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ぼっちの昼休み
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そしてこの後
今日も一人で薄暗い倉庫に来た玲は、
到着早々、いつもの様に錆びついた窓を開けながら
爽やかな夏色の青い空を独りぼっちで見上げていると……
*****
次の瞬間、小さな雀がパタパタと羽根を広げて可愛い声で
『玲~、今日も遊びに来たよ~!』
と挨拶をしながらコチラに向かって飛んできたので
そりゃあ勿論メチャメチャ嬉しい玲はニッコリと微笑んで
「こんにちは雀さん、じゃあ今日も一緒にお弁当を食べようねー」
『いつもありがとう玲、今日は何を作って来たの?』
「今日はねぇ、甘い玉子焼きと蓮根のはさみ揚げとウインナーと~……」
こうして可愛い雀と会話が出来る喜びを噛みしめながら
とても穏やかな気持ちでお弁当箱の包みを開けていたのに、
次の瞬間、突然、なんと!
ガチャン!ガタガタガタガタッ、ガッターーン!
と大きな音が倉庫の中に鳴り響き、そしてその直後、
えっ?…何?とビビる玲の目の前で
倉庫の引き戸がメッチャ乱暴に開けられて
しかもそのまま派手系の女子達が倉庫の中へとゾロゾロ入った後すぐに
*****
「その雀が一条さんのお友達ですかぁ?」
「て言うかアンタさぁ……
一人も友達が居なくて頭がおかしくなっちゃったのぉ?」
「へぇ~、本当に このブスがぁ
あの龍崎社長に手ぇ出したのぉ?信じられないんだけど~!」
て感じの因縁を付けられてしまったが……
今の玲は『この女子達』にビビっている場合ではないので
(えっとこの人達は誰?
また中3の時みたいな蓮の親衛隊ならヤバイけど、
でも今は雀さんがココに居るからヤバいとか言ってる暇はないし、
そもそも この雀さんをココに呼んだのは私なんだから、
例えどんなに今の状況がヤバくても、絶対に私がこの雀さんを守らなきゃいけないんだから!)
こうして覚悟を決めてすぐ、
『ねぇねぇ玲…この人達は誰?
どうして皆で怖い顔をしているの?』
と不安な表情の小さな雀を見つめながら
早く逃げて雀さん!と勇気を出して、せっかく声を掛けたのに……
そんな玲の態度が気に入らない派手な女子達は
「はぁ?どうして雀と喋ってんの?」
「あのさぁ、雀じゃなくて私に返事をしなよブス!」
と勝手に苛ついた状態で、
倉庫の中に積み上げている銀色のバケツを足でガシャンと蹴ったから
次の瞬間、バケツの音にビビった雀は『きゃあああぁー!』と叫んで垂直に飛び上がり、
そしてそのまま一目散に小さな窓から逃げたので……
*****
結局このまま何も出来ない無力な玲は
青い空に飛び立つ雀を切ない瞳で見送りながら……
(せっかく今日も来てくれたのに、
こんな事になってごめんね雀さん。
きっともう、この倉庫には来てくれないよね?)
と心の中で一生懸命、「ごめんなさい…」と謝っていたのに、
そんな玲の目の前に、なぜかこの後、いきなり唐突に!
「はじめまして一条さん、私はD組の岡田桜です。
じゃあ時間がないから、さっそく本題に入りますけど、
貴女は岡田物産の長女である、私の姉の婚約者に手を出した泥棒猫だから、
そのハレンチな罪を償う為に、今すぐ桜が丘を自分から退学して欲しいの。
そして今夜私の家に来て、私の姉に土下座をして謝りなさい!わかったわね?」
とメチャメチャ甲高い声で
岡田物産の長女の、そのまた妹に……
なんだかイミフな自主退職を迫られたので
そりゃあ勿論ヘタレの玲は凄く困っていたけれど、
だが不思議な事にヘタレのコミュ障と言う生き物は、
こんなに最悪な状況の中でも心は常に饒舌なので……
(へぇ?こんな人が桜が丘に居たんだ~…
ぼっちの私は学校の人間関係とか世間話に疎いから
岡田物産?の事とか全然わかんないけど、でもやっぱりこの人
昨日ショッピングセンターで絡んできた女性に雰囲気が似てるよね?
えっと確か岡田紗耶香さんの妹さんで、岡田~……誰さん、だっけ?)
と平和な脳内で呟いていたのに……
そんな玲の真後ろで、次の瞬間、今度は何故か!
キンキラキンのヤンキー的な女子軍団がコーラを片手にゾロゾロと
次から次へと10人位入ってきたので、
昔から不良が苦手な玲は勿論、心を無にして下を向いていたのだが、
この後なぜか、ド派手なヤンキー軍団は、
玲を無視して岡田桜の所に向かい、そしてそのまま次々と
「なんとか間に合ったみたいだねー響」
「あーもう何やってんのよ桜!早く一条さんから離れてよ!」
「あのさぁ桜、アンタはお嬢様だから気付いてないと思うけど
やっぱ常識的に考えても、『あの人』がキレたら絶対にヤバいから、
だから一条さんに手ェ出すのは金輪際やめときな?悪い事は言わないからさ?」
て感じで桜に向かってハッキリと
一条さんには手を出すなと言ってくれたのに、
そんな事はお構いなしと言わんばかりの岡田桜はこの直後……!
「ヤンキーの白鳥響が私に一体なんの用なの?」と勝ち誇った表情で、
ド派手な軍団のセンターポジションに立っている、
小さくて可愛い白鳥響をジロジロと見下ろし始めたので、
益々この人達が怖くて仕方がない玲は、為す術もない状態で固まる事しか出来なかった。
今日も一人で薄暗い倉庫に来た玲は、
到着早々、いつもの様に錆びついた窓を開けながら
爽やかな夏色の青い空を独りぼっちで見上げていると……
*****
次の瞬間、小さな雀がパタパタと羽根を広げて可愛い声で
『玲~、今日も遊びに来たよ~!』
と挨拶をしながらコチラに向かって飛んできたので
そりゃあ勿論メチャメチャ嬉しい玲はニッコリと微笑んで
「こんにちは雀さん、じゃあ今日も一緒にお弁当を食べようねー」
『いつもありがとう玲、今日は何を作って来たの?』
「今日はねぇ、甘い玉子焼きと蓮根のはさみ揚げとウインナーと~……」
こうして可愛い雀と会話が出来る喜びを噛みしめながら
とても穏やかな気持ちでお弁当箱の包みを開けていたのに、
次の瞬間、突然、なんと!
ガチャン!ガタガタガタガタッ、ガッターーン!
と大きな音が倉庫の中に鳴り響き、そしてその直後、
えっ?…何?とビビる玲の目の前で
倉庫の引き戸がメッチャ乱暴に開けられて
しかもそのまま派手系の女子達が倉庫の中へとゾロゾロ入った後すぐに
*****
「その雀が一条さんのお友達ですかぁ?」
「て言うかアンタさぁ……
一人も友達が居なくて頭がおかしくなっちゃったのぉ?」
「へぇ~、本当に このブスがぁ
あの龍崎社長に手ぇ出したのぉ?信じられないんだけど~!」
て感じの因縁を付けられてしまったが……
今の玲は『この女子達』にビビっている場合ではないので
(えっとこの人達は誰?
また中3の時みたいな蓮の親衛隊ならヤバイけど、
でも今は雀さんがココに居るからヤバいとか言ってる暇はないし、
そもそも この雀さんをココに呼んだのは私なんだから、
例えどんなに今の状況がヤバくても、絶対に私がこの雀さんを守らなきゃいけないんだから!)
こうして覚悟を決めてすぐ、
『ねぇねぇ玲…この人達は誰?
どうして皆で怖い顔をしているの?』
と不安な表情の小さな雀を見つめながら
早く逃げて雀さん!と勇気を出して、せっかく声を掛けたのに……
そんな玲の態度が気に入らない派手な女子達は
「はぁ?どうして雀と喋ってんの?」
「あのさぁ、雀じゃなくて私に返事をしなよブス!」
と勝手に苛ついた状態で、
倉庫の中に積み上げている銀色のバケツを足でガシャンと蹴ったから
次の瞬間、バケツの音にビビった雀は『きゃあああぁー!』と叫んで垂直に飛び上がり、
そしてそのまま一目散に小さな窓から逃げたので……
*****
結局このまま何も出来ない無力な玲は
青い空に飛び立つ雀を切ない瞳で見送りながら……
(せっかく今日も来てくれたのに、
こんな事になってごめんね雀さん。
きっともう、この倉庫には来てくれないよね?)
と心の中で一生懸命、「ごめんなさい…」と謝っていたのに、
そんな玲の目の前に、なぜかこの後、いきなり唐突に!
「はじめまして一条さん、私はD組の岡田桜です。
じゃあ時間がないから、さっそく本題に入りますけど、
貴女は岡田物産の長女である、私の姉の婚約者に手を出した泥棒猫だから、
そのハレンチな罪を償う為に、今すぐ桜が丘を自分から退学して欲しいの。
そして今夜私の家に来て、私の姉に土下座をして謝りなさい!わかったわね?」
とメチャメチャ甲高い声で
岡田物産の長女の、そのまた妹に……
なんだかイミフな自主退職を迫られたので
そりゃあ勿論ヘタレの玲は凄く困っていたけれど、
だが不思議な事にヘタレのコミュ障と言う生き物は、
こんなに最悪な状況の中でも心は常に饒舌なので……
(へぇ?こんな人が桜が丘に居たんだ~…
ぼっちの私は学校の人間関係とか世間話に疎いから
岡田物産?の事とか全然わかんないけど、でもやっぱりこの人
昨日ショッピングセンターで絡んできた女性に雰囲気が似てるよね?
えっと確か岡田紗耶香さんの妹さんで、岡田~……誰さん、だっけ?)
と平和な脳内で呟いていたのに……
そんな玲の真後ろで、次の瞬間、今度は何故か!
キンキラキンのヤンキー的な女子軍団がコーラを片手にゾロゾロと
次から次へと10人位入ってきたので、
昔から不良が苦手な玲は勿論、心を無にして下を向いていたのだが、
この後なぜか、ド派手なヤンキー軍団は、
玲を無視して岡田桜の所に向かい、そしてそのまま次々と
「なんとか間に合ったみたいだねー響」
「あーもう何やってんのよ桜!早く一条さんから離れてよ!」
「あのさぁ桜、アンタはお嬢様だから気付いてないと思うけど
やっぱ常識的に考えても、『あの人』がキレたら絶対にヤバいから、
だから一条さんに手ェ出すのは金輪際やめときな?悪い事は言わないからさ?」
て感じで桜に向かってハッキリと
一条さんには手を出すなと言ってくれたのに、
そんな事はお構いなしと言わんばかりの岡田桜はこの直後……!
「ヤンキーの白鳥響が私に一体なんの用なの?」と勝ち誇った表情で、
ド派手な軍団のセンターポジションに立っている、
小さくて可愛い白鳥響をジロジロと見下ろし始めたので、
益々この人達が怖くて仕方がない玲は、為す術もない状態で固まる事しか出来なかった。
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