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峡谷の民と薬花師たち
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ラランジャは、大陸に最も古くから住まう一族により統治される自治区域である。
英雄ウィルを輩出し、以後コルデホーザと長年交流を深めてきたが、現在はヴェルダの庇護下にあり、コルデホーザの者が出入りすることは皆無となっている。
よもやこのような形で、ラランジャに足を踏み入れることになろうとは思わなかった。カトレアは休まずに馬を走らせ、夕暮れの頃に集落へとなだれ込んだ。
岩山の麓に築かれた集落の者は、赤雲に染まった来訪者に警戒を露わにした。この地でカトレアの権限が通用するかは分からないが、重傷者がいることを訴え、医者に会いたいと願い出た。集落の者はすぐに応じず、カトレアの容姿を見て囁き交わす。
「おい、あの娘、あの方とそっくりだ」
「馬鹿言え。黒髪だぞ、伝承では銀髪だったと……」
カトレアがさらに言い募ろうとすると、集落の奥にある天幕から小柄な人影が近づいてきた。
ターバンを巻いた、襟足までの短髪は目も覚めるような赤毛。足首まである紫紺の下袴を履き、光沢のある白のシャツに金糸の刺繍が踊る朱色のベストを重ねている。少年のようにも見えるが、身体は緩やかな曲線を描いていた。
彼女は大股でやって来ると、腰帯に手を当て苛立たしげに声を張り上げた。
「おい、何の騒ぎだ!」
集落の者は弾かれたように女を見やると、「サフラン様!」と一斉に跪き、頭を垂れた。サフランと呼ばれた女はカトレアとレイに鋭く目を配ると、ぐったりとうつむいているジャックを目にして、顔色を変えた。瞬時に駆け寄ってくる。
「ジャック! 一体どうして、お前がこんな怪我を……!」
女の声を聞き、ジャックが閉じていた目を開けた。
「……サフラン?」
先刻、初めてカトレアの名を呼んでくれたものとは異なる、慣れ親しんだ者に対する呼びかけだった。胸に砂煙が沸き起こる。
サフランは容体を確かめると、カトレアとレイを厳しく追及した。
「お前ら、ジャックとどういう関係だ! それにその風貌からして、コルデホーザの人間だな! どうやって侵入した!」
「やむを得ぬ事情があったのです。今はこの男の治療が先決です」
「そんなことは分かっている! けど、得体の知れない者をこの地に入れる訳にはいかないんだよ!」
敵意をむき出しにする女に腹が立ち、カトレアは白馬から降りると真正面に向かい合った。
「わたしは、コルデホーザ王国第一王女カトレア。今は訳あって王宮を追われた身、その金髪の男は従者のレイ。彼は……ジャックは、わたしを守ってついて来てくれたけど、追手との交戦で傷を負ったの」
名乗ると、周囲にどよめきが起こった。やはり、と納得する者、自害したはずでは、と訝る者と、反応は様々だ。サフランもわずかに鳶色の目を見張ったが、威圧的な態度を変える様子はない。
「ふうん。あの狂王の娘が、そう易々と自害する訳ないとは思っていたけど。お前らの扱いは後回しだ」
サフランは遅れて駆け付けてきた体格の良い男数人に、ジャックを運ぶよう命じた。朦朧としているジャックは抵抗せず、両肩を支えられ天幕の方に向かう。
「待ちなさいよ! わたしは元々この地に目的があって目指してきたの。あなた、ここでは結構な身分のようだし、わたしたちも一緒に行くわ」
カトレアが進み出ると、サフランは露骨に顔をしかめた。
「それが、族長に対するものの頼み方なの?」
呆気に取られるカトレアの隣に降り立ち、レイも口添えする。
「そういえば、数年前にラランジャの族長が変わったと耳にしていましたが、貴女が?」
サフランは今更かと、半ば呆れたように薄い胸を反らした。
「そうだ。あたしが、今の族長だ。英雄ウィルは北の大国と血を交えた挙句、こんなわがまま王女を残す羽目になったけど、まさか遠い血縁と顔を合わせることになるとはね」
吐き捨てられた台詞には、何の感慨も感じられない。建国の祖ゆかりの地までやって来ても侮蔑されるのが耐え難く、カトレアは口をつぐんだ。サフランは青ざめた顔で運ばれていくジャックを眺め、目元をきつく歪めた。
「だけど、ジャックがあんたを守ったっていうのなら、それなりの理由があるんだろうね。コルデホーザの人間にそこらを歩かれても迷惑だ、ついて来な」
不服そうに手招きをするサフラン。いずれにせよ、まずはジャックの容態が落ち着くのを待った方がいい。レイに目配せすると、カトレアはおとなしく後について行った。
サフランはコルデホーザの不穏な動きを耳にして、国境付近の警備を強化するため視察に訪れていたという。カトレアとレイは別の天幕を用意されたが、落ち着いてなどいられなかった。自分のせいでジャックが傷を負ったのだ。
何か手伝えることはないかとサフランに願い出たが、彼女は「ジャックの手当てを出来るのはあたしだけだ」と、取り合ってくれない。サフランの言葉には、王女への軽蔑以外のものが含まれていた。
それでも居座っていると、彼女の部下らしき医者がジャックの傷口を清め、縫合に取りかかった。その際麻酔として用いられたのは、薬花だった。
麻酔効果を及ぼすものを何種類か調合したもので、医者が飲み水と共に服用させると、ジャックの意識が目に見えて混濁した。
元々の効能に加え、花の香りが患者の緊張を和らげ、治癒能力を高める。薬花の特長の一つだ。
ジャックの身体が弛緩した所で、カトレアは天幕を追い出され、やむなくレイの元へ戻った。
あの医者は、おそらく薬花師だ。色黒であることから、元々ラランジャの民なのだろう。コルデホーザで薬花師となった者が隣国へ行き、教鞭を振るっていた例も数多く存在する。この地ではまだ彼らの活躍の場が保証されているのが、嬉しかった。
心躍ったのも束の間、レイと二人きりになると、妙な沈黙が流れた。
レイが任務に失敗したことで、更なる追手がかかることも懸念される。しかしカトレアたちがラランジャに突入した今、イーデンもうかつには手を出せないだろう。
カトレアが何と声をかけようか逡巡していると、レイは重い口を開いた。
「私がカトレア様を追ってきたのは、極秘任務でした。つまり、貴女が生きていることはごく一部の人間しか知らないのです。そうなると、イーデン様は再戦を優先するため、カトレア様の自害を決定づけ、戦への準備に移るでしょう」
絨毯を敷いただけの天幕の中で、レイは沈んだ瞳で語った。だが、イーデンの支配下からカトレアが引っ張り出した今、王宮にいた頃の過度な緊張は感じられなかった。
何にせよ、戦は免れない状況となる。しかし、カトレアがこの地に亡命した薬花師たちに働きかけなければ、どちらの国が勝ったとしても薬花を再び咲かせることは出来ない。
ジャックの治療が無事終わったと報告を受けると、カトレアは再度サフランに掛け合い、自らの目的を打ち明けた。彼女は半信半疑といった様子だったが、カトレアは父の政策を詫び、元凶となった薬花の研究について薬花師たちと話したいと懸命に訴えた。
サフランはしばらく考え込んでいたが、砂塵にまみれたおよそ王女らしからぬ風貌を眺め、感じ取るものがあったのだろう。ジャックの容態が落ち着き次第、族長の集落に戻るためついて来るよう言ってくれた。
英雄ウィルを輩出し、以後コルデホーザと長年交流を深めてきたが、現在はヴェルダの庇護下にあり、コルデホーザの者が出入りすることは皆無となっている。
よもやこのような形で、ラランジャに足を踏み入れることになろうとは思わなかった。カトレアは休まずに馬を走らせ、夕暮れの頃に集落へとなだれ込んだ。
岩山の麓に築かれた集落の者は、赤雲に染まった来訪者に警戒を露わにした。この地でカトレアの権限が通用するかは分からないが、重傷者がいることを訴え、医者に会いたいと願い出た。集落の者はすぐに応じず、カトレアの容姿を見て囁き交わす。
「おい、あの娘、あの方とそっくりだ」
「馬鹿言え。黒髪だぞ、伝承では銀髪だったと……」
カトレアがさらに言い募ろうとすると、集落の奥にある天幕から小柄な人影が近づいてきた。
ターバンを巻いた、襟足までの短髪は目も覚めるような赤毛。足首まである紫紺の下袴を履き、光沢のある白のシャツに金糸の刺繍が踊る朱色のベストを重ねている。少年のようにも見えるが、身体は緩やかな曲線を描いていた。
彼女は大股でやって来ると、腰帯に手を当て苛立たしげに声を張り上げた。
「おい、何の騒ぎだ!」
集落の者は弾かれたように女を見やると、「サフラン様!」と一斉に跪き、頭を垂れた。サフランと呼ばれた女はカトレアとレイに鋭く目を配ると、ぐったりとうつむいているジャックを目にして、顔色を変えた。瞬時に駆け寄ってくる。
「ジャック! 一体どうして、お前がこんな怪我を……!」
女の声を聞き、ジャックが閉じていた目を開けた。
「……サフラン?」
先刻、初めてカトレアの名を呼んでくれたものとは異なる、慣れ親しんだ者に対する呼びかけだった。胸に砂煙が沸き起こる。
サフランは容体を確かめると、カトレアとレイを厳しく追及した。
「お前ら、ジャックとどういう関係だ! それにその風貌からして、コルデホーザの人間だな! どうやって侵入した!」
「やむを得ぬ事情があったのです。今はこの男の治療が先決です」
「そんなことは分かっている! けど、得体の知れない者をこの地に入れる訳にはいかないんだよ!」
敵意をむき出しにする女に腹が立ち、カトレアは白馬から降りると真正面に向かい合った。
「わたしは、コルデホーザ王国第一王女カトレア。今は訳あって王宮を追われた身、その金髪の男は従者のレイ。彼は……ジャックは、わたしを守ってついて来てくれたけど、追手との交戦で傷を負ったの」
名乗ると、周囲にどよめきが起こった。やはり、と納得する者、自害したはずでは、と訝る者と、反応は様々だ。サフランもわずかに鳶色の目を見張ったが、威圧的な態度を変える様子はない。
「ふうん。あの狂王の娘が、そう易々と自害する訳ないとは思っていたけど。お前らの扱いは後回しだ」
サフランは遅れて駆け付けてきた体格の良い男数人に、ジャックを運ぶよう命じた。朦朧としているジャックは抵抗せず、両肩を支えられ天幕の方に向かう。
「待ちなさいよ! わたしは元々この地に目的があって目指してきたの。あなた、ここでは結構な身分のようだし、わたしたちも一緒に行くわ」
カトレアが進み出ると、サフランは露骨に顔をしかめた。
「それが、族長に対するものの頼み方なの?」
呆気に取られるカトレアの隣に降り立ち、レイも口添えする。
「そういえば、数年前にラランジャの族長が変わったと耳にしていましたが、貴女が?」
サフランは今更かと、半ば呆れたように薄い胸を反らした。
「そうだ。あたしが、今の族長だ。英雄ウィルは北の大国と血を交えた挙句、こんなわがまま王女を残す羽目になったけど、まさか遠い血縁と顔を合わせることになるとはね」
吐き捨てられた台詞には、何の感慨も感じられない。建国の祖ゆかりの地までやって来ても侮蔑されるのが耐え難く、カトレアは口をつぐんだ。サフランは青ざめた顔で運ばれていくジャックを眺め、目元をきつく歪めた。
「だけど、ジャックがあんたを守ったっていうのなら、それなりの理由があるんだろうね。コルデホーザの人間にそこらを歩かれても迷惑だ、ついて来な」
不服そうに手招きをするサフラン。いずれにせよ、まずはジャックの容態が落ち着くのを待った方がいい。レイに目配せすると、カトレアはおとなしく後について行った。
サフランはコルデホーザの不穏な動きを耳にして、国境付近の警備を強化するため視察に訪れていたという。カトレアとレイは別の天幕を用意されたが、落ち着いてなどいられなかった。自分のせいでジャックが傷を負ったのだ。
何か手伝えることはないかとサフランに願い出たが、彼女は「ジャックの手当てを出来るのはあたしだけだ」と、取り合ってくれない。サフランの言葉には、王女への軽蔑以外のものが含まれていた。
それでも居座っていると、彼女の部下らしき医者がジャックの傷口を清め、縫合に取りかかった。その際麻酔として用いられたのは、薬花だった。
麻酔効果を及ぼすものを何種類か調合したもので、医者が飲み水と共に服用させると、ジャックの意識が目に見えて混濁した。
元々の効能に加え、花の香りが患者の緊張を和らげ、治癒能力を高める。薬花の特長の一つだ。
ジャックの身体が弛緩した所で、カトレアは天幕を追い出され、やむなくレイの元へ戻った。
あの医者は、おそらく薬花師だ。色黒であることから、元々ラランジャの民なのだろう。コルデホーザで薬花師となった者が隣国へ行き、教鞭を振るっていた例も数多く存在する。この地ではまだ彼らの活躍の場が保証されているのが、嬉しかった。
心躍ったのも束の間、レイと二人きりになると、妙な沈黙が流れた。
レイが任務に失敗したことで、更なる追手がかかることも懸念される。しかしカトレアたちがラランジャに突入した今、イーデンもうかつには手を出せないだろう。
カトレアが何と声をかけようか逡巡していると、レイは重い口を開いた。
「私がカトレア様を追ってきたのは、極秘任務でした。つまり、貴女が生きていることはごく一部の人間しか知らないのです。そうなると、イーデン様は再戦を優先するため、カトレア様の自害を決定づけ、戦への準備に移るでしょう」
絨毯を敷いただけの天幕の中で、レイは沈んだ瞳で語った。だが、イーデンの支配下からカトレアが引っ張り出した今、王宮にいた頃の過度な緊張は感じられなかった。
何にせよ、戦は免れない状況となる。しかし、カトレアがこの地に亡命した薬花師たちに働きかけなければ、どちらの国が勝ったとしても薬花を再び咲かせることは出来ない。
ジャックの治療が無事終わったと報告を受けると、カトレアは再度サフランに掛け合い、自らの目的を打ち明けた。彼女は半信半疑といった様子だったが、カトレアは父の政策を詫び、元凶となった薬花の研究について薬花師たちと話したいと懸命に訴えた。
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