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歓迎と理由
間一髪
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「やっぱり魔法が使えたのですね」
サーラさんは僕の顔を見て微笑む。
「……どうしてそう思ったんですか?」
彼女の前では魔法どころか聖法すら使っていないのに。
「私には法力が見えるんです」
「法力が……?」
「はい。生まれつき、普通の人には見えない力の流れが私の目にはハッキリと映ります」
自身の右眼を指さしてサーラさんは語る。
「アルネリアも私のように特異な力を持っていて……。私たちはそれを占術に利用しているんです」
霊能力者みたいなものかな……?
「それでその……法力がお兄さんとすごく似ている人って僕の他にもいたの?」
それを聞くと、サーラさんは僕の胸に手を当てて身を寄せてきた。
「いいえ。家族であれば確かに似ます。ですが、私たち双子でもユウ様とお兄様には到底及びません」
ゆっくりと僕の胸に顔をうずめるサーラさんに対して、僕は全く動けずにいた。
「もうお兄様と離れ離れになって10年が経ちます。ユウ様と出会えたのはきっと神様のお導き……」
サーラさんの眼が……ヘーゼル色の双眸が僕を見つめる。
吸い込まれそうな深い瞳を見ていると、僕の思考がだんだんとぼやけていく。
お互いの顔が少しずつ少しずつ近付いて、あと数センチで唇が触れ合うというその時。
「へっくしょんっ!あっヤベ」
灯花のくしゃみで僕の意識がクリアになった。
「うわっ!?」
サーラさんの顔があまりにも近くて驚いた僕は、海老のような速さで後ろに飛び退いた。
「……アル。あなたも居るのでしょう?」
上階の物陰に隠れていた灯花の更に後ろから、アルネリアさんが姿を見せた。
「お姉さま、抜けがけはダメです!」
階段を駆け下りて来たアルネリアさんは、そのままサーラさんに抱き着いた。
「もう、この子ったら……。大丈夫、独り占めなんかしないわ」
抱きしめて背中をポンポンと軽く叩くサーラさん。
「ユウ氏はちょっとこっちへ……」
手を掴まれた僕は灯花にヒョイッと持ち上げられて大広間の入口付近に連れて行かれた。
「あぁ、なんかよく分かんないけど助かったよ。ありがとう」
先程の状況をよくよく思い返してお礼を言う。
「分かってないでござるなぁ……」
しかし、灯花は何故か不満そうだ。
「拙者がくしゃみをしたのが良くなかったとはいえ、あそこは熱いヴェーゼでサーラ氏のハートをしっかり落としてハーレム要員をゲットしないと……」
「ちょ、ちょっと待て!?そんなのできるわけないだろ!?」
「サーラ氏はあまり好みではないのでござるか?」
「いや、そういうわけじゃ……って、そうじゃなくて!」
サーラさんとは会ったばかりで恋人でもないんだぞ?
「付き合ってもない相手とキスしないだろ普通」
外国じゃそこまで珍しくないのかもしれないけどさ……。
「それに……灯花は僕が誰かとキスしても何も思わないのかよ」
言ってて自分で恥ずかしくなった。耳まで赤くなってる気がする……。
「ん~、キスくらいならそこまで目くじら立てないでござるよ。そもそもユウ氏と数え切れないくらいしてるでござるし」
「そ、それは子供の時の話だろっ!」
「でも中学に上がるまでは普通にしてたでござるし、中学でも卒業式の日に……」
「あああ!ダメっ!この話やめよっ!」
忘れてた。こいつはこういう奴だった。
僕の気持ちに対して意味不明なまでに絶対的な自信を持ってて、僕もその気持ちを否定できないからタチが悪い。
「青春……だねぇ」
「青春……ですわねぇ」
少し離れた場所でナガルとエルは若者たちの痴話喧嘩を眺めていた。
「ま、この調子ならあの四人は一緒にヒュペレッドまで行ってくれるでしょ」
そう言って、ナガルは椅子に腰かけて葉巻に火をつける。
「それで……各地域からの報告はどうなってるんですの?」
「”異常無し”ばっかりだよ。案外、今回のが最後の生き残りだったんじゃないかな?」
ふぅ~と、煙を足元に吐き出す。
「思ってもいないことを言うと精神が曇りますわよ」
「いやぁ手厳しいねぇ……」
ナガルはニィっと笑う。
「でなければ、四人の護衛に私を選ぶなんてありえませんもの」
「単騎の能力で考えれば君が飛び抜けてるからねぇ。捜索に必要なのは頭数なんだから、誰だってそうするさ」
葉巻をくわえたまま、メガネを手に取りハンカチで汚れを拭き取る。
「正直、あの二人にもう一度占ってもらった方が確実なんじゃないかなと思うんだけどね」
「国の一大事に他国の……それも占い師にお任せするのは、結果の如何を問わず無責任過ぎますわ」
「うんうん。自分でもそう思ってるからやらないやらない」
メガネをかけ直し、葉巻を一気に吸うとそのまま灰皿に捨てる。
「それじゃ、そろそろお暇しようかな」
「もう帰るんですの?」
「ここでやるべき事は終えたし、何より書類仕事が溜まっててね。もしかして手伝ってくれる?」
「ふふ……。バカなこと言わないでくださいな」
エルは笑いながら踵を返すと、そのまま大広間の方へ歩いていった。
「いやぁ……手厳しいねぇ」
サーラさんは僕の顔を見て微笑む。
「……どうしてそう思ったんですか?」
彼女の前では魔法どころか聖法すら使っていないのに。
「私には法力が見えるんです」
「法力が……?」
「はい。生まれつき、普通の人には見えない力の流れが私の目にはハッキリと映ります」
自身の右眼を指さしてサーラさんは語る。
「アルネリアも私のように特異な力を持っていて……。私たちはそれを占術に利用しているんです」
霊能力者みたいなものかな……?
「それでその……法力がお兄さんとすごく似ている人って僕の他にもいたの?」
それを聞くと、サーラさんは僕の胸に手を当てて身を寄せてきた。
「いいえ。家族であれば確かに似ます。ですが、私たち双子でもユウ様とお兄様には到底及びません」
ゆっくりと僕の胸に顔をうずめるサーラさんに対して、僕は全く動けずにいた。
「もうお兄様と離れ離れになって10年が経ちます。ユウ様と出会えたのはきっと神様のお導き……」
サーラさんの眼が……ヘーゼル色の双眸が僕を見つめる。
吸い込まれそうな深い瞳を見ていると、僕の思考がだんだんとぼやけていく。
お互いの顔が少しずつ少しずつ近付いて、あと数センチで唇が触れ合うというその時。
「へっくしょんっ!あっヤベ」
灯花のくしゃみで僕の意識がクリアになった。
「うわっ!?」
サーラさんの顔があまりにも近くて驚いた僕は、海老のような速さで後ろに飛び退いた。
「……アル。あなたも居るのでしょう?」
上階の物陰に隠れていた灯花の更に後ろから、アルネリアさんが姿を見せた。
「お姉さま、抜けがけはダメです!」
階段を駆け下りて来たアルネリアさんは、そのままサーラさんに抱き着いた。
「もう、この子ったら……。大丈夫、独り占めなんかしないわ」
抱きしめて背中をポンポンと軽く叩くサーラさん。
「ユウ氏はちょっとこっちへ……」
手を掴まれた僕は灯花にヒョイッと持ち上げられて大広間の入口付近に連れて行かれた。
「あぁ、なんかよく分かんないけど助かったよ。ありがとう」
先程の状況をよくよく思い返してお礼を言う。
「分かってないでござるなぁ……」
しかし、灯花は何故か不満そうだ。
「拙者がくしゃみをしたのが良くなかったとはいえ、あそこは熱いヴェーゼでサーラ氏のハートをしっかり落としてハーレム要員をゲットしないと……」
「ちょ、ちょっと待て!?そんなのできるわけないだろ!?」
「サーラ氏はあまり好みではないのでござるか?」
「いや、そういうわけじゃ……って、そうじゃなくて!」
サーラさんとは会ったばかりで恋人でもないんだぞ?
「付き合ってもない相手とキスしないだろ普通」
外国じゃそこまで珍しくないのかもしれないけどさ……。
「それに……灯花は僕が誰かとキスしても何も思わないのかよ」
言ってて自分で恥ずかしくなった。耳まで赤くなってる気がする……。
「ん~、キスくらいならそこまで目くじら立てないでござるよ。そもそもユウ氏と数え切れないくらいしてるでござるし」
「そ、それは子供の時の話だろっ!」
「でも中学に上がるまでは普通にしてたでござるし、中学でも卒業式の日に……」
「あああ!ダメっ!この話やめよっ!」
忘れてた。こいつはこういう奴だった。
僕の気持ちに対して意味不明なまでに絶対的な自信を持ってて、僕もその気持ちを否定できないからタチが悪い。
「青春……だねぇ」
「青春……ですわねぇ」
少し離れた場所でナガルとエルは若者たちの痴話喧嘩を眺めていた。
「ま、この調子ならあの四人は一緒にヒュペレッドまで行ってくれるでしょ」
そう言って、ナガルは椅子に腰かけて葉巻に火をつける。
「それで……各地域からの報告はどうなってるんですの?」
「”異常無し”ばっかりだよ。案外、今回のが最後の生き残りだったんじゃないかな?」
ふぅ~と、煙を足元に吐き出す。
「思ってもいないことを言うと精神が曇りますわよ」
「いやぁ手厳しいねぇ……」
ナガルはニィっと笑う。
「でなければ、四人の護衛に私を選ぶなんてありえませんもの」
「単騎の能力で考えれば君が飛び抜けてるからねぇ。捜索に必要なのは頭数なんだから、誰だってそうするさ」
葉巻をくわえたまま、メガネを手に取りハンカチで汚れを拭き取る。
「正直、あの二人にもう一度占ってもらった方が確実なんじゃないかなと思うんだけどね」
「国の一大事に他国の……それも占い師にお任せするのは、結果の如何を問わず無責任過ぎますわ」
「うんうん。自分でもそう思ってるからやらないやらない」
メガネをかけ直し、葉巻を一気に吸うとそのまま灰皿に捨てる。
「それじゃ、そろそろお暇しようかな」
「もう帰るんですの?」
「ここでやるべき事は終えたし、何より書類仕事が溜まっててね。もしかして手伝ってくれる?」
「ふふ……。バカなこと言わないでくださいな」
エルは笑いながら踵を返すと、そのまま大広間の方へ歩いていった。
「いやぁ……手厳しいねぇ」
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