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力を司る春川村の守護神 赤麗
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そして何がなんだか訳がわからない状態で
とりあえず自転車をおりた恵はそのままの勢いで
ゆっくりと自販機に向かって歩き出しながら……
*****
(なんだかメッチャ変わった犬だなぁ……)
と心の中で独り言を呟いていたけれど
そんな事よりも赤い子犬を注意深くジーッと見ていたら
(…て言うか何これ?尻尾が1、2、3、4…9本?
じゃあえっと~、尻尾が9本って事はつまり~…
このワンちゃんは九尾の子犬…って事になるんだよね?)
こうして至って冷静に
目の前の不思議な子犬が九尾の生き物である事を理解できたので
特に驚いた様子もない強者の恵は赤い子犬に笑顔を向けて
「こんばんはー」と挨拶をしながら自販機の前に立った後、
いつもの様に大好きなレモネードのボタンを押してみたけれど、
次の瞬間、この子犬はハッキリと!!
『卒業おめでとう!
きみの家は決して裕福ではないのに……
いつも僕にチョコレートをプレゼントしてくれてありがとう恵』
と流暢な日本語で
いきなり突然、恵に向かって話し掛けてきたから!
こんなの普通は誰でも絶対、
ビックリしすぎて腰を抜かしてしまう場面なのに
やはり全く驚いていない正義のヒーロー星野恵はメッチャ落ち着いた表情で
「ん?いつもチョコレートをプレゼントって事は~……
じゃあ九尾君は春川神社の狛犬さんとか お狐さんなの?」
と普通に返事をしながら
ベンチに座って赤い子犬を優しく撫でて
『ん~、確かに僕の尻尾は九本あるけど~、
名前が九尾君じゃあ流石にカッコ悪いでしょ?
本当に君は素直で可愛い女の子だなぁフフフ……
僕の名前は九尾君ではなくて、赤麗だよ恵。
ずっと遥か昔から、春川村の神界領域に住んでいるんだよ?』
「えっ?春川村にそんな凄い領域があるの?やるじゃん赤麗~。
…て言うかそんな事よりもさぁ、赤麗って超カッコいい名前だよね~?
でもでも どうして赤麗は、村で一番貧乏な私の名前を知っているの?」
て感じで早くも楽しい会話で盛り上がっていたけれど
この後いきなり赤麗は……!
『それはね?きみが毎週チョコレートを持って
僕の社に来てくれたからだよ。僕は力を司る神だから、
きみの様に強くなりたいと願う女の子が大好きなんだ。だから恵……
チョコのお礼に君の願いをひとつ叶えてあげるから、なんでも願い事を言ってごらん?』
と嬉しい事を言ってくれたので
もちろん恵は間髪入れずにこの直後
「えっ?どんな願い事でも叶えてくれるの?
じゃあそうだなぁ、ピンチの時に物凄い力を出せるとか、
悪い奴から弱い人を守る為に、超人的な正義の力が使えるとか、
とにかく正義のヒーローみたいな最強のパワーが欲しいなぁ」
と素直な気持ちを答えていたのに、
そんな恵をじっと見つめる赤麗は、なぜか微妙に不敵な感じで微笑みながら
『つまり、きみが望む力は、正義の力って事なんだね?
確かに正義の力は最強だけど、残念な事に『この力』は、きみが本当に困った時と、
きみに対して悪意を持った者『だけ』にしか使えない特殊な力だから………
僕はあんまりオススメできないなぁ。だって誰が自分に悪意を持っているかだなんて
普通の人間に分かる筈がないでしょ?つまり超人的な正義の力とは……
善と悪を見極める『能力』がなければ使いこなせない『力』って事だよ恵。
でも漆黒の力で良ければ、善も悪も関係ない状態で、恵が倒したいと思う相手に
何度でも使える『お手軽な力』だから、結構オススメだよ?まぁ正義の力と比べたら
威力はかなり弱いけど、そうは言っても超人的な力が手に入る訳だから、
恵の様に身体が小さい人間にとっては、漆黒の方が便利な力だと思うよ~。フフフッ……』
て感じで明らかに、人の目には見えない何かを試す様な雰囲気で
やたらと何度も超人的で、しかも便利でお手軽な
なんとも怪しい『漆黒の力』をヒーローおたくの恵に勧めてきた挙げ句、
『さぁ恵ちゃん?きみは一体どっちを選ぶのかな~?』と返答を迫ってきたけれど
(つまりこれは…勇者の試練?)
と心の中で密かに呟くヒーロー恵にとっては全くの愚問だったので
次の瞬間、キラキラと輝く純粋な瞳で、真っ赤な子犬の赤麗を見つめながら
「そりゃあ勿論、正義の力が欲しいに決まってるよ~!
なんだか赤麗はさっきから、悪意を持った人間の見極めが難しいって言うけどさ?
一応私はヒーロー研究会の終身名誉会長だし、そもそもヒーロー物を見ていれば、
そんなの簡単に分かるじゃん。だって優しい顔をした『トンデモナイ悪人』も居れば、
めっちゃ強面の善人も居るんだからさ?つまり人は見掛けによらないって事だよ赤麗」
こうして何も迷う事なく正義の力を選んでいたが
そもそも今の恵は赤い子犬とヒーローごっこで遊んでいるだけの『つもり』だったから
この後すぐに子犬の赤麗が、お年寄り専用ベンチをピョコンと飛び降りて、
『うん、わかったよ恵ちゃん。
きみの願いは必ず僕が叶えてあげる……
明日の朝一番で、きみを最強シンデレラにしてあげるよ!』
と嬉しそうな声で、
身長150センチの小さな恵を最強シンデレラと呼んだ後、
爽やかな夜風と共に、突然どこかに消えてしまっても正直この時は
めっちゃ不思議な子犬と遊べて楽しかったなぁ……
そしてまたいつの日か、可愛い赤麗に逢いたいなぁ……
て感じの平和な事しか考えていなかったから、一夜明けて翌日の朝が
そりゃあもうトンデモナイ騒ぎになる事を、もちろん恵は全く気付いていなかった。
とりあえず自転車をおりた恵はそのままの勢いで
ゆっくりと自販機に向かって歩き出しながら……
*****
(なんだかメッチャ変わった犬だなぁ……)
と心の中で独り言を呟いていたけれど
そんな事よりも赤い子犬を注意深くジーッと見ていたら
(…て言うか何これ?尻尾が1、2、3、4…9本?
じゃあえっと~、尻尾が9本って事はつまり~…
このワンちゃんは九尾の子犬…って事になるんだよね?)
こうして至って冷静に
目の前の不思議な子犬が九尾の生き物である事を理解できたので
特に驚いた様子もない強者の恵は赤い子犬に笑顔を向けて
「こんばんはー」と挨拶をしながら自販機の前に立った後、
いつもの様に大好きなレモネードのボタンを押してみたけれど、
次の瞬間、この子犬はハッキリと!!
『卒業おめでとう!
きみの家は決して裕福ではないのに……
いつも僕にチョコレートをプレゼントしてくれてありがとう恵』
と流暢な日本語で
いきなり突然、恵に向かって話し掛けてきたから!
こんなの普通は誰でも絶対、
ビックリしすぎて腰を抜かしてしまう場面なのに
やはり全く驚いていない正義のヒーロー星野恵はメッチャ落ち着いた表情で
「ん?いつもチョコレートをプレゼントって事は~……
じゃあ九尾君は春川神社の狛犬さんとか お狐さんなの?」
と普通に返事をしながら
ベンチに座って赤い子犬を優しく撫でて
『ん~、確かに僕の尻尾は九本あるけど~、
名前が九尾君じゃあ流石にカッコ悪いでしょ?
本当に君は素直で可愛い女の子だなぁフフフ……
僕の名前は九尾君ではなくて、赤麗だよ恵。
ずっと遥か昔から、春川村の神界領域に住んでいるんだよ?』
「えっ?春川村にそんな凄い領域があるの?やるじゃん赤麗~。
…て言うかそんな事よりもさぁ、赤麗って超カッコいい名前だよね~?
でもでも どうして赤麗は、村で一番貧乏な私の名前を知っているの?」
て感じで早くも楽しい会話で盛り上がっていたけれど
この後いきなり赤麗は……!
『それはね?きみが毎週チョコレートを持って
僕の社に来てくれたからだよ。僕は力を司る神だから、
きみの様に強くなりたいと願う女の子が大好きなんだ。だから恵……
チョコのお礼に君の願いをひとつ叶えてあげるから、なんでも願い事を言ってごらん?』
と嬉しい事を言ってくれたので
もちろん恵は間髪入れずにこの直後
「えっ?どんな願い事でも叶えてくれるの?
じゃあそうだなぁ、ピンチの時に物凄い力を出せるとか、
悪い奴から弱い人を守る為に、超人的な正義の力が使えるとか、
とにかく正義のヒーローみたいな最強のパワーが欲しいなぁ」
と素直な気持ちを答えていたのに、
そんな恵をじっと見つめる赤麗は、なぜか微妙に不敵な感じで微笑みながら
『つまり、きみが望む力は、正義の力って事なんだね?
確かに正義の力は最強だけど、残念な事に『この力』は、きみが本当に困った時と、
きみに対して悪意を持った者『だけ』にしか使えない特殊な力だから………
僕はあんまりオススメできないなぁ。だって誰が自分に悪意を持っているかだなんて
普通の人間に分かる筈がないでしょ?つまり超人的な正義の力とは……
善と悪を見極める『能力』がなければ使いこなせない『力』って事だよ恵。
でも漆黒の力で良ければ、善も悪も関係ない状態で、恵が倒したいと思う相手に
何度でも使える『お手軽な力』だから、結構オススメだよ?まぁ正義の力と比べたら
威力はかなり弱いけど、そうは言っても超人的な力が手に入る訳だから、
恵の様に身体が小さい人間にとっては、漆黒の方が便利な力だと思うよ~。フフフッ……』
て感じで明らかに、人の目には見えない何かを試す様な雰囲気で
やたらと何度も超人的で、しかも便利でお手軽な
なんとも怪しい『漆黒の力』をヒーローおたくの恵に勧めてきた挙げ句、
『さぁ恵ちゃん?きみは一体どっちを選ぶのかな~?』と返答を迫ってきたけれど
(つまりこれは…勇者の試練?)
と心の中で密かに呟くヒーロー恵にとっては全くの愚問だったので
次の瞬間、キラキラと輝く純粋な瞳で、真っ赤な子犬の赤麗を見つめながら
「そりゃあ勿論、正義の力が欲しいに決まってるよ~!
なんだか赤麗はさっきから、悪意を持った人間の見極めが難しいって言うけどさ?
一応私はヒーロー研究会の終身名誉会長だし、そもそもヒーロー物を見ていれば、
そんなの簡単に分かるじゃん。だって優しい顔をした『トンデモナイ悪人』も居れば、
めっちゃ強面の善人も居るんだからさ?つまり人は見掛けによらないって事だよ赤麗」
こうして何も迷う事なく正義の力を選んでいたが
そもそも今の恵は赤い子犬とヒーローごっこで遊んでいるだけの『つもり』だったから
この後すぐに子犬の赤麗が、お年寄り専用ベンチをピョコンと飛び降りて、
『うん、わかったよ恵ちゃん。
きみの願いは必ず僕が叶えてあげる……
明日の朝一番で、きみを最強シンデレラにしてあげるよ!』
と嬉しそうな声で、
身長150センチの小さな恵を最強シンデレラと呼んだ後、
爽やかな夜風と共に、突然どこかに消えてしまっても正直この時は
めっちゃ不思議な子犬と遊べて楽しかったなぁ……
そしてまたいつの日か、可愛い赤麗に逢いたいなぁ……
て感じの平和な事しか考えていなかったから、一夜明けて翌日の朝が
そりゃあもうトンデモナイ騒ぎになる事を、もちろん恵は全く気付いていなかった。
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