31 / 46
31予告書
しおりを挟む
情報通のコルンさんから、マリーゴールドさんは、テスト期間に入る前から学園を休んでいるそうだ。
クラスメートの令嬢も
「きっと心が病んでいらしたのね。環境が変わって耐えられなかったのかしら?」
と話していた。私も動揺を抑えて、頷いた。私から話題を振ったこともあるけど、みんな既に奇行の令嬢としか印象に残ってない。
でもあの奇行は、ヒロインのマリーさんを印象付けたということだ。明るく優等生とは何だったのか。最後は、私には、狂気を感じた。一番それが印象に残っている。もしかしたら、始めて本心が出たからか。
決められた台詞を言うのと心からの言葉は違うのね、可哀想だと思った。そしてひどく悲しかった。
「アーシャ様、この問題がわからないんですが」
「どれですか?私にわかるかしら?」
テスト期間に入る前、教科書を見ながらみんなで勉強している。
エリオンが楽しいと言ったのは、こういうときなのかなと思った。
確かにみんなでワイワイ解き明かすのは楽しい。くだらない話に脱線したり、先生の真似をしたりする。
「楽しいわね」
としみじみ言ったら、クラスメート達も
「そうですわね」
「これはこの学園生活の中でしか味わえないものですものね。私婚約者いなくて良かったです」
とコルンさんが言うと、
「でも成人の儀が終わった私達は、夏頃から夜会にデビューするわ。それはお相手やエスコートしてくれる男性がいないと参加も招待もされないわ」
「そうよね、この娘は貴族の集まりに呼ばれもしない駄目な令嬢と肩書きが出来てしまうわ。もう子供の頃の茶会とは違うわ」
雰囲気が暗くなってしまった。楽しいのは今の時期だけ、早く婚約者を見つけなければ、売れ残りもしくは駄目令嬢の烙印、そして後妻や側女、家の為かかったお金を返す為、縁を結ぶ。
実際の所、令嬢の世界は、より高くより価値があるところに自分を売り込む、そう教わってきている。
私は、ドミルトン家という母体があるから売り込む教育は、されていないけど。
「今日はお開きにしましょう」
みんな将来は見えない。部屋に帰って、何度も書き直している漫画の話という予告書を見た。
マリーさんの失敗しても必ずラッキーなことになると子供のころの私は書いていた。これが本当かどうかもわからないけど、もしあの奇行が失敗と気づいたなら、気を直して戻ってくるのかもしれない。幸運と共に。
そう願いたい
窓を見れば、久しぶりの伝書鳩。
久しぶりにイラストではなくタヌキ言葉で手紙を書く。普通に。
クラスメート達が将来不安に感じていること、テストが不安なこと、みんなで勉強したこと、今、私達は時間が貴重だと気づいたこと。
お互い家庭教師に勉強を教わっていて学ぶ事がないと思っているだろうけど、今日気づいたことを書いた。
フランツ王子にとって、必要か不必要かなんて気にせずに。
自分の出来る範囲で好きに生きて、と。友達を作ったり恋をしたり、遊んだり…これは私の勝手なお節介だから書かないけど。
「結構な長文になっちゃったな。熱く語っているから、恥ずかしいけど持って行ってくれる?」
と紙を括りつけた。鳩を見送り、私はカイル王子にも今日気づいたことを手紙に書いた。
多分一番、予告書にこだわっていたのは、私だ。人の気持ちは、予告書じゃ測れない。今後マリーさんとフランツ王子が相思相愛になったとしても、それは私が書いた予告書とは、似て非なるもの。随分と前に気づいていたじゃない、王子達の誘拐でカイル王子は死ななかった。こうじゃなきゃ駄目、調整しなきゃ駄目なんて私の勝手な都合だった。
「本当にごめんなさい」
カイル王子はわからないかもしれないから、数枚に及ぶ事件イラストも入れた。それでもわからないかもしれないけど。ガレットさんの夕飯を食べに行く。そこに初めてユイナさんがいた。今まで顔出ししなかったのに、
「こんばんは、ユイナ様」
と言うと
「もう少し驚いてくださいよ、アーシャ様」
「驚いてますよ、さぁ食べましょう。テスト勉強しなければいけません」
「ゲェ」
と一言言った。
伝書鳩が帰ってきた。影からアーシャが酷く悲しい顔を一瞬見せたと聞いたから、何がどうしてと思わず、鳩を出してしまった。
手紙だった。いつもの面白い絵ではない。随分と長文だ。何があったと心して読めば、今日あったこと、気づいたこと、上手い言葉じゃなくて感じたこと知ったことそのままの言葉で私に伝える。
「アーシャ、話が飛び飛びだよ」
学園の授業に対して学生生活に意味がなくて何も感じない私でもアーシャの真っ直ぐな言葉の意味はわかった。必要がどうかは私自身で選択しろと。
今という時間を楽しむか。
その感覚は、知っているよ。10歳の茶会で、村人のダンスもカイルと一緒に行った収穫祭で教えてもらった。
友達、カイルが、学友はアーシャ一人でいいと言ったことを思い出す。私も学友だと言ってくれたが、やっぱり二人の仲には入っていけるか迷う。カイルはストック国にいるわけで。
話してもいいじゃないかという気持ちが最近強い。別に友達と話すだけだ。成人の儀の時と同じだ、寄宿舎でアーシャの帰りを待てば二人で話せるしお茶を飲むことも出来る。
婚約候補者がいても関係ない、学友だからって言えばいい…
王宮から見る外の景色は、兵士がいて城が見えて、塀に覆われている。
自由か。
アーシャは、学園生活の時だけだ、先行きが見えないのはみんな同じ、だから今だけ羽を伸ばしてもいいと言うのか?
「フェルナンド、少し甘えてもいいか?」
「もちろんですよ、フランツ王子様。あなたは頑張りすぎです。多少の事で今までの努力は揺らぎません」
「では、あの件進めてくれるか?」
「はい、かしこまりました」
と護衛騎士は、部屋から出て行った。そして私は、カイルに手紙を書くことにした。今の状況を出来る限り詳しく、そして手紙を書き終わった後、カイルとやった手押し相撲を思い出した。
「ルイーゼ様、あのルイーゼ様の前や横で転んでいたマリーゴールド・タイカさん気を病んで、学園をお休みされてるそうですよ。やっと静かになりますね」
とサラが言えば、リリアンも負けじと
「何度もしつこかったですね。何がしたいかも言わず、ただ潤んだ目でこちらを見てきて、候補者の誰かからの刺客だと思いました」
と言った。
「ふん、あんな子、何の魂胆があっても跳ね返せばいいわ。それよりも候補者達が自分のお茶会を開いて、派閥を広げるって本当なのね?」
「はい、ルイーゼ様、間違いありません」
と自信を持ってサラは言った。ルイーゼは、
「リリアン、あなたのクラスって派閥はどうなっているのかしら?あなたがいるんだから、こちら側に寄せられるのではなくて」
とリリアンを見れば、怯えた顔になった。
「私のクラスは、…
えっと、招待すれば来るかもしれないし、来ない…かも」
「はっきり言いなさい」
「アーシャがいて無派閥の令嬢を囲ってます」
「アーシャ、、ですって、何をやっていたのリリアン!」
クラスにほとんどいないリリアンに同じクラスメートの派閥やら関係性などを求めるのは無理な話。
「すぐにアーシャからその無派閥の令嬢を奪いなさい」
カイルは、寄宿舎のベランダに出て、月を見ていた。その濃い色が琥珀に見えて、アーシャが身に着けているのかと想像して嬉しい気持ちになっていた。
アーシャから手紙が届いたカイルは、すぐに読み、また面白い絵を描く、変な事件ばかりだと笑っていた。
「学園生活か」
通えなかった学園を想像しながら、アーシャや兄の動いている思い出と照らし合わせていた。
帰りたいな
そしてその後今度は、フランツ王子から手紙が届いた。国王宛に、厚い蝋に第二王子の印を押した手紙を出した。
クラスメートの令嬢も
「きっと心が病んでいらしたのね。環境が変わって耐えられなかったのかしら?」
と話していた。私も動揺を抑えて、頷いた。私から話題を振ったこともあるけど、みんな既に奇行の令嬢としか印象に残ってない。
でもあの奇行は、ヒロインのマリーさんを印象付けたということだ。明るく優等生とは何だったのか。最後は、私には、狂気を感じた。一番それが印象に残っている。もしかしたら、始めて本心が出たからか。
決められた台詞を言うのと心からの言葉は違うのね、可哀想だと思った。そしてひどく悲しかった。
「アーシャ様、この問題がわからないんですが」
「どれですか?私にわかるかしら?」
テスト期間に入る前、教科書を見ながらみんなで勉強している。
エリオンが楽しいと言ったのは、こういうときなのかなと思った。
確かにみんなでワイワイ解き明かすのは楽しい。くだらない話に脱線したり、先生の真似をしたりする。
「楽しいわね」
としみじみ言ったら、クラスメート達も
「そうですわね」
「これはこの学園生活の中でしか味わえないものですものね。私婚約者いなくて良かったです」
とコルンさんが言うと、
「でも成人の儀が終わった私達は、夏頃から夜会にデビューするわ。それはお相手やエスコートしてくれる男性がいないと参加も招待もされないわ」
「そうよね、この娘は貴族の集まりに呼ばれもしない駄目な令嬢と肩書きが出来てしまうわ。もう子供の頃の茶会とは違うわ」
雰囲気が暗くなってしまった。楽しいのは今の時期だけ、早く婚約者を見つけなければ、売れ残りもしくは駄目令嬢の烙印、そして後妻や側女、家の為かかったお金を返す為、縁を結ぶ。
実際の所、令嬢の世界は、より高くより価値があるところに自分を売り込む、そう教わってきている。
私は、ドミルトン家という母体があるから売り込む教育は、されていないけど。
「今日はお開きにしましょう」
みんな将来は見えない。部屋に帰って、何度も書き直している漫画の話という予告書を見た。
マリーさんの失敗しても必ずラッキーなことになると子供のころの私は書いていた。これが本当かどうかもわからないけど、もしあの奇行が失敗と気づいたなら、気を直して戻ってくるのかもしれない。幸運と共に。
そう願いたい
窓を見れば、久しぶりの伝書鳩。
久しぶりにイラストではなくタヌキ言葉で手紙を書く。普通に。
クラスメート達が将来不安に感じていること、テストが不安なこと、みんなで勉強したこと、今、私達は時間が貴重だと気づいたこと。
お互い家庭教師に勉強を教わっていて学ぶ事がないと思っているだろうけど、今日気づいたことを書いた。
フランツ王子にとって、必要か不必要かなんて気にせずに。
自分の出来る範囲で好きに生きて、と。友達を作ったり恋をしたり、遊んだり…これは私の勝手なお節介だから書かないけど。
「結構な長文になっちゃったな。熱く語っているから、恥ずかしいけど持って行ってくれる?」
と紙を括りつけた。鳩を見送り、私はカイル王子にも今日気づいたことを手紙に書いた。
多分一番、予告書にこだわっていたのは、私だ。人の気持ちは、予告書じゃ測れない。今後マリーさんとフランツ王子が相思相愛になったとしても、それは私が書いた予告書とは、似て非なるもの。随分と前に気づいていたじゃない、王子達の誘拐でカイル王子は死ななかった。こうじゃなきゃ駄目、調整しなきゃ駄目なんて私の勝手な都合だった。
「本当にごめんなさい」
カイル王子はわからないかもしれないから、数枚に及ぶ事件イラストも入れた。それでもわからないかもしれないけど。ガレットさんの夕飯を食べに行く。そこに初めてユイナさんがいた。今まで顔出ししなかったのに、
「こんばんは、ユイナ様」
と言うと
「もう少し驚いてくださいよ、アーシャ様」
「驚いてますよ、さぁ食べましょう。テスト勉強しなければいけません」
「ゲェ」
と一言言った。
伝書鳩が帰ってきた。影からアーシャが酷く悲しい顔を一瞬見せたと聞いたから、何がどうしてと思わず、鳩を出してしまった。
手紙だった。いつもの面白い絵ではない。随分と長文だ。何があったと心して読めば、今日あったこと、気づいたこと、上手い言葉じゃなくて感じたこと知ったことそのままの言葉で私に伝える。
「アーシャ、話が飛び飛びだよ」
学園の授業に対して学生生活に意味がなくて何も感じない私でもアーシャの真っ直ぐな言葉の意味はわかった。必要がどうかは私自身で選択しろと。
今という時間を楽しむか。
その感覚は、知っているよ。10歳の茶会で、村人のダンスもカイルと一緒に行った収穫祭で教えてもらった。
友達、カイルが、学友はアーシャ一人でいいと言ったことを思い出す。私も学友だと言ってくれたが、やっぱり二人の仲には入っていけるか迷う。カイルはストック国にいるわけで。
話してもいいじゃないかという気持ちが最近強い。別に友達と話すだけだ。成人の儀の時と同じだ、寄宿舎でアーシャの帰りを待てば二人で話せるしお茶を飲むことも出来る。
婚約候補者がいても関係ない、学友だからって言えばいい…
王宮から見る外の景色は、兵士がいて城が見えて、塀に覆われている。
自由か。
アーシャは、学園生活の時だけだ、先行きが見えないのはみんな同じ、だから今だけ羽を伸ばしてもいいと言うのか?
「フェルナンド、少し甘えてもいいか?」
「もちろんですよ、フランツ王子様。あなたは頑張りすぎです。多少の事で今までの努力は揺らぎません」
「では、あの件進めてくれるか?」
「はい、かしこまりました」
と護衛騎士は、部屋から出て行った。そして私は、カイルに手紙を書くことにした。今の状況を出来る限り詳しく、そして手紙を書き終わった後、カイルとやった手押し相撲を思い出した。
「ルイーゼ様、あのルイーゼ様の前や横で転んでいたマリーゴールド・タイカさん気を病んで、学園をお休みされてるそうですよ。やっと静かになりますね」
とサラが言えば、リリアンも負けじと
「何度もしつこかったですね。何がしたいかも言わず、ただ潤んだ目でこちらを見てきて、候補者の誰かからの刺客だと思いました」
と言った。
「ふん、あんな子、何の魂胆があっても跳ね返せばいいわ。それよりも候補者達が自分のお茶会を開いて、派閥を広げるって本当なのね?」
「はい、ルイーゼ様、間違いありません」
と自信を持ってサラは言った。ルイーゼは、
「リリアン、あなたのクラスって派閥はどうなっているのかしら?あなたがいるんだから、こちら側に寄せられるのではなくて」
とリリアンを見れば、怯えた顔になった。
「私のクラスは、…
えっと、招待すれば来るかもしれないし、来ない…かも」
「はっきり言いなさい」
「アーシャがいて無派閥の令嬢を囲ってます」
「アーシャ、、ですって、何をやっていたのリリアン!」
クラスにほとんどいないリリアンに同じクラスメートの派閥やら関係性などを求めるのは無理な話。
「すぐにアーシャからその無派閥の令嬢を奪いなさい」
カイルは、寄宿舎のベランダに出て、月を見ていた。その濃い色が琥珀に見えて、アーシャが身に着けているのかと想像して嬉しい気持ちになっていた。
アーシャから手紙が届いたカイルは、すぐに読み、また面白い絵を描く、変な事件ばかりだと笑っていた。
「学園生活か」
通えなかった学園を想像しながら、アーシャや兄の動いている思い出と照らし合わせていた。
帰りたいな
そしてその後今度は、フランツ王子から手紙が届いた。国王宛に、厚い蝋に第二王子の印を押した手紙を出した。
146
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました
チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。
王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。
エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。
だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。
そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。
夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。
一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。
知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。
経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。
【完結】悪役令嬢の断罪から始まるモブ令嬢の復讐劇
夜桜 舞
恋愛
「私がどんなに頑張っても……やっぱり駄目だった」
その日、乙女ゲームの悪役令嬢、「レイナ・ファリアム」は絶望した。転生者である彼女は、前世の記憶を駆使して、なんとか自身の断罪を回避しようとしたが、全て無駄だった。しょせんは悪役令嬢。ゲームの絶対的勝者であるはずのヒロインに勝てるはずがない。自身が断罪する運命は変えられず、婚約者……いや、”元”婚約者である「デイファン・テリアム」に婚約破棄と国外追放を命じられる。みんな、誰一人としてレイナを庇ってはくれず、レイナに冷たい視線を向けていた。そして、国外追放のための馬車に乗り込むと、馬車の中に隠れていた何者かによって……レイナは殺害されてしまった。
「なぜ、レイナが……あの子は何も悪くないのに!!」
彼女の死に唯一嘆いたものは、家族以上にレイナを知る存在……レイナの親友であり、幼馴染でもある、侯爵令嬢、「ヴィル・テイラン」であった。ヴィルは親友のレイナにすら教えていなかったが、自身も前世の記憶を所持しており、自身がゲームのモブであるということも知っていた。
「これまでは物語のモブで、でしゃばるのはよくないと思い、見て見ぬふりをしていましたが……こればかりは見過ごせません!!」
そして、彼女は決意した。レイナの死は、見て見ぬふりをしてきた自身もにも非がある。だからこそ、彼女の代わりに、彼女への罪滅ぼしのために、彼女を虐げてきた者たちに復讐するのだ、と。これは、悪役令嬢の断罪から始まる、モブ令嬢の復讐劇である。
逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?
魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。
彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。
国外追放の系に処された。
そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。
新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。
しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。
夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。
ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。
そして学校を卒業したら大陸中を巡る!
そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、
鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……?
「君を愛している」
一体なにがどうなってるの!?
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
転生令嬢はやんちゃする
ナギ
恋愛
【完結しました!】
猫を助けてぐしゃっといって。
そして私はどこぞのファンタジー世界の令嬢でした。
木登り落下事件から蘇えった前世の記憶。
でも私は私、まいぺぇす。
2017年5月18日 完結しました。
わぁいながい!
お付き合いいただきありがとうございました!
でもまだちょっとばかり、与太話でおまけを書くと思います。
いえ、やっぱりちょっとじゃないかもしれない。
【感謝】
感想ありがとうございます!
楽しんでいただけてたんだなぁとほっこり。
完結後に頂いた感想は、全部ネタバリ有りにさせていただいてます。
与太話、中身なくて、楽しい。
最近息子ちゃんをいじってます。
息子ちゃん編は、まとめてちゃんと書くことにしました。
が、大まかな、美味しいとこどりの流れはこちらにひとまず。
ひとくぎりがつくまでは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる