Ray of Light ~コミュ障ぼっち女子高生と恋愛スキルゼロの寡黙な天然イケメン社長~

Pink Diamond

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赤い情熱のCarnelian Hall 前編

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こうして鶴の一声で

璃音に仕事を紹介されたその直後、

光の早さで元気を取り戻した玲は

なんだか やたらとニコニコしながら明るい声で

「ところで璃音さん、
円行寺さんの店って、一体どんなお店なんですか?」

「んん?どんな店だと思う?
一発で当てたらハワイに連れてってやるよ、フフフッ」

「えっ?今すぐ当てたらハワイに行けるの?
じゃあ えっとー、事務員さんが居るお店だから~…あっ!もしかしてお風呂屋さん?」

て感じのカオスな会話に花を咲かせていたのだが……

*****

わりと盛り上がっていた話の途中で唐突に

「ほら、ついたぞ玲、ここが彰の店だ」

と上機嫌な璃音が白い車をピタッと停めたその場所は……!

「…えっ?…えええぇぇ~!?
まさかココが円行寺さんのお店なの~?」

と思わず口が滑ったオタクの玲でも知っている

超~有名なライブハウスの『Carnelian カーネリアン Hallホール』だったから、

ビックリしすぎた玲は勿論、ロボットみたいに変な動きでノロノロと車をおりたのに

そんな玲とは真逆の璃音は、優雅な仕草で車を降りて、

そしてそのまま威風堂々とした態度で店に向かって歩き始めたので、

もちろん玲も、虎の威を借る狐の様に、璃音の後ろをチョコチョコ付いて行ったけど……

真っ赤な屋根が印象的な、キンキラキンの大きなホールをじーっと見ていたら


(この会場は本当に有名なライブハウスで、
結構売れてる声優さんのイベントとか、人気アニメのコンサートとか、
オーケストラの演奏会にも使われている大きなキャパの会場だから、
やっぱどう考えても、龍崎グループの副社長さんがココのオーナーだなんて、
なんだかちょっと信じられないから…だからきっと円行寺さんは、
カーネリアンホールに土地を貸しているだけの家主さん…なんだよね~多分)

て感じのチャランポランな結論に達したので、こうしてなんの根拠もなく、

超人気ボーカリストだった彰の事を、どこにでも居る普通の家主だと思った玲は、

この後すぐに璃音と二人で大きな会場の中へと入り、

やたらと派手なホールの景色をまたまたキョロキョロと見回していたのだが、

そんな事よりも やっぱり玲は、どこまで行ってもオタクの単細胞なので


(えっと、なんだかこのホールって……
アチラコチラの壁とかキンキラキンの廊下とかに、
マイクを持ってる中性的なイケメン男性の写真を沢山飾っているけど、
この人の顔って微妙に円行寺さんと雰囲気が似ている感じがするから、
きっとこの写真のボーカリストさんは、彼の御家族って事なんだよね~……)

とカオスな事を本気で思った挙げ句の果てに

大きなポスターの中でマイクを持った彰の姿を見ても尚、

ボーカルの男が円行寺彰本人であると言う事を全く気付いていない状態で

*****

この後も璃音と一緒に

一階のライブハウスをあらかた見学した玲は

そろそろ社長面接を受ける時間になったので、

このままサッサと三階の社長室に向かったのだが

コンコンコンとノックをしてから、璃音と二人で部屋の中へと入った直後


「いらっしゃい玲ちゃん。じゃあさっそく面接を始めるから、
そこのソファーに座ってくれるかな?それと店長の桐生をいま呼んだから
すぐにココに来ると思うけど、彼はちょっと強面こわもてだから、あんまりビックリしないでね?フフフッ」

と優しい眼差しでニコニコと微笑む美しい彰から

来客用の大きなソファーに座ってくれと指示をされたので

「はい、わかりました」とペコペコ頭を下げながら

今日も無愛想な璃音と二人で豪華なソファーに座ってみると


「今日は急に無理を言ってゴメンね玲ちゃん、
実は来月の3月末で、事務の女性が寿退社をする事になってね?
それで新しい事務員を探していたんだけど、ココで働いて欲しいと思う人が
なかなか見付からなくてね、ちょっと困っていたんだよね~」

て感じで、さっそく今回の件を話してくれたので

もちろん玲は黙って彰の話を聞いていたけれど

この後も彼が話をしている最中に……

いきなり、コンコンコン!と社長室のドアがノックされて

そしてそのままの勢いで、ガチャッと乱暴にドアが開いたから

一瞬、玲はビックリしたが、そんな事よりもスタスタと歩いて部屋の中に入ってきた人は


「へぇ、なかなか真面目そうな人じゃないか彰~、じゃなくて円行寺社長どの~」

と明るい声の、如何にもロックバンド的なファッションの男性だったから

なんとなく本能的にこの人が桐生店長だと思った玲は、このまま軽く会釈をしてみたが

そんな事よりもこの男性が部屋の中へと入ってきた途端


「まぁ璃音が~……じゃなくて龍崎コーポの社長さんが~、
あぁもうめんどくせぇなぁ全く~、いやいやごめんね一条さん、
つう事で璃音が賛成してるんなら、もうこの人に決めちゃえば?」

て感じのありがたい発言をしてくれたので、

人が良さそうな桐生店長の、もうこの人に決めちゃえば?の言葉で一気に

今回の縁故採用が急展開を迎えてきて、そしてこのままの勢いで


「まぁ確かに今回の件は俺も一応賛成はしたが……
このライブハウスで働きたいかどうかは玲が決める事だからな。
さてと玲…お前はどうしたいんだ?この店で事務員として働いてみたいか?」

と璃音に聞かれたから、もちろん玲は明るい声で


「はい、是非働いてみたいです。皆さんよろしくお願いします!」

こうして久し振りにまともな返事をする事が出来たのに……

なんともアッサリと玲の就職が決まったその瞬間、

なぜかいきなり真面目な表情に変わった円行寺彰は細い煙草に火をつけながら


「でもね玲ちゃん、これはきみの将来においても
結構大切な事だと思うから、俺の判断で正直な話をさせてもらうけど、
本当はここに居る誰もが、君をカーネリアンホールの事務員にさせたい訳ではなくて……
そもそも璃音は、きみを大学に行かせる為に、ここ数ヶ月の間はずっと、影で色々な努力をしていたんだよ?」

と更に真面目な顔つきで大学の事を話し始めたので……

(えっ?大学?じゃあ私は大学生になってもいいの?
でも今はもう2月だから、今から行ける大学は~、花の都のFラン大東京大学と~
あとは、えっとー、国際的な怪しい私立の定員割れの~Fラン的な夜学の2部の~)

と心で密かにブツブツと、

残念すぎる今後の進路を一人で勝手に予想していたのに

まさかこの後、ぼっちでオタクでコミュ障の三冠王を持った自分が

まるで光輝くダイヤモンドの様な未来に向かって羽ばたく事が出来るだなんて

もちろん まだこの時は、全く夢にも思っていなかった。
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