幼なじみギャル(偽)と異世界転移したら金髪ショタ(謎)に保護されました

定春

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アルド・カガリ

取調べ

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「……それでは、これより取り調べを始めます。エンガ・アンビル、あなたには魔王まおう隠匿いんとくの容疑がかかっています」

――――聖光教会ロンダバオ支部の一室。

 そこには呼び出されたエンガ商会会長のエンガ・アンビルと、その部下である混者まざりものの二人が並んで座っていた。
聖光教会われわれ捜査そうさによると、あなた方は"三巴みつばさら"において店内を商会の従業員じゅうぎょういん占拠せんきょし、そこで召喚魔法を使って店内を混乱させた……とありますが間違いありませんね?」
「それは……」
 エンガは言葉にまった。店内にいた者でなければ知りない情報が"使つかい様"の口からげられたからだ。
 あの日のことはロンダバオの警備隊ですら詳細しょうさいつかんではいない。
(考えられるとすれば三巴の皿の店員か、あるいは……)
「何か間違っていますか?」
「いえ……。その通りです」
「どうしてそんなことを?」
 答えようがない。
 自分でもよく分からないうちに神占しんせん巫女みこ執着しゅうちゃくし、まじないのかかった石を飲み込ませようとしていたなどと……。
「あの!」
 ここでリィルが口を開いた。
「なんでしょう?」
「ウチ……じゃなくて私、ご主人様が怪しい男から赤い石を受け取ってからおかしくなったのが原因だと思います!」
「"赤い石"?」
 御使い様のとなりにいた女性が口を開いた。
「そうです!きっとあの石のせいでご主人様は趣味しゅみでもない双子の巫女に必死になっていたに決まってます!」
 女性がふむふむ、とうなずく。
「その話が本当なら、まず聞きたいのは石の所在しょざい。そして可能であれば奥方おくがたの姿がえがかれた肖像画しょうぞうがなどあればそれを確認して……カガリ枢機卿すうききょうはどう思う?」
「確かに石の話は気になりますがそれ以外は不要かと……」
 カガリの言葉にエンガはふところから肖像画の入った懐中時計かいちゅうどけいを取り出す手を止めた。
「ええ~?重要だと思うけどなぁ」
「……それで、その"石"はどちらに?」
「それが……その騒動そうどうの中で紛失ふんしつしてしまいまして……」
 現場にいた商会の従業員から、石は持っていかれたと聞いたが……。
「つまり……店内で騒ぎを起こした理由は巫女姉妹を手に入れることが目的だったが、それは謎の赤い石の呪いを受けた結果であり、その証拠しょうこである石は持っていない……と」
 カガリが紙に供述きょうじゅつ内容ないようしるす。
「本来なら出鱈目でたらめな言いのがれにしか聞こえないはなしですが、今回は魔王が関わっている事件ですので全面的に信じていいと私は考えています」
 予想だにしていない言葉を聞いてエンガとリィルがかたまる。
「私たち聖王国は魔界の情報を得るための部隊を定期的に送り、情報を各国かっこく共有きょうゆうして人界じんかいでの安全保障あんぜんほしょうに役立てています」
 呆然ぼうぜんとする二人にかまわずカガリは続ける。
「その中で神占しんせん巫女みこが魔王の妹であることと、二人がげん魔王への反逆はんぎゃくを理由に人界じんかいへと追放ついほうされた情報もつかんでいます」
 双子の巫女に現魔王とつながりがあることを知らされた二人がたがいに顔を見合わせてあせをかき始めた。
「こちらの見解けんかいは魔王の妹二人を人界に処理しょりさせようと、魔界側の工作員が今回の騒動を引き起こした……というものです」
「"赤い石"も魔族が魔法の媒体ばいたいに使う魔石ませきのことだろうし、供述と照らし合わせても体良ていよく利用されただけかな」
 その結果、妹側で新たな魔王が覚醒かくせいしたのは皮肉ひにく以外いがいの何ものでもないけど……と言いながら、女性はかべけていたうす外套がいとうを着る。
捜査そうさへの協力、ありがとうございました。もう仕事にもどって大丈夫ですよ」
 カガリは本を閉じると二人にニコリと笑いかけた。

「ま、こんなことだろうと予想よそうはしてたけどね~」
 教会から出て、スルファンはいきおいよくびをする。
「ねぇねぇ!せっかくロンダバオまで来たんだから、ちょっと温泉に入ってかない?この前、新築しんちく別荘べっそうを買ったんだぁ」
 枢機卿すうききょう給与きゅうよなら、一等地いっとうち物件ぶっけん購入こうにゅうすら造作ぞうさもないことだろう。
「……良いですよ」
「やっぱダメかぁ~!…………え?」
 ことわられると思っていたスルファンがおどろきのあまりカガリの顔を見る。
「おおよその向かった場所も予想がつきますし、少し休むくらいは心配ないかと」
「……ほんとにいいの?言っとくけど、まだ結婚けっこんけんあきらめてないんだからね?」
 そうと決まれば行くよっ!とスルファンはカガリの手を引いて走り出した。

(……あきらめてなかったのか)
 カガリはスルファンの意外な貪欲どんよくさに驚きとあきれがざった感情をいだいていた。
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