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卒業式のパーティー会場にて。
「スカーレット。貴様は私の友人スフィア令嬢に、危害を与える危険人物であることから次期大公妃にはそぐわない。今日をもって婚約破棄させてくれ。」
私、スカーレット・ルナーティアは伯爵令嬢である。
父譲りで眼光が鋭いのと口下手なのが原因で、婚約者のセシルには嫌われている。
最近は、名前も知らないが男爵令嬢と仲が良いらしいのも知っていた。
仲が宜しいのは構わないと思っていたのだけど、ついに先ほど婚約破棄を言い渡されてしまった。これは夢でも茶番劇ではなく、紛れもない事実だった。
我が国の社交界では、婚約破棄が流行っていてブームのようになっている。お互いに好きな人と結ばれない運命を呪っている人が多く、冤罪を押し付けて婚約を白紙にする者が後を耐えない。
結婚は神の名の下で、違う誓約だ。
婚約も同等の価値があるというのだが、好きでもない人と政略結婚をするのに嫌気をさした者が婚約破棄を見せ物として始めたらしい。
婚約解消ではないというのも厄介だ。
破棄をする場合は、お互いに次の結婚相手が見つかっている時にするというのがよくある例だ。
そのようなこともあり、婚約破棄が悪いものではなく所謂儀式の一つであると勘違いする者もいた。私の元婚約者、セシルように。
ちなみに、婚約破棄された者の中には、言われのない罪に、問われて修道院で生涯暮らす人や実際に断罪された人までいる。本人は納得するわけでもないので、精神が崩壊してしまう人まで出ている。
この国の国民の善悪の価値観はいつの間にかおかしくなってしまったようだ。
結婚と離婚の自由もお互いにあるべきなのに、冤罪でたくさんの人々が世の中から姿を消している。
興奮した口調で話した婚約者の言葉に対して反応に困っていると、
「弁解もないとは、やはりスフィアが言うことは本当のことだったんだな!」
私が答えるのも待たずに話し出す。
「いえ、そういうことではなくて。」
「なんだね?」
「スフィア令嬢って誰でしょうか?今一緒にいる方ですか?それとも…。」
「何をとぼけているのかね?君が嫌がらせをしたんだろう?」
正直に話したのに、セシルは私が罪の言い逃れしようとしているものだと勘違いしてしまったらしい。
「……。」
冤罪を押しつけて婚約破棄をするつもりなのか。
昔は、素直に話を聞いてくれる優しい少年だったのにと思っていたのに、知らぬ間に、こんな風に変わり果てしまい改めて落胆した。
ここで真実を言っても、聞く耳を持たない相手に話しても無駄なようだ。私の運命は変えられそうにない。
(このままじゃ、私は断罪されてしまうの???こんなの絶対おかしいわよっ…!!!)
心の中で叫ぶ。困り果てた私は、絶望感で目の前が真っ暗になる。
周りの音が聞こえなくなりかけて、意識が朦朧としかけた時、
「救ってあげましょうか。」
よく聴き慣れたバリトンボイスが、耳元で囁かれた。
「スカーレット。貴様は私の友人スフィア令嬢に、危害を与える危険人物であることから次期大公妃にはそぐわない。今日をもって婚約破棄させてくれ。」
私、スカーレット・ルナーティアは伯爵令嬢である。
父譲りで眼光が鋭いのと口下手なのが原因で、婚約者のセシルには嫌われている。
最近は、名前も知らないが男爵令嬢と仲が良いらしいのも知っていた。
仲が宜しいのは構わないと思っていたのだけど、ついに先ほど婚約破棄を言い渡されてしまった。これは夢でも茶番劇ではなく、紛れもない事実だった。
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結婚は神の名の下で、違う誓約だ。
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婚約解消ではないというのも厄介だ。
破棄をする場合は、お互いに次の結婚相手が見つかっている時にするというのがよくある例だ。
そのようなこともあり、婚約破棄が悪いものではなく所謂儀式の一つであると勘違いする者もいた。私の元婚約者、セシルように。
ちなみに、婚約破棄された者の中には、言われのない罪に、問われて修道院で生涯暮らす人や実際に断罪された人までいる。本人は納得するわけでもないので、精神が崩壊してしまう人まで出ている。
この国の国民の善悪の価値観はいつの間にかおかしくなってしまったようだ。
結婚と離婚の自由もお互いにあるべきなのに、冤罪でたくさんの人々が世の中から姿を消している。
興奮した口調で話した婚約者の言葉に対して反応に困っていると、
「弁解もないとは、やはりスフィアが言うことは本当のことだったんだな!」
私が答えるのも待たずに話し出す。
「いえ、そういうことではなくて。」
「なんだね?」
「スフィア令嬢って誰でしょうか?今一緒にいる方ですか?それとも…。」
「何をとぼけているのかね?君が嫌がらせをしたんだろう?」
正直に話したのに、セシルは私が罪の言い逃れしようとしているものだと勘違いしてしまったらしい。
「……。」
冤罪を押しつけて婚約破棄をするつもりなのか。
昔は、素直に話を聞いてくれる優しい少年だったのにと思っていたのに、知らぬ間に、こんな風に変わり果てしまい改めて落胆した。
ここで真実を言っても、聞く耳を持たない相手に話しても無駄なようだ。私の運命は変えられそうにない。
(このままじゃ、私は断罪されてしまうの???こんなの絶対おかしいわよっ…!!!)
心の中で叫ぶ。困り果てた私は、絶望感で目の前が真っ暗になる。
周りの音が聞こえなくなりかけて、意識が朦朧としかけた時、
「救ってあげましょうか。」
よく聴き慣れたバリトンボイスが、耳元で囁かれた。
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