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ピンクの王子様

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そしてこの後、

初めての朝マフィンを食べて満腹になった恵はメッチャ頭がスッキリしたので

冷静に考えてみれば今から家具を買いに行く必要はないよね?

と当たり前の事を思いながら……

*****

「綺麗に食べたね恵さん、じゃあそろそろデパートに行きましょうか」

「はい、ごちそうさまでした…って言うかあの、
私の荷物は青空荘の部屋に全部置いてあるから
無理してデパートで買い物なんてしなくてもいいですよ?
えっと実はですね?夢が丘公園の近くに私のアパートがあるんですよ彰さん」

こうして彰に余計なお金を使わせない為にも、

思い切って自分の気持ちを素直に伝えてみたけれど


「大丈夫だよ恵さん。全く無理はしていないし、
そもそも今日の買い物は、可愛いお前にピッタリの
ピンクの部屋を作る為の楽しいショッピングだからね、フフフッ…」

て感じの上機嫌な彰はメッチャ清々しい笑顔でニコニコしているので


(いやいやいやいや、
ピンクの部屋とか想像しただけでヤバいから、
大変な事になる前に、そんな企画は辞めましょうよ彰さん)

とは言えない恵は早くも一人で困っていたのに……

そんな恵の目の前で


「いいかい恵さん、可愛いお姫様の部屋はね?
どこの国でもピンクの家具で統一されていますから、
可愛い恵にピッタリの、最高に素敵な部屋を作る為に、
今から駅前のデパートに行って、ピンクのベッドとピンクの下着を買って、
それとピンクの間接照明と、ピンクの大型ソファーも買いましょうね恵さん」

な~んてノリノリの彰は突然ピンクの王子様になったから


(部屋の中を全部ピンクで統一したら、田舎のラブホみたいな部屋になっちゃうよ~)

とも言えない田舎女子の恵は結局

ハイテンションな彰と一緒に駅前のデパートに向かう事しか出来なかったけど

*****

人生初の有名なデパートに到着した恵はこの後すぐに、

「お待ちしておりました円行寺副社長
本日の買い物リストは全て準備しておきましたので、
あちらの部屋で商品の説明をさせて頂いても宜しいでしょうか」

「いつも仕事が早いね~遠藤部長、
じゃあ久し振りにVIPのサロンに行ってみようかな?フフフッ」

「ありがとうございます副社長、
では早速こちらのほうへ、ささ、お連れのかたもご一緒にどうぞ……」

て感じで謎の部屋へと案内されて、

そしてキンキラキンのベッドが並んだイミフの空間で……


 「これはこれは可愛らしい天蓋付きのベッドですねぇ、
マットレスもしっかりしているし、宮の部分も広くて頑丈だし、
じゃあベッドはこれを買いますから、次はピンクの布団と間接照明を見せてくれますか?」

「お買い上げありがとうございます副社長、では続きまして、
布団と照明器具についての御説明をさせていただきますが、
この商品の一番のセールスポイントはー……」

「なる程ね~、この照明の色を変える事によって、
淡いピンクの布団の色がシャインピンクに変わる仕掛けになっているのか……
じゃあ布団と照明もこれに決めるから、今日ココで買った物を全部まとめて今夜中に届けて貰おうかな」

「かしこまりました副社長」


こうして彰が選んだ天涯付きの怪しいベッドと

ピンクの布団とトンデモナイ照明のお買い上げを黙って見ていたが

そんな事よりもこの直後、

嬉しそうな表情でソファーから立ち上がった彰はこのままの勢いで


「じゃあ次はランジェリーショップとプレタポルテに行きましょうか恵さん」

とホタテっぽい事を言ったので、

思わず恵は条件反射で、はい、わかりましたーと返事をしてすぐに

広いデパートの中を颯爽と歩く彰の後ろをキョロキョロしながら付いて行ったけど、

そんな事よりも……

(ランジェリーショップって下着のお店でしょ?
ブラジャーを売っている下着屋さんに男の人が入っていいの?
…って言うかプレタポルテって何?新種のホタテのお店なの?)

なんて事を密かに思ったボキャひんの恵に出来る事なんて何もないから

威風堂々とした態度でランジェリーショップの下着を爆買いしている彰の姿を

ポカーンと眺めていた恵はこの店の買い物が終わった後すぐに

新種のホタテが立ち並ぶイミフな店ではない、プレタポルテの高級店で、

大量の可愛い服とメッチャ高価な鞄と靴を買ってもらったその後で……


「さてとー、とりあえず今日の買い物はこれぐらいにして、
今からカフェで甘い物を食べて少し休憩しましょうか恵さん。
午後はカーネリアンホールの見学がありますからね?」

こうしてオシャレなカフェで休憩をした後に

とにかく上機嫌な彰と二人でカーネリアンホールへと向かったのだが、

やはりそんな事よりも……!

(ヘッタクソな尾行だなぁ)

実はこの時もう既に、最強シンデレラは気付いていた……。

デパートを出た時からずっと後ろを付いてくる、怪しい一人のグラサン男がいた事を!
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