田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

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選択授業

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 それから数日が経ち提出の期限を迎え、ひとまず俺の中で科目は決まった。

 剣、水魔法、風魔法は予定通りで、最後のは土魔法にすることにした。

 セリスが取っているのもあるけど、水魔法の弱点でもあるし。

 俺は風魔法も使えるけど、どちらかというと水魔法の方が得意だ。

 風は補助的なことや、素早く仕留める時に使うことが多い。

 そんなことを考えつつ、放課後の空き部屋にて三人で書類を作成していた。

「これでよしと……あとは、提出するだけだね」

「私は剣、土魔法、盾、短剣にしたわ」

「ふんふん、その四つにした理由は?」

「剣と土魔法は決まってたけど、ユウマが言ってたことを参考にしたわ。私は土魔法が使えるなら、盾との相性が良いかもって」

「うん、それは間違ってないかも。俺の先輩とかも、盾と土魔法を使ってたし」

 確かに、ここ数日間の会話で言った気がする。
 例えば盾に土魔法を付随させて、防御力を上げたり。
 何より守りの魔法とも言われる土魔法と、守るという目的である盾は相性がいい。
 魔法はイメージが大切で、盾を使っていれば土魔法も向上する可能性が高い。

「何より、嬉しかったの。私、女は前衛に出るなって言われるかと思ったから。男の人とか、女性に守られたりするの嫌うし」

「まあ、男側の気持ちはわかるよ。俺だって、出来れば女性を盾にするよりは自分が守りたいし。でも、それって俺たち側の押し付けというか……本人がそうしたいなら良いと思うんだ」

「ええ、ユウマがそう言ってくれたから迷いがなくなったわ。私はいざという時に、誰かを守れる存在でいたいかなって」

「うん、そう決めたなら良いと思う。きっと、その意思は魔法に現れるし。そもそも、女性が男より前に出ちゃいけないなんて決まりはないし」

 何せ、我が師匠であるライカさんは……その身一つで前線に立つような女傑である。
 守りますなんて言ったら、張り倒される未来しか見えない。
 というか、実際に行った勇敢な兵士さんがいて……うん、はっ倒されてたね。

「そうよね、明確な決まりがあるわけじゃないし。ところで、カレンは決まったかしら?」

「うーん、ちょっと迷ってたんですけど……光魔法、弓、短剣、水魔法にしました」

「残りは短剣と水魔法にしたのね。それなら、一つは一緒にできるわ」

「それもありますけど……私も、ユウマさんの意見を参考にしました」

「……あれ? 俺、何か言ったかな?」

 カレンには、特に何か助言をした覚えはなかったけど。
 というか、光魔法は稀有だから色々と難しいし。

「いえ。というより、ユウマさんを参考にしました。回復役であるわたしは、出来るだけ傷を負ってはいけないし、距離を迫られると弱いって。なので、まずは魔力温存のために弓、そして近づかれた時用に短剣かなって思ってます」

「あぁ、なるほど。うん、俺自身が心がけてることだね。特に魔力温存については……いざって時に人を救えないんじゃ困るからね」

「はい、わたしは光魔法を使って人々を助けたいですっ」

「ふふ、それぞれ数日間悩んだ甲斐があったわね。戦いを専門職にするかはわからないけど、どちらにしろ戦う力は必要だもの」

 今期から校外学習もそうだが、ダンジョン探索などで鍛錬も始めるらしい。
 仮想敵国の動きもそうだけど、最近の魔物の活発化などが原因とか。
 俺が王都に来る際に出会った魔物も、本来なら街道に出るような魔物ではなかったとか。

「確かに兵士の練度も高くないみたいだね。セリスの護衛についてた人達、ホブゴブリンやコボルトナイトに苦戦するって言ってたし」

「それを言われると耳がいたいわ。冒険者の登竜門と言われる魔物なんだけど……あの後、やっぱり平和ボケしてるって言ってたから。これも、バルムンク家が強い魔物や魔獣を討伐してくれるおかげだって」

「その辺は難しいなぁ……わざと見逃して、そちらに行かせるわけには行かないし。危機感は出るけど、それで民や兵士が犠牲になったら本末転倒だし」

「そこなのよね……だから、私の家の兵士たちも今以上に鍛錬するって言ってたわ。もしもの時に備えるために」

 すると、教室の扉が開き……ミレーユさんがやってきた。

「あれ? ミレーユさん?」

「ここにいたのか、探したぞ」

「何か用ですかね?」

「いや、セリス殿に用事があってきたのだ。この間の話は考えてくれたかな?」

 すると、セリスの顔がみるみるうちに真っ青になっていく。

「あっ……申し訳ありません! 失念しておりました!」

「いや、気にしないで良い。お主にも、色々あるであろう。我が従兄弟殿が迷惑をかけているようだし」

「い、いえ、迷惑などと……」

「まあ、その辺りは私も口出すつもりはない。では、改めて考えておいてくれ。来週には部活見学も始まるしな。ではな、ユウマ殿」

 そう言い、華麗に去っていく。
 何故か、去り際にウインクをされたけど。

「セリス? 何かあったの?」

「二人には言ってなかったんだけど、実は生徒会に誘われてたの。ただ、恥ずかしいことに忘れてしまっていたわ」

「あっ、そうなんだね。いやいや、忙しい無理もないって」

「そうですよっ! それにしても、生徒会長直々のスカウトって凄いですね」

「ふふ、二人ともありがとう……さて、色々とどうしようかしら」

 そう言い、少し暗い顔をする。
 ……本人が言うまでは、無理に聞き出すのは良くない気もするし。
 一応、何かあったら力になるって言ったけど、セリスは素直じゃないし。
 かと言って、放っておくのはダメだよね。

「セリス、明日の午後は予定ある?」

「えっ? う、ううん、特にないわ。明日は光の日だから午前中には学校終わるし」

「だったら、俺とどっか出掛けない?」

「……いいの?」

「いいも何も俺が誘ってるんだけど?」

「……じゃあ、よろしくお願いします」

 すると、何故が両手でスカートの端っこを掴んで下を向く。

 ふと横を見ると、カレンがクスクス笑っていた。

 ……あれ? 何か変なことしたかな?





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