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素敵な家族を助けたいシンデレラ
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そして全部の窓を一気に開けて
(じゃあ今から超~汚い床と玄関を綺麗に拭いて、
お風呂とトイレと台所も綺麗に掃除をした後で、
最後に6帖の洋室をピカピカに仕上げて折りたたみのベッドを置いて
オシャレなカーテンを付けて可愛いお布団を敷いたら掃除は終了だから
そうと決まれば今からサッサと掃除を始めなきゃ!)
とヤル気マンマンの恵は早速腕まくりをした後で
台所の小さなテーブルに置いたスマホをチラッと見てみると……
待ち受け画面の時計表示が夜の10時15分になっていたので、
*****
(えっ?もう夜の10時を過ぎてたの?はやっ!
じゃあ今すぐ掃除をしないとマジで徹夜になるからヤバイじゃん!
…って事で今からサッサと拭き掃除を始めたい所だけど その前に、
まずは玄関先のアオダイショウとサヨナラバイバイしようかな?)
と言う事で、まずは玄関先を綺麗にする為に
玄関ホールで干からびているアオダイショウをティッシュで掴んで玄関ドアをトットと開けて、
そしてドッジボールみたいに助走をつけてピッチングフォームを決めながら
なぜか結構いい車が停まっている下の駐車場に向かって大蛇を放り投げたその直後、
いつもと変わらぬ平常心で、めちゃめちゃ硬い玄関ドアをバターンと乱暴に閉めていたら、
次の瞬間、何故か突然、唐突に!
『ねぇねぇお爺ちゃん、ラーメン食べる~?』
『いつも苦労を掛けて済まないねぇハルカ』
『何言ってんのよお爺ちゃん、こんなの全然苦労じゃないよ~、
…って言うかぁ今日はハルカの給料日だからぁ、
チャルメラ的なラーメンにぃ、特売の玉子を入れてあげるね~』
て感じの穏やかな会話が隣の部屋から聞こえてきたので
まだ見ぬ隣人さんの優しい会話に心を打たれた恵は勿論、今日も元気に心の中で、
(なんだかメッチャ素敵な御家族だなぁ。
今日はもう遅いから、挨拶に伺うのはダメだけど、
明日はバームクーヘンを持って引っ越しの挨拶をしに行かなきゃね?)
な~んて事を思いながらもトットと拭き掃除を始めていたのに、
またまたこの後、このタイミングで唐突に!
コンコン!コンコン!
コンコンコン!コンコンコンコーン!
とメチャメチャ強いノックの音のその後で、
『綾波さーん、居るんでしょう?
早く開けてよ綾波のお爺ちゃん!』
『おい!さっさと開けろやボケッ!』
て感じの態度が悪い来客と
『えっ?何これ聞いてないんだけど~!
…て言うかぁ、お爺ちゃん、もしかして、
またパチンコに行ってゴッソリ負けたのぉ?
それでドコかのサラ金でぇ、華麗にお金を借りちゃったとかぁ?』
『ほんの10万借りただけじゃよハルカ』
『あちゃああ、やっちゃったね~お爺ちゃん。
正直に言ってくれたらハルカがお小遣いをあげたのに~
て言うかそんな事よりもさぁ、いったいドコで10万も借りたのぉ?』
と言った感じの訳あり的な
お隣さんの悲しい会話に聞き耳を立てていたけれど
そんな事よりも再びこの後、またまた隣の玄関ドアから
『おいジジイ!
さっきから何をボソボソ喋ってんだよクソジジイ!
早くサッサと開けねぇと、このドアぶっ壊すぞコラァ!』
『わかりました。じゃあ今ドアを開けますからぁ、
そんなに大声を出さないでよぉ。ご近所さんに迷惑だからぁ』
て感じのヤバそうな会話の後でハッキリと
ガチャガチャ、パタン…と玄関が開く音を聞いたので
*****
今夜も無駄に正義感が強い恵は勿論密かに心の中で
チャルメラ的なラーメンに玉子を入れてあげた、
隣の部屋の優しい女性をめっちゃ心配していたが、
そうは言っても自分はヤッパリ、赤の他人の部外者なので
(お隣さん大丈夫かなぁ…きっと貧弱な御家族だよね?)
と更に心配しながらも、
結局こうしてヤル気がゼロの拭き掃除を続ける事しか出来なかったのに
でもでもヤッパリ恵はいつも、強くて優しいヒーローだから、
『綾波さんよぉ、去年アンタに貸した10万な?
今夜で利息が200万を越えたからさぁ、今すぐ残りの200万をね?
この場で全て支払ってくれないかなぁ。アンタ、兄貴の冗談を真に受けて、
毎月5千円づつ支払っていたらしいけど、うちはトサンなんだよね?
わかる?10日で3割りのトサン…つう事で今すぐサッサと金を出せよジジイ!
もしもこの場で払えないなら、孫のハルカをうちの裏ソープに沈めるぜ?』
と息巻く男の話を一応黙って聞いていたけれど、
結構な早口でペラペラと喋りまくる男の変な日本語は、
田舎育ちの恵にとっては全てが意味不明な内容だったので、
(うらそーぷに沈める?何それ?
外国のヤバい石鹸水の中に沈めるとか?)
こうして今夜も冴え渡る最強の脳内でトンデモナイ推理をしてみたが、
やはり今はそんな事よりも……!
『ちょっ!何するのよぉ!さわらないでよ~!
お爺ちゃんが借りたお金と私は全く関係ないじゃん!
えっ?ヤダ離してよぉ!誰か助けて~!誰かーー!』
『ギャーギャーうるせぇんだよデカパイ女!じゃあ爺さん、
この女は暫くうちのソープで預からせて貰うぜ?邪魔したな』
『いやああぁ!離して~!誰か来てーー!』
と大きな悲鳴を聞いた恵はヒーロー研究会の終身名誉会長として
あまりにも貧弱すぎる素敵なお隣さんを無視する事は出来ないので
恐ろしい外国産の石鹸水に沈められる事が決まった隣の女性を助ける為に
威風堂々と立ち上がった最強シンデレラはこの勢いでトットと隣の玄関に向かい、
そして遂に、「ねぇねぇ…お兄さんはココで何をしているの?」
と一応挨拶をしながら、まだ引っ越しの挨拶もしていないお隣さんの玄関で、
なんだかドコかで見た事がある柄の、
ダサいスカジャンを羽織った『とある男』の後ろに立っていた。
(じゃあ今から超~汚い床と玄関を綺麗に拭いて、
お風呂とトイレと台所も綺麗に掃除をした後で、
最後に6帖の洋室をピカピカに仕上げて折りたたみのベッドを置いて
オシャレなカーテンを付けて可愛いお布団を敷いたら掃除は終了だから
そうと決まれば今からサッサと掃除を始めなきゃ!)
とヤル気マンマンの恵は早速腕まくりをした後で
台所の小さなテーブルに置いたスマホをチラッと見てみると……
待ち受け画面の時計表示が夜の10時15分になっていたので、
*****
(えっ?もう夜の10時を過ぎてたの?はやっ!
じゃあ今すぐ掃除をしないとマジで徹夜になるからヤバイじゃん!
…って事で今からサッサと拭き掃除を始めたい所だけど その前に、
まずは玄関先のアオダイショウとサヨナラバイバイしようかな?)
と言う事で、まずは玄関先を綺麗にする為に
玄関ホールで干からびているアオダイショウをティッシュで掴んで玄関ドアをトットと開けて、
そしてドッジボールみたいに助走をつけてピッチングフォームを決めながら
なぜか結構いい車が停まっている下の駐車場に向かって大蛇を放り投げたその直後、
いつもと変わらぬ平常心で、めちゃめちゃ硬い玄関ドアをバターンと乱暴に閉めていたら、
次の瞬間、何故か突然、唐突に!
『ねぇねぇお爺ちゃん、ラーメン食べる~?』
『いつも苦労を掛けて済まないねぇハルカ』
『何言ってんのよお爺ちゃん、こんなの全然苦労じゃないよ~、
…って言うかぁ今日はハルカの給料日だからぁ、
チャルメラ的なラーメンにぃ、特売の玉子を入れてあげるね~』
て感じの穏やかな会話が隣の部屋から聞こえてきたので
まだ見ぬ隣人さんの優しい会話に心を打たれた恵は勿論、今日も元気に心の中で、
(なんだかメッチャ素敵な御家族だなぁ。
今日はもう遅いから、挨拶に伺うのはダメだけど、
明日はバームクーヘンを持って引っ越しの挨拶をしに行かなきゃね?)
な~んて事を思いながらもトットと拭き掃除を始めていたのに、
またまたこの後、このタイミングで唐突に!
コンコン!コンコン!
コンコンコン!コンコンコンコーン!
とメチャメチャ強いノックの音のその後で、
『綾波さーん、居るんでしょう?
早く開けてよ綾波のお爺ちゃん!』
『おい!さっさと開けろやボケッ!』
て感じの態度が悪い来客と
『えっ?何これ聞いてないんだけど~!
…て言うかぁ、お爺ちゃん、もしかして、
またパチンコに行ってゴッソリ負けたのぉ?
それでドコかのサラ金でぇ、華麗にお金を借りちゃったとかぁ?』
『ほんの10万借りただけじゃよハルカ』
『あちゃああ、やっちゃったね~お爺ちゃん。
正直に言ってくれたらハルカがお小遣いをあげたのに~
て言うかそんな事よりもさぁ、いったいドコで10万も借りたのぉ?』
と言った感じの訳あり的な
お隣さんの悲しい会話に聞き耳を立てていたけれど
そんな事よりも再びこの後、またまた隣の玄関ドアから
『おいジジイ!
さっきから何をボソボソ喋ってんだよクソジジイ!
早くサッサと開けねぇと、このドアぶっ壊すぞコラァ!』
『わかりました。じゃあ今ドアを開けますからぁ、
そんなに大声を出さないでよぉ。ご近所さんに迷惑だからぁ』
て感じのヤバそうな会話の後でハッキリと
ガチャガチャ、パタン…と玄関が開く音を聞いたので
*****
今夜も無駄に正義感が強い恵は勿論密かに心の中で
チャルメラ的なラーメンに玉子を入れてあげた、
隣の部屋の優しい女性をめっちゃ心配していたが、
そうは言っても自分はヤッパリ、赤の他人の部外者なので
(お隣さん大丈夫かなぁ…きっと貧弱な御家族だよね?)
と更に心配しながらも、
結局こうしてヤル気がゼロの拭き掃除を続ける事しか出来なかったのに
でもでもヤッパリ恵はいつも、強くて優しいヒーローだから、
『綾波さんよぉ、去年アンタに貸した10万な?
今夜で利息が200万を越えたからさぁ、今すぐ残りの200万をね?
この場で全て支払ってくれないかなぁ。アンタ、兄貴の冗談を真に受けて、
毎月5千円づつ支払っていたらしいけど、うちはトサンなんだよね?
わかる?10日で3割りのトサン…つう事で今すぐサッサと金を出せよジジイ!
もしもこの場で払えないなら、孫のハルカをうちの裏ソープに沈めるぜ?』
と息巻く男の話を一応黙って聞いていたけれど、
結構な早口でペラペラと喋りまくる男の変な日本語は、
田舎育ちの恵にとっては全てが意味不明な内容だったので、
(うらそーぷに沈める?何それ?
外国のヤバい石鹸水の中に沈めるとか?)
こうして今夜も冴え渡る最強の脳内でトンデモナイ推理をしてみたが、
やはり今はそんな事よりも……!
『ちょっ!何するのよぉ!さわらないでよ~!
お爺ちゃんが借りたお金と私は全く関係ないじゃん!
えっ?ヤダ離してよぉ!誰か助けて~!誰かーー!』
『ギャーギャーうるせぇんだよデカパイ女!じゃあ爺さん、
この女は暫くうちのソープで預からせて貰うぜ?邪魔したな』
『いやああぁ!離して~!誰か来てーー!』
と大きな悲鳴を聞いた恵はヒーロー研究会の終身名誉会長として
あまりにも貧弱すぎる素敵なお隣さんを無視する事は出来ないので
恐ろしい外国産の石鹸水に沈められる事が決まった隣の女性を助ける為に
威風堂々と立ち上がった最強シンデレラはこの勢いでトットと隣の玄関に向かい、
そして遂に、「ねぇねぇ…お兄さんはココで何をしているの?」
と一応挨拶をしながら、まだ引っ越しの挨拶もしていないお隣さんの玄関で、
なんだかドコかで見た事がある柄の、
ダサいスカジャンを羽織った『とある男』の後ろに立っていた。
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