10 / 96
璃音編 龍崎璃音の憂鬱
しおりを挟む
そして一旦場面は変わり
ここは龍崎コーポレーション本社の社長室なのだか……
とにかくバタバタと忙しかった午前中の仕事がやっと一段落ついた頃
*****
今日も朝から重役会議と事務仕事、そして次々に現れる取引先との会合で、
一気に疲れた龍崎璃音は暫しの休憩を取る為に
来客用の広いソファーで缶コーヒーを飲んでいたのに、間髪入れずにこの直後、
「お疲れ様でございます龍崎社長!
では本日午後のスケジュールですが、
ダイヤモンドビルでの視察が終わった後は
内山田建設の内山田会長と国土交通省の~!」
と早くも午後の仕事に燃えている、第一秘書の沢田があまりにもウザいので
「わかっている、少し独りにさせてくれ」
「かしこまりましたー!」
こうして今日も無駄に元気な沢田を部屋から追い出して、
シガレットケースの中から出した一本の煙草に火をつけながら
白い煙が立ち込めている部屋の窓から小さな空を仰いでいたけれど、
今日の璃音は少しナーバスになっていた。
*****
なぜなら璃音が社長を務める龍崎コーポレーションは
現在急ピッチで歓楽街のリゾート開発事業を進めているのだが
とにかく毎日の業務が忙しすぎて、
まともな休日が全く取れない璃音の身体は悲鳴を上げていたからだ。
しかしどうして大企業の社長がこんなにも忙しいのか、
その理由は去年の春に、会長兼社長だった璃音の父が持病の悪化で突然この世を去ったので
会長の遺言と上層部の強い希望で
龍崎宝飾の社長をしていた璃音が急遽
龍崎コーポの社長に就任させられて、しかも来月にオープンする事が予定されている、
龍崎ダイヤモンドビルの仕事がメッチャごっそりと増えたからだ。
と言う事で、身体の疲れが抜けない璃音は正直今すぐ休みたいけれど、
龍崎コーポの社運を賭けた自社ビルの運営が無事に軌道に乗るまでは
どんなハードワークになろうとも、今は仕事を休む訳にはいかないので、
*****
だから今日も気合いを入れて、先ほど沢田に言われた通り
今から璃音は歓楽街のダイヤモンドビルを視察する為に
秘書の沢田と数名のSPと、そして副社長の円行寺彰を連れて高級外車に乗ったけど
午後の仕事が終わった後は少し時間が取れるので、
歓楽街のビルへと向かう車の中で、ついつい璃音はいつもの様に……
「さてと彰、午後の会合が終わったら……
今夜は久しぶりにベルサイユにでも行ってみるか?」
と珍しく上機嫌な声で
副社長の円行寺彰に声を掛けて、
「なるほどベルサイユですか……
まぁそろそろ『アレ』の時期ですからね~、フフフッ」
と意味深な敬語で返事をしてくれた親友の彰と
なにやら『含み』を持たせた謎の会話で盛り上がりながら
「その通りだ彰。だが今夜は一応プライベートだからな?
たまにはゆっくりと世間話をしながら一緒に飲まないか?」
「いいですねぇ世間話。
じゃあ喜んで俺も同行させて頂きますね」
て感じで親友の彰と楽しい話をしていたが、
まさかこの後、このメンバーで車を降りた後すぐに
見知らぬ女に一目惚れをするなんて……
28年間の人生で一度も女に困った事がない璃音は夢にも思っていなかった。
ここは龍崎コーポレーション本社の社長室なのだか……
とにかくバタバタと忙しかった午前中の仕事がやっと一段落ついた頃
*****
今日も朝から重役会議と事務仕事、そして次々に現れる取引先との会合で、
一気に疲れた龍崎璃音は暫しの休憩を取る為に
来客用の広いソファーで缶コーヒーを飲んでいたのに、間髪入れずにこの直後、
「お疲れ様でございます龍崎社長!
では本日午後のスケジュールですが、
ダイヤモンドビルでの視察が終わった後は
内山田建設の内山田会長と国土交通省の~!」
と早くも午後の仕事に燃えている、第一秘書の沢田があまりにもウザいので
「わかっている、少し独りにさせてくれ」
「かしこまりましたー!」
こうして今日も無駄に元気な沢田を部屋から追い出して、
シガレットケースの中から出した一本の煙草に火をつけながら
白い煙が立ち込めている部屋の窓から小さな空を仰いでいたけれど、
今日の璃音は少しナーバスになっていた。
*****
なぜなら璃音が社長を務める龍崎コーポレーションは
現在急ピッチで歓楽街のリゾート開発事業を進めているのだが
とにかく毎日の業務が忙しすぎて、
まともな休日が全く取れない璃音の身体は悲鳴を上げていたからだ。
しかしどうして大企業の社長がこんなにも忙しいのか、
その理由は去年の春に、会長兼社長だった璃音の父が持病の悪化で突然この世を去ったので
会長の遺言と上層部の強い希望で
龍崎宝飾の社長をしていた璃音が急遽
龍崎コーポの社長に就任させられて、しかも来月にオープンする事が予定されている、
龍崎ダイヤモンドビルの仕事がメッチャごっそりと増えたからだ。
と言う事で、身体の疲れが抜けない璃音は正直今すぐ休みたいけれど、
龍崎コーポの社運を賭けた自社ビルの運営が無事に軌道に乗るまでは
どんなハードワークになろうとも、今は仕事を休む訳にはいかないので、
*****
だから今日も気合いを入れて、先ほど沢田に言われた通り
今から璃音は歓楽街のダイヤモンドビルを視察する為に
秘書の沢田と数名のSPと、そして副社長の円行寺彰を連れて高級外車に乗ったけど
午後の仕事が終わった後は少し時間が取れるので、
歓楽街のビルへと向かう車の中で、ついつい璃音はいつもの様に……
「さてと彰、午後の会合が終わったら……
今夜は久しぶりにベルサイユにでも行ってみるか?」
と珍しく上機嫌な声で
副社長の円行寺彰に声を掛けて、
「なるほどベルサイユですか……
まぁそろそろ『アレ』の時期ですからね~、フフフッ」
と意味深な敬語で返事をしてくれた親友の彰と
なにやら『含み』を持たせた謎の会話で盛り上がりながら
「その通りだ彰。だが今夜は一応プライベートだからな?
たまにはゆっくりと世間話をしながら一緒に飲まないか?」
「いいですねぇ世間話。
じゃあ喜んで俺も同行させて頂きますね」
て感じで親友の彰と楽しい話をしていたが、
まさかこの後、このメンバーで車を降りた後すぐに
見知らぬ女に一目惚れをするなんて……
28年間の人生で一度も女に困った事がない璃音は夢にも思っていなかった。
9
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる