今日も楽しくいきまshow!?

犬野きらり

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88 サイファ・ゴルド 2

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サイファside   

テストを受ける二週間前、アンドル王子の執務室。

「マリングレー王国のティア王女様からまた手紙ですか?熱心な…以前は、そんな素振り見せませんでしたよね。我が国に嫁入りしたいとか、アンドル様目的で、夢見の進言でマユリカ王女を排除する為、なんて微塵も感じませんでした。何が目的でしょうか?今回の夜会、そろそろ王女様が、参加される事を公表するべきでは?」

アンドル王子が、婚約者決めのパーティーの名簿をチェックしながら、こちらを無表情で見た。

怖いよ。

「夢見の乙女とは、何だろうな、何がしたいのか。ティア王女は、勿論私に思いなどないよ。ただどうしてもクリネット国に来たいとは感じるが、次から次に問題を起こしている点でも明らかだ」

王子は全くの無表情で話す。怖いよ。

「婚約者決めパーティー…ティア王女がいた方が、国内の貴族令嬢の対抗意識は、王女に向かい学校内の争いは少なくなりますね。今日のようなファンド侯爵令嬢の傲慢な言動は押さえられるかと思います。アンドル様が、気にしているイズリー伯爵令嬢は、招待しやすいのでは?」

やばい、余計なことを…口が滑ってしまった。


「ディライドに釘を刺されている。この件は、自分と伯爵の二人で関わると。パーティーは侯爵家以上を招待、前回、伯爵令嬢達を、相手に出来なかっただろうと」

怒られるかと思いきや、落ち込ませてしまった…

「絶対に婚約者決めじゃなきゃいけないのでしょうか?アンドル様一人が応対するから不備が出たわけで…建国祭のような夜会ならば、ティア王女をというよりマリングレー王国や周辺国を招いてもおかしくはない」

と言えば、アンドル様もグレゴリーも考え始めた。

「ティア王女は来たいだけだからな、友好国として招待すれば良い。しかし国王陛下が…最近の揉め事の多さや高位貴族の企みを、婚約者決めという餌で気を紛らわせ、分散させようと考えた」

「大規模な夜会でも金がかかるだけで一緒ですよ。ご令嬢だけじゃなくて、普通に高位貴族を堂々と目の前で企みを繰り広げればいいのですよ。お互い牽制し合ってぶつかって、お終いになりませんかね。ウランダル王国だって遺恨を残した形ですし、全てぶつけてしまえば…」

と馬鹿な提案をした。
夢見の乙女同士、王女同士、高位貴族同士、一箇所に集まって、そこで何が起こるのか…
…面倒というより、起こる期待が私をワクワクさせる。
アンドル様には決して言えないけど。


「そんな都合の良い話になる訳ない」

とアンドル様は言っだけど、グレゴリーが

「確かに警備の質や人数確保は大変かもしれないが、一箇所に集まれば、何が起きても人員は確保出来る」

と話した。

「一応、陛下に相談はしてみるが…既にティア王女には招待状は書き終えているから難しいだろうな」

「アンドル様、それは手紙の返事として個人的に出した誠意と言えば良いのでは?」

「…確かにな。今から謁見申し込みするが、夢見の乙女の件も絡めるとなると本当に何が起きるかわからない」

「ダイアナ嬢は、ファンド侯爵家に手酷くやられて学校も行けない状態ですが、今日、グレゴリーがファンド侯爵令嬢に言ったことで、令嬢にも問題があると証明されたし。ファンド侯爵家に注意をするなら、ガトルーシー家には都合が良いでしょう、私に任せて下さい」

「わかった。侯爵家には、私から令嬢に対して注意は入れる」

とアンドル様が言い、早速実行にかかった。その結果、私達のいや王宮勤めの文官は、毎日地獄のような忙しさになったのは…言うまでもない。



ダイアナ嬢の王都の屋敷に訪ねると、まず姿の異変に驚いた。

人はこんなに変わるのか。
顔色は悪いし、髪もボサボサ。目の下の隈も酷い。随分と痩せていた。

「久しぶりだね、ダイアナ嬢」

「もう、私は物語通りに進めなかった。だからこれは、私のペナルティなのよ、もう、過去には戻れない。ゲームじゃないからやり直しが効かない。私は、村人Aになったの。誰が悪いの?私は悪くないのに…
こんな話、私は知らない…」

あー、やっぱり気狂いが進んだか…
その兆候は、ティア王女の話をした時からあったからな。
思い通りに行かなければ、こうなるかな。

「ダイアナ嬢、大丈夫?君は悪くないよ。私が君から話を聞く限り、マリングレー王国のティア王女が、夢見の乙女の偽者になったのが一番悪いよ」

視点の合ってないダイアナに、わかるようにゆっくり言ってあげる。君の一番欲しい言葉だよ。
…悪いね、ダイアナ嬢。
もう少し、我が国の為に利用させてもらうよ。

「そう!あの女が、一番悪い!」

やっとダイアナと目が合った。

「あ、サイファ…様」

「ダイアナ嬢、聞いて欲しいんだ。ティア王女からアンドル様宛に恋文が熱心に届くようになったんだ。せっかく君とディライドが、ウランダル王国の戦いの火種を潰してくれたというのに…彼女はマユリカ王女を潰すために夢見の進言をしたみたいだね、全部ダイアナ嬢の言う通りだった」

「私の活躍…クリネットとウランダルが戦いになる前に潰したから、話を変えた皺寄せが私に来たというに。
美味しい所を全部取ろうとしている、許せない、何でも自分の思い通りになっているあの偽物女が、絶対に許せない!」

闘争心に火が着いたとは、こんな感じか。恐ろしいな。自分に都合良く理解している頭の中は、どっちもどっちだと思うけどな。

「ダイアナ嬢、ティア王女を止められるのは、同郷のテンセイシャの君しかいないと思うんだ。春に夜会が開かれる、王女は必ず参加する。偽物を止められるかな」


ダイアナ嬢は、怒りの表情がだんだんと収まってきた。

「ファンド侯爵家が…
我が家の全てを取り上げてしまって、夜会には参加したいのですが、私はマリアーノ様とは会ってはいけないという契約にサインをしてしまい」

「安心して、昨日、マリアーノ嬢がやらかしてね、以前の反省を全くしないで、また傲慢な態度で下位貴族を馬鹿にしたんだよ。アンドル様から侯爵に直々に注意文が送られたはずだよ。それにグレゴリーが廊下で叱ってたし、その契約書も破棄させるよ、ただ賠償金の返却は難しいな」

と言えば、ダイアナは、爪を噛みながら

「ザマァミロ」

と笑った。完全に悪い方向に行ったな、まぁその方がこちらも利用しやすい。

「学校の復学もどうにかするが、王女を押さえる方法を考えて欲しい」

「…そうですね。あの偽物には復讐したいです」


「ああ、頼むよ。出来る限りはするよ。ただ今、夜会の準備でとても忙しくてね。私の屋敷の従者に手紙を渡すことになる」

と言えば、

「サイファ様、あの、今、我が家に使用人が不足して困っています。この状態で学校に行くことは出来ないと思いますので、どうかお力添えをお願いします」

そんなことか。

「任せてよ。ガトルーシー男爵様と話をさせて欲しい」

立ち上がったダイアナ嬢を見て、
あっ、イズリー家!と思い出した。

「ダイアナ嬢、まだ私からディライドに話をしていないんだよ。イズリー家とは関わらないで欲しい」

「それは、どういう意味ですか?あの野暮眼鏡が何か言っているの」

「違う!頼むからディライドを怒らせるな、マリングレー王国の件もあるし、これ以上の揉め事は困る」

「ああ、アンドル様の側近ですからね。確かにあの水色髪を見ると偽物と同じ色合いでムカつくけど、顔は思い出せないぐらいの平凡なモブ。相手にする必要もないか」

…この馬鹿!
アンドル様の目の前でそんな発言したら、逆鱗に触れるぞ!
アレ!?
そう、だな。確かに顔が思い出せないほど、特徴がない?いや、眼鏡で、水色髪で、なのに顔が思い出せない。

ティア王女と同じ髪色。美しい髪に肌も透き通るほど白い。思えば貴族令嬢とは何か違う。どこが?
雰囲気だろうか、動きに淑女を感じないが、何故か他とは違うとはわかる。ディライドの過保護も異常だし、アンドル様まで変わる程、気にかけている…

確か一年前に養女になって、本当に彼女は夫人の遠者か?
彼女は…クリネット国の者なのか?
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