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2章
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しおりを挟む授業開始の鐘がなる前に何とか教室にたどり着くことが出来た。
《ガラッ
学園に着いた時と同じ目線の集まり方で、居心地が悪い。
それでも印象を良くしていかないと。
『みなさん、御機嫌よう。先の一件でご迷惑、ご心配お掛けしました。』
ニコリと微笑んでそう言った。
生徒たちは夢を見ているかの様に目を見開き固まっていた。
まあ、ついこの間までわがまま放題で愛想が良いとは決して言えないタイプだったから仕方ないわね。
教室を見渡すと、1番後ろの窓際に一つだけ空いた席があった。きっとあそこがカリナの席ね。
席に着くと、前の席の女生徒が恐る恐る振り返って
「カリナ様、御機嫌よう....
お体はもう大丈夫なのですか...?」
ああ、どうしよう。名前が分からない。
『御機嫌よう。
もうすっかり。打ち身程度の怪我しかしておりませんので大事無いですわ。
ご心配お掛けして申し訳ありません。』
口角を上げて常に柔らかい表情で言えたはず。
その生徒以外も静かに耳をそばだてて聞いていた。
「いいえっ。何も無かったならいいんです!
あの....どこか、雰囲気が変わられましたね。」
『ハルト様にお叱りを受けたあと、少しお休みを頂いて考えてみたんです。
とても浅はかな子どもだったなと。
これからは皆さんに迷惑をかけないよう、しっかり勉学に励みますので変わらず仲良くして頂けると嬉しいですわ。』
もうここで全体に向けて宣言しておいた方が後から楽だろうと思った。
きっと直ぐにこれは噂になり、学園に広がるはず。
そしたらもう少し居心地のいい空気になるだろう。
するとその女生徒の隣、私の斜め前の席の女生徒が
「ちょっとアイリッ!病み上がりのカリナ様にそんな何でもかんでも聞くのは失礼よ!」
「えっ。だっていつもと雰囲気違うし、レイカだって気になるって顔してたじゃない...!」
助かった。前の女生徒はアイリ、その隣はレイカ。
名前を覚えてないなんて印象を悪くする要因になりかねないし、分かって良かった。
『レイカさん、大丈夫です。
突然の事だったので驚きますよね。
私もどのようにクラスメイトの方とお付き合いすればいいのか分からなくて困って居たので、アイリさんにお声がけ頂いて嬉しかったです。』
元の世界でも友達と呼べるような人がいなかった私には、こんな会話をしている女生徒が羨ましくて仕方ない。
「私たちにさん付けなんて..!!今まで近づき辛かったのでそう言って頂けると私も嬉しいです。」
アイリは凄く素直な子なんだろう。
先程まで恐る恐るという感じだったのに、もう私に向けて笑顔で話してくれている。
「アイリ!だからそれも失礼よ!
カリナ様、申し訳ありません。この子素直すぎるところがあって...。」
『いいえ、こんな風に言って頂ける方が私も気楽です。』
「本当にこの数日で変わられたのですね。
もう授業が始まってしまいます。良かったらお昼にでも沢山お話しましょう?
もう3ヶ月も経つのに、カリナ様の事は私たちほとんど何も知らないので。」
『是非。楽しみで待ち遠しいです。』
そう言うと先生が入ってきて授業が始まった。
この時、反対側に居たメアリーがこちらをじっと睨みつけていた。
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