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【灯ルート】

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 父親から教育的虐待を受けていたせいで脳内の防衛本能が働いているのか、幼い頃から中学までの記憶はおぼろげだ。
 夏真っ盛りのある日、綺麗な女のコと出会った。小学校の陸上記録会の日のことだ。
 そのコが実は成長して数年後にゴリラになる男で、湊 灯(ミナト アカル)という名前であることは後から知った。

 太陽の下に晒すと燃えるように光る赤みがかった茶髪と、同じく赤みがかったアンバーの瞳。整った鼻筋にキリッとした眉毛は凛々しく、明らかに西洋人の血が混じっていた。かわいいし、格好いい。

「おまじないをしてあげるね。なんにもこわくならないおまじない。いつか、またこわくなったら、絶対これを思い出して。」

 父親の影に怯える俺にそう言って、ちゅ、と音がしたかと思うといつの間にか額にキスが落とされていた。
 自分でも分かるくらい、真っ赤になる頬。耳まで熱い。

「も、もう行かなきゃ。」

 しどろもどろになりながらも何とか言葉を紡いで後ろも振り返らずに闇雲に駆けだした。

 それが俺たちのファーストコンタクト。




……―――ー―らしい。




「なぁ~~んで覚えてないんですか!!俺らの最初の記念日やのに!!アジさんの記憶喪失!!薄情者!!うんち!!」

「うっすら覚えてるけど…。でも女子だと思ってたんだよ、ほんと。」

「む゛~~~!!」

 ガチでショックを受けているらしく、涙目で抗議をする大男。その光景を見ても普通ならかわいいとは思えないはずなのに、なぜかこいつには愛嬌があるように思えるのは身内の贔屓目だろうか。

 俺の記憶が曖昧だったことがきっかけで、別々の中学に通った俺たちはある日大喧嘩をしたことがある。それでも高校生になってこうして笑い合えるまでに関係性が修復したことが素直に嬉しい。それもこれも、アカルの生来の人懐っこさのおかげだと思う。隣にいるととても居心地が良く、ともすれば当たり前の存在のように感じられる。

 アカルは昔から俺に対して距離が近い。スキンシップが激しいのだ。
 大型犬のようにすり寄ってくるヤツを軽くあしらい、まだ何か言いたげな唇を塞ぐと途端におとなしくなったので、そのままもう一度深く口付ける。
 お互いの舌を絡ませ合うように吸うと、飲み下せなかった唾液がアカルの口の端から伝い落ちた。それを舐め取りながらゆっくりと唇を離す。

 至近距離で見つめ合うと、どちらからともなく笑みが零れた。


     ▽


「なるほど、全員がアジさんに告ったってわけ。」

 神妙な面持ちで俺の幼馴染かつ湊家次男の灯(アカル)が言う。
 沈黙する面々。
 この場には四者四様、様々な空気が入り乱れている。

 俺の名前は鯵刺 逸渡(アジサシ ハヤト)。見かけても三歩歩けば忘れられるようなド平凡な容姿の高校二年生。陸上だけは、走ることだけはちょっぴり他の人より得意なこと以外は、特筆すべきことが何もない一般人。

 そんな俺が先日、この湊家四兄弟全員にいっぺんに告白された、「付き合って。」と。
 どうして俺みたいな平凡を絵に描いたような奴に。そう不思議に思いはしたが、とりあえずその場ですぐ返事をできるような内容でもなかったので、その件は一旦保留ということになったのだ。そして今日、俺はこの四人兄弟が一堂に会する機会を見計らって、こうして事の詳細を話したわけである。

 ちなみにこの場にはアカルの他にあと三人いる。
 一人は湊家の長男で俺の苦手な湊 時化流(ミナト シゲル)。今も何を考えているかも分からない不敵な笑顔を浮かべニヤニヤとこちらに刺さるような視線を向けている。
 そして双子の弟の漁(イザリ)に巻網(マカミ)。本当の弟のようにかわいがってきたつもりだが、今回それが裏目に出てしまったらしい。俺の両脇を固めて腕に絡みつき、どちらも不満そうな表情をしている。

「で、結局アジさんはどうすんの。」

 イザリが俺に問うてくる。

「どうするもこうするも……。そもそも俺のどこに告られる要素があるのか分かんないし、距離が近すぎて逆にそういう目で見れないっていうか……。だからその……。」

 俺はそう答えるしかない。だって本当にどこに惚れられる要素があるのか分からないのだ。
 俺が四人に告白されてから早一日が経とうとしていた。その間、俺はずっとこの件について考えてきたわけだが……正直全員からの誘いを断ろうと思っている。ただ、それをしてこの四人が納得するとは思えない……かと言って彼らを納得させられる返答など持ち合わせちゃいないのだが。

「全員からの申し出をお断りしま…」

「「「「アカン。」」」」

 ほらやっぱり。

「ほなさ!いっそのこと俺らといっぺん付き合ってみたらわ?」

 マカミが俺の肩に腕を回しながら言う。

「は?お前何言って……」
「確かに!俺ら全員アジさんのこと好きやもん…シゲルは知らんけど。やったらいっそのこと、アジさんの心が決まるまで四人全員とお試しで付き合うのが一番ええんとちゃう?」

 マカミに便乗してイザリがそう提案する。そういう気遣いはありがたいが、心は決まってんだわ。さっき断ろうとしたんだわ。
 なんにせよ、有難いことに彼らの家族愛的な好意にはもちろんずっと前から気づいていたし(シゲルには愛情とかそういうのはないので除く)、だからこそ俺も彼らを家族同然のように大切にしてきたつもりだ。だから、俺が思っていた愛とは、その…恋愛とかそういう類のものではないのだ。俺が彼らに抱く想いというのはあくまで友情や家族愛であって、決して恋愛感情ではない。

「いやでも……俺はやっぱり……」
「ほなこうしようや。」
「シゲル…?」
「今日からハヤトが実家戻るまでの4日間、全員が順番にハヤトとデートすんねん。もちろん邪魔は一切禁止。そのあとに誰を選ぶか決めさせたるっていうんはどお?」

 自信満々にシゲルが宣言する。
 いや待ってくれ、何が悲しくてこんな巨男ばかりのムサい空間で代わる代わるデートをしないといけないのだ。しかも他三人の好意は分かりやすいが、こいつに至っては俺のこと別に好きでも何でもないだろ。一体何が目的でそんな提案をするのか、あまりにも不穏過ぎる……。

 しかし幸か不幸か他の三人から異論が出ることはなく、じゃんけんで順番が決まり、俺はあれよあれよという間に丸め込まれてしまったのだった。


     ▽


「俺がトップバッターとかマジで引きが神過ぎる!日頃の行いの差ァやな!」

 心底嬉しそうにアカルがはしゃぐ。
 その背後には、抜け駆け禁止というシゲルの厳命に従い恨めしそうに俺たちを見つめる三人の姿が。いやそれ、そもそも俺の意思を無視して勝手に決められたことなんですけど……?とはあえて口に出さないでおく。アカルの肩越しにシゲルが鬼の形相で睨んでくるのが見えたが、恐ろしすぎて俺は見なかったことにした。

 やがてアカルと約束したデート開始時刻となったわけだが、アカルのリクエストで映画館に来てみた。
 俺たちの家の最寄り駅にある小さなシアターは、上映されている映画の本数とラインナップが少ないためかあまり客入りもない。
 しかしアカルが観たいと言った作品は意外にも俺が前々から興味があった大ヒット作で、チケット売り場にはすでに小さな行列ができていた。
 列の最後尾につくと、アカルが嬉しそうに話しかけてくる。

「これ!前アジさんが面白そうって言よったやつ!楽しみや~!」
「うん。」

 アカルは昔からこういうところがある。俺の好きなものを共有したがるというか、よくリサーチしているというか。とにかく俺との時間を大事にしてくれるのだ。そのおかげで俺もこの小さなシアターにはよく足を運んでいたし、アカルに誘われれば断る理由もなかった。

 しかし今回は湊兄弟が提案したデートである以上、多少なりとも恋人らしいことをしなければならないだろうと思い至り、俺はアカルと手を繋いだ。俺が先輩なんだから、少しはリードしたいのだ。
 すると、一瞬驚いた顔をした後すぐに嬉しそうに破顔したアカルが一生懸命ぎゅっと握り返してくる。

……不覚にも、かわいい、………なんてことを思ってしまった。

 そうこうしているうちに俺たちの順番が来たのでチケットを二人分買い求める。劇場内に足を踏み入れると、平日の昼間ということもあってか大ヒット作にしては意外とすいているようだ。後半一列目の中央の席に並んで座る。
 上映開始時間になり場内が暗くなる。しかし「今日はデート」ということにそわそわしている俺は隣に座るアカルが気になって仕方ない。横目に彼を見つめると、スクリーンから放たれる光でぼんやりと輪郭だけが浮き上がるアカルの横顔は思った通り端正だ。その精悍な顔つきにしばし目を奪われる。

 ……いやいや、こいつは後輩であって断じてそういう対象ではない。そう自分に言い聞かせるが、見ているだけで胸がドキドキする。
 やがて映画も終盤に差し掛かり、主人公とヒロインがキスシーンを迎えていた。
 ……いいなぁ。俺もいつかこんな恋をする日が来るのだろうか。
 ふとそんなことを考える。しかしすぐに我に返り、そもそも相手すらいないのに何考えてんだ俺!と恥ずかしくなった俺は慌ててスクリーンに向き直った。

 するとその時だった。
 俺の右手が急に温かいものに包まれる感触がして思わずそちらを振り向く。すると、俺の手はアカルの大きな左手の中にすっぽりと収められていた。

 え……これって。

 手の繋ぎ方の違いにすぐに気がつく。あ、そうか、これは恋人繋ぎだ。俺がこいつの手を触りたいと言ったから繋いでくれたのだ。俺はすかさず座席の下に隠れるようにしてその手をぎゅっと握り返した。
 ちらり、と隣のアカルを窺うと暗闇でも分かるくらい顔を真っ赤に染めた彼と視線がかち合う。スクリーンからの逆光で表情まではよく見えないが、きっと同じ顔をしているのだろうと何故か確信めいたものがあった。
 そしてまた、スクリーンへと視線を戻す。映画が終わるまであと10分くらいだろうか。再び隣に座るアカルを盗み見ると、彼も俺のことを見ていたようで目が合ってしまう。慌てて前に向き直ったが、心臓がバクバク鳴っているのは隣の彼には聞こえていないことを祈る……。

(ああもう……これだからアクション映画の恋愛シーンは苦手なんだ!)

 心の中でそんな悪態をつく俺だったが、その実この胸を占める甘酸っぱい感情は確かに俺の中に生まれたものであって、それが恋愛のそれなのかは正直まだ分からない。
 ただひとつ言えることは、このデートが俺にとってとても有意義な時間であったということだった。



     ▽


「…で、なんでこんなことになってんだよ?!」
「えへ、アジさんめっちゃ綺麗ですよ~」

 陶酔したようにうっとりとほほ笑むアカルに若干の恐怖を覚える。
 ここは慣れ親しんだ俺の自宅の自室。母親が出張に行っていないため鍵を開けて入った俺は、アカルによって両手両足を拘束され、あられもない姿でベッドの上に転がされていた。コイツの縄さばきは見事なもので、縛られている本人の俺ですらその結び目がどうなっているのか分からないのだから大したものだ。
 いつの間にか俺の衣服は下着を残して全て剥ぎ取られており、その無防備すぎる自分の姿に羞恥を覚える。だが手足の自由を奪われたこの状態では何もできない。

 ……これはもしや貞操の危機というやつでは……?!

  俺はようやく事の重大さに気づくが時すでに遅し。アカルの手が俺の胸へと伸びてきたかと思うと、そのまま指先で胸の突起を弄られる。するとすぐにそこはぷくりと存在を主張し始めてしまった。
 な、なんか俺、乳首で感じてないか……?そう自覚した頃にはもう遅く、アカルはあろうことか顔を胸に近づけてちゅうっとそこに吸い付いてきた。「んぁあっ」と思わず上擦った声が上がってしまい、余計に俺の羞恥心を煽る。

「ちょ、アカルッ!どこ舐めて…!ひぐ?!」

 すると今度は反対側の乳首に手を伸ばしてきた。そのまま親指と人差し指で摘まれ、くにくにと弄られる。

「アカルッ…ちくびダメ…!あっ、やめッ!」
「アジさんてば敏感~!普通は乳首触られたぐらいじゃ感じませんよ。…もしかしてオナニーするとき触ってます?」
「さ、…さわって、なっ、ひぅ゛!?」

 ……なんだこれ、気持ちいいかも……。
 俺はすっかり抵抗する気をなくしてしまい、ただ与えられる快楽を享受するだけになってしまった。

 やがてアカルが胸から顔を離す。するとアカルは俺の腹部に顔を埋め、今度はへその窪みをちろちろと舐め始めた。

「ひあぁ゛っ~~!」

 その瞬間ゾクゾクッと背筋を何かが駆け抜けた俺は、たまらず悲鳴を上げる。
 そこ、ヤバい……!そんなとこ舐めるやつがあるか?! そう訴えるがアカルの舌の動きが止まることはない。

 そしてそのままぐりぐりと中を掻き回される感覚に腰が砕けそうになった時、アカルは俺が履いていたボクサーパンツに手をかけるとそれを一気に引きずり下ろしてしまった。露わになった俺のそれはすっかり勃ち上がっており、外気に晒された刺激だけで軽くイッてしまいそうなほどに敏感になっている。

 それでもアカルは舐めるのを止めないどころか今度は下の方へと下がっていき……ついには俺のそれを口に咥えてしまった。
 じゅるりと音を立てて吸われ、舌で執拗に先端を舐め回される感覚に俺はたまらずアカルの口内に吐精してしまう。しかし彼は口を離すことなくそのままごくりと嚥下してしまった。

「っん、アジさん早いですね~。にしてもやっぱにがい…へへっ!」
「んな゛?!お前!何飲んでんだよ、バカッ、バカ~~!」

 自分の精液を飲まれてしまったことに対する羞恥で顔を真っ赤にする俺を、アカルが恍惚とした表情で見つめてくる。その表情はこれまで見たことがないほどに妖艶で、思わず見惚れてしまうほど美しかった。

 そして……俺に覆いかぶさるアカルと目が合う。アカルの瞳に自分が映っているな……と思った時にはもう遅く、そのまま唇を塞がれてしまう。
 最初は軽く触れ合うだけのキスだったが、やがてアカルは俺の口内に舌を滑り込ませてくる。俺は恥ずかしくてそれを拒もうとアカルから顔を逸らそうとするが、彼はそれをものともせず逆に俺の後頭部をがっしりと掴んで固定してきたため身動きが取れなくなってしまった。
 やがてアカルはキスをしながら器用に俺の両膝の裏に手をかけて持ち上げたかと思うとそのまま大きく開脚させる。俺は慌てて足を閉じようとするも、間に割り込んできたアカルの身体のせいでそれは叶わなかった。

 そしてアカルは自分の指を持参したローションで濡らし始めたのだ。その行動の意図を察した俺は顔を青ざめさせる。もっとも、アカルはそんな俺にはお構いなしで、俺の足を抱えたままその指を俺の後ろの窄まりにあてがった。

 やばい!いくら何でもそこまでは……! 
 俺は何とか抵抗しようと必死に身を捩るが、アカルは俺の身体を押さえつけてそれを許さない。そしてついに彼の指先が俺の中へと侵入してきた。

にゅち…

「ひぃッ…!」
「アジさん、大丈夫。ゆっくり息して?」

 最初は異物感しか無かったが、次第にそれは快楽へと変わっていく。アカルの指が的確に俺のイイところを刺激するからだ。やがて一本だった指が二本になり、三本になる頃には、前立腺をしこたま揉み込まれた俺はすっかり蕩けきっていた。
 すると突然アカルの指が引き抜かれ、宣言される。

「これ、アジさんのために新しく買ったんです!バイトした甲斐あったな~!」

 そんなモノを頑張って稼いだバイト代に費やすな!と言いたい。
 なぜなら、笑顔のアカルがおもむろに取り出したのは男性器を模した大きなディルド。ご丁寧にスイッチまでついている電動タイプだ。彼はローションを垂らしながらディルドにたっぷりと塗りつけると、すっかり緩んでひくつく俺の後ろの蕾に押し当ててくる。

「ちょ、ちょっと待って?!そんなの入んないから!!」
「入る、入る。しっかり慣らしたからヘーキですよ!」

 俺は必死に抵抗するが、アカルは俺の言葉を無視してそのままゆっくりとそれを挿入し始めた。
 最初は先っぽだけ入ったもののすぐに俺の肉壁に押し返されてしまい、そこでまた抜き差しを繰り返す。そしてようやく半分まで入るようになると今度は一気に根元近くまで押し込まれてしまった。その衝撃で俺は軽く達してしまう。しかしそれでもアカルの動きは止まらず、そのまま抽挿が始まった。

「あっ、待って、アカル……ッ!イッたからもう……!」
「ふふ、アジさんめっちゃ気持ち良さそうやなぁ。可愛い。」

 アカルはそう言って俺の唇に触れるだけのキスをすると動きを再開させた。何度も玩具でピストンされ続けるうちに次第に異物感はなくなり、代わりに感じたこともないような快楽に襲われるようになった。
 ディルドが俺の中を行き来するたびに強い刺激が走る。そしてある一点を掠めた瞬間、俺はあまりの快感に耐え切れず絶頂を迎えてしまった。

「ひぁ゛ああ~~!!ッお゛、おお~~!」

 俺はただ口から涎を垂らしながら喘ぐことしかできず、やがて目の前が真っ白になり何も考えられなくなるほどの快感に襲われた。
 面白いくらいビクビクと魚のように痙攣する俺に、アカルは悪魔の一言を囁く。

「ところでアジさん、次試してみたいんはこれなんですけどね…」

 そう言うアカルが楽しそうに出したのは小さな卵型のローターだった。ヤツはそれを縛られ身動きできない俺の勃起した両乳首にマスキングテープで固定しスイッチを入れる。

ヴぃヴぃヴぃヴぃヴぃ~~~~!!

「えッ、な、にこれ、やだ、ひぅっ、アカル!とめ、とめてッ!や!やあ~~!」

 ローターは小さいながらも振動が強く、俺はその刺激に耐え切れず身体をしならせる。しかしアカルはそれを許さないとばかりに俺の上に覆い被さり、両手を拘束している縄をベッドヘッドの柵へと結びつけてしまった。これでもう俺の両手は完全に自由を奪われてしまうことになる。

 アカルはそうやってローターで俺の乳首を弄りながら、同時にディルドを激しく出し入れし始めた。一遍に与えられる異なる二つの快感に俺は翻弄されっぱなしで、もはや何も考えられなくなるほどに乱れてしまっていた。もう何度イッたか分からず、俺のものからは透明な液体がたらたらと流れ出るだけだ。

こつん♡

「ひ゛ッッ!!!?」

 そしてとうとうアカルは俺の最奥までディルドを押し込み、一番奥の壁に先端をぐりぐり押し付けてきた。その瞬間今までとは比べ物にならないほどの快感に襲われてしまい、俺は声にならない悲鳴を上げる。目の前がチカチカとして全身が痙攣するかのような錯覚を覚えたかと思うと、次の瞬間には意識を手放してしまっていた。

 はっと目を覚ますと、そこは見慣れた自室だった。気を失っていたのは一瞬だったらしく、辺りを見回すと先ほどと同じ光景が広がっていた。

「アジさん大丈夫です?一瞬白目剥きましたけど…。」
「だ、だいじょう、ぶ。」
「キツかったら言って下さいね。俺はアジさんが一番大事ですから。………さ、今度は俺の舐めて下さい♡」

 そう言ったかと思うとアカルはボロン♡と自身のペニスを下着の中から引っ張り出した。そのサイズは身長同様、俺より一回りも二回りも大きい。俺の痴態を見て興奮したのか既にガチガチになっており、先端からは透明な液体がたらり…♡と垂れている。
 アカルのご立派なモノから目が離せなくなった俺は無意識のうちにゴクリと喉を鳴らしてしまっていた。するとそれに気づいたらしいアカルが俺の頭を掴むと、そのまま自分の股間へと誘導してくる。
 恐る恐るそれに唇で触れると火傷しそうなほどに熱く脈打っているのが分かった。そして俺は導かれるままにそれを口に含んでしまっていたのだった。ぱくり…。初めて味わう味だったがこれがアカルの味だと思うと不思議と嫌な感じはしない。むしろもっと味わいたいと思ってしまうほどだ。

 俺はアカルのものを喉の奥まで迎え入れると、ゆっくりと頭を上下に動かし始めた。時折裏筋を舌先で刺激してやれば彼のものは一層硬度を増していく。それが何だか嬉しくて夢中になって奉仕を続けていると、やがて彼が俺の髪を掴んだかと思うとそのまま前後に動かしてきた。まるでオナホのように扱われているというのに不思議と不快感はなく、むしろ興奮すら覚えてしまう自分がいた。

「はー♡、アジさんの喉まんこ最高に柔らかくて気持ちいです。アジさん上手♡アジさん天才♡あ~…射精そう………、うっ!」

びゅーーー!びゅくくくく!!♡

 そしてついに限界を迎えたらしいアカルは俺の中に熱い欲望を解き放ったのだった……。

 「アジさん」とアカルは言った。

「ディルドでほぐれてるから、もうできますよね。本番。」
「今までの前戯ってこと……?おま、マジで言ってんのか……。」

 呆れながらちらりと目線を下にやると、先程俺の咥内で射精したばかりだと言うのにアカルのソレはもう硬度を取り戻している。
 アカルは俺の腰を高く持ち上げでんぐり返しの状態にし、ディルドを一気に引き抜く。みっちりと詰まっていただけに、引き抜くと同時に膣肉がいやらしく絡みつくのがなんとも俺の羞恥心に火をつけた。そうして無機物を咥えていたそこに、アカルが自身をぴたり♡と宛がいゆっくりと挿入してくる。

「ひぃ゛!」

 散々オモチャで解されていたそこは難なくそれを飲み込んでいったが、それでも指や玩具とは比べ物にならない質量にと熱さに思わず息が詰まりそうになる。アカルはそんな俺の様子を気遣ってか、浅い所をぐち♡ぐち♡と出し入れして慣らし、その後ずにゅ~~~♡と徐々に奥まで侵入させてきた。

「あ、…は…、ふ、ぅ…、あ゛?!」

 とん♡と最奥までちんぽを突き入れられる。あまりの衝撃に一瞬意識を飛ばしかけたもののすぐに引き戻される。

ぴゅく!♡ぴゅくく!♡

 どうやら今ので軽くイッてしまったらしい。その証拠に腹の上には自分の精液が飛び散っており、アカルはそれを指先で掬い取って俺の口に突っ込んできた。俺はそれをぺろりと舐めとると無意識のうちに微笑みを作っていたようで、それを見たアカルのものがまた少し大きくなったのが分かった。

 そのままゆっくりと抽挿が始まる。初めはゆるゆるとした動きだったが次第に激しくなっていき、パンッ♡パンッ♡パチュッ♡パチュッ♡という皮膚と皮膚がぶつかる乾いた音が部屋の中に響いた。結腸の手前を何度も突かれる度に目の前が真っ白になりそうになるほどの快感に襲われる。

「アジさん、アジさんの子宮ん中、入ってもええですか?」

 アカルは俺に覆い被さるとそう問いかけてきた。男の俺に子宮って……なんだ……? 分からないながらもこくりと小さく頷けば、アカルは再び激しく動き始めた。
 どちゅんっ♡ごりゅんっ♡と結腸弁を何度も突き上げられる。その度に意識が飛びそうになるほどの快楽に襲われてしまい、必死にあえぎ続ける自分がもはや何を言っているのかも理解出来ない状態だった。そして遂にその時が訪れる……。
 ぐぽっ♡という音と共に今までとは比べ物にならない程の質量が俺の中へと侵入してきたのだ。ついに結腸弁を突破され、ナカに……入っちゃいけない一番奥に入られた。
 あまりの圧迫感に一瞬呼吸が出来なくなり、目の前がチカチカとする。

 アカルは俺の両膝の裏を掴むとそのまま体重をかけて押し込んできたため、俺の尻は完全に浮き上がる。そのせいで結合部がよく見え、自分の中にアカルのものがずっぽりと埋まってしまっている様子がありありと分かってしまう。そしてそれがゆっくりと引き抜かれていく感覚すら気持ちよくて堪らない……♡ しかしすぐにまたどちゅん!♡と勢いよく突き入れられてしまい俺は悲鳴のような声を上げてしまった。

「かひゅッ……!♡ひ、も、やめ♡、…アカ、アカル゛、アカル゛ぅう゛~~!♡ひぎぃ゛~~~ッ!!♡♡」
「あはっ、アジさん最高に可愛い、俺も気持ちい~です♡」

 それから何度も抜き差しを繰り返し、やがて限界を迎えたらしい彼は俺の結腸の中に大量の精液を流し込んできた。

びゅくく!びゅるるるる~~~~!!びゅ、びゅーー!!♡

「ッ……ん、は、ぁ♡」

 熱いものが腹の中を満たしていく感覚に俺はぶるりと身を震わせる。

 デカいブツがゆっくりと引き抜かれた後、今度は身体を反転させられて四つん這いの姿勢を取らされる。そして背後から再び挿入されたかと思うとそのまま腰を打ち付けてきたため、先ほど出されたばかりの白濁液がぐぽ♡ぐぽ♡という下品な音を出して溢れ出てきてしまう……その刺激ですら今の俺には十分な快感になってしまっていた……♡

「は~、アジさんの膣ん中最高や」
「あ……♡アカルッ、もっ……無理ぃ!!♡も、出ない、からぁ゛!!♡♡」
「何言うてはるんですか。まだまだこれからですよ。」

そう言って彼は俺の腰をがっしりと掴むと再び激しい抽挿を始めた。

「アジさんの子宮口、俺のちんぽにちゅうちゅう吸い付いてきてますよ?ほんま可愛いなぁ」
「ちがっ♡そんなことしてな……あぁんっ♡」

否定の言葉すら最後まで言わせてもらえず、俺はただ喘ぐことしかできなかった。

「孕ませたい。」

 アカルは真剣な眼差しで言う。

「アジさんの中に俺の子種いっぱい注いで、孕ませたい。」
「あ……っ♡」

その言葉を聞いた瞬間、何故か俺はナカがきゅん♡と疼いた気がした。

「ね、アジさん。いいですよね?」

 アカルは俺の耳元で囁くように言う。そして同時に彼の指先が俺の下腹部を優しく撫でた。それがまるで子供をあやすかの様でなんだかとても愛おしく感じてしまい、思わずこくりと小さく首を縦に振ってしまう。するとアカルは嬉しそうな表情を浮かべて再び抽挿を開始したのだった。

どちゅん♡どちゅん♡どちゅん♡どちゅん♡

「あっ、あっ、あっ、あっ、♡」

 アカルが激しく腰を打ち付ける度に結合部からは卑猥な水音が響き渡り、俺の口からは意味のない言葉ばかりが漏れ出てしまっていた。結腸弁…もとい、子宮口に亀頭をぐりぐりと押し付けられるとそれだけで軽く達してしまいそうになる程の快楽に襲われてしまい、もはや何も考えられなくなるほどに頭が真っ白になってしまう……♡

どちゅん♡ごりゅっ♡ぐぽぉっ♡ 

「んお゛、ぉあ゛~~!1♡」

ぷしゃぁぁぁ♡

 結腸の奥まで突き入れられたと同時に俺は絶頂を迎えてしまったようで、身体をがくがくと痙攣させながら盛大に潮を吹き出す。
 その後も断続的に潮を吹き続けてしまう。その様子を見たアカルが嬉しそうに声を上げた。

「わぁ、アジさん潮吹きしてるやん!めっちゃエロい!可愛い!最高!大好き!」
「……しお……ふき……?」
「知らんかったんですか?男の身体でも女の子みたいに気持ちよおなったらこうやって透明な液体が出るんですよ。」

 知らなかった……俺男なのにこんなことになってんのか……恥ずかしい……。でもそんなことよりも今はこの快楽地獄から解放されたくて仕方がない。するとアカルは再び俺の唇に触れるだけのキスをするとそのまま耳元で囁くように言った。

「次は一緒にイいきましょ?」

 そしてアカルのピストンはさらに激しさを増した。

どちゅんっ♡どちゅんっ♡どちゅんっ♡どっちゅんっ♡
パンッ!♡パンッ!♡パンッ!♡パンッ!♡パンッ!♡

 ちんぽを結腸までがっつりと突き入れられ、そのままぐりぐりと腰を回されて亀頭を押し付けられたまま何度も出し入れされる。その度に俺の口からは声にならない喘ぎ声が漏れ出してしまっていた……♡ アカルは俺の腰を掴むと更に激しく打ち付けてくる。パンッ♡パンッ♡パチュッ♡パチュッ♡という音が部屋中に響き渡り、その音を聞く度に俺の中にある羞恥心や理性といったものがどんどん薄れていくような気がした。
 無意識のうちに、俺はアカルの動きに合わせて自らも腰を動かしてしまっていた。

 やがて二人同時に限界を迎える。

「あ、や、もう、イク!イクイクイクイクイク゛~~~!♡」
「っく、俺も!」

びゅくくくく!!!びゅくくくく~~~!!!ぶびゅっ!ぶぴぴぴ!♡♡♡♡

 あまりの快感に俺はもはや透明になった精液を輩出し、アカルもまた俺の中に大量の精液を注いでくれた。腹の奥が熱くなる感覚に幸福感を覚える……。
 ずるりとちんぽを引き抜かれた後、ぽっかりと開いたそこからはごぽり♡と白濁液が流れ出てくるのが見えた。その感覚だけでも軽く達してしまいそうになるほどだったのに、アカルは射精後の余韻に浸ることを許してくれず、すぐさま俺を再び仰向けに寝かせてから挿入してきた。
 そしてそのまま激しく腰を打ち付けてくるものだからたまらない♡もう無理だと言っているのに全然聞いてくれないのだ♡♡ 

どちゅん!♡ばちゅっ!どちゅん!♡ばちゅっ!♡ パンッ♡パンッ♡パチュッ♡パチュッ♡パチュンッ!!♡♡♡

 アカルは何度も何度も俺の中を犯し続ける。その度に俺は絶頂を迎えてしまい、もはや意識を保つことすら困難になっていた。それでもなお彼は容赦なく責め立ててくるものだから愛が重すぎる。
 やがて何度目か分からないほどの絶頂を迎えた後、ようやく満足したらしい彼はずるりとちんぽを引き抜き、そのまま俺の上に倒れ込んできた。

「ばかっ…♡重いってば…!」
「えへへ、アジさん。アジさん。ふふふ。」

 その重みすらも愛おしく感じてしまうほど今の俺は完全にアカルの虜になってしまっていた。アカルは俺の顔を覗き込みながら優しく頭を撫でてくれた。それが嬉しくて思わず手に擦り寄せてしまう。すると彼はくすりと笑いながら言った。「アジさんの身体、女の子みたいになっちゃいましたね……♡」と……。
 その言葉を聞いた瞬間、俺は自分の下半身へと視線を向けた。そこにはすっかり女性器のようになってしまったメスアナルが出来上がっており、そこからはアカルによって注がれた愛液が溢れ出しているのが見えたのだ……。
 信じられない光景に呆然としているとアカルが俺の耳元に顔を寄せてきたかと思うとそのまま囁いてくる。

「おまんこの形、俺専用になってくれてありがとうございます。」
「な゛、ッ誰がおまんこだバカ…!」
「アジさん、この責任取らせて下さい。このまま俺と付き合いましょう?」

 拘束を解かれて両手を繋ぎ、真剣な目でそう言われれば、照れ隠しの怒りだってぐっと抑え込まれるわけで。

「ね、アジさん。俺にしません?俺を選んでください。………俺で、良いですよね?」
「お前『で』じゃなくてさ…」
「え?」

 一呼吸ついて勇気を振り絞る。

「お前『だから』良いんだってこと、忘れんなよな。」

 真っ赤になってそう言えば、それを聞いたアカルの顔もみるみる内に真っ赤になっていき…。

「こっ…これからよろしくお願いします!」
「…………………うん。」

 こうして俺たちはめでたく付き合うことになったのだった。







end2. 年下わんこにメロメロ♡ハッピーエンド(灯ルート)
fin.
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みんなの感想(2件)

錠連🔑🐍
2024.05.09 錠連🔑🐍

えっちくて僕の性癖ドストライクで最高です!
更新楽しみに待ってます!

パイ生地製作委員会
2024.05.09 パイ生地製作委員会

錠連さんコメントありがとうございます!えっちなのは総受けモノの醍醐味ですよね!ちなみに錠連さんの推しの攻めは誰ですか?

解除
マルル
2024.05.01 マルル

エロいです!
最高です!

パイ生地製作委員会
2024.05.01 パイ生地製作委員会

マルルさんありがとうございます!!現在アンケートの回答に従ってリクエスト来た人物のルート(もっとえっちな続編)を書いてますので今しばらくお待ちくださいませ!コメントありがとうございました!

解除
1 / 5

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恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:96

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