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璃音編 初めての一目惚れ
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そして車を降りた璃音は副社長の彰を連れて、
今回の目的地である龍崎ダイヤモンドビルに向かう為、
沢山の人で溢れる歓楽街の一等地を歩いていたのだが
この界隈を歩く時は大勢の女達にキャーキャーと騒がれる事が多いので
*****
(おいおい勘弁してくれよ、俺と彰は芸能人じゃないんだぞ)
とイライラしながらこの道を歩いていたのだが
そうは言ってもレンガの舗道を通らないと目的地であるダイヤモンドビルには行けないから
結局今日もウンザリしながらサッサとこの道を通り抜けようとしていたのに
次の瞬間、向かいのカフェテラスがキラッと光ったその直後、
まるでオレンジ色のサファイアみたいにキラキラと輝く夕陽の下で
いきなり自分の視界に映った一人の女が気になった璃音はこの後なぜか、
まるで恋の天使に弓矢を打たれた男の様に、
片時もその女から目を離す事が出来なくなったから
(な、なっ!なんだよ、あの可愛い女は!)
と密かに呟く璃音は今まさに
一歩も動く事が出来ない状態でピタッと立ち止まっていたけれど
熱い眼差しで黒いスーツの女を見つめる璃音の耳に届いた声は、
「龍崎社長?そろそろ視察のお時間ですが?」
と忠告をしてくれた彰の優しい声だったから
この後すぐに我に返った璃音はこのままダイヤモンドビルに向かったが………
人生初の一目惚れをした璃音の心は微妙に少し浮ついていたので、
このままでは仕事が出来ないと思った璃音はただちに心を入れ替えて、
いつもの様に仕事に集中していたら
自分でも気づかぬ間に正気を取り戻していたので
*****
この後さらに冷静さを取り戻した璃音は午後の仕事をサッサと終わらせて
そして無事にダイヤモンドビルの視察を済ませた後すぐに、
彰と二人でClubベルサイユへと向かったが……
実は今日この店に来た理由は、楽しい世間話をする為ではなくて
オーナーの荒木涼子に貸し付けた金を集金する事が本当の目的なので
今から少し涼子の話をしてみよう。
*****
この店のオーナーである荒木涼子は……
龍崎グループの金融部門から2千万円の金を借りている。
そして涼子の両親は、この街では昔から有名な
老舗宝石店「ジュエリー荒木」の経営者だったが……
今から丁度6年前に、東南アジアで宝石の買い付けをしている最中に、
あろう事か、地元のギャングに殺された。
そして両親の一周忌が過ぎた頃、娘の涼子は両親の遺産を全て放棄したのだが
その理由は彼等に億単位の借金があり……
当時、ジュエリー荒木の事務員だった涼子には
両親が残した借金を返済する能力がなかったからだ。
そして歓楽街の一等地に昔から存在していたジュエリー荒木のふたつの店は
璃音の父親が土地ごと全て買収したので『荒木』の看板は次々と撤去されて、
その後はお決まりのパターンで龍崎宝飾の系列店に姿を変えてしまったが………
この巨大な街はいつの時代も弱肉強食なのだから、当然と言えば当然の結果と言えるだろう。
そして更に涼子の両親が他界してから2年の月日が流れた頃に、
龍崎グループの金融部門から自宅を担保に2千万の金を借りた涼子は
長年の夢だったナイトクラブのオーナーママとなる為に、
歓楽街の一等地に聳え立つ龍崎ビルの最上階で、Clubベルサイユを開店させたのだが、
開店から数年経った今でも涼子の借金は殆ど元本が減っていない状態なので
璃音は時々抜き打ちで、この店の帳簿を確認していたのだ。
*****
そして再び場面は戻り……
本日の仕事を全て終えた璃音は店に到着した後で
さっそくベルサイユの売上帳に目を通してみたけれど……
(はぁ?いくらなんでもこの売り上げは『ムラ』があり過ぎて不自然だろうが!)
と密かに呟く璃音は今、
あまりにもメチャクチャな帳簿の内容に心底呆れていた。
なぜなら3ヶ月も赤字が続いた翌月に、突然500万の利益を出したと思ったら
また次の月には大きな赤字を出していて
最近のベルサイユは綱渡りの様な危ない経営状態に陥っていたからだ。
そしてこの後ため息をつきながら
事務所のソファーに腰をおろした璃音は ふと……
(もしも俺がこの店の経営者ならば
今の内に他の店から有能なスタッフをごっそり引っ張ってくるが……
人脈が浅くて実力不足のクラブママにヘッドハンティングは無理だから
近い将来 涼子の首が回らなくなったら、担保の自宅を抑える事になるだろうな)
て事を考えながら、売り掛けだらけのカオスな帳簿を読んでいると
次の瞬間、いきなり誰かの視線を感じたので……
(……ん?誰か居るのか?)
と思った璃音は思わず顔を上げてみたのだが、
この後、璃音は突然なんと!
夕暮れのカフェテラスで一目惚れをした黒いスーツの女とバッチリ目が合ったので
(なっ!なっ!なんでこの女がココに居るんだ?)
とは言えない無愛想な社長はビックリしすぎて僅かにフリーズしたけれど
そんな事よりも今の璃音は確実に、
ポニーテールの可愛い女から目をそらす事が出来なくなっていた。
今回の目的地である龍崎ダイヤモンドビルに向かう為、
沢山の人で溢れる歓楽街の一等地を歩いていたのだが
この界隈を歩く時は大勢の女達にキャーキャーと騒がれる事が多いので
*****
(おいおい勘弁してくれよ、俺と彰は芸能人じゃないんだぞ)
とイライラしながらこの道を歩いていたのだが
そうは言ってもレンガの舗道を通らないと目的地であるダイヤモンドビルには行けないから
結局今日もウンザリしながらサッサとこの道を通り抜けようとしていたのに
次の瞬間、向かいのカフェテラスがキラッと光ったその直後、
まるでオレンジ色のサファイアみたいにキラキラと輝く夕陽の下で
いきなり自分の視界に映った一人の女が気になった璃音はこの後なぜか、
まるで恋の天使に弓矢を打たれた男の様に、
片時もその女から目を離す事が出来なくなったから
(な、なっ!なんだよ、あの可愛い女は!)
と密かに呟く璃音は今まさに
一歩も動く事が出来ない状態でピタッと立ち止まっていたけれど
熱い眼差しで黒いスーツの女を見つめる璃音の耳に届いた声は、
「龍崎社長?そろそろ視察のお時間ですが?」
と忠告をしてくれた彰の優しい声だったから
この後すぐに我に返った璃音はこのままダイヤモンドビルに向かったが………
人生初の一目惚れをした璃音の心は微妙に少し浮ついていたので、
このままでは仕事が出来ないと思った璃音はただちに心を入れ替えて、
いつもの様に仕事に集中していたら
自分でも気づかぬ間に正気を取り戻していたので
*****
この後さらに冷静さを取り戻した璃音は午後の仕事をサッサと終わらせて
そして無事にダイヤモンドビルの視察を済ませた後すぐに、
彰と二人でClubベルサイユへと向かったが……
実は今日この店に来た理由は、楽しい世間話をする為ではなくて
オーナーの荒木涼子に貸し付けた金を集金する事が本当の目的なので
今から少し涼子の話をしてみよう。
*****
この店のオーナーである荒木涼子は……
龍崎グループの金融部門から2千万円の金を借りている。
そして涼子の両親は、この街では昔から有名な
老舗宝石店「ジュエリー荒木」の経営者だったが……
今から丁度6年前に、東南アジアで宝石の買い付けをしている最中に、
あろう事か、地元のギャングに殺された。
そして両親の一周忌が過ぎた頃、娘の涼子は両親の遺産を全て放棄したのだが
その理由は彼等に億単位の借金があり……
当時、ジュエリー荒木の事務員だった涼子には
両親が残した借金を返済する能力がなかったからだ。
そして歓楽街の一等地に昔から存在していたジュエリー荒木のふたつの店は
璃音の父親が土地ごと全て買収したので『荒木』の看板は次々と撤去されて、
その後はお決まりのパターンで龍崎宝飾の系列店に姿を変えてしまったが………
この巨大な街はいつの時代も弱肉強食なのだから、当然と言えば当然の結果と言えるだろう。
そして更に涼子の両親が他界してから2年の月日が流れた頃に、
龍崎グループの金融部門から自宅を担保に2千万の金を借りた涼子は
長年の夢だったナイトクラブのオーナーママとなる為に、
歓楽街の一等地に聳え立つ龍崎ビルの最上階で、Clubベルサイユを開店させたのだが、
開店から数年経った今でも涼子の借金は殆ど元本が減っていない状態なので
璃音は時々抜き打ちで、この店の帳簿を確認していたのだ。
*****
そして再び場面は戻り……
本日の仕事を全て終えた璃音は店に到着した後で
さっそくベルサイユの売上帳に目を通してみたけれど……
(はぁ?いくらなんでもこの売り上げは『ムラ』があり過ぎて不自然だろうが!)
と密かに呟く璃音は今、
あまりにもメチャクチャな帳簿の内容に心底呆れていた。
なぜなら3ヶ月も赤字が続いた翌月に、突然500万の利益を出したと思ったら
また次の月には大きな赤字を出していて
最近のベルサイユは綱渡りの様な危ない経営状態に陥っていたからだ。
そしてこの後ため息をつきながら
事務所のソファーに腰をおろした璃音は ふと……
(もしも俺がこの店の経営者ならば
今の内に他の店から有能なスタッフをごっそり引っ張ってくるが……
人脈が浅くて実力不足のクラブママにヘッドハンティングは無理だから
近い将来 涼子の首が回らなくなったら、担保の自宅を抑える事になるだろうな)
て事を考えながら、売り掛けだらけのカオスな帳簿を読んでいると
次の瞬間、いきなり誰かの視線を感じたので……
(……ん?誰か居るのか?)
と思った璃音は思わず顔を上げてみたのだが、
この後、璃音は突然なんと!
夕暮れのカフェテラスで一目惚れをした黒いスーツの女とバッチリ目が合ったので
(なっ!なっ!なんでこの女がココに居るんだ?)
とは言えない無愛想な社長はビックリしすぎて僅かにフリーズしたけれど
そんな事よりも今の璃音は確実に、
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