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朝のマフィンはスマイルゼロ円 後編
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そしてこの後、かっこいい黒の外車に乗った恵は
人生初の有名なハンバーガーショップに向かう道中で……
(やっぱ都会の街並みは凄いなぁ……
だって龍崎プレジデントヒルズからココに来る迄もう既に、
有名なハンバーガーの店を3つも通り過ぎているんだもん。
それに比べて春川村のハンバーガーショップなんてさ?
チキンバーガー専門店の『コケコッコー春川』だけしかないんだから、
やっぱり都会は色々と凄いよね~、お婆ちゃん)
て感じで『しみじみ』と……
早くも懐かしい黒歴史になってしまった、
残念すぎるコケコッコーを思い出していたけれど、
そんな事よりも車窓から見える外の景色はどう見ても、
恵の最寄り駅である、夢が丘の駅なので、
*****
(ん?あれれ?あの駅はドコをどう見ても夢が丘の駅だから
じゃあ今の彰さんが向かっているハンバーガーのお店は駅の近くにあるのかな?)
と恵は思ったが、
そんな事を考えている恵の隣で車を運転している彰はとても上機嫌に
「ほら、あそこに赤い屋根の建物が見えるでしょ?
あれがカーネリアンホールだよ?それでね恵さん、
うちのマンションの前にあるバス停から駅前行きのバスに乗れば、
カーネリアンホールまではバス一本で行けるんですよ?とっても便利でしょ?」
とアクセスの説明をしてくれたから、もちろん恵も明るい声で
「えっ?あのオシャレなビルがカーネリアンホールなの?」
と正直な感想を言いながら
「そうだね恵さん。
勿論カーネリアンホールは最高にオシャレなハコだけど
そもそも夢が丘は音楽の聖地と呼ばれる若者の街だから
野音とか楽器屋とか、ピアノOKのマンションも沢山あって、
しかも駅前には大型デパートと綺麗な公園と、
恵さんの大好きなハンバーガーショップも3軒ありますから、
今日は駅前のお店で朝のマフィンを食べる事にしましょうね」
「はい、わかりましたー…って言うか夢が丘の街って、
音楽的なアニメに出てくる街並みっぽくて凄くオシャレですよね~」
こうして楽しい会話でワチャワチャと盛り上がっていたけれど、
この後わずか10分で、憧れのハンバーガーショップにトットと着いたから
ついつい恵は心の中で
(まぁ確かに職場までバス一本は便利だよね?
じゃあ初出勤の前日までに、仏壇ワールドを取りに行こうかな?)
でも2日ぐらい家を開けているから、
またまた玄関で蛇が死んでいるかも知れないけどね~……
と密かに呟きながら
とにかくカッコいい彰と一緒に人生初のハンバーガーショップに向かい、
*****
そしてオシャレな店に到着してすぐに……
さっそくカウンターに向かった彰はメッチャ威風堂々と、
「いらっしゃいませ、店内でお召し上がりですか?」
「えぇ店内で、じゃあこのセットをふたつお願いします。
ドリンクはアイスコーヒーとアイスティーで、それとこのパイをひとつと――」
て感じでサッサとオーダーを取ってくれたので
へぇ~?こんな風に注文をするんだ~…と田舎丸出しの恵はこのままの勢いで
めっちゃ背が高い彰の後ろをテクテクと歩いて客席に向かったが、
若い女性がたくさん座っている客席のアチラコチラから
「うわぁ!あそこにオブシディアンの彰が居るし!」
「えっ?マジで?どこどこ?
うわぁ!マジでボーカルの彰じゃ~ん!ヤバいよコレ!」
て感じのイミフな声が聞こえたので
思わず恵はハッとしながら彰の顔をジッと見て、
(オブシディアンの彰って何?
…って言うかボーカルの彰って事はもしかして……!
大学時代の彰さんは有名ロックバンドのコスプレイヤーをやっていたの?
うんうん、絶対そうだよマジで!だって冷静に考えてみれば彰さんちのリビングに
コスプレ選手権で優勝した時の写真が飾ってあったじゃん!)
こうして今日も冴え渡る最強の脳内で
トンデモナイ結論に達した国宝級のバカ子は少し照れながら
「えっと彰さんはそのぉ……
お、お、オブしじみ~じゃなくって、オブシディアンの彰なんでしょ?
ごめんね彰さん、部屋に飾ったコスプレ選手権優勝の写真を見た時に
アンディーにソックリ~とか言っちゃって…。でも私は春川村の田舎女子で、
昔の彰さんが有名コスプレイヤーだった事を全然知らなかったから……」
と素直な気持ちを打ち明けてみたけれど
この後すぐに、なんとも絶妙なタイミングで、
「番号札17番でお待ちのお客様~」と自分達の番号が呼ばれたから、
コスプレ選手権の話で無駄にときめいていたアホの恵は一人でサッサと席を立ち
「あっ、17番が呼ばれたからマフィンのセットを取ってきますね~」
と頬を赤くしながらカウンターへと向かったが
*****
もうドコから突っ込んだら良いのかサッパリわからない恵が席から離れた瞬間に
「鬼嫁の次はコスプレ選手権か…クックックックッ」
な~んて独り言を呟きながら
下を向いて静かに爆笑していた彰はあまりにも幸せだったので
実はこの時もう既に、まだ見ぬ恐ろしい敵に自分の命が狙われていたと言う事を
勿論まったく気付いていなかった。
人生初の有名なハンバーガーショップに向かう道中で……
(やっぱ都会の街並みは凄いなぁ……
だって龍崎プレジデントヒルズからココに来る迄もう既に、
有名なハンバーガーの店を3つも通り過ぎているんだもん。
それに比べて春川村のハンバーガーショップなんてさ?
チキンバーガー専門店の『コケコッコー春川』だけしかないんだから、
やっぱり都会は色々と凄いよね~、お婆ちゃん)
て感じで『しみじみ』と……
早くも懐かしい黒歴史になってしまった、
残念すぎるコケコッコーを思い出していたけれど、
そんな事よりも車窓から見える外の景色はどう見ても、
恵の最寄り駅である、夢が丘の駅なので、
*****
(ん?あれれ?あの駅はドコをどう見ても夢が丘の駅だから
じゃあ今の彰さんが向かっているハンバーガーのお店は駅の近くにあるのかな?)
と恵は思ったが、
そんな事を考えている恵の隣で車を運転している彰はとても上機嫌に
「ほら、あそこに赤い屋根の建物が見えるでしょ?
あれがカーネリアンホールだよ?それでね恵さん、
うちのマンションの前にあるバス停から駅前行きのバスに乗れば、
カーネリアンホールまではバス一本で行けるんですよ?とっても便利でしょ?」
とアクセスの説明をしてくれたから、もちろん恵も明るい声で
「えっ?あのオシャレなビルがカーネリアンホールなの?」
と正直な感想を言いながら
「そうだね恵さん。
勿論カーネリアンホールは最高にオシャレなハコだけど
そもそも夢が丘は音楽の聖地と呼ばれる若者の街だから
野音とか楽器屋とか、ピアノOKのマンションも沢山あって、
しかも駅前には大型デパートと綺麗な公園と、
恵さんの大好きなハンバーガーショップも3軒ありますから、
今日は駅前のお店で朝のマフィンを食べる事にしましょうね」
「はい、わかりましたー…って言うか夢が丘の街って、
音楽的なアニメに出てくる街並みっぽくて凄くオシャレですよね~」
こうして楽しい会話でワチャワチャと盛り上がっていたけれど、
この後わずか10分で、憧れのハンバーガーショップにトットと着いたから
ついつい恵は心の中で
(まぁ確かに職場までバス一本は便利だよね?
じゃあ初出勤の前日までに、仏壇ワールドを取りに行こうかな?)
でも2日ぐらい家を開けているから、
またまた玄関で蛇が死んでいるかも知れないけどね~……
と密かに呟きながら
とにかくカッコいい彰と一緒に人生初のハンバーガーショップに向かい、
*****
そしてオシャレな店に到着してすぐに……
さっそくカウンターに向かった彰はメッチャ威風堂々と、
「いらっしゃいませ、店内でお召し上がりですか?」
「えぇ店内で、じゃあこのセットをふたつお願いします。
ドリンクはアイスコーヒーとアイスティーで、それとこのパイをひとつと――」
て感じでサッサとオーダーを取ってくれたので
へぇ~?こんな風に注文をするんだ~…と田舎丸出しの恵はこのままの勢いで
めっちゃ背が高い彰の後ろをテクテクと歩いて客席に向かったが、
若い女性がたくさん座っている客席のアチラコチラから
「うわぁ!あそこにオブシディアンの彰が居るし!」
「えっ?マジで?どこどこ?
うわぁ!マジでボーカルの彰じゃ~ん!ヤバいよコレ!」
て感じのイミフな声が聞こえたので
思わず恵はハッとしながら彰の顔をジッと見て、
(オブシディアンの彰って何?
…って言うかボーカルの彰って事はもしかして……!
大学時代の彰さんは有名ロックバンドのコスプレイヤーをやっていたの?
うんうん、絶対そうだよマジで!だって冷静に考えてみれば彰さんちのリビングに
コスプレ選手権で優勝した時の写真が飾ってあったじゃん!)
こうして今日も冴え渡る最強の脳内で
トンデモナイ結論に達した国宝級のバカ子は少し照れながら
「えっと彰さんはそのぉ……
お、お、オブしじみ~じゃなくって、オブシディアンの彰なんでしょ?
ごめんね彰さん、部屋に飾ったコスプレ選手権優勝の写真を見た時に
アンディーにソックリ~とか言っちゃって…。でも私は春川村の田舎女子で、
昔の彰さんが有名コスプレイヤーだった事を全然知らなかったから……」
と素直な気持ちを打ち明けてみたけれど
この後すぐに、なんとも絶妙なタイミングで、
「番号札17番でお待ちのお客様~」と自分達の番号が呼ばれたから、
コスプレ選手権の話で無駄にときめいていたアホの恵は一人でサッサと席を立ち
「あっ、17番が呼ばれたからマフィンのセットを取ってきますね~」
と頬を赤くしながらカウンターへと向かったが
*****
もうドコから突っ込んだら良いのかサッパリわからない恵が席から離れた瞬間に
「鬼嫁の次はコスプレ選手権か…クックックックッ」
な~んて独り言を呟きながら
下を向いて静かに爆笑していた彰はあまりにも幸せだったので
実はこの時もう既に、まだ見ぬ恐ろしい敵に自分の命が狙われていたと言う事を
勿論まったく気付いていなかった。
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