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聖剣バルムンク
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その後、平屋の建物にノックする。
「入るがいい」
「失礼します」
「お邪魔します」
二人で中に入ると、そこにはずんぐりむっくりした小さなおじさんがいた。
話に聞いた通り、あれがドワーフという種族だ。
成人しても身長は160前後で止まり、老け顔をしているとか。
「ふんっ、見たところ貴族の小僧と嬢ちゃんのようだが……ゼノスが通すなら、まともな客ということか」
「ゼノス……ああ、あの風魔法使いの方ですか」
「ああ、そうじゃ。あやつのおかげで、余計な奴が来ないからのう。して、何の用じゃ?」
「いや、別に用ってわけじゃないんです。ただ、ドワーフ族の方に会ったことがなかったので」
申し訳ないことに、大した用事があるわけじゃない。
むしろ、会えたので目的は達成したようなものだ。
素早さ重視の俺に重たい防具はいらないし、俺にはバルムンクがある。
聖剣らしく、お手入れもいらない優れものだし。
「くははっ! ここまで苦労してきて、ワシの顔だけ見にきたのかっ! 大体が、自分のために武器を作れやら偉そうに言ってくるのだが。さて……お嬢ちゃんもか?」
「私は……今日は付き添いで来ましたの。この人、放っておくと何かしでかすので」
「酷くない? まだ、なにもしてないのに……」
「なに言ってるのよ? すでに、凄腕の魔法使いを威嚇だけで撃退しておいて。今だって、ドワーフ族の顔だけ見たいだなんて。上位ランクの冒険者や、王宮騎士団がこぞってお願いするような相手なのよ?」
「ひゃい、すびません」
ほっぺをムニムニされて説教みたいです!
別に、俺は普通のつもりなんだけとなぁ。
「なるほど、面白い少年じゃ。ふむ、ワシの名前はガレスという。もし、他に頼みがあればいうといい」
「俺の名前はユウマといいます。こちらはセリスです。それじゃあ、武器や防具を見せてもらってもいいですか?」
「それくらいお安い御用じゃ。こっちの部屋にあるから好きに見るといい」
そして、リビングの奥にある扉をあけてくれた。
そこには鍛治工房が見え、辺りには武器や防具が飾ってある。
俺とセリスは早速中に入り、見学させてもらう。
「おおっ、良い武器や防具の数々ですね。剣、斧、槍、弓、盾、鎧……うん、どれも素晴らしい仕事ぶりですね」
「うわぁ……すごい数だわ。私には、良し悪しはわからないけど」
「ほう? 物の良し悪しを判断できるのか?」
「ええ、一応ですけど」
エリスやライカさんには、色々な物を見せてもらったし。
武器や防具の性質を見抜けることも、戦場で生き残るコツだとか。
何より、いつも間近で業物を見てるから。
「ユウマには、聖剣があるものね。そういえば、今は持ってないし学校にも持ってきてないわよね?」
「うん、基本的には帯剣しないようにしてる。あの子も自由が良いだろうし、俺自身も無い方が楽だしね」
「あの子って、まるで生きているような言い方ね。それに楽だからって……ふふ、本当に変だわ。普通なら、見せびらかしたいって思うでしょうし」
「まあ、バルムンクには意思があるから生きていると言っても過言じゃないかな。見せびらかしたりしたら、愛想をつかされちゃうよ」
すると、ガレスさんが俺の腕を無言で掴む。
その目は今にも、人を殺しそうな目をしていた。
「な、何ですか?」
「……なんと言った? 聖剣バルムンクじゃと? お主、英雄バルムンク家の者か? しかも、選ばれていると?」
「は、はい、ユウマ-バルムンクなので。一応、いまの所有者となってます」
「全く、家名を名乗らない貴族など見たことないわい。それより——頼む! 見せてはくれまいか!?」
そう言い、いきなり頭を下げてくる。
「ちょっ!? 頭をあげてください! その、別に見せる分には構わないので」
「無茶を言ってるのは分かっとる。当代で一人しか扱えない、そして気高き聖剣を見ず知らずのドワーフに……なんと言った?」
「いや、見せても良いですって。あの武器の数々を見てたらわかります、貴方がどんな気持ちで仕事をしているのか。どれも錆びれ一つなく、手入れが行き届いていますし」
「なんと……感謝する……!」
「別に良いですって。それじゃあ……おいで、バルムンク」
俺が声を発すると、目の前に浮いた状態でバルムンクがやってくる。
これこそが、意思があり聖剣と言われる所以の一つだ。
持ち主が呼んだら、何処にいようと一瞬で飛んでくることが可能だ。
「おおっ……!」
「バルムンク、この人が見たいんだって……良いかな?」
すると、鞘が抜けて刀身が露わになる。
そのまま、置いている台座の上に横になった。
「バルムンク、良いですって」
「かたじけない! 美しい刀身……まさしく聖剣……まさか、生きてるうちに見れるとは……ふむふむ、なるほど人が作れるモノではない……だが、近づけることはできるか?」
夢中になって、バルムンクを眺めたり慎重に触れたりする。
嫌がってる様子もないので、俺が辺りを見回すと……セリスが何かを眺めていた。
「何を見てたの?」
「えっ? う、ううん、なんでもないわ。それにしても、バルムンクって呼んだらくるのね」
「まあ、普段は呼ぶ機会もないしね。何かあっても、俺は魔法で解決することが多いし」
俺はセリスが見ていたものを確認し……思案する。
なるほど、アレが欲しいのかもしれない。
……ふむふむ、少し手を打っておきますか。
「入るがいい」
「失礼します」
「お邪魔します」
二人で中に入ると、そこにはずんぐりむっくりした小さなおじさんがいた。
話に聞いた通り、あれがドワーフという種族だ。
成人しても身長は160前後で止まり、老け顔をしているとか。
「ふんっ、見たところ貴族の小僧と嬢ちゃんのようだが……ゼノスが通すなら、まともな客ということか」
「ゼノス……ああ、あの風魔法使いの方ですか」
「ああ、そうじゃ。あやつのおかげで、余計な奴が来ないからのう。して、何の用じゃ?」
「いや、別に用ってわけじゃないんです。ただ、ドワーフ族の方に会ったことがなかったので」
申し訳ないことに、大した用事があるわけじゃない。
むしろ、会えたので目的は達成したようなものだ。
素早さ重視の俺に重たい防具はいらないし、俺にはバルムンクがある。
聖剣らしく、お手入れもいらない優れものだし。
「くははっ! ここまで苦労してきて、ワシの顔だけ見にきたのかっ! 大体が、自分のために武器を作れやら偉そうに言ってくるのだが。さて……お嬢ちゃんもか?」
「私は……今日は付き添いで来ましたの。この人、放っておくと何かしでかすので」
「酷くない? まだ、なにもしてないのに……」
「なに言ってるのよ? すでに、凄腕の魔法使いを威嚇だけで撃退しておいて。今だって、ドワーフ族の顔だけ見たいだなんて。上位ランクの冒険者や、王宮騎士団がこぞってお願いするような相手なのよ?」
「ひゃい、すびません」
ほっぺをムニムニされて説教みたいです!
別に、俺は普通のつもりなんだけとなぁ。
「なるほど、面白い少年じゃ。ふむ、ワシの名前はガレスという。もし、他に頼みがあればいうといい」
「俺の名前はユウマといいます。こちらはセリスです。それじゃあ、武器や防具を見せてもらってもいいですか?」
「それくらいお安い御用じゃ。こっちの部屋にあるから好きに見るといい」
そして、リビングの奥にある扉をあけてくれた。
そこには鍛治工房が見え、辺りには武器や防具が飾ってある。
俺とセリスは早速中に入り、見学させてもらう。
「おおっ、良い武器や防具の数々ですね。剣、斧、槍、弓、盾、鎧……うん、どれも素晴らしい仕事ぶりですね」
「うわぁ……すごい数だわ。私には、良し悪しはわからないけど」
「ほう? 物の良し悪しを判断できるのか?」
「ええ、一応ですけど」
エリスやライカさんには、色々な物を見せてもらったし。
武器や防具の性質を見抜けることも、戦場で生き残るコツだとか。
何より、いつも間近で業物を見てるから。
「ユウマには、聖剣があるものね。そういえば、今は持ってないし学校にも持ってきてないわよね?」
「うん、基本的には帯剣しないようにしてる。あの子も自由が良いだろうし、俺自身も無い方が楽だしね」
「あの子って、まるで生きているような言い方ね。それに楽だからって……ふふ、本当に変だわ。普通なら、見せびらかしたいって思うでしょうし」
「まあ、バルムンクには意思があるから生きていると言っても過言じゃないかな。見せびらかしたりしたら、愛想をつかされちゃうよ」
すると、ガレスさんが俺の腕を無言で掴む。
その目は今にも、人を殺しそうな目をしていた。
「な、何ですか?」
「……なんと言った? 聖剣バルムンクじゃと? お主、英雄バルムンク家の者か? しかも、選ばれていると?」
「は、はい、ユウマ-バルムンクなので。一応、いまの所有者となってます」
「全く、家名を名乗らない貴族など見たことないわい。それより——頼む! 見せてはくれまいか!?」
そう言い、いきなり頭を下げてくる。
「ちょっ!? 頭をあげてください! その、別に見せる分には構わないので」
「無茶を言ってるのは分かっとる。当代で一人しか扱えない、そして気高き聖剣を見ず知らずのドワーフに……なんと言った?」
「いや、見せても良いですって。あの武器の数々を見てたらわかります、貴方がどんな気持ちで仕事をしているのか。どれも錆びれ一つなく、手入れが行き届いていますし」
「なんと……感謝する……!」
「別に良いですって。それじゃあ……おいで、バルムンク」
俺が声を発すると、目の前に浮いた状態でバルムンクがやってくる。
これこそが、意思があり聖剣と言われる所以の一つだ。
持ち主が呼んだら、何処にいようと一瞬で飛んでくることが可能だ。
「おおっ……!」
「バルムンク、この人が見たいんだって……良いかな?」
すると、鞘が抜けて刀身が露わになる。
そのまま、置いている台座の上に横になった。
「バルムンク、良いですって」
「かたじけない! 美しい刀身……まさしく聖剣……まさか、生きてるうちに見れるとは……ふむふむ、なるほど人が作れるモノではない……だが、近づけることはできるか?」
夢中になって、バルムンクを眺めたり慎重に触れたりする。
嫌がってる様子もないので、俺が辺りを見回すと……セリスが何かを眺めていた。
「何を見てたの?」
「えっ? う、ううん、なんでもないわ。それにしても、バルムンクって呼んだらくるのね」
「まあ、普段は呼ぶ機会もないしね。何かあっても、俺は魔法で解決することが多いし」
俺はセリスが見ていたものを確認し……思案する。
なるほど、アレが欲しいのかもしれない。
……ふむふむ、少し手を打っておきますか。
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