竜殺しの料理人~最強のおっさんは、少女と共にスローライフを送る~

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おっさん、異世界生活を始める

おっさん、迷宮の説明を受ける

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そのまま手を引かれ、ギルドの外に出る。

「全く! 目立ってしまったではないか!」

「すみませんでした、俺のせいで目立ってしまいましたね」

「い、いや、ソーマ殿は悪くない! あいつが……」

「ダイン殿とは、どういう関係なのですか?」

「……き、気になるのか?」

そう言い、自然と上目遣いをしてくる。
そのギャップに、久しくなかった感情が揺さぶられる。
……おい、可愛いな……いやいや! おっさんが何言ってる!

「……いえいえ、若手筆頭の冒険者とか言っていたので」

「そ、そうか……まあ、嘘ではない。ああ見えて、中々の実力者ではある。ただ、あの通りの男なので面倒な奴なのだ」

「なるほど……ところで、手を離しても良いですかね?」

「……っ~!?」

すると、慌てて手を離す。
どうやら、気づいてなかったようだ。
……やれやれ、俺もまだまだだな。

「それでは、ディアーロを引き取りに行ってきます」

「う、うむ」

俺自身も落ち着くために、一人で隣接する解体部屋に向かうのだった。





無事に解体されたディアーロを受け取り、クレアさんの所に戻ると……。
そこには毅然とした態度の、いつものクレアさんがいた。
どうやら、あちらも落ち着いたらしい。

「お待たせしました」

「いや、平気だ。それでは、噴水広場に行くとしよう」

そして、再び並んで歩き出す。
気がつけば、辺りは暗くなってきていた。  

「重たくないのか?」

「はい、平気です。そういえば、アイテムボックスとかないんですか? あと、空間魔法とか」

「……アイテムボックス?空間魔法?」

「えっと……こう、無限に入るバックのようなものです」

「ああ、魔法の鞄のことか」

おっ、それっぽいのがありそう。
あるなら、是非とも手に入れないと。

「それって、中の時が止まったりします?」

「よく知ってるな? ただ、かなりのレアアイテムだ。そういえば、迷宮の説明をしてなかったか」

「それが何か関係が?」

「関係も何も大有りだ。その魔法の鞄は迷宮内でしか手に入らない。それゆえに、そのためだけに迷宮に潜る者も多数だ。無論、依頼する者達も多い」

それはそうだ。
もしそんな物が手に入ったら、商売の根底が覆る。
日持ちも気にしなくていいし、仕入れもきにする必要がない。
どんなに重たくてでかくても、持ち運びをできる利点は皆欲しいだろう。

「なるほど……ちなみに、ランクはいつから入れますか?」

「ランクはD級から入れるようになっているが、その前に誓約書を書くことになっているのだ」

「誓約書?」

「迷宮に中継地点はある。しかし、基本的に中の迷路は道順こそ変わらないが……罠の位置や宝箱なんかはある程度ランダムになっている」

「なるほど」

「危険も多いし、死ぬ確率もかなり高い。だが、それ以上に魅力的な存在だ。財宝や名誉が手に入る……故に時に高貴な人が挑戦したり、名を挙げる為に入ったりする」

……なんとなく、見えてきたな。

「そのことで都市自体が責められないためにですね?」

「ああ、そういうことだ。最初の頃に問題になり、それ以降に作られた制度だ。基本的に、中でのことは自己責任となる。無論、それを逆手に取る者もいるが……」

「それは、どういう……」

俺が問いかけようとした時、向こうからソラが走ってくるのが見えた。

「まあ、それは今度にしよう。いずれにしろ、ソーマ殿も挑戦しそうだしな」

「そうですね、いっぺんに聞いても覚えきれませんし。わかりました、またよろしくお願いします」

そして、突撃してきたソラを抱き上げる。

「お父さん!」

「おっと……ミレーユさんに迷惑はかけなかったか?」

「うんっ! お手伝いもしたよ! お野菜とかも買ってきた!」

「おっ、偉いぞ。じゃあ、一緒に作るとするか?」

「作るっ! お手伝いするもん!」

どうやら、俺が帰ってくるかの不安は取り除けたらしい。

このまま、ただ元気に笑顔で過ごして欲しいものだ。

それが、子供の権利だろうと個人的には思うから。
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