田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

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 翌日になり、再び学校が始まる。

 午前中の授業は、至って基本的なものだった。

   一週間は火の日、水の日、風の日、土の日、光の日、闇の日で闇の日が休日に値すること……一ヶ月は三十日、一年は十二ヶ月、一日は二十四時間などなど。

 あとは国際情勢について。

    東の端に位置する、我が国フラムベルク王国には仮想敵国が二つある。

 北にあるガルアーク公国、西にあるゲルニカ帝国だ。

 我が国は肥沃な土地があるし、南にはドワーフ族と獣人が暮す国ドレイクがある。

 その二つは征服意欲が強いし、こちら側の土地を欲しがってる。

 なので、時折小競り合いが発生したりする。

「今は大きな戦争は起きてませんが、今後はわかりません。貴方達は未来の士官候補生でもあるので、肝に命じてくださいね」

「別に余裕だろ」

「そもそも、王都には関係ないし」

「大きな戦争って三十年くらい起きてないんでしょ? だったら平気じゃない?」

「仮に起きても、我が国が負けることはない」

 そんな生徒達の声が、ちらほらと聞こえてくる。
 ……うちの領地では、こうしてる間にも小競り合いは起きてる。
 落ち着いてはいるけど、いつ戦争になってもおかしくはない。
 本当に、王都にいる人たちは危機感がないらしい。

「ダメですよー! いつ起きるのかわからないのが戦争や、魔物の襲撃なんですから! ユウマ君、貴方のお話を聞かせてもらえますか? バルムンク領では、よく戦いになると聞いてます」

「俺ですか? そうですね……我が領の兵士達は、この国の民を守るために今も戦っております。そして、ガルアークは隙あらば攻め入ってくるでしょう。若輩ながら俺も前線に立ったことがありますが、彼らは必死そのものでした」

「うんうん、大変貴重なお話ですね。みなさん、西でもそうですよ。アストレイ公爵家が国境を守っているから、私達は平和に暮らせているのです。最近では魔物も活性化してると聞きますし、よく考えてくださいね」

「ふーん……」

「そうなんだ」

 ……だめだ、全く響いてない。
 これで、何かあった時に対応ができるのだろうか?
 それで被害を被るのは自分だったり、家族だったりするかもしれないのに。



 ◇


 そして、お昼休みの時間になる。

 セリスを見ると、カイル王子にしきりに話しかけられていた。 

「お昼どうしよう?」

「あの、わたし一緒に食べてもいいですか?」

「いいけど、他の人は?」

「わたし、避けられてるみたいで……」

 ふむふむ、それには気づいていたけど。
 多分、貴族であり元平民ということが枷になってるのかな?
 どっちからも、どういった態度をしていいかわからないかも。
 ちなみに、俺は普通に避けられてます……ぐすん。

「んじゃ、ぼっち同士で行くとしますか」

「えへへ、これでぼっちじゃないですっ」

「おっ、確かに」

 学食付きなので、教室を出ると……アルトに出くわす。
 いた! 俺の男友達が!

「おおっ! アルトっ!」

「ユ、ユウマ君!? こ、こんにちは」

「こんにちは。アルトも、これからご飯かな?」

「う、うん、ただ僕が使っていいのかなって」

 どうやら、獣人である自分が使っていいのか迷ってる様子。
 うちは奴隷制度は廃止しているが、未だに根強い禍根が残っている。

「当たり前だろ、生徒なんだし。んじゃ、俺たちと行こうか」

「い、いいの? その、女の子いるけど……」

「わたしは平気ですよ。カレン-エルランって言います」

「ぼ、僕はアルトと申します! 貴族の女の子……」

「元平民なので、気軽に接してください。同じ女の子ですし、仲良くしてくれると嬉しいです」

 ……最後、なんて言った? 同じ女の子だと言ったのか?
 いやいや、アルトは確かに可愛い顔をしてる。
 でも僕って言ってるし、女性特有のメリハリがない。

「カレン、アルトは男の子だよ」

「ユ、ユウマさん? 何を言って……」

「へっ? ぼ、僕、女の子です!」

「……本当に?」

「う、うん! ほんとだよ!」

「ユウマさん、どこからどう見ても女の子ですっ」

 二人は嘘を言ってるようには見えない。

 どうやら、アルトは女の子だったようです。

 ぬぉぉぉ!?  俺の男友達はいつになったらできるんだァァァ!?






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