元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

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校外学習その三

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獲物を倒し終えた俺たちは、即座に辺りを警戒する。
学校でも教わったが、そういう時が一番危ないと教わったからだ。
戦いが終わったと思った時、人は一番気が緩むと。
それに獲物の横取りを狙ったり、俺たち自身が狙われてる可能性もある。

「……どうやら、平気そうね。他に仲間もいなそうだわ」

「僕の耳にも、近くには反応ありません」

「それなら平気かな」

「そうみたいっすね」

全員で顔を見合わせ、ひとまず武器を仕舞う。
さて、獲物を倒したのはいいけど……デカすぎじゃね?
馬には乗り切らないし、嫌な予感しかしない。

「それじゃあ、砦に戻るわ。血の匂いを嗅ぎつけて、他の生き物が来る前に」

「そうですね。森でも、そうやって教わりました」

「それはいいけど、どうやって持ってく? 小さい方はともかく、大きな方は馬に乗らないかと」

「アレク、頑張ろうぜ」

「やっぱりそうなる?」

トールが全てを悟った表情で、俺の方を叩く。
どうやら、嫌な予感が的中したらしい。

「アレク……まさかと思うけど、か弱い私達に担げなんていわないわよね?」

「いや、お前はか弱くないし。ムチムチして……」

「——何か言ったかしら?」

「い、いえ! 運ばせて頂きます!」

アブナイアブナイ……危うく、俺の命も亡くなるところだった。
本人は気にしてるみたいだが、女の子はそれくらいが良いと思うけどね。

「それなら良いわ。運ぶにしても、とりあえず血止めだけはしないといけないわね。トール、火で首元を焼いてちょうだい」

「了解っす。んじゃ、行きますぜ」

トールが荷物からバーナーを取り出し、ボアの出血痕を火炙りにする。
これで、しばらくは血が流れないし、保存の意味でも鮮度が保たれるってわけだ。



小さいボアを馬に乗せ、セレナとメルルが辺りを警戒する。

そんな中、俺とトールは……チャクラを全開にして踏ん張っていた。

ただいま、二メールを超えるクレイジーボアを、二人で担いで歩いているからです。

俺は前、トールが後ろを担ぐ形だ。

「お、おもっ!」

「こ、こいつは堪えるぜ……!」

「トール、もう少し力を入れてよ!」

「ばかやろー! これでも全力だっての! お前みたいな規格外と一緒にすんな!」

「どういう意味だよ!?」

「そのままの意味だよ!」

「ちょっと!? 静かにしなさいよ!」

「「お前がなっ!」」

「ダメですっ……! みんな静かにしてよぉ~」

「「「ごめんなさい」」」

その泣きそうな表情に、俺たちは全面降伏するのだった。
その後、歩き続け……日が暮れる直前に、何とか砦に帰還する。
流石に俺たちを見かねてか、あとは二人がやってくれるそうだ。
 なので、トールとその場で座り込む。

「つ、疲れたぁ……」

「ま、全くだ……アレクみたいな規格外じゃないっての」

「だから、何の話?」

「気づいてねえのか? 体力はともかく、お前のチャクラ量は俺達とは比べ物にならないんだよ」

「そうなの?」

「ったく、相変わらずだな。それも、黒髪である証だろうに」

そういや、そんな話もあったか。
黒髪の者は生まれつきチャクラが多いとか。
そんな会話をしていると、二人が戻ってくる。

「アレクー! トール! 合格だって! 時間も日が暮れる前だし、大物だって! 子連れは警戒心が強いのにすごいって褒められたわ」

「そいつは良かった。まあ、間違いなくメルルのおかげだね」

「それはそうだな」

「ええ、そうね」

「え、えっ!? 僕ですか?」

俺たちが視線を向けると、メルルが慌てふためく。
どうやら、自覚がないらしい。

「そりゃ、そうさ。あの耳がなければ、そのまま近づいてバレてたさ」

「ぼ、僕、役に立ってましたか?」

「「「もちろん」」」

「……えへへ、ありがとうございます……僕、ここに来て良かったです……グスッ」

「えっ? お、おい?」

いきなり、メルルが泣き出してしまった。
何かまずいことを言っただろうか?

「……トール、アレクに任せていくわよ」

「良いんすか?」

「当たり前じゃない。私だって、そこまで馬鹿じゃないわ」

「へっ、良い女じゃないっすか」

「おい? 二人して何を……」

すると、二人が俺の肩に触れ……。

「アレク、ここは任せるわ。きちんと、メルルの話を聞いてあげて」

「そういうことだ。先に飯の準備をしてくるぜ。セレナ様に任せたら、今日の飯がなくなりそうだし」

「どういう意味よっ!?」

「そ、そういうわけで!」

逃げるトールを追いかけ、セレナが走り出す。

そして……俺とメルルは二人きりになるのだった。







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