あまりにもあまりにも偶然に墜落し、とんでもない上位生命体の一部となった彼らです。

栗菓子

文字の大きさ
29 / 44

第26話 戦乱時代

しおりを挟む
黒い病の後、生き残った貴族や、民たちは、戦を起こすことで、領土や水や食料などを得ようとした。
陰惨で壮絶な戦いが始まった。それは賢者や、まっとうな考えを持っている人にとっては短絡的で独善的だったことだろう。しかし彼らにとってはそれしか生き延びる術がなかったのだ。


その戦は数十年ほど、各地に広がって、大きな大きな戦いとなっていた。


しかし、冷徹にそれを予測していたガリア王家の三貴子と、王だけは病さえも寄せ付けぬ力を持っていたようだ。

多くの犠牲者が出ても彼らは平然としていた。よほど免疫力が高く、何らかの抗体力があるらしい。

そして、もう一つの特殊な種族は生き延びた。

ナラという村娘を筆頭に、小さな村や、植物の名が付いている人々たちは、薬草と、わずかなスープだけで生き延びた。 宇宙樹の末裔である。

もう本人たちもガリア人として根付いてしまった故、混じりあって、純粋な島国 光華の巫女ミカとは交信できなかった。
幼少の頃はもっと夢の中で何でも会話していた記憶があるのだが・・。
今は記憶も朧気であった。



それをやはり・・と思うガリア王家と、「凄え・・あの流行り病を生き延びたのか・・」と嬉し気にはしゃぐラテルの血を引く庶子が居た。

ナラという村娘が生きて居るなんで凄い・・と彼は思った。やはり、あの女は特別な力を持っていたんだ。


あの女が欲しいな。でも攫ったら、ガリア王家に奪われる。そんなのは嫌だ。
庶子は・・母が名づけた名前でゼーンといった。生きる者という意味だ。

この名は気に入っている。唯生きる。ゼーンはこれしかなかった。何があろうと生きることしか考えない。

この時代に相応しい名前だ。

ゼーンは生き延びる者達を好んだ。死んだら何も残らない。それがゼーンの観念だ。


それぞれの思惑も知らず、ナラは唯生き延びたことに、神に感謝した。
ナラそのものの血の力によるものだと彼女は思いもよらなかった。唯、小さな村と、友人や、村人たちが助かっただけでも運がいいと思っていた。
ソアラも一時は、病に倒れたが、幸いにも軽症で、1週間で癒えた。 薬草だろうかとナラは思わずにはいられなかった。


でも流行り病のせいで戦になってしまった。禍には禍が重なるものだ。

ナラはうんざりとなった。早く終わってほしい。神様にお願いしよう。ナラは何かの大きな神に祈った。

それしか無知な村娘のできることはない。

ナラは知らずしらずのうちに、無意識の、深淵に横たわっている宇宙樹の力にアクセスしていた。
村の加護や、村人の身体能力の免疫力を増加していた。

それが村のあたりが無事だった原因だ。

今は、ナラはまだ気づいていなかった。気づいているのは、ガリア王家や、勘が異様に鋭いものだけだった。

「不思議ねエ。ナラ。あたしたち。生き延びたわね。」
ソアラは、流行り病が、世界を覆いつくした後、多くの死亡者が出たらしい。その事を知ると、ソアラは「嘘・・なんであたし生きてるの・・?。」と不思議がった。

「ええ・・・なにもかも運としか言いようがないわ。神様のお陰かしら。」
「やだ。ナラ。神様って・・本当に居るのかしら?いたとしたらこんな世界にしないと思うけど・・?」
ソアラは首を傾げながらもぶつぶつと呟いた。
大丈夫だろうか?ソアラは大変な病にかかって一時混乱状態に陥っているようだ。

ナラはソアラを娘のように宥めた。
「大丈夫よ。ソアラ。もう助かったのだから。神様がきっとまだ死ぬ時ではないと決めたのよ。」

「ナラ・・そうね。そういうことにするわ。」

ソアラは笑った。とても美しい生気の或る顔だ。この目が死で濁るなんでナラには耐えられなかった。
生き生きした瞳。綺麗な素朴な素直な心根。ソアラは好ましい友人だった。


ナラはソアラや、村人達が生きていることに感謝した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

『農業スキルはいらない』と追放されたが、魔境の開拓ライフが勝手に世界配信されていた件。聖女や竜が集まり、元仲間は完全に詰みました

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ。魔王討伐に『農業』スキルなんて役に立たないからな」 幼馴染の勇者からそう告げられ、俺、アレンはパーティを追放された。 あてがわれたのは、人が住めないと言われるS級危険地帯『死の荒野』。 しかし、彼らは知らなかった。俺の農業スキルが、レベルアップによって神の領域(ギフト)に達していたことを。 俺が耕せば荒野は豊潤な大地に変わり、植えた野菜はステータスを爆上げする神話級の食材になり、手にしたクワは聖剣すら凌駕する最強武器になる! 「ここなら誰にも邪魔されず、最高の野菜が作れそうだ」 俺は荒野で拾ったフェンリル(美少女化)や、野菜の匂いにつられた聖女様、逃げてきたエルフの姫君たちと、にぎやかで楽しいスローライフを送ることにした。 その一方で、俺の生活が、荒野に落ちていた古代のアーティファクトによって、勝手に世界中に『生配信』されていることには全く気づいていなかった。 「え、この野菜食べただけで瀕死の重傷が治った!?」 「主様、強すぎます! ドラゴンを大根で叩き落とすなんて!」 『コメント:なんだこの配信……神か?』 『コメント:勇者パーティが苦戦してるダンジョン、この人の家の庭じゃね?』 これは、無自覚に最強の農園を作り上げた男が、世界中から崇拝され、一方で彼を追放した勇者パーティが没落していく様子を、リスナーと共にほのぼのと見守る物語。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

処理中です...