誰かこの子のお父さんをしりませんかぁ?

かみい

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36◇どうしてこうなりましたかぁ?◇

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※病気に関して出てきますが、作者は医療関係者でないので詳しくありません。全て、ファンタージーな世界観でお読みください。
※医療もの話ではありません。
※グロイ表現もあります。

~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~



視点変わります



マーリンside



ヨシッと何やら気合を入れて聖女ヒナコの体に向き合ったアイリという少女。
その前に女王陛下から、すべてを託されたアイリのその目は、母親のような瞳をしていた、・・・って、そう見ても少女のアイリの方が子供のようなのに・・・

親友の娘だから?
『アイリ』が本当に『』なら、親友の子供と言う視線でいてもおかしくない。
見た目がどうであれ。

年齢的にちぐはぐだが、今までの報告と合わせるとアイリが『アイリ』ならば不思議と納得できてしまう。
まあ、アイリも母親だからか母性が出まくっている。
それこそ、私よりも・・・

私たちの見詰める前で、聖女ヒナコの体に手を当てる。
見ていると、さっきとは違う魔力の流し方をしている。

さっきのヒューもアイリも、魔力を流して対処していたが、これは・・・魔力を突き刺した?が近い表現だろうか?
病気のガンに向かってだろう、魔力を一気に差し込むような鋭い動き。
だが、それでもガンは取れない。
何度か、手を替え技を替えて挑戦していたが、びくともしないようだ。
ヒューがさっき、しがみついているような気がすると言っていたが、その様子だろう。
やはりアイリのような異世界の知識を使ってもダメなのか・・・

そう諦めかけたとき、アイリの魔力がぶわぁッと大きく膨らみ日奈子に注がれた。

それは、一瞬だけ眩い閃光のような強い魔力だった。

─────ビチャッ!

「えっ?うわっ、・・・ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!!」

眩い閃光に目を閉じた週間、何かが飛んでぶつかる音と隣から一拍遅れて叫び声が上がった。
開けた目ですぐ隣、我が可愛い夫コリーを見れば頭に小さな血肉の塊が付いていた。一拍遅れた悲鳴は、コリーが手で触って血が付いたことによるものらしい。
ああ、そういえばこの子ってば、血が苦手なのよね。
今でこそ、飄々とした風を装って大人ぶってるけど、意外と昔のまま変わらないところが多い。
野菜は嫌いだし、お化けが怖いというし、誰かが怪我でもして血を流せば倒れてしまう。コリーの方が繊細で、私よりも女性っぽい。
今も手についた血を見て立ったまま気絶している。
仕方ないと、私がコリーにクリーンをかけて綺麗にする・・・

ヒュン、ベッチャッ!

髪と手についた血を綺麗にした、その後すぐ私たちの足元にまた血肉の塊が飛んできた。

「ヒッ!!!!!」

気絶していたはずのコリーが目をひん剥いて私に抱き着く。

ヒュッ!

何かが飛んでくる音、今度ははっきり聞き取れたので防御を周りに展開して壁を作る。見渡すとアイリたちを中心に無造作に飛散っている赤黒い液体を含んだ塊。
アシュたちは、フィオナが私と同じ風の防御を張っている。

防御壁にあたる塊は、弾かれて彼方此方に飛んでいく。
ガラスと白の聖堂が、次々飛んでくる塊によって汚されていく。
そこで何か事件があったかのように、ついていく血痕。

清廉とした白い空間の聖堂が、血に染まっていく・・・

その光景は、恐怖以外なく。
だが、そうやらこれは聖女ヒナコの体から排出されている物らしい。
ということは、これが病気の『ガン』というものだろうか・・・

摘出しないといけないと言っていたから、体から出しているんだろうが、もう少し大人しくできないものか・・・
ポイポイっと、アイリの腕か動くたびに飛んでくソレら。
恐らく意識せずにやっている動作だろうが、腕の振りの方向が同じせいか、こちらに飛んでくる確率が高い。


「やだっ、いやだよぉ、こっちにとばさないでぇ・・・、ヒッ!」

コリーの頭に飛んできたもの以外は、直ぐに展開した防御壁のおかげで体にはつかない。
がっ、目の前に飛んできて防御壁に弾かれる肉塊は見ていて気持ちいいものではない。
ましてや、体に張りついた経験のコリーは、その感触が残っていたせいか怯え方がひどかった。
討伐をしていた時も怖がっていたが、最近はこんなに血みどろな現場など見ることは無い。
ふと視線を向けると、同じように防御壁を作っているフィオナの顔色がだんだん悪くなる。ジェフやアシュトンは、よく日に焼けた顔を引きつらせ顔色も悪いが気丈にもアイリから目を離さない。
旅の仲間だからか、心配なのだろう。

「・・・あらっ?」

突然、飛んできていた肉塊が途切れた。
だが、それは終わりでなかった。

アイリは変わらず、聖女ヒナコに手を当て目を閉じたままだ。

これは・・・

そうして静かになった、血まみれの聖堂。
だが、終わったわけでないことは誰の目からも明らかで、おそらくは病気も大本に取り掛かったと思われる。
ならば、この後の方がもっとすごいことになりそうだ。

「フィオナ、魔力は大丈夫だね?アイリの様子をみて、防御を強めるんだよ。たぶん、この後に大きなのが来るみたいだよ。」

討伐とかでもそうだった。
最後のボスを倒すときは、嵐の前の静けさの後、驚くほど手こずるもの。大きな敵になるほど、その分周りの環境への被害も大きい。
そう考えると、今までの肉塊は小さな『ガン』。これから、大きなものが飛んでくかもしれない。気を緩めると、こちらも大惨事になる。恐らくは、もっと血みどろになるだろう。

「は、はいっ」

私の忠告を受けて、ますます青ざめた顔で辛うじて返事を返してくる。
それは周りのみんなも同じだ。
女王陛下もオーフェン様も、そこに飛んでは来ないが次々飛び散って血で汚される聖堂を目に顔は青ざめていた。

ああ、こりゃすべてが終わった後に、まとめて洗浄魔法クリーンをかけて綺麗にするか・・・

小さな塊でこれだけの血痕だ。
聖女ヒナコの体を巣食う病魔の大本がどれ程のものか・・・

そう思っていると、アイリに変化があった。
今までの魔力が新たに練り直された。それは明らかに違う使い方をしていた。

まるで鋭い刃物のような魔法の使い方。
その魔法でならなんでも切り裂けるような鋭さを感じ取れる。

ヒュンっ!

そして、その魔力が動いた瞬間、再び迸る血肉。
アイリによって最後の摘出戦いが始まった。

ヒュンっ!ヒュンっ!ヒュンっ!・・・

再び防御壁に意識を集中させる。
防御壁に当たって周りに飛び散る血肉が、地獄絵図のような姿を作っていく。

「うぎゃ~っ、もうやだぁ・・・」

一度収まったそれが、再び飛んできたことで恐慌状態になったコリーは、私に飛びついてきた。私も思わずそれを抱き留めたものだから、お姫様抱っこ状態だ。って、私が妻で、これは夫で立場逆だろうに・・・
だが今はそれよりも、アイリの治療戦いを見守ることが大切だ。
私たちは、ヒュンっヒュンっ飛んでくる肉塊を避け続けた。
長いようで短いその戦いも、終わりが来る。
だが、その終わりが良い結果を齎すのかどうか、アイリを見守る。

「『ヒール』」

小さくアイリの口が紡がれた治療魔法の詠唱。
それは綺麗に聖女ヒナコの傷ついた体を癒していく。
そりゃそうだろう。この聖堂を彩った地獄絵図の血はヒナコの体から出したものだ。
普通の人なら、これだけの血を体の外に流せば失血死しても可笑しくない。
それを癒した───ということは、成功した?

「───ふうぅ・・・」

それまで詰めていたであろう息が大きく吐き出される。
ゆっくり開かれた瞳はヒナコに行き、その後上げ驚きに大きく見開かれた。
まずは床、壁、柱、天井と聖堂の中を驚きの顔で見渡し、青くなった顔でフィオナたちを見たあとこちらに目を向けた。見て一度逸らした後、グインっという効果音付きで再びこちらを見る。
所謂、二度見だね。
アイリが何に二度見したのか早々は付く。
私にしがみ付くように抱きかかえられている、お姫様抱っこのコリーだな。

私だってしてもらいたかったさ。だが、若いとき一度挑戦した切だ。結婚式の時にコリーがオーフェンたちの真似をして、抱かえようとして失敗して以来一度もない・・・
生涯一度もお姫様抱っこをがない私が、お姫様抱っこををこの年になってするとは。
だが、今はそれよりも・・・

「アイ・・・」

「酷いよ!!!」

女王陛下がアイリに声をかけようとしたが、それを遮って私の腕の中から大きな叫びが上がった。

「僕は、何度もやめてって言ったのに・・・、酷いよ。次々血肉の塊を飛ばしてきて。しかも、まるで僕を狙ったみたいにこっちばっかり飛んでくるし、うぷっ、気持ち悪い・・・」

それまで見たくないとばかりに、私の胸に顔を埋めていたコリーが一気にまくしたてるが、目に映った聖堂の惨状に再び私の胸に顔を埋めてきた。
プルプルと震えるさまは、かわいらしいができれば私の前だけにしてほしかった。
アイリ以外は、コリーがこういう人だと知っているが私だけが知っておきたいかわいらしい男でもある。
しかも、コリーの言葉は見当違いの抗議だ。
気丈にしているが、フィオナたちも顔色は悪く震えそうなのを堪えている。堪えているのは、この飛んできた肉塊が聖女ヒナコを蝕んでいた病気の『ガン』だとわかっているから。
だというのにこの肝の小さな男は、怯えた子犬のようにキャンキャンと吠える。
私から見たらかわいいと思うが、この場ではやめてもらいたいものだ。

全く、困った人だこと。

とはいえ、私にとってはかわいらしい夫でも今はそれを出すことはできない。
が、また怯えるコリーの背をポンポンとなだめるくらいは許されよう。

「・・・あの、これ・・・」

「ああ、アイリさん、あの人のことは気にしないでいいですわ。」

「そうだな、そんなことよりもヒナの『ガン』は・・・」

“そんなことより”“気にしなくていい”と現陛下と前陛下にそういわれてしまったが、まあそうでしょうねぇ。
未だにグズグズ泣きくさしているコリーに関して、ここは一旦放置しておこう。
アイリは、陛下たちの言葉を受けてコリーが気になるものの、女王陛下に微笑んで見せた。

「はい、私が取れる限りのガンは取り除けました・・・って、もしかして、これらは・・・あのぉ」

「そうだね、たぶんヒナの体から排出された血肉だろう。
・・・だが、これだけの血が出たというのに顔色は悪くない。『ヒール』で癒されたのだろうな。」

アイリは途中から、これ等の惨状が何によって起きたのか察したようだ。
だがオーフェン様からしたら、そんなことは些末なこと。今は、ヒナコの体調がどうなのかが重要なのだ。
そして、それはもちろん私たちも同じだ。

「『クリーン』」

とはいえ、流石にこの血みどろな空間をいつまでも放置できない。
洗浄魔法の詠唱を口にすれば、天井も床も壁や柱という血が飛び散っていた聖堂が、一瞬でもとに戻った。

「・・・すご~い」

アイリの口から感嘆の声が漏れるが、あんたの方がもっとすごかったんだけどね。まあ、褒められて悪い気はしないからそのまま受け取っとくわ。

「さぁ、聖堂も綺麗にしたし、聖女様の病気も大丈夫みたいだから、早く目覚めさせてちょうだい。」

今までの血なまぐさい状態から、本来の正常な聖堂に戻した。
これなら、聖女ヒナコも目が覚めていきなり悲鳴を上げるようなことはないだろう。
アイリの様子から成功したと思うが、やはりここは本人に確認したいものだ。

5年ぶりの再会・・・

次に会えるのは50年後よね。と言っていたから、まさか5年で目覚めることになるとはヒナコも思わないだろう・・・
再開を喜び合いたいが、たぶん私は後回しにされるかな?

何せ、別世界で別れた親友との方が感動も大きいだろう・・・

寂しいが、まあ今回は控えてあげてもいいだろう。私も年を取って丸くなったものだわ。昔なら、絶対に誰かに譲るなんてしなかったものね。

「はい!」

私の気持ちなんて知りもしない、アイリは満面の笑みで頷く。
病気を排除したことで、憂いがなくなったのだろう。

オーフェン様の指示のもと、棺の蓋を半分開けた状態に戻し表面の魔法陣にアイリの手が触れる・・・





みんなの期待と不安の混じる視線の中、アイリの魔力が注がれた・・・





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