45 / 62
料理人は人々と交流する
ハクは人気者
しおりを挟む
早いもので、あの事件から二週間が過ぎた。
ちなみに、奴がどうなったのかは聞かないことにした。
俺はその間に依頼を受けてお金を貯めたり、こちらで知り合った方との交流を深めていた。
あんなことがあったが、いくつか良いこともあった。
それはハクの成長である。
「ハク! そっちに行ったぞ!」
「ワフッ!」
「ギャー!?」
ハクの爪の一撃により、ゴブリンが魔石となる。
もはや、ゴブリン程度では相手にならないくらいだ。
大きさも子犬から中型犬くらいになっていて、流石は最強の魔獣と呼ばれるだけのことはある。
「ハク、偉いぞ。ゴブリンなら何体来ても問題なさそうだ」
「ククーン……」
いつもなら撫でて褒めると喜んで尻尾を振るのたが、今回は落ち込んだ様子だ。
俺の見た所、ミスらしいミスはなかったと思うのだが。
「おいおい、どうした?」
「ガウッ!」
「何やら不満そうだな? 参ったな、俺はお前のいうことはわからんし……よし、聞きに行ってみるか」
俺はハクを抱いて、急いで門へと戻るのだった。
ここに来て約一ヶ月が経ち、門番とも顔見知りになった。
段々と、この世界の住人として認められたような気がして嬉しくなる。
ただ、その一番の原因が俺ではなくて……ハクにあることだけは納得がいかない。
「ハクちゃんよぉ~!」
「こっち向いてー!」
「可愛いぃぃ!!」
「キャン!」
「「はぅ!?」」」
ハクが愛想を振りまくと、それを見た女性陣がハートを射抜かれていく。
「おい! ハクじゃねえか!」
「ほれ! これでも食ってきな!」
「馬鹿やろー! ハクちゃんはうちの飯を食うんだよ!」
「ワフッ!」
「す、すまねえ!」
「大丈夫! おじさん達は仲良しだぜ!」
このように、屋台にいるおじさん達にも大人気である。
俺? 俺には誰も話しかけてきませんが?
嫌われてるわけではない、ハクの人気が凄すぎるだけだ。
多分、ハクの飼い主って認識なのだろう……別に良いけどさ。
「ワフッ?」
「いや、何でもないさ。みんなに可愛がってもらって良かったな?」
「キャン!」
あの事件があったから、ハクを自由にさせるかは迷った。
でも本来なら、テイムされた魔獣が襲われることは滅多にないらしい。
何故なら、重罪に値するからだ。
ハクの成長を縛るのも良くないので、ここ最近は放置するようにしていた。
その所為か、このように人気者になってしまったというわけだ。
「まったく、羨ましい限りだよ」
「ワフッ!」
「あっ、ドヤ顔したな? このぉぉ~!!」
「ハフハフ」
両ほっぺをムニムニすると、満足そうな顔をしてくる。
うん、相変わらず可愛い。
これは人気が出るのも仕方ないというものだ……ちょっと親バカだったか?
「タツマにハク、道の往来で何をやっているのだ?」
「ワフッ!」
「アリアさん! 良かった! 貴女に会いたかったのです!」
「そ、そうか……私に会いたかったら会いにくればいいのに……」
「いえ、あんまり押しかけるのも迷惑になるかなと」
「むぅ……私は気にしないが」
なにせ、この都市の兵士達のまとめ役だ。
本来なら、俺みたいなよくわからない者に関わる時間はないはず。
ご好意は嬉しいが、それに甘えすぎるのも良くない。
……今回はハクについて相談があるいう建前だからセーフである。
「いえいえ。それで、今日はお一人ですか?」
「ああ、書類仕事に飽きたので散歩を兼ねた巡回中でな。それで、私に会いたいとは……」
「実はハクが何か言いたいことがあるみたいで。ただ、俺にはよくわからないのです。なので、カレンさんのお力を貸してくれないかと」
「……つまり、私ではなくカレンに会いたかったと? 私は、そのついでだと?」
何やらアリアさんの顔が険しくなっていく。
なんだ? 何を間違った?
「ア、アリアさん?」
「ふんっ……お主という奴は。まあいい、付いて来るといい」
「ワフッ……」
ハクが俺の足をポンと叩き……顔が『やれやれ』と言っていた。
何故か今だけは、何を言っているのかわかった気がする。
ちなみに、奴がどうなったのかは聞かないことにした。
俺はその間に依頼を受けてお金を貯めたり、こちらで知り合った方との交流を深めていた。
あんなことがあったが、いくつか良いこともあった。
それはハクの成長である。
「ハク! そっちに行ったぞ!」
「ワフッ!」
「ギャー!?」
ハクの爪の一撃により、ゴブリンが魔石となる。
もはや、ゴブリン程度では相手にならないくらいだ。
大きさも子犬から中型犬くらいになっていて、流石は最強の魔獣と呼ばれるだけのことはある。
「ハク、偉いぞ。ゴブリンなら何体来ても問題なさそうだ」
「ククーン……」
いつもなら撫でて褒めると喜んで尻尾を振るのたが、今回は落ち込んだ様子だ。
俺の見た所、ミスらしいミスはなかったと思うのだが。
「おいおい、どうした?」
「ガウッ!」
「何やら不満そうだな? 参ったな、俺はお前のいうことはわからんし……よし、聞きに行ってみるか」
俺はハクを抱いて、急いで門へと戻るのだった。
ここに来て約一ヶ月が経ち、門番とも顔見知りになった。
段々と、この世界の住人として認められたような気がして嬉しくなる。
ただ、その一番の原因が俺ではなくて……ハクにあることだけは納得がいかない。
「ハクちゃんよぉ~!」
「こっち向いてー!」
「可愛いぃぃ!!」
「キャン!」
「「はぅ!?」」」
ハクが愛想を振りまくと、それを見た女性陣がハートを射抜かれていく。
「おい! ハクじゃねえか!」
「ほれ! これでも食ってきな!」
「馬鹿やろー! ハクちゃんはうちの飯を食うんだよ!」
「ワフッ!」
「す、すまねえ!」
「大丈夫! おじさん達は仲良しだぜ!」
このように、屋台にいるおじさん達にも大人気である。
俺? 俺には誰も話しかけてきませんが?
嫌われてるわけではない、ハクの人気が凄すぎるだけだ。
多分、ハクの飼い主って認識なのだろう……別に良いけどさ。
「ワフッ?」
「いや、何でもないさ。みんなに可愛がってもらって良かったな?」
「キャン!」
あの事件があったから、ハクを自由にさせるかは迷った。
でも本来なら、テイムされた魔獣が襲われることは滅多にないらしい。
何故なら、重罪に値するからだ。
ハクの成長を縛るのも良くないので、ここ最近は放置するようにしていた。
その所為か、このように人気者になってしまったというわけだ。
「まったく、羨ましい限りだよ」
「ワフッ!」
「あっ、ドヤ顔したな? このぉぉ~!!」
「ハフハフ」
両ほっぺをムニムニすると、満足そうな顔をしてくる。
うん、相変わらず可愛い。
これは人気が出るのも仕方ないというものだ……ちょっと親バカだったか?
「タツマにハク、道の往来で何をやっているのだ?」
「ワフッ!」
「アリアさん! 良かった! 貴女に会いたかったのです!」
「そ、そうか……私に会いたかったら会いにくればいいのに……」
「いえ、あんまり押しかけるのも迷惑になるかなと」
「むぅ……私は気にしないが」
なにせ、この都市の兵士達のまとめ役だ。
本来なら、俺みたいなよくわからない者に関わる時間はないはず。
ご好意は嬉しいが、それに甘えすぎるのも良くない。
……今回はハクについて相談があるいう建前だからセーフである。
「いえいえ。それで、今日はお一人ですか?」
「ああ、書類仕事に飽きたので散歩を兼ねた巡回中でな。それで、私に会いたいとは……」
「実はハクが何か言いたいことがあるみたいで。ただ、俺にはよくわからないのです。なので、カレンさんのお力を貸してくれないかと」
「……つまり、私ではなくカレンに会いたかったと? 私は、そのついでだと?」
何やらアリアさんの顔が険しくなっていく。
なんだ? 何を間違った?
「ア、アリアさん?」
「ふんっ……お主という奴は。まあいい、付いて来るといい」
「ワフッ……」
ハクが俺の足をポンと叩き……顔が『やれやれ』と言っていた。
何故か今だけは、何を言っているのかわかった気がする。
応援ありがとうございます!
1,102
お気に入りに追加
3,082
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる