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恋のペントハウス
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そしてこの後も……
美味しいカニカマのサラダとオムライスをモグモグと食べながら
孤独な少年時代をイタリアで過ごした璃音の話を聞いていた玲は
ときどき無難な相槌を打ちながら
「イタリア~……ですか」
「そうだ、俺の母親がイタリア人でな」
ついつい調子に乗ってイタリアの話に食いついてしまったが
一年を通して常にコミュ障をわずらっている玲に、いきなり国際的で華やかな
しかも孤独なイケメン少年をテーマにした会話なんて出来る筈がないのだから
*****
普通の恋人ならばメッチャ盛り上がりそうなイタリアの話題でさえ、
毎日必ず残念な語彙力でお馴染みの玲が下手に首を突っ込んだら……
「お母さんがイタリア人って事はつまり、
璃音さんはイタリア人ハーフ~なんですよね?
だから顔の彫りがフカ~じゃなくって…えっと、あの~…
あっ!そうだ!確か日本とイタリアって昔は仲良しの同盟国で~…
それから え~っと、ぇーとぉ…ぁのぉ…そのぉ~…… 」
やはりこの様に……
トンデモナイ事になるのは今さら言うまでもないけれど
でも今の状況をもっと客観的に、そして冷静に考えてみれば
あんなに深刻だった暗~い少年時代の話が突然!
全く意味不明な戦争話へと謎の変貌を遂げた訳だから……
今日も元気に壊滅的な玲のおかげで、奇跡的に明るい表情になった璃音はこの後すぐに
「んん?なるほど三国同盟か、確かに昔はそうだが玲……
イタリアは真っ先に白旗を揚げて同盟国からサッサと抜け出して、
日本はその後、アメリカ軍からボコボコに空爆された挙句の果てに
今はそのアメリカと同盟を結んで、イタリアとは疎遠になったのに、
どうやってこの話にオチをつけるつもりなんだ?フフフッ……」
と聡明な理論で玲の話を軌道修正してくれたので
「そ、そ、そうですよね~、
確かに今はイタリアと親友って感じじゃないから
オチとか全然ないのに…えっといきなり変な事を言ってごめんなさい」
(どうして同盟国とか言ったの?私のアホ!)
こうして僅か2分でアッサリと、
旧三国同盟の話を終わらせる事が出来たのだが、
そんな事よりも このあと璃音は、なんの脈絡もない状態で
「なぁ玲、これからも俺は……
毎日こうしてお前と二人で過ごしたいから……」
と再び何やら気になる話を振ってきて
そしてこの後、やっぱり、案の定!
「つまり俺は…何があっても必ず玲を幸せにするから……
だから来年の春に お前が高校を卒業したら…すぐに俺と結婚してくれないか?」
絶対に後悔なんてさせないから…と真剣な表情で
カニカマのサラダを食べている玲に向かってプロポーズをしたから、
これは流石に無視できないと思った玲は、慌ててサラダを完食した後で
「あのっ……もちろん私も~……
この先一生 璃音さんと一緒に居たいと思いますけど……」
と常識的なワンクッションを一回置いて
(えっと これって多分きっと、人生初の料理イベントで、
初めて食べたオムライスがメッチャ美味しくて感動したから……
つい勢いでプロポーズをした可能性があるし、それに何ヶ月か時間が経てば、
この話そのものをすっかり忘れちゃう可能性もあるし、そもそも高校卒業は まだ8ヶ月も先の話だから~)
なんて本音を心の中で呟きながらも とりあえず……
「でも私はまだ高校生だから、突然その~
結婚~とか言われても、正直ピンとこないけど、
でも来年の春に、私が高校を卒業した時にまだ
璃音さんの気持ちが今と全く変わっていなかったら、
その時は喜んで璃音さんのプロポーズをお受けしますね」
…って感じの無難な返事をしたけれど
とっても可愛い玲の言葉を聞いた璃音は少し安心した様子で
「そうか…じゃあ玲が高校を卒業した時に、
改めてもう一度プロポーズをするから、期待して待っててくれるかい?」
と明るい声で、今回のプロポーズごっこをいい感じで締めくくってくれたから
「はい、楽しみに待っています璃音さん」
こうして お後がよろしい玲は、
良いムードの中で食事を終わらせて
この後二人でオムライスの食器をサッサと片付けて
そしてお待ちかねのキャビアクラッカーと生ハムメロンを冷蔵庫から出してリビングに移動したのだが……
*****
広いリビングのソファーに到着してすぐに
「じゃあ乾杯しようか玲」
「あっ、はい、わかりましたー」
と仲良くキンキラキンのソファーに座って今日も乾杯をした玲は
人生で初めての生ハムメロンを食べた後で、さっそくキャビアも食べてみたのに
この後、いきなり、運悪く、
(えっと、キャビアって初めて食べたけど……
なんか微妙に しょっぱいし、ちょっと喉がイガイガするかも~……)
なんと、キャビアが喉に引っ掛かって、少し咽そうになったから
思わず涙目になりながら、ジンジャーエールを一気にガブ飲みした後で……
(とりあえず収まったから良かったけど、なんかキャビアって甘くないからお菓子じゃないし、
かと言って ご飯のおかずって感じでもないから、もうキャビアは暫く食べなくてもいいかなぁ)
なんて事を思いながら
いつもの様に真っ赤な顔で下を向いてモジモジしていたが、
そんな事よりも、なんだかさっきから熱い眼差しの璃音に見られている玲は……
(えっ?何?もしかして私、なんか変な顔をしているの?)
とは言えないドキドキとしたムードの中で、優しい手つきの璃音に髪を撫でられて、
そしてこの後、結局今日も……
「なぁ玲…お前いま…何を考えてる?」
なんてヤバい事を低い声で囁かれながら、
初めてこの部屋に来た時と同じ様なシチュエーションで……
「えっと、あの…璃音さん、まっ、待って!あっ!」
こうして ゆっくりとソファーの上に押し倒されて
人生で初めての官能的な午後をすごす事になるのだが
この時の玲は あまりにも無防備で、しかも全てが幸せすぎたから……
だからこの時もう既に、今世紀最大級のトンデモナイ大きな危険が
ヘタレの自分に刻一刻と迫っていた事を、全く気付いていなかった……。
美味しいカニカマのサラダとオムライスをモグモグと食べながら
孤独な少年時代をイタリアで過ごした璃音の話を聞いていた玲は
ときどき無難な相槌を打ちながら
「イタリア~……ですか」
「そうだ、俺の母親がイタリア人でな」
ついつい調子に乗ってイタリアの話に食いついてしまったが
一年を通して常にコミュ障をわずらっている玲に、いきなり国際的で華やかな
しかも孤独なイケメン少年をテーマにした会話なんて出来る筈がないのだから
*****
普通の恋人ならばメッチャ盛り上がりそうなイタリアの話題でさえ、
毎日必ず残念な語彙力でお馴染みの玲が下手に首を突っ込んだら……
「お母さんがイタリア人って事はつまり、
璃音さんはイタリア人ハーフ~なんですよね?
だから顔の彫りがフカ~じゃなくって…えっと、あの~…
あっ!そうだ!確か日本とイタリアって昔は仲良しの同盟国で~…
それから え~っと、ぇーとぉ…ぁのぉ…そのぉ~…… 」
やはりこの様に……
トンデモナイ事になるのは今さら言うまでもないけれど
でも今の状況をもっと客観的に、そして冷静に考えてみれば
あんなに深刻だった暗~い少年時代の話が突然!
全く意味不明な戦争話へと謎の変貌を遂げた訳だから……
今日も元気に壊滅的な玲のおかげで、奇跡的に明るい表情になった璃音はこの後すぐに
「んん?なるほど三国同盟か、確かに昔はそうだが玲……
イタリアは真っ先に白旗を揚げて同盟国からサッサと抜け出して、
日本はその後、アメリカ軍からボコボコに空爆された挙句の果てに
今はそのアメリカと同盟を結んで、イタリアとは疎遠になったのに、
どうやってこの話にオチをつけるつもりなんだ?フフフッ……」
と聡明な理論で玲の話を軌道修正してくれたので
「そ、そ、そうですよね~、
確かに今はイタリアと親友って感じじゃないから
オチとか全然ないのに…えっといきなり変な事を言ってごめんなさい」
(どうして同盟国とか言ったの?私のアホ!)
こうして僅か2分でアッサリと、
旧三国同盟の話を終わらせる事が出来たのだが、
そんな事よりも このあと璃音は、なんの脈絡もない状態で
「なぁ玲、これからも俺は……
毎日こうしてお前と二人で過ごしたいから……」
と再び何やら気になる話を振ってきて
そしてこの後、やっぱり、案の定!
「つまり俺は…何があっても必ず玲を幸せにするから……
だから来年の春に お前が高校を卒業したら…すぐに俺と結婚してくれないか?」
絶対に後悔なんてさせないから…と真剣な表情で
カニカマのサラダを食べている玲に向かってプロポーズをしたから、
これは流石に無視できないと思った玲は、慌ててサラダを完食した後で
「あのっ……もちろん私も~……
この先一生 璃音さんと一緒に居たいと思いますけど……」
と常識的なワンクッションを一回置いて
(えっと これって多分きっと、人生初の料理イベントで、
初めて食べたオムライスがメッチャ美味しくて感動したから……
つい勢いでプロポーズをした可能性があるし、それに何ヶ月か時間が経てば、
この話そのものをすっかり忘れちゃう可能性もあるし、そもそも高校卒業は まだ8ヶ月も先の話だから~)
なんて本音を心の中で呟きながらも とりあえず……
「でも私はまだ高校生だから、突然その~
結婚~とか言われても、正直ピンとこないけど、
でも来年の春に、私が高校を卒業した時にまだ
璃音さんの気持ちが今と全く変わっていなかったら、
その時は喜んで璃音さんのプロポーズをお受けしますね」
…って感じの無難な返事をしたけれど
とっても可愛い玲の言葉を聞いた璃音は少し安心した様子で
「そうか…じゃあ玲が高校を卒業した時に、
改めてもう一度プロポーズをするから、期待して待っててくれるかい?」
と明るい声で、今回のプロポーズごっこをいい感じで締めくくってくれたから
「はい、楽しみに待っています璃音さん」
こうして お後がよろしい玲は、
良いムードの中で食事を終わらせて
この後二人でオムライスの食器をサッサと片付けて
そしてお待ちかねのキャビアクラッカーと生ハムメロンを冷蔵庫から出してリビングに移動したのだが……
*****
広いリビングのソファーに到着してすぐに
「じゃあ乾杯しようか玲」
「あっ、はい、わかりましたー」
と仲良くキンキラキンのソファーに座って今日も乾杯をした玲は
人生で初めての生ハムメロンを食べた後で、さっそくキャビアも食べてみたのに
この後、いきなり、運悪く、
(えっと、キャビアって初めて食べたけど……
なんか微妙に しょっぱいし、ちょっと喉がイガイガするかも~……)
なんと、キャビアが喉に引っ掛かって、少し咽そうになったから
思わず涙目になりながら、ジンジャーエールを一気にガブ飲みした後で……
(とりあえず収まったから良かったけど、なんかキャビアって甘くないからお菓子じゃないし、
かと言って ご飯のおかずって感じでもないから、もうキャビアは暫く食べなくてもいいかなぁ)
なんて事を思いながら
いつもの様に真っ赤な顔で下を向いてモジモジしていたが、
そんな事よりも、なんだかさっきから熱い眼差しの璃音に見られている玲は……
(えっ?何?もしかして私、なんか変な顔をしているの?)
とは言えないドキドキとしたムードの中で、優しい手つきの璃音に髪を撫でられて、
そしてこの後、結局今日も……
「なぁ玲…お前いま…何を考えてる?」
なんてヤバい事を低い声で囁かれながら、
初めてこの部屋に来た時と同じ様なシチュエーションで……
「えっと、あの…璃音さん、まっ、待って!あっ!」
こうして ゆっくりとソファーの上に押し倒されて
人生で初めての官能的な午後をすごす事になるのだが
この時の玲は あまりにも無防備で、しかも全てが幸せすぎたから……
だからこの時もう既に、今世紀最大級のトンデモナイ大きな危険が
ヘタレの自分に刻一刻と迫っていた事を、全く気付いていなかった……。
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