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新しい生活
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……体が重い。
いや、当然か……儂も還暦を過ぎたジジイ。
……待て待てい! 儂は若返ったはず!
「……お主のせいか」
「ウォン!(主人!)」
目を開けると、そこには大きな狼……オルトスがのしかかっていた。
成獣ではないが、既に体重は40キロくらいはある。
果たして此奴が大人になった時……儂、潰されんかのう。
「なんじゃ、人が気持ちよく昼寝をしていたというのに」
「ウォン!(寝すぎなのだ! もう朝なのだ!)」
「なに? そんな馬鹿な……なんと」
ふと窓を見れば、そこには日差しが入っていた。
儂は遅めの昼食を食べた後、軽く昼寝をしようとベットに入ったのだが……そのまま、朝まで寝てしまったらしい。
どうやら、野宿続きで疲れていたようじゃな。
「ウォン(我は悪くないのだ)」
「そうじゃな、儂が寝過ぎてすまんかった。しかし、よく今まで起こさなかったな?」
「ククーン……(だって、主人は野宿続きだったし)」
「ったく、いらん気を使うでない。少しベットが気持ちよかっただけじゃわい」
儂は勢い良く起き上がり、なんでもないアピールをする。
儂の旅の目的の一つには、この子を伸び伸びと育てること。
こんなことで気を遣わせてはいかん。
「ウォン!(確かにフカフカなのだ!)」
「うむ、良い宿じゃな。しかし、飯とかはどうしたのだ?」
「ウォン(メリッサやアンナが用意してくれたのだ。あとは、アリアと遊んでやったのだ)」
「なんと、それでは礼をせねば」
儂は洗面台で顔だけ洗い、急いで部屋を出る。
そして階段を降りると、メリッサ殿に出くわす。
「シグルドさん、おはようございます……ふふ、お寝坊さんですね」
「こ、これはすまぬ。つい、ベットが気持ちよくてな」
「それなら良かったです。うちは自慢の布団を使ってますからね」
「何か特別な……いや、それより先にお礼を申し上げる。儂が眠っている間に、メリッサ殿やアンナ嬢にご迷惑をおかけしてしまった」
「いえいえ、お気になさらずに。それに、沢山のお金を頂きましたから」
「いや、それとこれとは話が別じゃ」
儂は腰を深く曲げて謝罪する。
お金を多く使ったから横柄にしたり、迷惑をかけて良いわけではない。
それでは、儂の嫌いな傲慢な貴族供と一緒になってしまう故。
「……本当に律儀な方なのですね。ふふ、アリアさんが気にいるわけだわ」
「むっ? そうなのか?」
「ええ、それはもう。寝ている間に、アンナに昨日のシグルドさんの勇姿を語っていたくらいですから」
「ほほっ、別に大したことはしとらんのですがな」
すると、ドタドタと音がして扉が開く。
そこには、息を切らしたアリア殿がいた。
「シグルド殿! 起きたのですね!」
「アリア殿、心配かけてしまったようじゃな。そして、オルトスの遊び相手になってくれて感謝する」
「い、いえ、私も楽しかったですから」
「ウォン(遊んであげたのは我の方なのだ)」
「アリア殿にもきちんと礼をせねば……その前に飯を食って良いかのう? さっきから、腹ペコで……」
すると、アリア殿とメリッサ殿が笑う。
やはり、女性には笑顔が一番似合うものよな。
席に着き、野菜と肉のスープにパン、カリカリに焼いたベーコンを頂く。
シンプルじゃが出汁が効いているし、ベーコンと一緒にパンと食べると実に美味い。
そもそも、きちんとした朝ご飯を食べられるというのが既に贅沢なことである。
「ふぅ、朝から贅沢な食事だったわい」
「すみません、昨日は買い出しに行く時間がなくて……材料が足りなかったです」
「いやいや、寝坊をした儂が悪いので気にせんでくれ。そもそも、急に泊まりに来たのだから」
「ありがとうございます。その代わり、夕飯は楽しみにしててくださいね。これから買い出しに行きますので」
「おおっ、それは楽しみじゃわい!」
その後、買い出しに行くメリッサ殿とアンナ嬢を見送る。
儂らが宿を出るときはどうしたら良いかと思ったら、どうやらアリア殿がスペアキーを預かっているとか。
なのでアリア殿が出るタイミングに合わせ、儂も一緒に出ることにした。
儂も一つ風呂入ってから、アリア殿と共に宿を出る。
「なるほど、信用されておる」
「い、いえ、それほどでも。単純に、ここにいる時間が長いので……」
「ほう? どれくらいいるのだ?」
「今月で半年はいる計算になるかと」
見たところ、地元という感じではない。
そして冒険者が半年も同じ場所に居座ることは珍しいはず。
それこそ結婚したり、地域に根付いたりすれば話は別だが。
……深く関わらんと決めたが、やはり気になるのう。
「ほう、それは長いな。ちなみに……理由は聞いても?」
「冒険者ランクを上げたいのです。ここならダンジョンこそありませんが、森や山などがあるので依頼には事欠かないですから」
「ふむふむ、そういうことか。それに街道沿いで国境付近ということは、商隊の護衛依頼とかもありそうじゃな」
「……そうですね。シグルド殿はそういった依頼を?」
「最終的には国境を越えていくので受けることになるかのう。それまでは、適当に受けるつもりじゃ」
「なるほど、そうですか……」
そんな会話をしていると、路地を出て大通りに出る。
一気に人が多くなり、活気のある風景が目に入った。
流石は栄えてるというだけある。
「ここから出口と反対方向に行けば、冒険者ギルドじゃったか?」
「ええ、そうです……」
「立ち止まってどうしたのじゃ?」
「——シグルド殿、ここからは別行動にしましょう」
そう言い、アリア殿は悲しいような、それでいて決意を固めた表情を浮かべた。
……はぁ、またユーリスに言われることは間違いないわい。
いや、当然か……儂も還暦を過ぎたジジイ。
……待て待てい! 儂は若返ったはず!
「……お主のせいか」
「ウォン!(主人!)」
目を開けると、そこには大きな狼……オルトスがのしかかっていた。
成獣ではないが、既に体重は40キロくらいはある。
果たして此奴が大人になった時……儂、潰されんかのう。
「なんじゃ、人が気持ちよく昼寝をしていたというのに」
「ウォン!(寝すぎなのだ! もう朝なのだ!)」
「なに? そんな馬鹿な……なんと」
ふと窓を見れば、そこには日差しが入っていた。
儂は遅めの昼食を食べた後、軽く昼寝をしようとベットに入ったのだが……そのまま、朝まで寝てしまったらしい。
どうやら、野宿続きで疲れていたようじゃな。
「ウォン(我は悪くないのだ)」
「そうじゃな、儂が寝過ぎてすまんかった。しかし、よく今まで起こさなかったな?」
「ククーン……(だって、主人は野宿続きだったし)」
「ったく、いらん気を使うでない。少しベットが気持ちよかっただけじゃわい」
儂は勢い良く起き上がり、なんでもないアピールをする。
儂の旅の目的の一つには、この子を伸び伸びと育てること。
こんなことで気を遣わせてはいかん。
「ウォン!(確かにフカフカなのだ!)」
「うむ、良い宿じゃな。しかし、飯とかはどうしたのだ?」
「ウォン(メリッサやアンナが用意してくれたのだ。あとは、アリアと遊んでやったのだ)」
「なんと、それでは礼をせねば」
儂は洗面台で顔だけ洗い、急いで部屋を出る。
そして階段を降りると、メリッサ殿に出くわす。
「シグルドさん、おはようございます……ふふ、お寝坊さんですね」
「こ、これはすまぬ。つい、ベットが気持ちよくてな」
「それなら良かったです。うちは自慢の布団を使ってますからね」
「何か特別な……いや、それより先にお礼を申し上げる。儂が眠っている間に、メリッサ殿やアンナ嬢にご迷惑をおかけしてしまった」
「いえいえ、お気になさらずに。それに、沢山のお金を頂きましたから」
「いや、それとこれとは話が別じゃ」
儂は腰を深く曲げて謝罪する。
お金を多く使ったから横柄にしたり、迷惑をかけて良いわけではない。
それでは、儂の嫌いな傲慢な貴族供と一緒になってしまう故。
「……本当に律儀な方なのですね。ふふ、アリアさんが気にいるわけだわ」
「むっ? そうなのか?」
「ええ、それはもう。寝ている間に、アンナに昨日のシグルドさんの勇姿を語っていたくらいですから」
「ほほっ、別に大したことはしとらんのですがな」
すると、ドタドタと音がして扉が開く。
そこには、息を切らしたアリア殿がいた。
「シグルド殿! 起きたのですね!」
「アリア殿、心配かけてしまったようじゃな。そして、オルトスの遊び相手になってくれて感謝する」
「い、いえ、私も楽しかったですから」
「ウォン(遊んであげたのは我の方なのだ)」
「アリア殿にもきちんと礼をせねば……その前に飯を食って良いかのう? さっきから、腹ペコで……」
すると、アリア殿とメリッサ殿が笑う。
やはり、女性には笑顔が一番似合うものよな。
席に着き、野菜と肉のスープにパン、カリカリに焼いたベーコンを頂く。
シンプルじゃが出汁が効いているし、ベーコンと一緒にパンと食べると実に美味い。
そもそも、きちんとした朝ご飯を食べられるというのが既に贅沢なことである。
「ふぅ、朝から贅沢な食事だったわい」
「すみません、昨日は買い出しに行く時間がなくて……材料が足りなかったです」
「いやいや、寝坊をした儂が悪いので気にせんでくれ。そもそも、急に泊まりに来たのだから」
「ありがとうございます。その代わり、夕飯は楽しみにしててくださいね。これから買い出しに行きますので」
「おおっ、それは楽しみじゃわい!」
その後、買い出しに行くメリッサ殿とアンナ嬢を見送る。
儂らが宿を出るときはどうしたら良いかと思ったら、どうやらアリア殿がスペアキーを預かっているとか。
なのでアリア殿が出るタイミングに合わせ、儂も一緒に出ることにした。
儂も一つ風呂入ってから、アリア殿と共に宿を出る。
「なるほど、信用されておる」
「い、いえ、それほどでも。単純に、ここにいる時間が長いので……」
「ほう? どれくらいいるのだ?」
「今月で半年はいる計算になるかと」
見たところ、地元という感じではない。
そして冒険者が半年も同じ場所に居座ることは珍しいはず。
それこそ結婚したり、地域に根付いたりすれば話は別だが。
……深く関わらんと決めたが、やはり気になるのう。
「ほう、それは長いな。ちなみに……理由は聞いても?」
「冒険者ランクを上げたいのです。ここならダンジョンこそありませんが、森や山などがあるので依頼には事欠かないですから」
「ふむふむ、そういうことか。それに街道沿いで国境付近ということは、商隊の護衛依頼とかもありそうじゃな」
「……そうですね。シグルド殿はそういった依頼を?」
「最終的には国境を越えていくので受けることになるかのう。それまでは、適当に受けるつもりじゃ」
「なるほど、そうですか……」
そんな会話をしていると、路地を出て大通りに出る。
一気に人が多くなり、活気のある風景が目に入った。
流石は栄えてるというだけある。
「ここから出口と反対方向に行けば、冒険者ギルドじゃったか?」
「ええ、そうです……」
「立ち止まってどうしたのじゃ?」
「——シグルド殿、ここからは別行動にしましょう」
そう言い、アリア殿は悲しいような、それでいて決意を固めた表情を浮かべた。
……はぁ、またユーリスに言われることは間違いないわい。
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