御曹司に捕まった孤児

胡宵

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昔の記憶(奏斗side)

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「あんたなんか産むんじゃなかった!お前のせいだ!お前のせいであの人は出ていったのよ!死ね!死ね!」
「うわぁぁん!痛い 痛いよぉ ままぁ」
「うるさい!ママなんて呼ばないで!あ"ぁもうイライラする!」

癇癪を起こした美しい女は、泣きじゃくる幼い子供に罵声を浴びせ、殴り、蹴る。かと思えば

「ごめんね。痛かったねぇ  ママもツライの。分かってくれるでしょ。ねぇ」

泣きながらその子供に縋り付く。

どこかで見たことのある光景。

そうだ。これは俺自身だ。施設に引き取られる前の、俺。
どんなに痛くても苦しくても、どうすることもできなくて、ただただ耐え続けたあの日々。
必死に心の奥底へしまい込んだ母親の記憶だ。

「あぁもうやだ。やだ!なんで帰ってこないの!愛してるって言ったのに、、、」

『愛』それを最期まで求めたその女は、

幼い子供を残し、首を吊って死んだ。

「まま、まま、」

いくら呼んでも返事はなく、やがてひどい悪臭が部屋に充満したくさんのハエが女の体を侵食していった。

幼い俺は、ずっと部屋の隅でそれを眺めていた。

日が沈みまた日が昇る。ソレを何度か見届けた頃、部屋のドアがあいた。
悪臭を不審に思った近所の人が通報し警察が様子を見に来たらしい。

部屋には鍵がかかっていなかった。
俺はいつでもあの部屋から出れたのだ。でも、自分とあの女2人だけの世界しか知らない子供にはその世界から出ようとする意思など全く無かった。

警察だと言った人たちは俺を部屋から連れ出そうした。弱りきった俺は、抵抗とも言えない弱い力で必死に抵抗した。
だが、それも警察からすれば赤子の手をひねるようなもの。あっさりと抱きかかえられ、母親とも判別し難くなった死体から遠ざかっていった。

俺から、奪わないで

自分をあれだけ苦しめた女を俺は最後まで求めた。










「、、、きろ!」

声が聞こえる

「奏斗!」

はっきりと自分を呼ぶ声が聞こえて起き上がる。
 
ジャラ

そしてそれと同時に聞こえる金属のぶつかる音。

「起きたか奏斗」

声のする方を見れば、昨日自分を辱めた男が心配そうな眼差しでこちらを見ていた。

「魘されていたぞ。大丈夫か」

ヒヤリという感触がして体を見ればいつの間にか着替えさせられていたシャツは汗でぐっしょりと濡れていた。

「朝ご飯を持ってきた。食えるか」

起き上がろうとすると、腰とお尻の穴が痛くて昨日本当にこの男に犯されたのだと実感した。

「無理させて悪かったな」

謝りながら頭をなでてくる男に、さっきまで夢で見ていた母親の姿が重なった。
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