竜殺しの料理人~最強のおっさんは、少女と共にスローライフを送る~

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おっさん、異世界に慣れる

おっさん、疎外感を感じる

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俺がD級冒険者になってから、早一週間……。

迷宮に潜ったり物件を探したり、ソラと遊んだりクレアさんと稽古をしたりと、充実した日々を送っていた。

そんな日々を過ごしていると、ふと気づく。

……料理がしたいと。

「これは発作だな。いや、職業病ともいうか」

「お父さん?」

「ソーマ殿? どうしたのだ?」

「いえ、料理がしたいなと思いまして」

「ん? 料理ならしてるではないか。この間も、屋台をやってきたし。なんだかんだで、良い売り上げになっていると思うが」

クレアさんのいう通り、屋台はやってるし日頃から料理はしている。
ただ……本格的な料理とは言えない。
あくまでも屋台で出来る範囲内だし、使える材料も限られている。
商店街に行けば、色々買えるが……家を借りる資金を貯めたいし。

「そうなんですけどね……もっと、色々な食材を使ってみたいかなと」

「ふむ、そういうことか。では、北の門を出た先の森でもいくか?」

「えっと?」

「ソーマ殿が以前行った森は、南門を出た先にある低ランク冒険者用の森だ。そうではなく、中堅冒険者用でもある森が北の門を出た先にある」

「そこには食材があるのですか?」

「魔物はもちろんいるが、果物や魔獣もいるぞ。迷宮は実入りが良いが、そういう外に行く依頼も受けないとな」

確かに、クレアさんのいう通りか。
最近は、安易に稼げるからと迷宮ばかりに行っていた。
お陰で、地下5階のボス前まで来たが……ここらでストレス解消のために外に行くか。

「そうですね……では、そうしてみます」

「うむ……そうだ、ミレーユも用事でいないことだし……私と一緒に出かけるか?」

ミレーユさんは、魔法使いとしての助っ人のため冒険者達から指名依頼を受けていた。
 迷宮に行っているため、二日間ほど帰ってこないそうだ。

「それは良いですが、ソラが一人になってしまうかと」

「お父さん! わたし、一人でも大丈夫!」

「うーむ……しかしなぁ」

最近ようやく他人にも慣れてきたとはいえ、長時間一人にするのは心配である。
奴隷ではないとはいえ、相変わらず獣人の扱いは良くないと聞くし。

「別に連れていけば良いさ。はっきり言って、オーガを倒すソーマ殿の敵になりそうなやついない。言い方はアレだが……ハイキングとでも思えば良い」

「なるほど……ソラ、お父さんとお出かけするか? 気分転換にたまには外に行くのも良いだろう」

「……付いて行って良いの?」

「ああ、もちろんだ。ソラのことは、何があってもお父さんが守ろう」

「えへへ……うんっ!  ……あっ、でも……」

その視線は何故か、クレアさんの方を向いている。

「ん? どうしたのだ?」

「わ、わたしも行っていいですか?」

「無論だ。何を今更言う」

すると、たたっとソラがクレアさんに近づき耳打ちをする。

「えっと……その、邪魔じゃないかなって」

「……なに?」

「ミレーユさんから……聞いてて」

「な、なっ!? わ、私はそんなつもりはない!」

急に顔が赤くなったクレアさんが大きな声を出す。

「ご、ごめんなさい!」

「い、いや、私の方こそすまない……コホン、とにかく気にしないで良い」

「えへへ……じゃあ、お世話になります!」

「……どうしたんだ?」

「「なんでもないっ!!」」

二人して振り向き、同じセリフを言った。

仲が良さそうで何よりだが……お父さんは、何やら疎外感です。

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