誰かこの子のお父さんをしりませんかぁ?

かみい

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13◇それぞれ思い出しませんかぁ?その6◇

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愛李sideに戻ります



~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇


ブルッ・・・

この世界に来てからリド国には緩やかな四季のある国だと知った。
汗ばむ暑い夏もあるし、雪こそ降らないが寒い冬もある。今は少しづつ寒くなっている秋から冬の季節。
寝ぐずりで大泣きの声に、思わず飛び出したときにマナの事しか頭になくマナが寒くないようにと、目についた外套で包んで出てききたけど泣き止んでスヤスヤと寝息をたてだしてからやっと体に寒さを感じて体が震えた。

気がつかなかったものに気が付くと、足元も寒いなあと思いだす。
今すぐ宿に戻ってもいいのだけど、まだマナを寝床に下せば目が覚めてしまうのは必至。
討伐した後の夜の寝ぐずりの時は、特に背中スイッチが赤ちゃんの時と同じように復活する。
それはもう、夜泣きがひどい。

私の気持ちを知ってか知らずか、マナの小さな手が私の髪の束をぎゅうぅっと握りしめている。
絶対に離さないぞというマナの気持ちの表れのように。

髪の毛を犠牲にしてまでマナを下したいとは思わないよ。女性でも年をとれば薄毛で悩むからね。母ちゃんはまだそんな心配をしたくないなぁ。



ふわぁっ

ふいにマナを抱いている私の体が温もりに包まれた。

「ッ!・・・アシュトさん・・・」

吃驚して振り向くとそこにはアシュトンさんがいた。
口に人差し指を当てて柔和な微笑みを顔にして。
思わず声を上げそうになったがマナが身動ぎをしたことですぐに声は抑えた。
私を包んでくれている温もりは、アシュトンさんの着ていた外套。
さっきまで着ていたものをかけてくれたのか、温もりと共にほのかにアシュトンさんの香りもする。
それに少し気恥しい気がするが、アシュトンさんからすれば寒そうに見えた私への気遣いだから変に意識するのもおかしい。意識しちゃダメ。するほうが可笑しい!
おかしいけど、アシュトンさんの匂いに包まれて・・・・・・・とても嬉し恥ずかしい。
外套はいつも使われているものだから、汗のにおいも埃臭さもしみついて僅かにあるけど気になるほどじゃない。いつも『クリーン』を使ってきれいにしていると言っていた。汚れはないし不潔ではない、香る残り香も特に香水は使っていないと言っているがグリーン系の香りをいつも纏わせている。
なんなんだ、本人も爽やかなら香りも爽やかなのがにじみ出るのか!?
異世界イケメンってそういう作りなのか?
それはすごい!!

そんなわけありませんね、ハイ、頭がのぼせてしまったようです。

「代わってあげようと思ったんだけど・・・この様子だとムリそうだな」

マナが私の束ねた髪を握りしめているのを見て苦笑いで言った。
そうでしょうとも。
私も下したいとは思ってないですよ。
重いですけど・・・
今、何キロなんだろうなぁ。
この世界には体重計なんてないからわからないけど、町で時々遊んでくれる同じ年くらいの子供たちの中にいてもふっくらしているから、成長曲線の上のほうに位置しているかもねぇ。

「大丈夫か?随分と長く抱いていて疲れただろう?少し座るくらいなら起きないと思うけど?」

マナの寝顔をのぞき込んで言うアシュトンさん。
覗き込むときに思いのほかアシュトンさんの顔が近くに来て驚いた。

最初に見た時も物語の王子様も裸足で逃げ出すほどの美貌だと思ったけど、3年たった今でもその秀麗な顔を近くで見るのは慣れない。
誰だ!美人は3日で慣れるなんて言ったのは!異世界では違うのか!そうか、なら仕方ない。
慣れるどころか、日に日にいろんな一面を見るたびに心を射抜かれてしまう。
私みたいに枯れた干物女の心を擽るほどにも。
輝かしいまでの金髪の髪は風が吹いていなくてもサラサラとわかる。コバルトブルーの瞳は宝石なのかというように煌めいているし、縁取る睫毛は長く彫りが深い顔に影ができるくらい。スーっと通った鼻筋は高すぎず低くすぎず、薄い唇の血色もよく男性なのにきれいな薄桃色をしていて色気がある。全体的に黄金比の配置にされているであろうパーツが個々にいいのだから、もう格好いいだけじゃない、劇的にかっこよすぎです。
さらに性格もよく気遣いできる、まさしくパーフェクトヒューマン!!!!!

今もそうよ、噴水近くにあるベンチに誘導するのに、背中に擦れるか触れないかの絶妙なタッチで触れて促してくれる。

もう、紳士かっ!

いや、間違いなく紳士だ。
しかも貴族様だった。

初めて貴族だと知って聞いたときに辺境伯だと言っていた。
辺境伯?
なにそれ?
伯爵と何がちがうの?って無知な私は聞いたのよね。

でもアシュトンさんって、馬鹿にした態度も様子もなく丁寧に説明してくれた。

アシュトンさんのお爺さんの元々の爵位は、子爵家の4男だったそうです。
それが魔王討伐成功報酬として賜ったのが、辺境伯でそれと同時に国境周辺の広大な領地を賜ったという。実家の父母も勇者の親ということで子爵から伯爵へと陞爵したとか。その伯爵よりも辺境伯は上位とされていると教えてくれた。
他国ではどうか知らないけどと一言断ったあと、辺境伯は国の国境近くの重要領地を所領して、領地を守ることはもちろん国を守る大切な役目がある。それに有事に際には国の中央にお伺いを立てずに辺境伯主導の元、行動がとれる特権もあるらしい。
それがあるからこそ、王様と対等に話をできるくらいの上位の貴族様らしい。
現在の辺境伯はアシュトンさんのお父さんでお姉さんはいるが、息子はアシュトンさん一人だというのでいずれはアシュトンさんが辺境伯を継ぐ予定だということらしいです。

本来は貴族の人は領地経営を学んだり、お茶会とか夜会とかに出て人脈作りの為の社交をしないといけなかったりとしないといけないことがたくさんあるらしいけど、アシュトンさんのお家は違うらしいです。
お爺さんが軟弱な貴族のようなことをする暇があれば、国境の森の魔獣を数日ですべて殲滅できるくらいに強くなったほうが国のためになるのだからということで10歳になったら皆さん冒険者になっているそうです。
アシュトンさんのお父さんもお姉さんたちも10歳で冒険者になって、結婚してもしばらくはしていたそうです。
勇者だったお爺さんの一言は王様の命令よりも優先されるそうです。どんだけすごいお爺さんなんだろう。

話は反れたけど、アシュトンさんはれっきとした貴族様です。
そりゃ紳士ですね。

強いし、かっこいいし、優しいし・・・
なんでこの人に恋人がいないのかなぁ~








「─────ということで、今の私にはこの世界についての記憶はありません。
今、私は越智愛李という、この世界とは違う国で生きた時の記憶しかなくて、この世界に関して何もわからない状態なんです。」

クレイさんに促されるまま、最初にクレイさんに話したこととほぼ同じ内容を話した。あまりにも詳しい個人情報を除くだが・・・。うん、出身学校とかクラブ活動の内容とかいらない情報だよね。
今必要な情報は、私が不審人物でも危険人物でもないことを理解してもらうことだから。
余計なことは言わないのがいい。

クレイさんの家の居間には、私の左からフィオナさん、アシュトンさん、ジェフさん、ヒューバードさん、クレイさん私に戻る順で楕円形の大きなテーブルについて話をしている。
座る順に他意はなかったけど、クレイさんの隣だったから、スルスルと話ができて不審っていうのも払拭できたらいいなぁ。
チラッとクレイさんとは逆隣をみる。
フィオナさんは腕と足を組んで表情も厳しめなのも話す前から変わらない状態だ。
手足に程よい筋肉がしなやかについて、でも筋肉質に見えない寧ろ引き締まってる分細いのに健康的で美しい肢体。体にぴったりとした服を身に着けているからなおさらセクシーなお姉様といった容貌だ。タイトな革製のミニスカートからは、光沢のあるタイツを履いた足が伸びるがこのタイツが網タイツであったならば、跪く男の人たちがワラワラ現れそうだ。
お姉さまと呼びたくなる。
う~ん、命の恩人のクレイさんの孫さんだもん。なんとか仲良くなりたいな。
せめて、誤解は解きたい。
記憶がないのも嘘じゃないし、どうしたら信じてくれるのかなぁ

「えっと、色々思うところはあるとおもいますが、」

「こいつらの許可は必要ない」

何も言わないフィオナさんに不安に思って言募ってたら、クレイさんに遮られた。
クレイさんの声に皆さんの視線はクレイさんに集まる。

クレイさんは通常運転の無表情ですが、一緒に住みだして3か月近くやっと無表情ながらにも感情の機微がわかってきました。
なにせ、間違えた対応をしたときは怒鳴られるんですもの、無表情で・・・私好みのいい声で・・・。
でっ、今のは不機嫌ではないです。
不機嫌でないですよ。

静かに怒っています。

・・・・・・・・・・・・・何故?

「そもそも、お前らは何しにここに来た?
久しぶりに来たと思えば、いきなりなんだ。
この娘のことは手紙で知らせただろう、していると。
お前たちの許可は必要ない」

「あるわよ!」

クレイさんの静かな声に反して、フィオナさんの張り上げた声が大きいとは言えない室内に響き渡る。
大きな声を発するときにガタッと座っていた椅子を倒して立ちあがった。

「いままでだれ一人としてこの中に人を入れなかったおじいちゃんが他人を近くに置いたと聞いて心配しないわけがないでしょう!」

昨日とは違って、こうして落ち付いてフィオナさんの声ってかっこいい美人系のお姉さまな容貌に比べて少しかわいらしい声だなぁ。所謂アニメ声まではいかないけど、ちょっと高めの声してる。怒ってると少し高いけどかわいらしい声だなぁと思う。

「・・・はあ、誰が入れたといった。こいつは倒れていたから保護したんだ。この意味が分からないならさっさと出ていけ」

クレイさんのいい声はさっきよりも苛立ちが滲み出ている。
そしてクレイさんのこの一言に4人の表情が変わって今度は一様に私をみた。
その目には奇異なものを見る様なものが浮かんでいた。

「・・・それって森の中じゃない?」

「いやでも、裏庭って・・・」

「裏庭の薬草畑の横だ」

ヒューバードさんとジェフさんが狼狽える様な声を出すけど、独り言のような呟きにしかならなった。
それにはっきりと場所を答えるクレイさんにまた4人は固まった。

「それはつまり・・・・・・おじいちゃんの結」

「わかったならいいだろう」

フィオナさんの発言は最後までされず、遮るようにクレイさんが話を終わらせた。
私としてはどの辺がそうなのか分からなかったが何かショックを受けたような呆けた顔をしている。
そしてショックな原因がわからないけど、視線は相変わらず私に集まっている。
自分のことを話していた時よりも居心地が悪い。
昨日、名前を聞いたと時に伺った冒険者としてすでに10年くらいの皆さんの視線は鋭い。もちろん敵を見る様な視線でないことはわかっているけど、目力があるんだよねぇ。
怖くはないけど、射抜かれている見透かされているようなそんな居心地の悪さ。

クレイさんの説明に納得がいっていないのは一目瞭然だよね。

私ももっと明確に身元を明かせたらいいのだけどそれができないもどかしさ。

ああ、本当にこの世界で暮らしていた私っていったい誰なんだろう・・・






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