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一章
幼馴染の元へ
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野営地を抜けた俺は、馬に乗って荒野を駆けていく。
途中の村で言い値で馬を購入し、乗ってきた馬を買い取ってもらう。
それを待っている間に、腹に適当な物を詰め込み水で流し込む。
焦りはするが、結果的にはこっちのが効率が良いはず。
馬は無限には走れないし、人間も水分や糖分を摂取しなくては動けない。
ただし睡眠は取らない……俺は両手で顔を叩き、再び荒野を馬で駆ける。
「どれくらい走っただろうか……もう二日は経ったはず」
兵士の巡回を避けるために、街道は使っていない。
だが、この道で合っているはず……すると僅かだが、何かが見えてくる。
「帝都だ……着いた……!」
いや、大事なのはここからだ。
間に合わなければ、全てが水泡に帰す。
「すまん! あと少しでいい耐えてくれ!」
「ヒヒーン!」
高い金を払っただけあり、丈夫で体力がある馬だ。
これなら、このまま帝都まで行ける。
そして門の前に到着するが、衛兵達が数名いるだけだった。
なので、強行突破することにした。
「どけっ!」
「なんだ!? と、止まれ!」
「止まるわけにはいかん!」
「な!? おい! 誰かそいつを止めろ!」
衛兵を無視して、大通りを駆けていく。
幸い人は少なく、人に被害を与えることなく進む。
おそらく……皆、処刑台に行っているからだろう。
「つま声のする方、人のいる気配がする方に……処刑台はこっちだな」
そして、大通りを抜けると見えた。
高い台座に立たされ、首輪を繋がられている女性の姿が。
「なんということだ……」
俺が見間違えるはずがない……ギロチン台にいるのはカグヤだ。
馬を降り、人混みをかき分ける。
「退いてくれ!」
「ヒィ! 血まみれの男!?」
「な、なんだ!?」
鎧姿に血まみれのおかげで人が退き、最前列にくる。
金網の向こう、処刑台の上にカグヤがいた。
そして、少し離れたところにカグヤに話しかける男女がいる。
「どうだ、白状する気になったか? 俺達に毒を盛ったと……もうすぐ死ぬぞ? まあ、今更白状しても許さんがな!」
「私は、そのようなことはしていませんわ。それより、本当に良いのですね? 辺境伯を敵に回し、国を守れるのですか? 貴方は皇太子なのです。 そのことを、しっかり考えた方がよろしいかと」
「お前はいつもそうだ! グチグチ言いやがって! 女は黙って俺の言うことに従っていればいいんだよ! いちいち俺に口答えするな!」
「その通りです。 ふふ、私は貴方に従いますわ。だって愛していますもの」
「そうか、マリアは良い女だな。流石は侯爵家令嬢だ。そもそも俺は、辺境にいた女なんか嫌だった。見た目が良いから我慢してたら性格が悪い。終いには、俺を毒殺しようとしやがって!」
「私はそんなことしてません。それより、そこの貴女? ちゃんと皇太子を支えてあげられるの? 民を省みることができるの? 国を守ってくれている兵士達に感謝は?」
「なに言ってるのよ? そんなことするわけないじゃない。兵士達が国を守るのは当たり前じゃない」
「なにを言っているの? 私達は、彼らがいるから安心して生活が出来ているのよ?」
カグヤの言葉に、皇太子と側にいる女は理解不能という表情だ。
すぐに助けに行かなくてはいけないのに、俺は動けなかった……。
「変わってないな」
まさしく、俺の好きなカグヤのままだ。
辺境伯令嬢でありながら、民の生活を第一に考えていたほどだ。
そのために、皇太子の婚約者になったというのに……踏みにじりやがって。
「……許さん」
俺は手に魔力を込め、無理矢理に金網を広げる。
そして中に入るなり、断頭台へと駆け出す。
悪いが、近くにいる兵士達には退いてもらう。
「なんだ!?きさん——グェ!?」
「何者——ゴハッ!?」
魔力の込めた拳で、兵士達を吹き飛ばしていく。
そして足に魔力を込め、高く跳躍する。
そのまま処刑台に乗って振り向くと……そこには目を見開いたカグヤがいた。
途中の村で言い値で馬を購入し、乗ってきた馬を買い取ってもらう。
それを待っている間に、腹に適当な物を詰め込み水で流し込む。
焦りはするが、結果的にはこっちのが効率が良いはず。
馬は無限には走れないし、人間も水分や糖分を摂取しなくては動けない。
ただし睡眠は取らない……俺は両手で顔を叩き、再び荒野を馬で駆ける。
「どれくらい走っただろうか……もう二日は経ったはず」
兵士の巡回を避けるために、街道は使っていない。
だが、この道で合っているはず……すると僅かだが、何かが見えてくる。
「帝都だ……着いた……!」
いや、大事なのはここからだ。
間に合わなければ、全てが水泡に帰す。
「すまん! あと少しでいい耐えてくれ!」
「ヒヒーン!」
高い金を払っただけあり、丈夫で体力がある馬だ。
これなら、このまま帝都まで行ける。
そして門の前に到着するが、衛兵達が数名いるだけだった。
なので、強行突破することにした。
「どけっ!」
「なんだ!? と、止まれ!」
「止まるわけにはいかん!」
「な!? おい! 誰かそいつを止めろ!」
衛兵を無視して、大通りを駆けていく。
幸い人は少なく、人に被害を与えることなく進む。
おそらく……皆、処刑台に行っているからだろう。
「つま声のする方、人のいる気配がする方に……処刑台はこっちだな」
そして、大通りを抜けると見えた。
高い台座に立たされ、首輪を繋がられている女性の姿が。
「なんということだ……」
俺が見間違えるはずがない……ギロチン台にいるのはカグヤだ。
馬を降り、人混みをかき分ける。
「退いてくれ!」
「ヒィ! 血まみれの男!?」
「な、なんだ!?」
鎧姿に血まみれのおかげで人が退き、最前列にくる。
金網の向こう、処刑台の上にカグヤがいた。
そして、少し離れたところにカグヤに話しかける男女がいる。
「どうだ、白状する気になったか? 俺達に毒を盛ったと……もうすぐ死ぬぞ? まあ、今更白状しても許さんがな!」
「私は、そのようなことはしていませんわ。それより、本当に良いのですね? 辺境伯を敵に回し、国を守れるのですか? 貴方は皇太子なのです。 そのことを、しっかり考えた方がよろしいかと」
「お前はいつもそうだ! グチグチ言いやがって! 女は黙って俺の言うことに従っていればいいんだよ! いちいち俺に口答えするな!」
「その通りです。 ふふ、私は貴方に従いますわ。だって愛していますもの」
「そうか、マリアは良い女だな。流石は侯爵家令嬢だ。そもそも俺は、辺境にいた女なんか嫌だった。見た目が良いから我慢してたら性格が悪い。終いには、俺を毒殺しようとしやがって!」
「私はそんなことしてません。それより、そこの貴女? ちゃんと皇太子を支えてあげられるの? 民を省みることができるの? 国を守ってくれている兵士達に感謝は?」
「なに言ってるのよ? そんなことするわけないじゃない。兵士達が国を守るのは当たり前じゃない」
「なにを言っているの? 私達は、彼らがいるから安心して生活が出来ているのよ?」
カグヤの言葉に、皇太子と側にいる女は理解不能という表情だ。
すぐに助けに行かなくてはいけないのに、俺は動けなかった……。
「変わってないな」
まさしく、俺の好きなカグヤのままだ。
辺境伯令嬢でありながら、民の生活を第一に考えていたほどだ。
そのために、皇太子の婚約者になったというのに……踏みにじりやがって。
「……許さん」
俺は手に魔力を込め、無理矢理に金網を広げる。
そして中に入るなり、断頭台へと駆け出す。
悪いが、近くにいる兵士達には退いてもらう。
「なんだ!?きさん——グェ!?」
「何者——ゴハッ!?」
魔力の込めた拳で、兵士達を吹き飛ばしていく。
そして足に魔力を込め、高く跳躍する。
そのまま処刑台に乗って振り向くと……そこには目を見開いたカグヤがいた。
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