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おっさん、異世界生活を始める
おっさん、初仕事する
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クレアさんに借りた地図と、依頼書を頼りに王都を歩く。
正直言って、依頼時間には余裕があるが早めに出て散策する。
……一人で歩いてみたい気分だったから。
「……別にソラといたくないとか、クレアさん達がどうとかって話ではないが」
一応、この世界の目標はできたが……。
色々なことが起きすぎて、俺自身のことを振り返る時間がなかった。
家にいたのにいきなり知らない世界、ソラとドラゴン、クレアさん達やオーガ。
「……本当に異世界に来たんだな」
周りを見れば、人の体に獣の特徴を持つ者。
明らかにおっさん顔なのに、身長が中学生くらいの者。
そして、人が交わって生活をしている。
「獣人も色々なタイプがいるのか……人に近い容姿と、獣に近い容姿。おっさん顔の人は、おそらくドワーフと呼ばれる種族か」
前の世界に未練はない……とはいえない。
世話になった方々や、俺の店にいた従業員も。
彼らは無事に、新しい職につけたのだろうか?
何より、俺を捨てた両親はともかく……妹か。
ずっと封印していたが、ソラを見てたら思い出してしまったな。
「……もし妹が生きていたら、どうだったんだろうな?」
その後、歩き続けるが……。
都市の中は広く、歩くだけでも1日が終わりそうだ。
「なるほど。だから、都市の中でも馬車が走っているのか」
前の世界でいうところの、バス停のような場所がいくつかある。
そこに馬車が停まり、次の場所に行くといったところか。
体の弱い方や、お年寄りなんかには助かるだろう。
「……おっと、ここの家かな? うん、紙が貼ってあるな」
冒険者ギルドに依頼を出している家には、紙を貼るようになっている。
なにせ、こんな広い都市だ。
俺みたいな田舎者もいるし、配慮した結果なのだろう。
「すいませーん! 冒険者ギルドから依頼を受けた者なのですが!」
「はいはい、少々お待ちくださいね」
少し待っていると扉が開き、中から腰の曲がったお婆さんが出てくる。
柔らかい雰囲気の方だな……確か名前は、ネモさんだったよな。
「おはようございます、ネモさん。初めまして、私が依頼を引き受けたソーマという者です。この度は依頼を出して頂きありがとうございました」
「え、ええ……あらまぁ……」
何やら、ネモさんは面を食らっている様子だ。
あれ? 何かおかしなことをしただろうか?
きちんと私と言っているし、接客業をしていた頃を意識したのだが。
あっ、もしや……そういうことか?
「すみません、こんなおっさんが来てしまって。ですが、仕事はきちんとしますのでよろしくお願いします」
「……は、はい、ではよろしくお願いしますね」
そして、なんとか部屋へ入れてくれる。
ふぅ、危ないところだった。
仕事を始める前に断られるとか笑えないし。
「それで、依頼内容ですが……片付けと書いてありましたね」
「ええ、そうなの。実は、随分前に主人が亡くなったんだけど……主人が使っていた物が中々捨てられなくて。遠くにいる子供に迷惑はかけたくないし、そろそろ私も歳だから処分しないといけないって思って」
「……そうですか」
「あら、ごめんなさい。こんな話をしてもつまらないわよねぇ」
「いえ、そんなことはないですよ。私も、そういう経験はありますので」
俺も妹と撮った写真を中々捨てることができなかった。
辛い思い出だから、何度も捨てようとした。
だが、結局は……あの部屋に残されたままだ。
「……そうなのね。ふふ、聞いてくれてありがとう。それじゃあ、細かい荷物はまとめてあるので、重たい物をお願いするわ」
「はい、わかりました」
その後、黙って作業をする。
何やら重たい石、よくわからないでかい人形など。
本当に、なんでもなさそうなだが……そういうことじゃないんだよな。
その後、一時間半ほど作業をし……仕事を終える。
荷物をまとめたものは、庭に出しておく。
そうすれば、午後に業者が引き取りに来るそうだ。
「あらあら、すごいわ……こんなに早く終わるなんて。ずっと動いていたし、息も切れてない……その、失礼ですが体力があるのですね」
「いえいえ、見た目がおっさんなのは自覚してるので。ただ、ずっと体力勝負の仕事をしてから若者には負けませんよ」
「ふふ、そうみたいね」
「それにしても、良いお庭ですね?」
頂いたお茶を飲みながら、縁側から見る庭の景色は中々だ。
きちんと手入れがされてるし。
「ありがとうございます。でも……この庭も、整理しないといけないわ。やっぱり、自分一人だと作業も大変だもの」
「そうですよね……あの、良かったら俺に手伝わせてくれませんか?まだ、業者が来るまで時間はありますし。もちろん、追加料金はいりません」
「えっ? ですが……」
「その代わり、もし知り合いの方がいたら私のことを紹介してくれると助かります。このようにおっさんだし、見た目がアレなので……」
「あらあら……ふふ、わかりました。では、少しだけ手伝ってくれますか?」
「ええ、任せてください」
これも、地域で飲食店するなら大事な宣伝だ。
田舎者で強面の俺は、少しずつでも信用を得ていかないといけない。
そう思った俺は立ち上がり、庭作業に精を出すのだった。
正直言って、依頼時間には余裕があるが早めに出て散策する。
……一人で歩いてみたい気分だったから。
「……別にソラといたくないとか、クレアさん達がどうとかって話ではないが」
一応、この世界の目標はできたが……。
色々なことが起きすぎて、俺自身のことを振り返る時間がなかった。
家にいたのにいきなり知らない世界、ソラとドラゴン、クレアさん達やオーガ。
「……本当に異世界に来たんだな」
周りを見れば、人の体に獣の特徴を持つ者。
明らかにおっさん顔なのに、身長が中学生くらいの者。
そして、人が交わって生活をしている。
「獣人も色々なタイプがいるのか……人に近い容姿と、獣に近い容姿。おっさん顔の人は、おそらくドワーフと呼ばれる種族か」
前の世界に未練はない……とはいえない。
世話になった方々や、俺の店にいた従業員も。
彼らは無事に、新しい職につけたのだろうか?
何より、俺を捨てた両親はともかく……妹か。
ずっと封印していたが、ソラを見てたら思い出してしまったな。
「……もし妹が生きていたら、どうだったんだろうな?」
その後、歩き続けるが……。
都市の中は広く、歩くだけでも1日が終わりそうだ。
「なるほど。だから、都市の中でも馬車が走っているのか」
前の世界でいうところの、バス停のような場所がいくつかある。
そこに馬車が停まり、次の場所に行くといったところか。
体の弱い方や、お年寄りなんかには助かるだろう。
「……おっと、ここの家かな? うん、紙が貼ってあるな」
冒険者ギルドに依頼を出している家には、紙を貼るようになっている。
なにせ、こんな広い都市だ。
俺みたいな田舎者もいるし、配慮した結果なのだろう。
「すいませーん! 冒険者ギルドから依頼を受けた者なのですが!」
「はいはい、少々お待ちくださいね」
少し待っていると扉が開き、中から腰の曲がったお婆さんが出てくる。
柔らかい雰囲気の方だな……確か名前は、ネモさんだったよな。
「おはようございます、ネモさん。初めまして、私が依頼を引き受けたソーマという者です。この度は依頼を出して頂きありがとうございました」
「え、ええ……あらまぁ……」
何やら、ネモさんは面を食らっている様子だ。
あれ? 何かおかしなことをしただろうか?
きちんと私と言っているし、接客業をしていた頃を意識したのだが。
あっ、もしや……そういうことか?
「すみません、こんなおっさんが来てしまって。ですが、仕事はきちんとしますのでよろしくお願いします」
「……は、はい、ではよろしくお願いしますね」
そして、なんとか部屋へ入れてくれる。
ふぅ、危ないところだった。
仕事を始める前に断られるとか笑えないし。
「それで、依頼内容ですが……片付けと書いてありましたね」
「ええ、そうなの。実は、随分前に主人が亡くなったんだけど……主人が使っていた物が中々捨てられなくて。遠くにいる子供に迷惑はかけたくないし、そろそろ私も歳だから処分しないといけないって思って」
「……そうですか」
「あら、ごめんなさい。こんな話をしてもつまらないわよねぇ」
「いえ、そんなことはないですよ。私も、そういう経験はありますので」
俺も妹と撮った写真を中々捨てることができなかった。
辛い思い出だから、何度も捨てようとした。
だが、結局は……あの部屋に残されたままだ。
「……そうなのね。ふふ、聞いてくれてありがとう。それじゃあ、細かい荷物はまとめてあるので、重たい物をお願いするわ」
「はい、わかりました」
その後、黙って作業をする。
何やら重たい石、よくわからないでかい人形など。
本当に、なんでもなさそうなだが……そういうことじゃないんだよな。
その後、一時間半ほど作業をし……仕事を終える。
荷物をまとめたものは、庭に出しておく。
そうすれば、午後に業者が引き取りに来るそうだ。
「あらあら、すごいわ……こんなに早く終わるなんて。ずっと動いていたし、息も切れてない……その、失礼ですが体力があるのですね」
「いえいえ、見た目がおっさんなのは自覚してるので。ただ、ずっと体力勝負の仕事をしてから若者には負けませんよ」
「ふふ、そうみたいね」
「それにしても、良いお庭ですね?」
頂いたお茶を飲みながら、縁側から見る庭の景色は中々だ。
きちんと手入れがされてるし。
「ありがとうございます。でも……この庭も、整理しないといけないわ。やっぱり、自分一人だと作業も大変だもの」
「そうですよね……あの、良かったら俺に手伝わせてくれませんか?まだ、業者が来るまで時間はありますし。もちろん、追加料金はいりません」
「えっ? ですが……」
「その代わり、もし知り合いの方がいたら私のことを紹介してくれると助かります。このようにおっさんだし、見た目がアレなので……」
「あらあら……ふふ、わかりました。では、少しだけ手伝ってくれますか?」
「ええ、任せてください」
これも、地域で飲食店するなら大事な宣伝だ。
田舎者で強面の俺は、少しずつでも信用を得ていかないといけない。
そう思った俺は立ち上がり、庭作業に精を出すのだった。
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