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真夜中の不思議
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こうしてバイト初日の夜に
いきなり理不尽なクビを告げられて
ショックを隠しきれない玲はこの後しばらく、
シーンと静かな事務所の中でボーッと立っていたけれど
なんだかんだでこの後すぐに、自分の置かれた立場が理解できたので
*****
(クビになったんだから早く帰ろう……)
と心の中で呟きながらサッサと気持ちを入れ替えて、
そしてこのままロッカーに向かって自分の荷物を取ってすぐ、
一人でトットと店を出て、エレベーターが上がってくるのをぼーっとしながら待っていたが
次の瞬間、なぜか突然!
店の中からスパンコール姿の涼子が現れて
「待って玲ちゃん!まさか…こんな事になるなんて…
こんなの寝耳に水だけど、とにかく今日はごめんなさいね」
と疲れた表情で玲に向かって軽く頭を下げた後
「あのね玲ちゃん、貴女にお願いがあるんだけど……
さっき店で起きた事は、単なる事故だから忘れてくれない?
それとマリーさんには今夜の事を言わないでほしいの!
だって彼女は有名人だから…さっきの騒ぎが世間にバレたら
あっと言う間に悪い噂が広がって、お店が潰れてしまうでしょ?
そんなの私は絶対に困るの!だって私は親も兄弟もいない天涯孤独だから
もしも この店を取られたら…一人ぼっちの私は一体どうすれば…うっ…うっ、うっ……」
こうして突然泣き出したので……
泣き顔の涼子が不憫だと思った玲は彼女に向かってはっきりと、
「わかりました。じゃあ今夜の事は誰にも言いませんから安心して下さい」
と約束をした後でエレベーターに乗ってビルを出たけれど、
キンキラキンの大きなビルを出た瞬間、
ネオンで煌めく歓楽街はすっかり夜になっていたから
心身共に疲れた玲は今すぐ帰宅をする為に
このまま歓楽街の駅まで歩いてサッサと電車に飛び乗って
地元の最寄り駅である『桜が丘の駅』まで帰ってきたのだが……
*****
いつもの様に駅の敷地を出た直後、
なぜか突然、駅前広場の第一公園あたりから
「わんわん!ワンワンワンッ!!」
「ギャンギャンギャンッ!ウゥ~……」
て感じのヤバそうな犬の鳴き声が聞こえたので
(何あれ?もしかして犬の喧嘩?)
と思った玲は慌てて夜の第一公園に行ってみると
思った通りに公園の中で犬達が大喧嘩をしていたから
「ねぇねぇみんな!こんな時間に何をやってるの?
…って言うか、こんなに小さな子犬を苛めちゃ駄目でしょ?」
こうして動物の前では常に明るく優しい玲は
小さな子犬を取り囲んでいた犬達を注意しながら
優しい手付きで白い子犬をそっと抱き上げたのに……
この子の尻尾をよーく見てみると
なんと!九尾の狐みたいに複数の尻尾がフワフワと生えていたから
(えっ?何この尻尾!
て言うか今日の私はメッチャ疲れているのかなぁ……)
と心で呟きながらも子犬を抱いたままの状態で
ブランコに座って不思議な子犬を見つめていたけれど……
次の瞬間!この子犬は、なんと!
『助けてくれてありがとう、きみの名前を教えてくれる?』
とハッキリ日本語を喋ったので!
「えぇ~?嘘でしょー!」と思わず玲は本音が口を衝いたのに
慌てふためく玲の顔をつぶらな瞳で見ていた子犬はこの後突然
玲の腕からピョコンと一気に飛び出して、そして芝生の地面に降りた後、
『あはははは!きみの名前は嘘でしょう、じゃなくて、
一条玲でしょ?皆きみの事を知ってるよ?だって僕達の世界では
前世の頃から玲は人気の女の子で、しかも動物達の間では、
はっきり言って一条玲がナンバーワンのアイドルだからね、フフフッ』
と突っ込みどころ満載の不思議な話をしてすぐに、
『だから勿論、僕も昔から玲の事が大好きだし、
それに今夜は僕の事を助けてくれたから、そのお礼をする為に
きみの願いを一つだけ叶えてあげるよ…って事で今夜さっそく
玲の夢世界にお邪魔をするから、それまでに願い事を決めておいてね』
こうして神様みたいに凄い事を言いながら、
キラキラと光る優しい夜風を起こした後で、突然いきなり姿を消した。
いきなり理不尽なクビを告げられて
ショックを隠しきれない玲はこの後しばらく、
シーンと静かな事務所の中でボーッと立っていたけれど
なんだかんだでこの後すぐに、自分の置かれた立場が理解できたので
*****
(クビになったんだから早く帰ろう……)
と心の中で呟きながらサッサと気持ちを入れ替えて、
そしてこのままロッカーに向かって自分の荷物を取ってすぐ、
一人でトットと店を出て、エレベーターが上がってくるのをぼーっとしながら待っていたが
次の瞬間、なぜか突然!
店の中からスパンコール姿の涼子が現れて
「待って玲ちゃん!まさか…こんな事になるなんて…
こんなの寝耳に水だけど、とにかく今日はごめんなさいね」
と疲れた表情で玲に向かって軽く頭を下げた後
「あのね玲ちゃん、貴女にお願いがあるんだけど……
さっき店で起きた事は、単なる事故だから忘れてくれない?
それとマリーさんには今夜の事を言わないでほしいの!
だって彼女は有名人だから…さっきの騒ぎが世間にバレたら
あっと言う間に悪い噂が広がって、お店が潰れてしまうでしょ?
そんなの私は絶対に困るの!だって私は親も兄弟もいない天涯孤独だから
もしも この店を取られたら…一人ぼっちの私は一体どうすれば…うっ…うっ、うっ……」
こうして突然泣き出したので……
泣き顔の涼子が不憫だと思った玲は彼女に向かってはっきりと、
「わかりました。じゃあ今夜の事は誰にも言いませんから安心して下さい」
と約束をした後でエレベーターに乗ってビルを出たけれど、
キンキラキンの大きなビルを出た瞬間、
ネオンで煌めく歓楽街はすっかり夜になっていたから
心身共に疲れた玲は今すぐ帰宅をする為に
このまま歓楽街の駅まで歩いてサッサと電車に飛び乗って
地元の最寄り駅である『桜が丘の駅』まで帰ってきたのだが……
*****
いつもの様に駅の敷地を出た直後、
なぜか突然、駅前広場の第一公園あたりから
「わんわん!ワンワンワンッ!!」
「ギャンギャンギャンッ!ウゥ~……」
て感じのヤバそうな犬の鳴き声が聞こえたので
(何あれ?もしかして犬の喧嘩?)
と思った玲は慌てて夜の第一公園に行ってみると
思った通りに公園の中で犬達が大喧嘩をしていたから
「ねぇねぇみんな!こんな時間に何をやってるの?
…って言うか、こんなに小さな子犬を苛めちゃ駄目でしょ?」
こうして動物の前では常に明るく優しい玲は
小さな子犬を取り囲んでいた犬達を注意しながら
優しい手付きで白い子犬をそっと抱き上げたのに……
この子の尻尾をよーく見てみると
なんと!九尾の狐みたいに複数の尻尾がフワフワと生えていたから
(えっ?何この尻尾!
て言うか今日の私はメッチャ疲れているのかなぁ……)
と心で呟きながらも子犬を抱いたままの状態で
ブランコに座って不思議な子犬を見つめていたけれど……
次の瞬間!この子犬は、なんと!
『助けてくれてありがとう、きみの名前を教えてくれる?』
とハッキリ日本語を喋ったので!
「えぇ~?嘘でしょー!」と思わず玲は本音が口を衝いたのに
慌てふためく玲の顔をつぶらな瞳で見ていた子犬はこの後突然
玲の腕からピョコンと一気に飛び出して、そして芝生の地面に降りた後、
『あはははは!きみの名前は嘘でしょう、じゃなくて、
一条玲でしょ?皆きみの事を知ってるよ?だって僕達の世界では
前世の頃から玲は人気の女の子で、しかも動物達の間では、
はっきり言って一条玲がナンバーワンのアイドルだからね、フフフッ』
と突っ込みどころ満載の不思議な話をしてすぐに、
『だから勿論、僕も昔から玲の事が大好きだし、
それに今夜は僕の事を助けてくれたから、そのお礼をする為に
きみの願いを一つだけ叶えてあげるよ…って事で今夜さっそく
玲の夢世界にお邪魔をするから、それまでに願い事を決めておいてね』
こうして神様みたいに凄い事を言いながら、
キラキラと光る優しい夜風を起こした後で、突然いきなり姿を消した。
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