。
できれば笑顔で。
アズロ、カルヴァン両家に加担していた貴族や商会、役所の人達が次々に捕らえられ、後に大粛正と呼ばれる大事件となった。
お父様やお兄様も連日忙しそうにされて、全く邸に帰って来れなかったけれどやっと収まりがついたらしい。
今日は久しぶりにみんな揃っての晩餐となった。
「やぁ、やっと帰れたよ。」
「お疲れ様でした。もう片付いたの?」
「大体はな。司法局長官が主犯だから指示を出す者がいなくてな。まだしばらくは通わねばならんが、とりあえずは落ち着いたよ。」
「かなりの人が捕まったのよね?」
「全く、恐ろしい事だよ。取り潰される家も数家じゃ済みそうに無い。本当に白日に晒せて良かった。しばらくは大変だろうがな。」
皆んなで乾杯をして労う。
今まででは考えられない位ゆったりとした空気が流れる。
ああ終わったんだなぁと、何度も実感する。
「そうだ、ユリアーナ様、お父上からお手紙が来ていましたよ。」
「父から?」
父に合図されたセバスが差し出した、お盆の上の手紙をユリア様が受け取った。
「何なの?姉上?」
「前期末の試験が始まるから、とりあえず帰って来なさい、って。旅程を考えると、2、3日中には立たないとダメね。」
「あー、もうそんな時期かぁ。試験は受けないと不味いよね。」
「ユリアーナ様、そんなに急にお帰りになるのですか⁈」
お兄様が慌てたように訊ねる。
そうよね、私だってすごく凄く寂しいもの。
「うふふ、試験受けないと落第しちゃうわ。でもすぐに夏季休暇だから、絶対また来るわね。あ、ラジアンに来てくれてもいいわよ?歓迎するわ!」
「そうだね。ぜひ来て下さいね。」
そうお二人が笑顔で仰る。
本当にすぐに会える?
それでも、凄く寂しいのに、お二方は平気なのか、、、な?
その後は何だか気分がしょんぼりしてしまって、何を話したか上の空になってしまった。
しょんぼりしたまま迎えた翌日の朝、朝食の席でディアンジェロ様が提案して下さった。
「ミリアンナ、今日これから街に行かないかい?」
「街に?」
「うん、エストに来てから全く観光とかしてなかったから、街中を見てみたいんだ。お土産も買いたいしね。付き合ってくれる?」
「!喜んで!」
あ、また居酒屋だわ。
でもだって、これってデートよね⁈
嬉しい!
「ふふ、じゃぁ、後で部屋まで迎えにいくね。」
「はい!」
身支度が整った頃にディアンジェロ様がいらした。
街に出るから軽装だ。
白いシャツに薄碧のベストに濃碧のスラックス。
にも関わらず、相変わらず麗しい。
そしてあのニッコリ笑顔。
「ああ、そういう格好もとても可愛いね、ミリアンナにはラベンダー色も似合うね。」
私も軽装で、薄いラベンダー色のエンパイアラインのワンピース。
ディアンジェロ様のアメジストの瞳の色をちょっとだけ意識したのバレちゃったかな?
でも、ディアンジェロ様のベストのお色も私の瞳の色よ、、、ね?
嬉しくて恥ずかしくて、、、頬が赤くなってないかな?
「じゃぁ、行こうか?」
そう言って、するりと手を取り馬車に向かう。
むぅ、手慣れてない?
ちょっとだけモヤっとしてたら、ディアンジェロ様がクスクス笑ってた。
護衛兼案内役にはケインとメイミがついて来てくれる。
街中までは馬車で30分ほど。
先ずは中央の噴水広場に向かう。
屋台もたくさん出ているし、休日には市も立つし、大道芸人もいる。
いつも賑やかな楽しい場所。
ここから放射状に商店が並ぶ。
「綺麗な街だね。」
「ラジアンと違いますか?」
「そんなには変わらないかな?建物の色とか雰囲気はやっぱり違うけどね。」
「何から見ますか?」
「そうだね、先ずは母上のお土産かな?母はこの国出身だから、何か懐かしい物がないかな?」
「そうですね~?」
そんな風に始まった街歩き。
雑貨屋さんや文具屋さん、服飾品店などいろいろ覗いて回る。
昼食にメイミのオススメのピザを食べたのだけど、座布団くらい大きなピザにはビックリした。
ディアンジェロ様も初めて食べたみたいで、伸びるチーズに四苦八苦していたのが可笑しかった。
だっていつも何をやってもスマートにこなしちゃうから。
そんな風に楽しい時間はあっという間に過ぎて行き、気がつくとすでに日が傾いていた。
ああ、帰る時間が来ちゃった。
「ミリアンナ、最後にここに寄っていいかな?」
そう聞かれたのは、一目で高級品を扱っていると思われる宝飾店。
軽装の私達って場違いでは?と思ったのだけど、ドアマンが開けてくれたドアを私の手を取ったディアンジェロ様は堂々と入って行った。
宝飾品はいつもお母様が用意して下さるから、こういうお店に入るのは初めてで、好奇心からキョロキョロとしてしまう。
お母様がいたら怒られてるわね。
「ミリアンナ、こっちにおいで。」
「はい。」
ディアンジェロ様に呼ばれて、商談用のソファー、ディアンジェロ様の隣りに座る。
「どっちがいい?」
「、、、え?」
そう示された先、テーブルに置かれていたのは、ターコイズとアメジストをそれぞれ使った指輪。
デザインはほぼ同じ。
最高級と分かるそれぞれの石の周りにはダイヤモンドが飾られ、流れるようなフォルムのそれは綺麗な指輪だった。
私の瞳の色と同じターコイズ
ディアンジェロ様の瞳の色と同じアメジスト。
「ふふふ、僕がデザインしたんだ。」
「ディアンジェロ様が⁈」
「ミリアンナに似合うように、ずっとつけて貰えるようにスッキリしたデザインにしたつもりなんだけど、気に入らないかな?」
「すごく、、、素敵です、、、。」
「ありがとう。ね?貰ってくれるかな?」
「いただいていいんですか?」
貴方の瞳の色。
「普通はネックレスを贈るのが一般的だけどね、僕達まだ成人してないし?姉上に“あちら”では“約束”には指輪を贈るんだって聞いたんだ。」
「!」
「ねぇ、ミリアンナ、受け取ってくれる?いつか時が来たら迎えにいくから待ってて欲しいんだ。その証として。」
「いつ?」
「君が学園を卒業したら。本当は今すぐラジアンに連れて帰りたいところだけどね?絶対サイラス様が許してくれないから。」
「うふふ、約束ですよ?きっと迎えに来て下さいね?」
「誓って。」
明日お別れするけれど、さよならじゃないんだ。
「ひとつだけお願いしていいですか?」
「もちろん。」
「私、貴方の色の指輪がいいです。でも私の色の指輪はディアンジェロ様がつけてくれませんか?」
「僕も指輪をするの?」
「“あちら”ではペアの指輪を贈り合って一生を誓うんです。」
「ふふ、いいよ。ちょっと照れるけど、嬉しいよ。でもサイズがあわないから直してから付けるね?」
そう言って、ディアンジェロ様はアメジストの指輪を左手の薬指にはめてくれた。
でもせっかくだから私もターコイズの指輪をディアンジェロ様の指にはめる。
残念ながらディアンジェロ様の方は左手の小指になっちゃったけれど。
「「あはは!」」
明日お別れだけど、きっとまた会えるから。
ずっと一緒にいてくれる未来があるから。
だから、さよならじゃなくてまたねって、明日は言うわ。
できれば笑顔で。
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