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ぼっちの戦犯
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そして楽しい食事の最中に
人生最悪のピンチを迎えたヘタレの玲は
ガタガタと震える右手でハンドタオルを握りながらも平静を装って
「私に構うのやめて下さい…」と小さな声で呟いた後すぐに
お弁当箱とペットボトルをトートバッグに押し込んで
そしてこのままサッサとベンチを立ち上がり
ベンチの隣に停めた自転車に乗ってココからダッシュで逃げようとしたけれど
*****
まるで追い詰められた犯人みたいな今の玲に逃げる道など存在しないので
次の瞬間 哀れで無実で無念な玲は、刑事ドラマの逮捕シーンを地で行く様に
「はぁあ~?アンタまさか、この自転車に乗るつもりなの?」
「て言うかさぁ、この状況で逃げ切れる訳がないでしょ~?一条さんってバカなの?」
「ほらほら、さっさと歩いてよ!アンタが来ないと何も始まらないんだから!」
と大きな声で乱暴な岡田軍団の女子達に
けっこう強い力で両腕を掴まれながら高級外車に乗せられて、
そして そのままの勢いで桜が丘高校に連れて行かれたその直後
たくさんの生徒が集まるグランドの中央へと引きずり出された挙句の果てに……
「えっ??なになにー?一体なんの騒ぎ?」
「あれ?あの人3年D組の岡田桜さんだよね。どうしてあんなに怒ってるの?」
「て言うか、グランドの真ん中で固まっている女子は誰?なんで私服なの~?」
こうして早くも騒ぎ始めた野次馬の生徒達に指を差されながら
「えっ?みんな彼女を知らないの~?
あの人は桜が丘で唯一のぼっちさんだよ?
名前は確か~、一条…なんだっけ?まぁ下の名前は知らないけどね?
なんか岡田桜さんの~、お姉さんの婚約者に手を出したんだって~」
「嘘ーー?万年ぼっちの一条さんが岡田桜の彼氏に手ぇ出したの~?」
「違う違う!だからぼっちさんが~、岡田さんのお姉ちゃんの彼氏に~……」
て感じの残念すぎるカオスな状況の中で……
岡田姉妹の婚約者に手を出した『万年ぼっちの戦犯』にされたので
*****
この後もちろん無実の玲は……
(逃げなきゃ…今すぐココから逃げなきゃ!
とにかく走ってダッシュで走って、思いっ切り全力疾走をして、
このカオスなグランドから 、一目散に急いで逃げなきゃ!)
と密かに呟きながらダッシュで逃げようとしたけれど
思いっきり走り始めたその直後、
なぜか突然、玲の周りに謎のSP軍団が現れて!
そしてそのまま華やかに登場した岡田桜にジリジリと詰め寄られながら
「逃げても無駄よ一条さん、
だってうちのSP達は、皆アンタよりも足が速いのよ?」
と自信満々の表情で、
謎のSP達の足を自慢してすぐに
「だから一条さんに今逃げられたら困るのよ。
だって泥棒猫であるアンタの正体を全校生徒の前で暴く為に……
龍崎財閥の円行寺副社長が今ここに向かっているのですからね!」
て感じで彰の名前を出しながら
玲の制裁を声高らかに宣言したけれど
次の瞬間、このタイミングで放送席のスピーカーから……!
『次の競技は3年生のフォークダンスです。選手の皆様は入場口に集合して下さい』
と運良く次の競技のアナウンスが流れてくれたので
(えっ?今からフォークダンスが始まるの?
じゃあダンスが始まれば、その隙に逃げる事が出来るかも!)
と思ったヘタレの玲は、そりゃあ勿論この勢いで
どさくさに紛れてフォークダンスの入場口に行こうとしたのに……
そんな玲を見ながらクスッと不気味に笑った桜は何故か
この後いきなり放送席に向かってスタスタと歩き、
そして明らかに困惑している体育祭の実行委員から
メッチャ乱暴にマイクをぶんどって
『三年生の皆さん!今年のフォークダンスは有志による参加の競技に変更させて頂きますわ!
だって高校最後の体育祭なんですもの。皆さんも嫌いな相手と無理やりダンスをさせられるなんて
本当は嫌だと思っているでしょう?だから御自分が踊りたい人と、ご自由に踊って頂いて結構ですわ!』
とニコニコしながら勝手に競技を中断させた挙げ句の果てに、
マイクを持ったままの状態で
『でもその前に、私は自分の身の潔白を!そして一条玲のハレンチな有罪を!
今この場でハッキリと証明しなければいけないの!だから皆さん、どうか聞いて!
3年B組の一条玲は、岡田紗耶香の婚約者を!龍崎璃音を寝取った最低の女なのよ!
こんな恐ろしい事件が許されていい訳がないでしょ?皆さんも絶対にそう思うでしょう?』
こうして最高に訳が分からない話で熱く盛り上がっていたけれど、
そんな桜の神演説が響き渡る最中に……
「遅くなって申し訳ございません。
おやおや~?今から3年生はフォークダンスを踊るんですか?
では手短に済ませないといけませんねぇ、岡田桜さん?フフフッ」
とイケボな優しい声で
いきなり突然、選手入場口からグランドの中に入ってきた超目立つ人物は……
長い黒髪を風に靡かせながら、颯爽とコチラに向かって歩く円行寺彰だったから
無実で無念な万年ボッチの玲は密かに心の中で
(本当に来ちゃったんだ円行寺さん…)とビックリしながらも
なんだか少し悲しい表情で、めっちゃ美形な彰の顔をジッと見つめていた。
人生最悪のピンチを迎えたヘタレの玲は
ガタガタと震える右手でハンドタオルを握りながらも平静を装って
「私に構うのやめて下さい…」と小さな声で呟いた後すぐに
お弁当箱とペットボトルをトートバッグに押し込んで
そしてこのままサッサとベンチを立ち上がり
ベンチの隣に停めた自転車に乗ってココからダッシュで逃げようとしたけれど
*****
まるで追い詰められた犯人みたいな今の玲に逃げる道など存在しないので
次の瞬間 哀れで無実で無念な玲は、刑事ドラマの逮捕シーンを地で行く様に
「はぁあ~?アンタまさか、この自転車に乗るつもりなの?」
「て言うかさぁ、この状況で逃げ切れる訳がないでしょ~?一条さんってバカなの?」
「ほらほら、さっさと歩いてよ!アンタが来ないと何も始まらないんだから!」
と大きな声で乱暴な岡田軍団の女子達に
けっこう強い力で両腕を掴まれながら高級外車に乗せられて、
そして そのままの勢いで桜が丘高校に連れて行かれたその直後
たくさんの生徒が集まるグランドの中央へと引きずり出された挙句の果てに……
「えっ??なになにー?一体なんの騒ぎ?」
「あれ?あの人3年D組の岡田桜さんだよね。どうしてあんなに怒ってるの?」
「て言うか、グランドの真ん中で固まっている女子は誰?なんで私服なの~?」
こうして早くも騒ぎ始めた野次馬の生徒達に指を差されながら
「えっ?みんな彼女を知らないの~?
あの人は桜が丘で唯一のぼっちさんだよ?
名前は確か~、一条…なんだっけ?まぁ下の名前は知らないけどね?
なんか岡田桜さんの~、お姉さんの婚約者に手を出したんだって~」
「嘘ーー?万年ぼっちの一条さんが岡田桜の彼氏に手ぇ出したの~?」
「違う違う!だからぼっちさんが~、岡田さんのお姉ちゃんの彼氏に~……」
て感じの残念すぎるカオスな状況の中で……
岡田姉妹の婚約者に手を出した『万年ぼっちの戦犯』にされたので
*****
この後もちろん無実の玲は……
(逃げなきゃ…今すぐココから逃げなきゃ!
とにかく走ってダッシュで走って、思いっ切り全力疾走をして、
このカオスなグランドから 、一目散に急いで逃げなきゃ!)
と密かに呟きながらダッシュで逃げようとしたけれど
思いっきり走り始めたその直後、
なぜか突然、玲の周りに謎のSP軍団が現れて!
そしてそのまま華やかに登場した岡田桜にジリジリと詰め寄られながら
「逃げても無駄よ一条さん、
だってうちのSP達は、皆アンタよりも足が速いのよ?」
と自信満々の表情で、
謎のSP達の足を自慢してすぐに
「だから一条さんに今逃げられたら困るのよ。
だって泥棒猫であるアンタの正体を全校生徒の前で暴く為に……
龍崎財閥の円行寺副社長が今ここに向かっているのですからね!」
て感じで彰の名前を出しながら
玲の制裁を声高らかに宣言したけれど
次の瞬間、このタイミングで放送席のスピーカーから……!
『次の競技は3年生のフォークダンスです。選手の皆様は入場口に集合して下さい』
と運良く次の競技のアナウンスが流れてくれたので
(えっ?今からフォークダンスが始まるの?
じゃあダンスが始まれば、その隙に逃げる事が出来るかも!)
と思ったヘタレの玲は、そりゃあ勿論この勢いで
どさくさに紛れてフォークダンスの入場口に行こうとしたのに……
そんな玲を見ながらクスッと不気味に笑った桜は何故か
この後いきなり放送席に向かってスタスタと歩き、
そして明らかに困惑している体育祭の実行委員から
メッチャ乱暴にマイクをぶんどって
『三年生の皆さん!今年のフォークダンスは有志による参加の競技に変更させて頂きますわ!
だって高校最後の体育祭なんですもの。皆さんも嫌いな相手と無理やりダンスをさせられるなんて
本当は嫌だと思っているでしょう?だから御自分が踊りたい人と、ご自由に踊って頂いて結構ですわ!』
とニコニコしながら勝手に競技を中断させた挙げ句の果てに、
マイクを持ったままの状態で
『でもその前に、私は自分の身の潔白を!そして一条玲のハレンチな有罪を!
今この場でハッキリと証明しなければいけないの!だから皆さん、どうか聞いて!
3年B組の一条玲は、岡田紗耶香の婚約者を!龍崎璃音を寝取った最低の女なのよ!
こんな恐ろしい事件が許されていい訳がないでしょ?皆さんも絶対にそう思うでしょう?』
こうして最高に訳が分からない話で熱く盛り上がっていたけれど、
そんな桜の神演説が響き渡る最中に……
「遅くなって申し訳ございません。
おやおや~?今から3年生はフォークダンスを踊るんですか?
では手短に済ませないといけませんねぇ、岡田桜さん?フフフッ」
とイケボな優しい声で
いきなり突然、選手入場口からグランドの中に入ってきた超目立つ人物は……
長い黒髪を風に靡かせながら、颯爽とコチラに向かって歩く円行寺彰だったから
無実で無念な万年ボッチの玲は密かに心の中で
(本当に来ちゃったんだ円行寺さん…)とビックリしながらも
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