9 / 64
おっさん、異世界転移する
おっさん、説明を受ける
しおりを挟む
その道中にて、この世界の説明を受ける。
「まずは異世界人を前提として話そう。というより、何か聞きたいことがあれば質問してくれたら良い」
「ありがとうございます。そうですね……この世界には魔法があり、魔物と言った生き物いるとか。その魔物とはなんですか? 何故、倒したら石になるのですか?」
「まずは魔法というものはある。魔力を使い、超常現象を起こす技が魔法だ。魔物は、普通の生き物とは違う生物だ。一つは我々の食料になる魔獣と呼ばれる生物で、これらを食べることで我々は生きている。もう一つが先程のようなオーガを魔物と言い、倒すと魔石というモノになる」
「なるほど……その違いはなんですか?」
「うむ、難しい質問だな。基本的に二足歩行で歩くのは魔物だと思って良い。そして、魔物とは邪神が使わした生き物だと言われている。瘴気溜まりが発生し、そこから現れる。普通の生き物とは、そもそも違う生物だ」
「なるほど……まあ、とりあえずは良いです」
邪神とか、よくわからんし。
とりあえず、魔物はふつうの生き物ではなく、倒すと魔石という物になると。
「それで良いと思う。私自身も、詳しくはわからない。とりあえず、魔石は魔法を込めたりできるので生活の役に立っている。さて、他に何かあるかな?」
「そうですね……できれば静かに暮らしたいのですが、それは可能でしょうか?」
どうやら、ドラゴン殺しとは珍しいらしい。
絵本の中では英雄になったり、国を作ったりしたとか。
だが、俺はそんなものに興味はない。
「なに? ドラゴンを倒したのだぞ? 英雄や、貴族にだってなれるぞ? 皆から、一目置かれる存在になる」
「いえ、そういうのには興味ないので」
なにせ、こちとら庶民である。
しかも実力で倒した訳でもないし、威張れるようなことじゃない。
そもそも、力は誇示するものではない。
「……ははっ! 珍しい殿方だっ!」
「そうですかね?」
「ああ、普通なら地位や名誉を欲するものだ。それに、強き者は傲慢になりやすい」
「俺としては、のんびり過ごせれば良いかなと。無論、降りかかる火の粉は払いますが」
店をやっていた時も、地上げ屋やチンピラが来たこともあったが……。
それらは、話し合いをして解決してきた。
「それは当然だろう。しかし、気に入った」
「ありがとうございます」
「それで、他にはあるかな?」
「我々は何処に向かっているのでしょうか?あと、俺の立場というか……」
「向かってるのは、迷宮都市レガリアだ。そして、お主の立場か……命の恩人であるし要望は叶えたい……ふむ、郊外からやってきた田舎者ということにしよう。そうすれば、知らないことが多くても問題ない。それに、目立ちたくないとのことだったしな」
「そうしてくれると助かります。まあ、望んで目立つことはないかなと」
「本当に変わった殿方だな。そういえば、何かしたいことはあるか?」
「したいこと……とりあえず、料理がしたいですね」
したいことを考えた時、自然とその言葉が出てきた。
こんな世界でも、俺はやりたいことが変わらないらしい。
そんなことが、少し誇らしく思う。
「ほう? 男性なのに料理を作るのか? ……いや、すまん、今のは忘れてくれ」
「えっと……よくわからないですが、男性は料理を作らないのですか?」
「ああ、基本的には作らない。必要に駆られたり、野営とかになれば話は別だが。料理をしている男性は、馬鹿にされたりすることもあるくらいだ。そんなのは、女がやることだとか言ってな……」
「なるほど……俺は料理が好きなことに誇りを持っています。なので、誰になんと言われようと関係ありません」
「………」
ん? なんだ? なにやら、目をまん丸くして固まってしまったぞ?
俺は、何か変なことを言っただろうか?
「平気ですか?」
「……ひゃい!」
なんか、可愛らしい声が出た!
しかも、心なしか頬が赤くなってる気がする。
「ど、どうしました?」
「な、なんでもない! ほら! ささっと行くぞ!」
クレアさんはそう言い、馬車のスピードを上げる。
うーん、相変わらず女心はわからん。
◇
私は……な、何を動揺している!?
……いや、理由はわかっている。
不覚にも、ソーマ殿の言葉に胸を打たれてしまったのだ。
誰になんと言われようと、自分の好きなことに誇りを持つという言葉に。
今の自分にとって、それはとても胸に響く。
私は皆に反対される中、強くなるために稽古をし続けてきた。
しかし、この世界は戦う女性に厳しい。
斥候や魔法使いはともかく、前衛の戦士は求められていない。
そういうのは、男の仕事だからと。
そもそも、女性は家に入り夫を支えるのが一番だと言われている。
そんな中で、女で強くなろうとしている私は異端扱いだった。
それでも反対を押し切り、今日まで研鑽を積んできたが……最近は限界を感じていた。
中々強くならないし、年齢も上がってきて……その夢を諦めそうになっている。
いや、違う……いつまでやってるんだと馬鹿にされるのが辛いのかもしれない。
だからこそ、彼の言葉に動揺してしまったのかな。
好きなことに誇りを……そして、誰に何を言われようと関係ないか。
ソーマ殿か……ふふ、不思議な殿方と出会ったものだ。
「まずは異世界人を前提として話そう。というより、何か聞きたいことがあれば質問してくれたら良い」
「ありがとうございます。そうですね……この世界には魔法があり、魔物と言った生き物いるとか。その魔物とはなんですか? 何故、倒したら石になるのですか?」
「まずは魔法というものはある。魔力を使い、超常現象を起こす技が魔法だ。魔物は、普通の生き物とは違う生物だ。一つは我々の食料になる魔獣と呼ばれる生物で、これらを食べることで我々は生きている。もう一つが先程のようなオーガを魔物と言い、倒すと魔石というモノになる」
「なるほど……その違いはなんですか?」
「うむ、難しい質問だな。基本的に二足歩行で歩くのは魔物だと思って良い。そして、魔物とは邪神が使わした生き物だと言われている。瘴気溜まりが発生し、そこから現れる。普通の生き物とは、そもそも違う生物だ」
「なるほど……まあ、とりあえずは良いです」
邪神とか、よくわからんし。
とりあえず、魔物はふつうの生き物ではなく、倒すと魔石という物になると。
「それで良いと思う。私自身も、詳しくはわからない。とりあえず、魔石は魔法を込めたりできるので生活の役に立っている。さて、他に何かあるかな?」
「そうですね……できれば静かに暮らしたいのですが、それは可能でしょうか?」
どうやら、ドラゴン殺しとは珍しいらしい。
絵本の中では英雄になったり、国を作ったりしたとか。
だが、俺はそんなものに興味はない。
「なに? ドラゴンを倒したのだぞ? 英雄や、貴族にだってなれるぞ? 皆から、一目置かれる存在になる」
「いえ、そういうのには興味ないので」
なにせ、こちとら庶民である。
しかも実力で倒した訳でもないし、威張れるようなことじゃない。
そもそも、力は誇示するものではない。
「……ははっ! 珍しい殿方だっ!」
「そうですかね?」
「ああ、普通なら地位や名誉を欲するものだ。それに、強き者は傲慢になりやすい」
「俺としては、のんびり過ごせれば良いかなと。無論、降りかかる火の粉は払いますが」
店をやっていた時も、地上げ屋やチンピラが来たこともあったが……。
それらは、話し合いをして解決してきた。
「それは当然だろう。しかし、気に入った」
「ありがとうございます」
「それで、他にはあるかな?」
「我々は何処に向かっているのでしょうか?あと、俺の立場というか……」
「向かってるのは、迷宮都市レガリアだ。そして、お主の立場か……命の恩人であるし要望は叶えたい……ふむ、郊外からやってきた田舎者ということにしよう。そうすれば、知らないことが多くても問題ない。それに、目立ちたくないとのことだったしな」
「そうしてくれると助かります。まあ、望んで目立つことはないかなと」
「本当に変わった殿方だな。そういえば、何かしたいことはあるか?」
「したいこと……とりあえず、料理がしたいですね」
したいことを考えた時、自然とその言葉が出てきた。
こんな世界でも、俺はやりたいことが変わらないらしい。
そんなことが、少し誇らしく思う。
「ほう? 男性なのに料理を作るのか? ……いや、すまん、今のは忘れてくれ」
「えっと……よくわからないですが、男性は料理を作らないのですか?」
「ああ、基本的には作らない。必要に駆られたり、野営とかになれば話は別だが。料理をしている男性は、馬鹿にされたりすることもあるくらいだ。そんなのは、女がやることだとか言ってな……」
「なるほど……俺は料理が好きなことに誇りを持っています。なので、誰になんと言われようと関係ありません」
「………」
ん? なんだ? なにやら、目をまん丸くして固まってしまったぞ?
俺は、何か変なことを言っただろうか?
「平気ですか?」
「……ひゃい!」
なんか、可愛らしい声が出た!
しかも、心なしか頬が赤くなってる気がする。
「ど、どうしました?」
「な、なんでもない! ほら! ささっと行くぞ!」
クレアさんはそう言い、馬車のスピードを上げる。
うーん、相変わらず女心はわからん。
◇
私は……な、何を動揺している!?
……いや、理由はわかっている。
不覚にも、ソーマ殿の言葉に胸を打たれてしまったのだ。
誰になんと言われようと、自分の好きなことに誇りを持つという言葉に。
今の自分にとって、それはとても胸に響く。
私は皆に反対される中、強くなるために稽古をし続けてきた。
しかし、この世界は戦う女性に厳しい。
斥候や魔法使いはともかく、前衛の戦士は求められていない。
そういうのは、男の仕事だからと。
そもそも、女性は家に入り夫を支えるのが一番だと言われている。
そんな中で、女で強くなろうとしている私は異端扱いだった。
それでも反対を押し切り、今日まで研鑽を積んできたが……最近は限界を感じていた。
中々強くならないし、年齢も上がってきて……その夢を諦めそうになっている。
いや、違う……いつまでやってるんだと馬鹿にされるのが辛いのかもしれない。
だからこそ、彼の言葉に動揺してしまったのかな。
好きなことに誇りを……そして、誰に何を言われようと関係ないか。
ソーマ殿か……ふふ、不思議な殿方と出会ったものだ。
57
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる