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璃音の常識と玲の常識
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そして翌日……
今日は午前中で授業が終わったので
どこにも寄る所がない玲は、いつもの様に自転車で帰宅をしていたのだが
この後、とても運が悪い事に……
ポツッ…ポツッ…ポツポツポツ……ザ―――!!
(あっー!やっぱり降ってきちゃったよ~)
今にも降ってきそうな薄暗い空から大粒の雨に見舞われたので
大急ぎで家に帰った後すぐに
*****
(うわ~ズブ濡れだぁ!早くお風呂に入らなきゃ!)
と心の中で大騒ぎをしながら熱いシャワーで体を洗ってスッキリした後、
今日も無人の寂しい台所に向かい
(さてと…今日のお昼ごはんは何を作ろうかなぁ)
なんて事を思いながら、早速お昼ご飯を作る為に冷蔵庫を開けていたら
プルルルルッ!
プルルルルー!
なんと、このタイミングでお婆ちゃん的な携帯電話が
ブルブルと震えて鳴り始めたので、慌てて通話ボタンを押してみたけれど
「今日は学校 昼で終わりだろ?もう昼飯は食ったのか?」
電話の相手は、もちろん安定の璃音で……
「えーっと…あのぉ、今ちょうど、お昼ご飯の準備をしていました」
「そうか、じゃあまだ何も食べてないんだな?
今日は早く仕事が終わる予定だから2時に迎えに行ってもいいか?」
しかも いきなり今から璃音が家に来る事になったので
(えっ?2時は流石に無理ですよ~、
だって2時まであと15分しかないんですよ?
…って言うか璃音さんって、いつも突然誘ってきますよね~?)
とは言えない万年暇人の玲は、勿論いつもの小さな声で、
はい、わかりましたーと短い返事をしてすぐに、急いで自分の部屋に戻って出掛ける準備を整えて、
そして時間通りに迎えに来てくれた璃音と一緒に家を出たのだが
*****
今日も璃音が運転をする白い車に乗った玲は……
「しかしよく降るなぁ」
「ほんと 凄い雨ですよね~」
「そうだな…下校中は雨に濡れなかったか?」
「えっと、少し濡れたけど……
帰ったらすぐに家でシャワーを浴びたから大丈夫です」
と奇跡的にまともな会話のキャッチボールをする事が出来たけど
やはり雨の会話だけでウダウダと話を引っ張るのは無理ゲーなので……
結局この後いつもの様に、下を向いて冷凍の塩サバみたいに固まっていたら
「…そうか、じゃあ今日は~…これからどうする?
今からサファイアホテルの最上階~じゃなくてレストランに行くか?
それともこのまま…俺のマンションで…デリバリーでも取ってみるかい?」
なぜだか、やたらと色気がハンパない璃音から、
ホテルの食事か俺のマンションか、どっちがいい?みたいな事を聞かれてメッチャ緊張したので、
思わず貧乏舌の玲は、この緊張を吹き飛ばす為に
「あっ!まだ璃音さんも~、お、お、お昼ご飯を食べてないなら、
今日のお昼ご飯は、わ、わ、私が作りますから、えっと今からその~、
一緒に食材とかドリンクとかお菓子とかを~か、か、買いに行きませんか?」
まるで昔のドジっ子的なアニメキャラみたいに
何度も何度もカミカミしながら必死で璃音をスーパーに誘ってみたけれど
この後よ~く考えてみれば……
(あっ!璃音さんって旧財閥の御曹司だったよね?)
風の噂によると、どうやら璃音は
トンデモナイ組織の次期後継者になる事が決定している『お人』らしいので
(大金持ちの人がスーパーとかに行く訳ないじゃん!)
と自分の発言を後悔した玲は
ただちに先ほど話したスーパーの件を取り消そうと思って
「ご、ご、ごめんなさい!えっと私一人で買い物をしてくるので
り、り、璃音さんはあの~…よかったら車の中で待っていてくれますか?」
こんな風に慌てながらも、私一人で買い物をしてくると言い直したけれど
もっともっと冷静になって、先程の会話をよ~く思い出してみれば……
毎日必ず語彙力が残念なコミュ障の玲は、ただの一言もスーパーで買い物をするとは言わなかった為、
生活の全てが超高級志向の璃音に玲の常識が通じる筈もなく
「なっ!つまり今から俺の為に昼飯を作ってくれるのか?
それで?その食材とやらは、いったいドコに行けば買えるんだ?
問屋か?デパートか?外資系のアンテナショップか?それとも山の農園か?」
こんな感じでノリノリの璃音にカオスな質問をされたから
「えっと あのぉ…農園とかじゃなくて…そのぉ…」
「大丈夫だ玲、何も怖くないから、
是非とも、お前の得意先を教えてくれ!」
もう何から突っ込んだら良いのかサッパリわからないから取り敢えず
「だからあの…あっ!そうだ~!璃音さんの家の近くに
わりと大きなスーパーがあったから、そこで私と一緒にお買い物をしませんか?」
こうして一番無難な返事をした玲は、結局 話の成り行きで、
「なる程スーパーか……つまりグロッサリーストアの事だな?
今までスーパーマーケットに出向いた経験は一度もないんだが……
お前が一緒に行ってくれると言うのなら、今日はスーパーとやらに行ってみようか」
なんて如何にもセレブな璃音と一緒にこのままの勢いで
とにかく値段が張りそうな、キンキラキンの高級スーパーで今から買い物をする事になった。
今日は午前中で授業が終わったので
どこにも寄る所がない玲は、いつもの様に自転車で帰宅をしていたのだが
この後、とても運が悪い事に……
ポツッ…ポツッ…ポツポツポツ……ザ―――!!
(あっー!やっぱり降ってきちゃったよ~)
今にも降ってきそうな薄暗い空から大粒の雨に見舞われたので
大急ぎで家に帰った後すぐに
*****
(うわ~ズブ濡れだぁ!早くお風呂に入らなきゃ!)
と心の中で大騒ぎをしながら熱いシャワーで体を洗ってスッキリした後、
今日も無人の寂しい台所に向かい
(さてと…今日のお昼ごはんは何を作ろうかなぁ)
なんて事を思いながら、早速お昼ご飯を作る為に冷蔵庫を開けていたら
プルルルルッ!
プルルルルー!
なんと、このタイミングでお婆ちゃん的な携帯電話が
ブルブルと震えて鳴り始めたので、慌てて通話ボタンを押してみたけれど
「今日は学校 昼で終わりだろ?もう昼飯は食ったのか?」
電話の相手は、もちろん安定の璃音で……
「えーっと…あのぉ、今ちょうど、お昼ご飯の準備をしていました」
「そうか、じゃあまだ何も食べてないんだな?
今日は早く仕事が終わる予定だから2時に迎えに行ってもいいか?」
しかも いきなり今から璃音が家に来る事になったので
(えっ?2時は流石に無理ですよ~、
だって2時まであと15分しかないんですよ?
…って言うか璃音さんって、いつも突然誘ってきますよね~?)
とは言えない万年暇人の玲は、勿論いつもの小さな声で、
はい、わかりましたーと短い返事をしてすぐに、急いで自分の部屋に戻って出掛ける準備を整えて、
そして時間通りに迎えに来てくれた璃音と一緒に家を出たのだが
*****
今日も璃音が運転をする白い車に乗った玲は……
「しかしよく降るなぁ」
「ほんと 凄い雨ですよね~」
「そうだな…下校中は雨に濡れなかったか?」
「えっと、少し濡れたけど……
帰ったらすぐに家でシャワーを浴びたから大丈夫です」
と奇跡的にまともな会話のキャッチボールをする事が出来たけど
やはり雨の会話だけでウダウダと話を引っ張るのは無理ゲーなので……
結局この後いつもの様に、下を向いて冷凍の塩サバみたいに固まっていたら
「…そうか、じゃあ今日は~…これからどうする?
今からサファイアホテルの最上階~じゃなくてレストランに行くか?
それともこのまま…俺のマンションで…デリバリーでも取ってみるかい?」
なぜだか、やたらと色気がハンパない璃音から、
ホテルの食事か俺のマンションか、どっちがいい?みたいな事を聞かれてメッチャ緊張したので、
思わず貧乏舌の玲は、この緊張を吹き飛ばす為に
「あっ!まだ璃音さんも~、お、お、お昼ご飯を食べてないなら、
今日のお昼ご飯は、わ、わ、私が作りますから、えっと今からその~、
一緒に食材とかドリンクとかお菓子とかを~か、か、買いに行きませんか?」
まるで昔のドジっ子的なアニメキャラみたいに
何度も何度もカミカミしながら必死で璃音をスーパーに誘ってみたけれど
この後よ~く考えてみれば……
(あっ!璃音さんって旧財閥の御曹司だったよね?)
風の噂によると、どうやら璃音は
トンデモナイ組織の次期後継者になる事が決定している『お人』らしいので
(大金持ちの人がスーパーとかに行く訳ないじゃん!)
と自分の発言を後悔した玲は
ただちに先ほど話したスーパーの件を取り消そうと思って
「ご、ご、ごめんなさい!えっと私一人で買い物をしてくるので
り、り、璃音さんはあの~…よかったら車の中で待っていてくれますか?」
こんな風に慌てながらも、私一人で買い物をしてくると言い直したけれど
もっともっと冷静になって、先程の会話をよ~く思い出してみれば……
毎日必ず語彙力が残念なコミュ障の玲は、ただの一言もスーパーで買い物をするとは言わなかった為、
生活の全てが超高級志向の璃音に玲の常識が通じる筈もなく
「なっ!つまり今から俺の為に昼飯を作ってくれるのか?
それで?その食材とやらは、いったいドコに行けば買えるんだ?
問屋か?デパートか?外資系のアンテナショップか?それとも山の農園か?」
こんな感じでノリノリの璃音にカオスな質問をされたから
「えっと あのぉ…農園とかじゃなくて…そのぉ…」
「大丈夫だ玲、何も怖くないから、
是非とも、お前の得意先を教えてくれ!」
もう何から突っ込んだら良いのかサッパリわからないから取り敢えず
「だからあの…あっ!そうだ~!璃音さんの家の近くに
わりと大きなスーパーがあったから、そこで私と一緒にお買い物をしませんか?」
こうして一番無難な返事をした玲は、結局 話の成り行きで、
「なる程スーパーか……つまりグロッサリーストアの事だな?
今までスーパーマーケットに出向いた経験は一度もないんだが……
お前が一緒に行ってくれると言うのなら、今日はスーパーとやらに行ってみようか」
なんて如何にもセレブな璃音と一緒にこのままの勢いで
とにかく値段が張りそうな、キンキラキンの高級スーパーで今から買い物をする事になった。
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