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璃音編 オレンジ色の思い出
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そして一旦、場面はコンサートの前に戻り、
玲が通う桜ヶ丘高校は、
やっと明日から3年生が自由登校に入るので
これで遂に璃音は正々堂々と、
あの『ただっぴろい』自宅のマンションで
今夜から玲と二人で一緒に暮らせる事になったけど……
*****
玲との甘い生活を待ち望む璃音とは対照的に
ここ最近ずっと落ち込み続けている玲は、
たった一人の就職活動に限界を感じて『日に日に』元気をなくしていたので
そろそろ玲にいつもの元気を取り戻してもらう為に
今日は定時で仕事を上がった璃音はサッサと本社を出た後で
意気揚々と白い外車に乗り込みながら、
(さてとー!じゃあ今から卒業のプレゼントを渡しに行こうか)
と上機嫌な態度で玲を迎えに行った後、
カーネリアンホールの社長室で事務員の仕事を即決で受からせて
そしてそのままの勢いで、今のインディーズでは一番の人気があるらしい、
シャノワールのライブを観戦する為に、玲を連れて一階のメインホールに向かったが……
*****
今回のコンサートは、思った以上に素晴らしい内容だったから
(金髪碧眼のボーカリストが玲の弟だとは聞いていたが
とりあえず高校生にしては、なかなか歌が上手いと思うぞ?
だがまぁ彰のレベルには、まだまだ全然及ばないけどな?フフフッ)
と褒めているのか貶しているのか微妙なラインの感想を胸に隠しながら
まだ少し目が赤い玲と二人でカーネリアンホールを出てすぐに
ちゃっかり今日のライブをタダで見ていた秘書の沢田が運転をする車に乗って
こちらも ちゃっかりスイートルームを予約してある、キンキラキンのサファイアホテルに向かったけれど
この直後……
*****
やはり いつ来ても
黄金色がやたらと眩しいインペリアルのレストランに到着した璃音は、
なんだか夜の金塊みたいな個室のオブジェを見ていたら
なんと早くもワイルドな犬になりかけたので、いくらなんでもあんなに感動したライブの後に
『犬化』は流石にヤバいから、とにかく直ちに犬的な頭をリセットする為に、
「じゃあ今日から俺たちが
正々堂々と一緒に暮らせる事を祝して乾杯しようか玲」
「あっ、はい、わかりました。
じゃあ、えっと~…か、か、かんぱーい!」
こうして今夜も至って自然に冷静な態度で、
玲のグラスとカチンと音を立てて乾杯をした後で
さっそく豪華なディナータイムを楽しむ事にしたのだが……
そんな事よりもやっぱり玲は
先ほど見たコンサートの余韻にまだまだ浸りながら
「あの、璃音さんは その~…学生時代の初恋の人とか、
昔、好きだった女性とかが、ピカピカ光って見えた事はありますか?」
と可愛い質問を璃音に向かって聞いてきたので
あいかわらず口下手な玲の事が可愛くてたまらない璃音は優しい声で
「あぁ。もちろん俺も経験した事があるけど
俺の光は透明なダイヤモンドの輝きではなくて
夕焼けみたいなオレンジ色の…淡くて切ない光だから」
と答えながらも懐かしさを噛みしめる様に……
そして切ない気持ちを隠しきれない表情のままで、
*******
(今になって思えば
Clubベルサイユでお前に命を助けられたあの日の夜に……
何よりも大切なお前を一人ぼっちで帰らせて、
そして俺も平気な顔でサッサと家に帰ったくせに、
結局その後ひたすら玲に逢いたくて……
でも逢えないから四六時中イライラしてて、おまけに心の中が真っ白で
それでしまいには痺れを切らして真夜中に、
どうでもいい女をマンションに呼んで荒れた理由はおそらくきっと……
唯一の光を失った事に気付いた俺の『恋心』が、
お前を取り戻す為に必死で藻掻いていたという事なんだろうな……)
こうしてふと気付けば、『あの日』の苦い出来事が、
いつの間にか色鮮やかに心の中で甦ってきて……
そして28年の人生で初めて経験した失恋のショックと
激しい後悔の念に駆られて一晩中一人で悩んで荒れていた、
あのトンデモナイ醜態をあれやこれやと思い出していたけれど……
そんな事よりも次の瞬間、璃音はなんと、
(恋心…か。俺もナカナカの詩人じゃないか、フフフッ……
いや、待てよ?そもそも俺の初恋は…いったい『いつ』なんだ?
初恋、初恋、あぁそうか……つまり、そう言う事だったのか……)
まさにこのタイミングで大切な事に気が付いたから
今でもずっと心の中で輝き続ける、オレンジ色の淡い光に夢中な璃音はこの直後
「だから俺の初恋は、お前って事だよ玲…」
と優しい声で答えていたが、心の中ではもう既に
サファイアカラーに光輝くスイートルームの扉を開けて、
甘く切なく蕩ける様な、長い長い夜の帳をおろしていた……。
玲が通う桜ヶ丘高校は、
やっと明日から3年生が自由登校に入るので
これで遂に璃音は正々堂々と、
あの『ただっぴろい』自宅のマンションで
今夜から玲と二人で一緒に暮らせる事になったけど……
*****
玲との甘い生活を待ち望む璃音とは対照的に
ここ最近ずっと落ち込み続けている玲は、
たった一人の就職活動に限界を感じて『日に日に』元気をなくしていたので
そろそろ玲にいつもの元気を取り戻してもらう為に
今日は定時で仕事を上がった璃音はサッサと本社を出た後で
意気揚々と白い外車に乗り込みながら、
(さてとー!じゃあ今から卒業のプレゼントを渡しに行こうか)
と上機嫌な態度で玲を迎えに行った後、
カーネリアンホールの社長室で事務員の仕事を即決で受からせて
そしてそのままの勢いで、今のインディーズでは一番の人気があるらしい、
シャノワールのライブを観戦する為に、玲を連れて一階のメインホールに向かったが……
*****
今回のコンサートは、思った以上に素晴らしい内容だったから
(金髪碧眼のボーカリストが玲の弟だとは聞いていたが
とりあえず高校生にしては、なかなか歌が上手いと思うぞ?
だがまぁ彰のレベルには、まだまだ全然及ばないけどな?フフフッ)
と褒めているのか貶しているのか微妙なラインの感想を胸に隠しながら
まだ少し目が赤い玲と二人でカーネリアンホールを出てすぐに
ちゃっかり今日のライブをタダで見ていた秘書の沢田が運転をする車に乗って
こちらも ちゃっかりスイートルームを予約してある、キンキラキンのサファイアホテルに向かったけれど
この直後……
*****
やはり いつ来ても
黄金色がやたらと眩しいインペリアルのレストランに到着した璃音は、
なんだか夜の金塊みたいな個室のオブジェを見ていたら
なんと早くもワイルドな犬になりかけたので、いくらなんでもあんなに感動したライブの後に
『犬化』は流石にヤバいから、とにかく直ちに犬的な頭をリセットする為に、
「じゃあ今日から俺たちが
正々堂々と一緒に暮らせる事を祝して乾杯しようか玲」
「あっ、はい、わかりました。
じゃあ、えっと~…か、か、かんぱーい!」
こうして今夜も至って自然に冷静な態度で、
玲のグラスとカチンと音を立てて乾杯をした後で
さっそく豪華なディナータイムを楽しむ事にしたのだが……
そんな事よりもやっぱり玲は
先ほど見たコンサートの余韻にまだまだ浸りながら
「あの、璃音さんは その~…学生時代の初恋の人とか、
昔、好きだった女性とかが、ピカピカ光って見えた事はありますか?」
と可愛い質問を璃音に向かって聞いてきたので
あいかわらず口下手な玲の事が可愛くてたまらない璃音は優しい声で
「あぁ。もちろん俺も経験した事があるけど
俺の光は透明なダイヤモンドの輝きではなくて
夕焼けみたいなオレンジ色の…淡くて切ない光だから」
と答えながらも懐かしさを噛みしめる様に……
そして切ない気持ちを隠しきれない表情のままで、
*******
(今になって思えば
Clubベルサイユでお前に命を助けられたあの日の夜に……
何よりも大切なお前を一人ぼっちで帰らせて、
そして俺も平気な顔でサッサと家に帰ったくせに、
結局その後ひたすら玲に逢いたくて……
でも逢えないから四六時中イライラしてて、おまけに心の中が真っ白で
それでしまいには痺れを切らして真夜中に、
どうでもいい女をマンションに呼んで荒れた理由はおそらくきっと……
唯一の光を失った事に気付いた俺の『恋心』が、
お前を取り戻す為に必死で藻掻いていたという事なんだろうな……)
こうしてふと気付けば、『あの日』の苦い出来事が、
いつの間にか色鮮やかに心の中で甦ってきて……
そして28年の人生で初めて経験した失恋のショックと
激しい後悔の念に駆られて一晩中一人で悩んで荒れていた、
あのトンデモナイ醜態をあれやこれやと思い出していたけれど……
そんな事よりも次の瞬間、璃音はなんと、
(恋心…か。俺もナカナカの詩人じゃないか、フフフッ……
いや、待てよ?そもそも俺の初恋は…いったい『いつ』なんだ?
初恋、初恋、あぁそうか……つまり、そう言う事だったのか……)
まさにこのタイミングで大切な事に気が付いたから
今でもずっと心の中で輝き続ける、オレンジ色の淡い光に夢中な璃音はこの直後
「だから俺の初恋は、お前って事だよ玲…」
と優しい声で答えていたが、心の中ではもう既に
サファイアカラーに光輝くスイートルームの扉を開けて、
甘く切なく蕩ける様な、長い長い夜の帳をおろしていた……。
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