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第12話・男と男③
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もう十分締まっただろうとお武家様は意を決し、腿の付け根にそっと触れた。固くて太いしっかりとした感触が、むくりと襦袢を持ち上げる。
「あやめ殿、頼む」
「それでは、後ろを向いてくださいまし」
改めてお武家様の秘所を前にしてみたが、注いだ通和散は先の鍛錬で流れてしまった。通和散をもう一包、口に含んで舐め回し、欲しがり緩んだところへ唇を寄せ、頬をすぼませ注ぎ込む。これが好きなのか、息するように締まって開いて綻んだ。
「気持ちいいと、開くのですね? もっと咲かせてみせましょう」
指二本を入れると同時に、前で跳ねているものを掴んで、愛おしく撫で回す。片手ではとても収まりきらず、両手で包み込んでも先は覗いてしまう。
「とってもご立派ですこと。これが入ったら、どうかしてしまいます」
「前から後ろから、これは……堪らぬ」
「後ろだけでよろしいのですか? 前も気持ちよくなっては……如何?」
快楽の波間を漂っているお武家様は、熱い吐息を切れ切れにして、甘く囁いて流し目を送った。
「あやめ殿、欲しくて、堪らぬ、もう我慢出来ん」
いよいよか、と膝立ちになり襦袢を割った。その合間から、打ち上げられた魚のようにピクリピクリと跳ねている、もうひとりのあやめが覗く。こちらも我慢の限界であり、先からツーッと澄んだよだれが垂れていた。
のたうち回る威勢を根元から摘み、欲しがる秘所にぬるりと差し込む。きゅうと締まった入口に抗い奥へと進んでいくと、雲上の愉楽がふわりと包む。それが先から中にねっとり絡み、根本はきつく締め上げられた。
その感触が丹田いっぱいに膨れ上がり、髄を駆け抜け脳天までが痺れていった。お武家様の荒い息が拍車をかけて、更なる快楽を欲していった。
この締め上げられる感覚を、もっと味わいたい。ゆっくりと、裏返ってしまわないよう引き抜いて、先が引っ掛かったところで押し込んでいく。青い茎のすべてがその感触を得て、中に入ったままの先はひだにぬるりと舐められた。もう一度、もう一度と引き抜き押し込んでいくたびに、膨れた丹田に圧迫されて息苦しいほど高潮していく。
「あやめは、もう、出して、しまい、そうです」
「まだだ、まだ、耐えて、堪えて、くれ」
今にも溢れてしまいそうな根本の奥をきゅうっと締める。行き先を失った快感は、じんじんと痺れて破裂してしまいそう。
燃えるほどの火照りに着物を剥いで、肩から脇へするりと下ろし、ツンと立った小粒な実をしっとり濡れた背中で転がす。その悪戯っぽい感触が互いの烈情を刺激する。
「もう、駄目、出そう……出る……」
「いいぞ、中に、存分に」
全神経を痺れさせた快楽を内から前へ解き放ち、濡れる雲海の波間へ注いでいった。通り抜ける瞬間のどろりと脈打つ高速が、前を後ろを丹田をきゅうきゅうと締めて、頭がぼうっと溶けていく。出したのは子種ではなく脳味噌では、と疑うほどに悦楽の海を漂った。
奥まで根元までと差し込んだ小さなあやめを引き抜き晒す。窮屈な門に絞り取られて、中からは一滴も粉も出ない。
力を失い布団に沈んだお武家様は、激しい鼓動に上下している谷間より会陰に白濁の一筋を垂らしていった。
「お武家様、如何でしょうか」
「中が熱く、よい心地だ。あやめ殿、恩に着る」
花散るような余韻が全身から放たれていた。布団に埋もれた肩を抱き、火照った身体を表に返して、甘く囁く。
「お武家様、私も欲しくなってしまいました」
上下している腹の上、だらりと寝そべり糸を引く大きなものを撫で回す。たとえ願いが叶おうとも、果てねば物足りなかったのだろう。それはむくむくと起き上がり、互いの欲望を一致させた。
更に一包、通和散を口に含んで手の平にとろりと垂らし、ずっと疼いていた花園へと塗りつけた。
「お疲れでしょう? 上なって差し上げます」
手に余る大きさの根元を掴む。真っ直ぐ立てて、それに合わせて膝立ちをする。いつもより腰を高くせねばならず、狙いを定めるのも難しい。が、それがメリメリと押し広げ、奥深くの突き当たりを突くのだと想像出来て、先が当たってしまうだけで背筋から心の臓まで、ぞくぞくと期待に震えてしまう。
ついに狙いが定まって、真っ赤になった先っぽが小さな入口を押し広げていった、そのときだ。
「あやめ殿! ま、待ってくれ!」
お武家様は目を見開くと、真っ青になって脂汗をだらだらと垂らす。その必死な形相を見下ろして、せっかく入ったものを抜き、すぐさま飛び退く。
立ち上がろうとしたお武家様は、鬼気迫る状況に身体を歪め、全神経をただ一点に集中させた。
「か、か、厠は……」
陰間としての大失態だ、今日は厠に行ったのか、それをお武家様に確かめていなかった。日頃の今日の鍛錬が、そして中に注いだ熱いものが、お武家様を必要以上に刺激した。広げて緩んでしまっているから、これ以上は落ちてはならぬ、もし落ちたなら末代までの恥になると、下腹に力を込めている。
万一に備えて古桶を掴み、お武家様の後ろに控えさせ、痺れて力の入らぬ脚を支えて、ふたりで廊下へと出ていった。
やはり衆道というものは、一朝一夕ではならぬのだ。
「あやめ殿、頼む」
「それでは、後ろを向いてくださいまし」
改めてお武家様の秘所を前にしてみたが、注いだ通和散は先の鍛錬で流れてしまった。通和散をもう一包、口に含んで舐め回し、欲しがり緩んだところへ唇を寄せ、頬をすぼませ注ぎ込む。これが好きなのか、息するように締まって開いて綻んだ。
「気持ちいいと、開くのですね? もっと咲かせてみせましょう」
指二本を入れると同時に、前で跳ねているものを掴んで、愛おしく撫で回す。片手ではとても収まりきらず、両手で包み込んでも先は覗いてしまう。
「とってもご立派ですこと。これが入ったら、どうかしてしまいます」
「前から後ろから、これは……堪らぬ」
「後ろだけでよろしいのですか? 前も気持ちよくなっては……如何?」
快楽の波間を漂っているお武家様は、熱い吐息を切れ切れにして、甘く囁いて流し目を送った。
「あやめ殿、欲しくて、堪らぬ、もう我慢出来ん」
いよいよか、と膝立ちになり襦袢を割った。その合間から、打ち上げられた魚のようにピクリピクリと跳ねている、もうひとりのあやめが覗く。こちらも我慢の限界であり、先からツーッと澄んだよだれが垂れていた。
のたうち回る威勢を根元から摘み、欲しがる秘所にぬるりと差し込む。きゅうと締まった入口に抗い奥へと進んでいくと、雲上の愉楽がふわりと包む。それが先から中にねっとり絡み、根本はきつく締め上げられた。
その感触が丹田いっぱいに膨れ上がり、髄を駆け抜け脳天までが痺れていった。お武家様の荒い息が拍車をかけて、更なる快楽を欲していった。
この締め上げられる感覚を、もっと味わいたい。ゆっくりと、裏返ってしまわないよう引き抜いて、先が引っ掛かったところで押し込んでいく。青い茎のすべてがその感触を得て、中に入ったままの先はひだにぬるりと舐められた。もう一度、もう一度と引き抜き押し込んでいくたびに、膨れた丹田に圧迫されて息苦しいほど高潮していく。
「あやめは、もう、出して、しまい、そうです」
「まだだ、まだ、耐えて、堪えて、くれ」
今にも溢れてしまいそうな根本の奥をきゅうっと締める。行き先を失った快感は、じんじんと痺れて破裂してしまいそう。
燃えるほどの火照りに着物を剥いで、肩から脇へするりと下ろし、ツンと立った小粒な実をしっとり濡れた背中で転がす。その悪戯っぽい感触が互いの烈情を刺激する。
「もう、駄目、出そう……出る……」
「いいぞ、中に、存分に」
全神経を痺れさせた快楽を内から前へ解き放ち、濡れる雲海の波間へ注いでいった。通り抜ける瞬間のどろりと脈打つ高速が、前を後ろを丹田をきゅうきゅうと締めて、頭がぼうっと溶けていく。出したのは子種ではなく脳味噌では、と疑うほどに悦楽の海を漂った。
奥まで根元までと差し込んだ小さなあやめを引き抜き晒す。窮屈な門に絞り取られて、中からは一滴も粉も出ない。
力を失い布団に沈んだお武家様は、激しい鼓動に上下している谷間より会陰に白濁の一筋を垂らしていった。
「お武家様、如何でしょうか」
「中が熱く、よい心地だ。あやめ殿、恩に着る」
花散るような余韻が全身から放たれていた。布団に埋もれた肩を抱き、火照った身体を表に返して、甘く囁く。
「お武家様、私も欲しくなってしまいました」
上下している腹の上、だらりと寝そべり糸を引く大きなものを撫で回す。たとえ願いが叶おうとも、果てねば物足りなかったのだろう。それはむくむくと起き上がり、互いの欲望を一致させた。
更に一包、通和散を口に含んで手の平にとろりと垂らし、ずっと疼いていた花園へと塗りつけた。
「お疲れでしょう? 上なって差し上げます」
手に余る大きさの根元を掴む。真っ直ぐ立てて、それに合わせて膝立ちをする。いつもより腰を高くせねばならず、狙いを定めるのも難しい。が、それがメリメリと押し広げ、奥深くの突き当たりを突くのだと想像出来て、先が当たってしまうだけで背筋から心の臓まで、ぞくぞくと期待に震えてしまう。
ついに狙いが定まって、真っ赤になった先っぽが小さな入口を押し広げていった、そのときだ。
「あやめ殿! ま、待ってくれ!」
お武家様は目を見開くと、真っ青になって脂汗をだらだらと垂らす。その必死な形相を見下ろして、せっかく入ったものを抜き、すぐさま飛び退く。
立ち上がろうとしたお武家様は、鬼気迫る状況に身体を歪め、全神経をただ一点に集中させた。
「か、か、厠は……」
陰間としての大失態だ、今日は厠に行ったのか、それをお武家様に確かめていなかった。日頃の今日の鍛錬が、そして中に注いだ熱いものが、お武家様を必要以上に刺激した。広げて緩んでしまっているから、これ以上は落ちてはならぬ、もし落ちたなら末代までの恥になると、下腹に力を込めている。
万一に備えて古桶を掴み、お武家様の後ろに控えさせ、痺れて力の入らぬ脚を支えて、ふたりで廊下へと出ていった。
やはり衆道というものは、一朝一夕ではならぬのだ。
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