幼なじみギャル(偽)と異世界転移したら金髪ショタ(謎)に保護されました

定春

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アルド・カガリ

不知の仇討ち(3/3)

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 とどかぬやみなかあかひか一対いっついまなこ
 先程さきほどたたかいで仕留しとめたてきと、空腹くうふくたすためった獲物えものからしたたらせ、つぎねらうはたちのかたき
 片時かたときわすれたことは彼奴きゃつにおいをたよりにいかけ、辿たどりついたこのもりなか
 かならころすという憎悪ぞうおいだき、ちからたくわつづけた一頭の剣尾土竜ドグルムルは、地中ちちゅうから目標もくひょうへとしのっていた。



「えっと……今日きょう成果せいか巻牙豚キャルストンが一頭にへんねずみが一匹にでっかいうしが一頭……と」
 すっかりれたよる。カガリの寝床ねどこへとんできた手紙鳥テルドあしに、戦利品せんりひんである三枚のぬのむすける。
 初日しょにちでこれだけ上手うまくいったのは、自分じぶんでも予想外よそうがいだった。

「もうあれから三年か……」
 わすれようもない五歳の誕生日たんじょうび
 あの惨劇さんげきが二度ときないように……そのおもいでつづけた三年間だった。
 ボクが保護ほごされてからの数日すうじつで、むらおそった魔獣まじゅう師匠センセイ殲滅せんめつされたらしい。

(もし、ボクが師匠センセイみたいにつよかったら……)
 そんなことをこれまで幾度いくどとなくかんがえた。

 強ければ、だれうしなわずにみんなでわら毎日まいにちが。

 強ければ、誰もいのちてて身代みがわりなんかにならずに。

 強ければ、誰もボクをいてどこかへったりしない。

 あたまなか何度なんどかえされる言葉ことば
(……強くならないと)
 寝床でよこになったものの、カガリはすぐにからだを起こしてがった。
「もうすこしだけ聖法イズナ練習れんしゅうをしよう」
 短剣たんけんさやからいて、速身シフとなえた。

 ――――次の瞬間しゅんかん

 ガキィン!
 っていた短剣がはじばされる。
 暗闇くらやみの中にはあかを光らせるなにかがいた。
「誰!?」
 カガリは咄嗟とっさ松明たいまつ何か・・ほうへとける。
「……ガァァァァァァッ!!!!」
 松明がたったのか、一拍子いちびょうしおくれていかりを|あらわにしたような咆哮ほうこうひびく。
 戦闘せんとうけられないと直感ちょっかんしたカガリは、り飛ばして火のついた枝をあた一面いちめんにぶちまけた。
 暗闇くらやみかくれていた何か・・姿すがたらされて、カガリの心臓しんぞうがドクンとる。

 あの日、ハッキリとその姿をたわけではない。
 かあさんが必死ひっしさえ、やぶられる寸前すんぜんのボロボロになったとびら
 その隙間すきまからえた怪物かいぶつ記憶きおくが、まえにいる四足よつあしの怪物となぜだかかさなった。
 緊張きんちょうでカガリの呼吸こきゅうあらくなる。
 くちの中がカラカラにかわき、心臓しんぞう移動いどうしたみたいにあたまがドクドクとみゃくっている。
 怪物は少し火にひるんでいたものの、あか両方りょうほうともカガリをしっかりととらえていた。
「う、うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
 うごけずにいた自分を鼓舞こぶするように、カガリはさけんだ。
 カガリの叫びを聞いて怪物はまっすぐにむ。
 はやく、直線的ちょくせんてき突進とっしんかわしたカガリはひろった木の枝に法力マナながして反撃はんげきを――――。
「がはっ」
 突進のすぐあと、カガリがけた方へするどおもい怪物の尻尾しっぽられていた。
 予期よきせぬ一撃いちげきけ、ばされたカガリの口から血がにじむ。
(痛い……!痛いよ……!)
 ヨロヨロとしながらも立ち上がり、怪物を相手にするにはこころもとない木の枝武器を構える。
 それを嘲笑あざわらうかのように、怪物は尻尾を横殴よこなぐりに振って武器だけをへしった。
(どうにかして回復かいふくしないと……)
 何か使つかえるものは無いかと周囲しゅういまわすカガリ。
「ゴアァァァァァァァ!!!」
 何故なぜが飛んできたのは追撃ついげきではなく、威嚇いかく咆哮ほうこう
「ひっ!」
 カガリは怪物に背中せなかけてはしりだした。


「ハァ……ハァ……」
 つきかりがひらけた岩場いわばへといのちからがらげたカガリは、ふくいできず確認かくにんする。
 脇腹わきばら一直線いっちょくせんきざまれたあざ。そこに手を当てて聖法イズナを唱えた。
「"治療ワブキ"……!」
 ゆっくりと、しかし確実に傷跡きずあとえていく。
「フー……」
 傷が消えていくのと同時どうじいたみもひく。
(どうしよう……)
 怪我けがなおったものの、さっきの怪物に方法ほうほうおもかばない。
 あの怪物の姿を思い出す。
 目立めだつ場所にぬのかれていなかったように見えた。
 もしかするとたたか必要ひつよういのかもしれない。
 ……ただになるのは、どうしてボクをねらっていたのか?というてん
 焚き火が目に付いた?
 巻牙豚キャルストンの血の匂い?
「クルルルルル……」
 考えているカガリの耳へ、かすかにうなごえのような音が聞こえた。
 足音あしおとを立てないように岩陰いわかげへとかくれたカガリは、気配けはいころしてこえがしたほうのぞく。
 怪物はつきかりをびながらゆっくりとあるいていた。
 昼間ひるまうしよりちいさいものの、その全体ぜんたいはカガリよりもずっと大きい。
(どこかに弱点じゃくてんは……!)
 ひかり反射はんしゃして金属きんぞくのようにも見える背中せなか尻尾しっぽはもちろん、どこにもそれらしき部位ぶいは無さそうだ。
 カガリがふたたげようと目をはなした瞬間しゅんかん、怪物は動いた。
「ゴアァァァァァ!!」
 カガリが隠れていた岩を的確てきかくえらんでの突進とっしん攻撃こうげき
「なんでっ!?」
 間一髪かんいっぱつけるカガリ。
 そこに横薙よこなぎの尻尾しっぽがくる。
「うわっと……!」
 一度はらった攻撃。
 そのおかげで今回こんかい回避かいひできた。
 それを見た怪物は、前脚まえあしじくに大きく回転かいてんしてカガリの頭上ずじょうから尻尾をたたける。

 ドガン

 背後はいごの岩に当たったことで尻尾はいきおいががれ、必殺ひっさつの一撃をギリギリでけることができた。

(ダメだ……このままじゃいつかやられる!)

 真っ二つになった岩を見たその時、カガリのあたまにはリースとの訓練くんれん記憶きおくがよぎった。

"「ん~、それは力をぎね。そのせいで岩も身体と同じように強化きょうかされちゃってるのよ」"

(木の枝が折れたのは法力マナりなかったから?だったら……!)
 そう考えたカガリは怪物の顔にいしころをげつけて挑発ちょうはつした。
「グルルアゥ!!」
 とくきずはつかなかったが、おこった怪物がカガリへと全力ぜんりょくで突進してくる。

(まだ……!)
 それを避けて次の尻尾の一撃にそなえると、さっきよりもはやい尻尾がカガリのくび目掛めがけて飛んできた。

(……まだまだ!!)
 カガリはうしろに飛び、攻撃を避ける。
 怪物はさっきよりもさらに勢いをつけ、前脚まえあしじくにした強力きょうりょくな振り下ろしの一撃をはなつ!

ここ・・だぁっ!!」
 背後の岩に手を当てて、カガリは全力で法力マナそそむ!

 ボギィン!!

「……グルルアァァァァァァァァァァァ!?」

 一瞬いっしゅん、何が起きたのか理解りかいできずにいた怪物がおくれて悲鳴ひめいを上げる。


「……今までのうごきを見てて思ったけど、キミは尻尾以外に武器が無いんでしょ?」
 カガリが岩の上でボキリと折れた尻尾・・・・・・・・・・・・・ゆびさす。
「あの時、法力マナとおっていた木の枝はられた……けど、同じ状態じょうたいの短剣ははじき飛ばされただけ・・・・・・・・・・だった!」
 怪物は尻尾の根元ねもとからの大量たいりょう出血しゅっけつ激痛げきつうでのたうちまわり、もがきくるしんでいた。
「岩と短剣のかたさにどれくらいのがあるかなんてらなかったけど、けはボクのちみたいだね……」
 怪物の鼓動こどうに合わせて断面だんめんから血が流れ続ける。
 のたうつちから段々だんだんよわくなり……。
 完全かんぜんちからきたのか、怪物はピクリともうごかなくなった。
「終わった……」
 法力マナ体力たいりょくも使い切ったカガリは、岩に背中をあずけてすわる。
 ボトッ
 れて岩の上にっていた尻尾が地面じめんちた。
「もう血がかたまってる……?それにしてもこれ、きれいにいだらそのままけんにできそうな……」
 よく観察かんさつしてみようと尻尾に近付ちかづくカガリ。

「……カハッッ…………」

 んだ怪物の意志いしだけがのこっていたかのように、尻尾は最期さいごちからで。


 ――――カガリをつらぬいた。




「………………ここは?」
 ボクは知らない部屋へやで目をました。
「あら?おはようカガリ」
 こえがしたほうを見ると、そこにはリース師匠センセイがいた。
師匠センセイ!訓練はどうなったんですか!?」
「落ち着いてカガリ。……訓練は合格ごうかくよ」
 師匠センセイはなしでは、ボクがたおした怪物は剣尾土竜ドグルムルと言う予定外よていがい魔獣まじゅうだったらしく、その怪物のおなかの中にのこりの目標もくひょうの布が入っていたんだとか。
「そうだったんですね……」
「しかも、赤黒あかぐろ体色たいしょく剣尾土竜ドグルムル普通ふつう個体こたいよりずっと強い変異種へんいしゅよ。そんなのを倒すなんて……カガリは私よりも才能さいのうがあるわ!」
 師匠センセイにそう言われるのは、正直しょうじきとてもうれしい。
「傷はなおってるけど今日はしっかり休んで、明日からの訓練にそなえましょうね」
「はい。師匠センセイ!」
 そう言ってボクはもう一度、じた。
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