Ray of Light ~コミュ障ぼっち女子高生と恋愛スキルゼロの寡黙な天然イケメン社長~

Pink Diamond

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針の筵と化した教室

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そしてココから場面は変わり

璃音と二人でレストランに行った翌日の朝、

今日も自転車に乗って一人で登校した玲は、

いつもと同じく3年B組の教室に入った後すぐに

ベランダ側の窓際に置かれた自分の席へと向かっていたが

*****

なんだか『今日の3年B組』は……

明らかにいつもとは何かが違う、異様な空気の教室なので

(…えっ?何これ…?
どうして皆でジーッとこっちを見ているの?)

とは言えないボッチの玲は密かに戸惑っていたけれど

だからと言って無力な玲にはどうする事も出来ないから

とりあえず今日も下を向きながら自分の机に向かっていたのに……

この後の玲が自分の机に鞄を置く事は出来なかった。

なぜなら玲の机の上には……!

びちゃびちゃに濡れたコンドームが大量にばら撒かれていたからだ!

*****

そしてビックリしすぎて固まった玲はこの直後

(えっと これって避妊具だよね?どうして私の机にこんな物があるの?
いくらなんでもこんな酷いモノなんて…気持ちが悪くてさわれないでしょ!)

と心の中で盛大に文句を叫んでいたが

こんな状況になってもコミュ障の玲は何も話せなくて……

目の前の非常な現実が全く理解できないから

ただただ呆然と自分の机を眺める事しか出来ないのに

そんな玲をジーッと見つめるクラスメイトは次々に


「だからさぁ、誰かあの机を消毒してよ~!
て言うかぁ、あれってやっぱ…使用済みのゴムなの~?」

「うげぇー!俺、消毒とか絶対に無理~、つうか女子がやれよ!」

「はあぁあ?ぼっち席の汚物処理とか絶対にヤなんですけど~!」

て感じの非常識な会話で盛り上がっていたから

こんな状況なのに誰にも助けてもらえないボッチの玲は

この後すぐに覚悟を決めて、鞄の中からサッサとタオルを取り出して

そしてこのままの勢いで、

(本当はこんな物を掴むのは絶対にイヤだけど……
でも今すぐココを片付けないと着席する事が出来ないから、
だからとにかく掃除をしなきゃ!頑張れ私!負けるな私!泣くな私!)

と自分自身に喝を入れながら

気持ちの悪い避妊具をタオルに包んでトットと教室を出た後で

急いで裏庭の焼却炉に向かい、

*****

(さすがにコレをゴミ箱に捨てたらトンデモナイ騒ぎになるから
とりあえず焼却炉の中に捨てたけど、今から教室に戻って着席しても遅刻しないかなぁ)

て事を考えながらタオルを丸ごと捨ててすぐ、急いで教室に戻ろうとしていたが

次の瞬間いきなり玲は、毎日『とある倉庫』の中で、

一緒にランチを食べている雀と偶然バッタリ目が合って、

しかもこの後めっちゃ可愛らしい声の雀さんに、

『ねぇねぇ玲、暗い顔してどうしたの?何かイヤな事があったの?』

と話し掛けてもらったので、この瞬間に元気を取り戻した玲は

大きな桜の木に止まった雀を見上げてニコニコと微笑みながら


「ありがとう雀さん、全然大丈夫だから心配しないでね
でも もうすぐチャイムが鳴るから、今すぐ教室に行かなきゃ!」

『あれれれー?玲と会話が出来ちゃったの?
凄いよ玲!私メチャメチャ超~嬉しいしー!』

「私も凄く嬉しいよ雀さん。
じゃあ今日も昼休みになったら、一緒にお弁当を食べようね~」 

こうして可愛い雀と初めての会話をした玲は、

このあと急いで針のむしろと化した教室に戻ったけれど

何やらヒソヒソと陰口を叩きながらコチラを見つめるクラスメイトの態度はまるで

幸薄系ヒロインの少女マンガに必ず出てくる、イジメ軍団のモブキャラ生徒そのものなので

ついつい玲は心の中で

(どうして突然こんな事になったの?
これじゃあ まるで、中3の頃に戻ったみたいじゃん……)

と密かに呟きながら……

中3の頃に蓮の追っかけをしている女子達にイジメられた事をこのタイミングで思い出し、

そしてこの後に始まった英語の授業で今日もまた、

謎のケビンのイミフな文章をリスニングしながらダルい一日を開始して、

*****

そして午前中の長い授業をなんとか無事に乗り越えた玲は

お昼休みのチャイムが鳴った瞬間に、今日もサッサとランチバッグを右手持って、

旧校舎の とある倉庫へと向かったが……

お昼になっても薄暗い『その場所』は、昔から桜が丘の生徒達が誰も寄り付かない事で有名な、

オバケが出るとの噂が尽きない『いわく付き』の場所なので、

(まぁオバケはぶっちゃけ怖いけど、この倉庫は私みたいな霊感ゼロの
寂しいボッチが独りでお昼ご飯を食べる為には最適の場所なんだよね~)

な~んて能天気な事を考えながら倉庫に向かう玲の心は穏やかだったのに

まさかこの後、悪霊でお馴染みの『その場所』が

悪霊よりも怖い、生きた人間のせいでトンデモナイ事になるなんて

毎日呑気なボッチの玲は、勿論まだ何も気付いていなかった。
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