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初めての交渉成立
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そして再び場面は戻り……
どの方向から見ても綺麗な美女は優しい表情で
「ところで貴女は……
一体どうやってあの連中から鞄を取り戻す事が出来たんですか?」
と心配そうな声で鞄の件を聞いてきたから、
*****
(そりゃあ勿論、正義の力を使ってワンパンで取り返したんですよ~)
とは言えない怪力女の恵はついつい適当に
「え~っと鞄の件はですねぇ……
まぁ普通にゼロ距離で話し合いをしたら解決できたので、
全然大丈夫でしたよお姉さん、結構フレンドリーなヤクザだったから~」
て感じの有り得ない嘘をついて返事をしてみたのだが
「フレンドリーなヤクザねぇ…フフフッ」
と小さな声で意味深な言葉を呟いた美女はこの直後
またまた微妙に心配そうな表情で
「そうでしたか。あのあと貴女が急に居なくなったから……
私は小さな貴女の事を本気で心配していたんですよ?
でもこうして怪我もなくて元気だし、とにかく貴女が無事で何よりでした」
て感じのメッチャ優しい言葉を掛けてくれたから
思わず恵は感動しながら目の前の綺麗なお姉さんに、
何かお礼の品物をプレゼントしなくっちゃ!と真剣に思ったけど、
残念な事にレッドレトリバーの鞄に入った プレゼントできる品物は……
来週が賞味期限の中国産の桃缶と、明日が賞味期限の潰れたアンパンと、
もう既に賞味期限が切れている、とにかく危険なレトルトカレー位の物しか入っていないから
(いくらなんでも、こんな物をあげる訳にはいかないし、
かと言って、このままお礼をしない訳にもいかないし、これは困ったなぁ……)
と心の中でガッカリしながら深い溜息を吐いていたのに
そんな恵をジッと見つめる綺麗な美女は、この後なぜか唐突に、
「ではお嬢さん、こんな所で立ち話もなんですし
もしも貴女さえ良ければ、今から私と食事をしませんか?
このまま貴女とお別れするのは正直とても寂しいし
なんだか勿体ないと思うし、そもそも貴女が鞄を取り戻す事が出来たのは
私のおかげですからね?だから今回の情報を貴女に教えた『お礼』として、
今から私と一緒に食事をして頂いてもいいですよね~?可愛いお嬢さん?」
て感じの慣れた口説き文句で恵を食事に誘ってきたから、
(なるほど、なるほど、つまり綺麗なお姉さんは
情報を教えたお礼として、今から私に晩ごはんを奢れと言っているんだよね?
うんうん、それっていいアイデアだと思うよお姉さん、でも残念な事に私は今から
就職先の店に行かなきゃいけないから、美女と一緒に晩ごはんを食べる事は出来ないし、
…かと言って この女性を無視して立ち去る訳にもいかないから、正直これは困ったなぁ……)
と真剣に悩みながらも実はメッチャ空腹なので
後輩に貰った苺キャンディーをガリガリガリガリ噛んでいたけれど
そんな事よりも次の瞬間、
まるで天啓を得たかの様に絶妙なタイミングで
(でも冷静に考えてみれば、私の職場はパスタ屋なんだから、
…て事はつまり今すぐ、このお姉さんを職場の店に連れて行って
就職先のレストランで一緒に晩ごはんを食べればいいって事じゃん!)
こうして最高のアイデアを思い付いたから
ニコッと笑って美女を見上げた恵はこの後、めっちゃ明るい元気な声で!
「わかりましたー!でも今から一緒に行くお店は、私が選んでもいいですか?」
「えぇ、勿論いいですよ?」
「やったー!交渉成立ありがとうお姉さん。
いや実はね?めっちゃ良い店を知っているんですよ~お姉さん」
て感じでトントン拍子に話を進めて
名前も知らない美女?と二人で就職先の店へと向かう事になったけど……
そもそも冷静に考えてみれば、なんだか やたらとカオスなこの状況で
ほんの一時間前に上京したばかりで右も左も分からない恵が
こんな風に自然な感じで誰かを連れて行く事が出来るお店なんて
自分の職場以外はドコにも存在しないのだから……
だからこの時の恵は、こうする以外の方法を何も思い付く事が出来なかったのだ。
例えこの後、どんなにトンデモナイ何が起こったとしても……。
どの方向から見ても綺麗な美女は優しい表情で
「ところで貴女は……
一体どうやってあの連中から鞄を取り戻す事が出来たんですか?」
と心配そうな声で鞄の件を聞いてきたから、
*****
(そりゃあ勿論、正義の力を使ってワンパンで取り返したんですよ~)
とは言えない怪力女の恵はついつい適当に
「え~っと鞄の件はですねぇ……
まぁ普通にゼロ距離で話し合いをしたら解決できたので、
全然大丈夫でしたよお姉さん、結構フレンドリーなヤクザだったから~」
て感じの有り得ない嘘をついて返事をしてみたのだが
「フレンドリーなヤクザねぇ…フフフッ」
と小さな声で意味深な言葉を呟いた美女はこの直後
またまた微妙に心配そうな表情で
「そうでしたか。あのあと貴女が急に居なくなったから……
私は小さな貴女の事を本気で心配していたんですよ?
でもこうして怪我もなくて元気だし、とにかく貴女が無事で何よりでした」
て感じのメッチャ優しい言葉を掛けてくれたから
思わず恵は感動しながら目の前の綺麗なお姉さんに、
何かお礼の品物をプレゼントしなくっちゃ!と真剣に思ったけど、
残念な事にレッドレトリバーの鞄に入った プレゼントできる品物は……
来週が賞味期限の中国産の桃缶と、明日が賞味期限の潰れたアンパンと、
もう既に賞味期限が切れている、とにかく危険なレトルトカレー位の物しか入っていないから
(いくらなんでも、こんな物をあげる訳にはいかないし、
かと言って、このままお礼をしない訳にもいかないし、これは困ったなぁ……)
と心の中でガッカリしながら深い溜息を吐いていたのに
そんな恵をジッと見つめる綺麗な美女は、この後なぜか唐突に、
「ではお嬢さん、こんな所で立ち話もなんですし
もしも貴女さえ良ければ、今から私と食事をしませんか?
このまま貴女とお別れするのは正直とても寂しいし
なんだか勿体ないと思うし、そもそも貴女が鞄を取り戻す事が出来たのは
私のおかげですからね?だから今回の情報を貴女に教えた『お礼』として、
今から私と一緒に食事をして頂いてもいいですよね~?可愛いお嬢さん?」
て感じの慣れた口説き文句で恵を食事に誘ってきたから、
(なるほど、なるほど、つまり綺麗なお姉さんは
情報を教えたお礼として、今から私に晩ごはんを奢れと言っているんだよね?
うんうん、それっていいアイデアだと思うよお姉さん、でも残念な事に私は今から
就職先の店に行かなきゃいけないから、美女と一緒に晩ごはんを食べる事は出来ないし、
…かと言って この女性を無視して立ち去る訳にもいかないから、正直これは困ったなぁ……)
と真剣に悩みながらも実はメッチャ空腹なので
後輩に貰った苺キャンディーをガリガリガリガリ噛んでいたけれど
そんな事よりも次の瞬間、
まるで天啓を得たかの様に絶妙なタイミングで
(でも冷静に考えてみれば、私の職場はパスタ屋なんだから、
…て事はつまり今すぐ、このお姉さんを職場の店に連れて行って
就職先のレストランで一緒に晩ごはんを食べればいいって事じゃん!)
こうして最高のアイデアを思い付いたから
ニコッと笑って美女を見上げた恵はこの後、めっちゃ明るい元気な声で!
「わかりましたー!でも今から一緒に行くお店は、私が選んでもいいですか?」
「えぇ、勿論いいですよ?」
「やったー!交渉成立ありがとうお姉さん。
いや実はね?めっちゃ良い店を知っているんですよ~お姉さん」
て感じでトントン拍子に話を進めて
名前も知らない美女?と二人で就職先の店へと向かう事になったけど……
そもそも冷静に考えてみれば、なんだか やたらとカオスなこの状況で
ほんの一時間前に上京したばかりで右も左も分からない恵が
こんな風に自然な感じで誰かを連れて行く事が出来るお店なんて
自分の職場以外はドコにも存在しないのだから……
だからこの時の恵は、こうする以外の方法を何も思い付く事が出来なかったのだ。
例えこの後、どんなにトンデモナイ何が起こったとしても……。
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